※この作品はR-18です。

モモンガさん!それをㅤ殺すなんてㅤもったいない!   作:朝潮

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報奨
第9話


 

 

 

「とりあえず、噛ませてもらえる?」

「へ?」

 

オレは堅っ苦しいロールを取り止め、エンリへと話しかける。

エンリは、「噛む」というのがどういう事なのかと疑問を顔に浮かべていた。

 

「お前の首筋に噛み付いて、血を飲みたい。良いか?」

「へっ?へっ??」

 

わけがわからない、というエンリを見て、オレは耳打ちする。

 

「オレはヴァンパイアだ。誰にも言うなよ。」

 

エンリの肩がびくりと震える。怖がっているのかな?

オレは背中の中心に意識を集中させ、翼を発現させる。

バサ!と大きな音を立てて、真っ黒な影(・)の(・)翼(・)が現れる。

翼といっても鳥などのものとは大きく異なり、左右共に手のような形をしていた。

肩甲骨の辺りから突き出ていて、先に進むにつれて段々と太くなっている。

羽のようなものはなく、先端は5本に分かれ、爪のように鋭く尖っている。

ゲーム時代ではビジュアルを変えるだけの機能だったが、爪の数を増やしたり減らしたりできる。

そしてこっちに来てからは伸ばしたり掴んだり出来る、第3、第4の手のような存在となっていた。

 

オレはエンリの露出している首筋を触り、スリスリと撫で付けた。

翼を出してしまったせいか、吸血衝動が高まったかのような気がする。

 

「はぁっ…はぁ…んっ…」

「で、どう?噛んでもいい?」

 

肌を触られただけで、恐怖からなのか、くすぐったいのかビクビク震えるエンリちゃん。

このために報酬として貰ったと言っても過言ではない。

断られたらどうしようかなあ…

 

「はい…どうぞ…」

「ありがとう。」

 

オレはエンリの頭を横に傾かせ、首に噛みつきやすいような格好にさせる。

肩の服をはだけさせ、健康的に焼けた肌と日焼けのない白い肌の境界を堪能する。

日焼けっ娘ってエロいよな。

 

「かぷ…」

「んっ!」

 

じわり。

血が滲む。

 

舌に鉄の味を感じながら、ちゅう、ちゅうと流れ出る血液を吸い取る。

そして、エンリ・エモットの生涯の記憶が頭に流れ込む。

 

…お母さんの事、好きだったんだな。

自分も傷ついているはずなのに、妹を庇って…

全く。こんないたいけな姉妹にも、異世界は容赦がない。

 

ああ、ああ。甘い。とても甘い。

喉に流れる。美味い。最高だ。

 

「っはぁ!はぁ!あっ…!はぅう…」

 

耳元でエンリの熱い吐息を感じる。

マズイな。股間が反応してきた。

どういう原理かわからないが、吸血と性欲には深い関わりがあるようだ。

吸血の時に、どうしても性的興奮を感じてしまう。

 

「ちゅ…ちゅるるっ!ちゅる!ずず…」

「はぁう!はぁ、はぁ…はぁん…」

 

刺激したい。触りたい。シコりたい。…が、今ちんこを触るのはマズい。

きっと止まれなくなる。止まらなくなる。

オレは、その代わりにエンリの年頃の胸に手を伸ばす。

 

「ひゃああっ!?う、うぅ…ブラッド、さまぁ…」

 

もにゅ。もにゅ。むにゅ。

 

服越しとは言え、女の胸部には初めて触った。

が、なるほどこれは…超柔らけえ。

突然の展開に、泣き出してしまいそうなエンリ。

ああ、興奮する…

 

「ちゅるるるっ!ちゅるる!っはぁ!…エンリ。」

「はぁ…はぁ…ブラッド、さま…」

 

潤んだ瞳で見つめるエンリ。

何の調味料も振られていない、素朴で可愛い村娘。

良いじゃないか。村娘万歳。

 

ふに。ふに。ふに。

 

そうして触っているうちに、一箇所に別の感触を覚える。

ツンツンと張り、少し硬くなってきているようだ。

オレはその硬くなった箇所をくいくい引っ掴む。

 

「っはぁっ!?ひぃ…そ、ソコは…」

 

触って欲しそうにピンピンと主張していた。

むしろ、触ってやらない方が失礼にあたる。

 

くに、くに。くり、くり。

 

「はっ…はぁあ…んぅ…」

 

硬いとは言え、しっかりと弾力がある。

硬いグミのような感触。

いずれは口で味わってみたいものだ。

 

「ちゅ、ちゅ、ちゅる…ちゅぷっ…」

 

エンリの傷口から満足するだけ吸い取って、口を離した。

オレの感じる吸血衝動は、どうやら空腹に似ている。

ここまで満腹になっていれば、しばらく…最低でも1日は吸血衝動が起きないと思う。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 

膝がガタガタ震わせ、ついに立てなくなってしまってエンリは膝をついた。

服は乱れ、顔も上気していて、情事の後と言われても違和感のないものだった。

エッロ…また吸血衝動が出ないうちに離れよう。

性欲が昂れば吸血衝動の効果が強くなってしまうのは確認済みだ。

腹いっぱいとはいえ、デザートは別腹、なんて言うからな。気を付けておいてもいいはずだ。

 

「マリー。オレはやる事ができた。エンリを休ませておいてあげてくれ。」

「…は。」

 

下がったところで惚けていたマリーに、命令を下して現実に戻させる。

…マリーには少し酷なことをしてしまったかもしれないな。

 

マリーはオレが作ったNPCであり、設定もオレが考えて書き込んだ。

当時は、今では恥ずかしくなってしまうかのような事も考えていた。

 

マリーは、「血の通っていないオートマトンという種族故に叶わぬ恋をきるゆーに抱いている」のだ。

吸血を、したくてもできない。されたくてもできない。

そんなロミジュリばりの種族のしがらみを持っている、不憫で不運な人形娘…という設定。

 

…と言うのを、当時夢見がちだった独り身のオレは妄想していた。

冷静になって今思うとかなり恥ずかしいが…

 

 

 

屋外では、生き残った村人が死体を布に包みせっせか運んでいた。

村の共同墓地へ土葬して弔うらしい。

 

「その女性を貰っていっても良いか?」

 

オレが探していたのは、モモンガさんと一緒に鏡で見ていた、エンリの母親。

エンリの記憶を覗いてしまってから、どうも気になっていたのだ。

2人の娘を生んでいるはずがまだまだ若く、どこか優しさを感じる女性。

美人とまではいかないまでも、エンリのような愛嬌を持っている。

恋愛経験のない男が、優しくされたらコロッと落ちてしまうような、そんな感じ。

 

「私は、村長に報酬として、エモット家の全てを要求した。ならば、その死体も私のものだ。違うか?」

「い、いえ…その通りです。」

「では問題はないな。君は別の死者を弔ってあげてほしい。」

「はい…」

 

村人はオレがこの女に何をするつもりなのか、恐ろしいものを見たと言う表情でそそくさと逃げていった。

いや、別に変なことをするつもりはないんだが…

まあ、どうせこの後全員に洗脳を施すつもりだ。

今呼び止めて誤解を解く必要はないだろう。

 

オレは村の外れへ移動して、エンリの母親を地面に降ろす。

アイテムボックスを開いて、中から、手の中に収まるほど小さな杖を手に取った。

このアイテムの名は蘇生の短杖(ワンド・オブ・リザレクション)。

使い切りのアイテムだが、死者の完全蘇生を可能にするアイテム。

 

「真なる蘇生(トゥルー・リザレクション)」

 

それを、オレは躊躇いなく使用した。

確認したが、100近く残っていた。

ここで1つ使うくらいはどうってことないはずだ。

 

「…けほっ…こほっ…」

 

小さなエフェクトの後、エモットの母親は、小さく、しかし確かに息を吹き返した。

 

「どうも、こんにちは。良いお天気ですね。」

「は、はひ…?な、だ、れ…?わ…わらひは…」

 

混乱している上に舌が回っていない。

蘇生直後でまだ体がうまく動かないようだな。

 

「喋りづらそうだな。…喋らなくても良い。黙ってオレの話を聞いてくれ。」

 

まだ理解できていない様子の母親は、ゆっくりと頷いた。

 

「カルネ村に騎士が強襲を仕掛けてきた。それで、生き残っているのは半分にも満たない。」

「!」

「オレは騎士達を殺して、あるいは追い返して村を救ったものだ。」

「ありはほう…がはいます…」

「ああ。…だが、村の全員を救えたわけじゃない。現にアンタは夫と共に騎士に殺された。娘達を逃がす時間を稼いでな。」

 

暫くは不思議そうな顔をしている。

そして、段々と思い出してきたようだ。

 

「へんりは…ねむは、ぶひなんでひょうは…」

「ああ、無事だ。…とは言え、これからどうなるかはわからないが。」

「そへは、どういう…」

「彼女達はオレが貰い受けたんだよ。」

「もらい…?妾というこほでひょうか…」

「まあ…そういう言葉が近いかな。」

 

親の前でいうことではないが、はっきり言っておかなければならない。

 

「いや。実際には、エモット家の人間を報酬として貰った。お前も入ってるんだよ。わかるか?」

「へ…?」

「オレは自分で言うのも恥ずかしくない程度には優秀な魔法詠唱者(マジック・キャスター)だ。訳あって死んだお前を、蘇生魔法で生き返らせてやったんだ。」

「なん…と…」

 

エモット母は大きく目を見開き、そして膝をついてこうべを垂れた。

この世界では、強い人間にはこれほどの敬意を抱くものなのだろうか。

 

「あり…はほうごはいます…ほんとうに…ありはほう…」

「頭を下げる必要はない。こちらの都合で呼び戻しただけだ。」

 

吸血時の記憶共有により、エンリやネムがかわいそうだと思ってしまっただけだ。

オレが甘っちょろいのは認めよう。これは、本当にオレの、ただの我儘だ。

ああ…モモンガさんにどう説明しよう…

 

「わたひは、娘たちとくらへるのでひょうか…?」

「お前が望むのならな。」

「そう、でふか…」

 

エモット母の両の目から涙が流れた。

エンリの記憶にある優しい母の像と一切の相違がなかった。

娘達のことを、本当に愛していたのだろう。

 

「夫…夫は、生き返らへてふれないのへひょうか…」

「悪いな。それは無理だ。この魔法は、一生に使える回数が限定されてる。そうポンポン使うわけにはいかないんだ。」

 

ユグドラシルで貯めていたアイテムが尽きる、と言う意味でな。

マリーは蘇生魔法を使えるが低位のもので、生き返らせる人間のレベルが低いと失敗し灰となってしまう。

さっきの騎士ですら無理だろうから、ただの村人では成功する確率は0だ。

 

「そんな貴重なものほ…ありはとうほはいます…」

「だから頭下げなくて良いんだって。礼はその分だけの忠義で返してほしい。」

「わはりました…」

 

 

 

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