<東郷side>
彼女が出来ました。
もう一度言います。
彼女が出来ました!!
名前を荀正といい、真名は零という。
結婚するなら、何から何までもが、俺の好みに合致するこの娘以外、絶対にないって思ったね!
零の育ての親であり、上司でもあるという紀霊に、彼女がほしい結婚したいということを伝えると、大喜びでOKしてくれた。
俺の上司である冥琳に話すと、「丁度いい」と言われた。
何のことかわからずにいると、数日後に冥琳に呼び出された。そこには、冥琳だけじゃなくて、零と紀霊までいた。
「三刀、荀正と結婚してここを統治しろ」
そう言って地図の一点を指差した。そこは、ここから最も近い領地だった。
「ここの領主は、跡取りがいなかったから、荀正を養子にさせた」
彼女出来ました発言したら、上司が昇進させてくれて新居を用意してくれました。
何を言っているのかわからない? 俺も分からない。
でも、あれよあれよという間に仕事の引継ぎが行われ、俺と零は言われた領地に移った。
<紀霊side>
東郷のやつは、想像以上に簡単に荀正にハマった。あまりのチョロさに思わず「うそぉん、チョロすぎやん!」と心の中でツッコミを入れてしまった。
荀正は、俺が催眠で壊して作り直した。俺の副官をしているが、裏での情報収集がメインのハニトラ要員だ。
東郷の好みに調整して出合わせて、そういう関係になるように仕向けた。あいつらが向かった先にいる領主も、荀正の虜になっているけれど、荀正も義父と旦那両方の相手は大変だろうし、面倒なリスクを背負う必要もないだろう。領地を完全に掌握したら、前領主にはご退場願う予定だ。
<蓮華side>
三刀を見送った数日後、私たちは会議室に集まった。
「それで、雪蓮、私たちを集めて何の用だ?」
冥琳に問い掛けにお姉さまは、いたずらっ子の笑みを浮かべた。
「今すぐじゃないけれど、そう遠くないうちに王位を蓮華に譲ろうと思っているの」
会議室の音が止まった。
「それで、蓮華が王になったら、弾と結婚してもらおっかなぁって思っているわ♪」
私たちの様子を気にすることなく続けられた言葉に、私たちは、思わず叫んでいた。
「えええええええええええええええ!?!?!?!?」
イヤじゃない。むしろ嬉しい! あの人の妻になれるなんて! 最高じゃない!!
でも、高まった私の中にいる冷静な私が、待てと声を上げる。お姉さまが王位を譲ろうとしていたことは、前々からあった話だけれど、結婚の話に何か引っかかるものを感じる。
「おい、雪蓮」
私と同じモノを感じたらしい冥琳が、お姉さまに真意を問おうとする。
「ねえねえ、冥琳、祭、ちょっとこっちに来なさい」
「「?」」
しかし、それよりも先にお姉さまが手招きして冥琳と祭が、私たちから離れた会議室の隅に移動した。
「……でね…って感じに……」
「だが……」
「…ホぉ……」
「で……」
「「……」」
最初は、かすかに三人の声が聞こえていたけれど、しばらくすると、お姉さまの声だけがかすかに聞こえるようになった。
三人は、話していたけれど、突然立ち上がると、手を取り合ってうなずきだした。
「雪蓮と話し合ったのだが、私も状況が落ち着き次第、引退しようと思う」
「ワシも同じく」
「はあああああああああああああああああああああああああああ!?」(会議場にいるほとんど)
思わず、皆で叫んでしまった。
「戸惑うのも分かる。だが、いつまでも、私たちのような戦乱の中にいた者が中心にいてはいけない。これからは、平和と繁栄の世となるのだから、新しい考えができるお前たちが前に立つべきだ」
「ウム、いつまでも、ワシらが引っ張っていくわけにもいかんからな」
もっともらしいことを言う冥琳と祭にウンウンと頷くお姉さま。
「……明命、お姉さまはなんて言って二人を口説いたの?」
「「「ッ!?」」」
三人は、話すのに夢中になっていて、すぐそばまで行って盗み聞きしていた明命に気が付いていなかったみたいだ。
「はい! めんどくさい仕事は、蓮華さまや我々に押し付けて、自分たちは、主さまの侍女になって主さまの身の回りのお世話を性交込みでやろうとおっしゃっていました!」
正直な明命の報告に軍師たちは冥琳に、武将たちは祭に詰め寄る
「「冥琳さま!!」」
「雪蓮を監視する者がいなくてはアレが何かやらかした時にすぐ補助しなかったら大惨事もあり得るのだアレの事は私が一番よくわかっているしアレが羽目を外しすぎて弾さまの負担になるようなことやお前たちとできないくらい消耗させる可能性もあるだから私があれのそばでアレを監視することが一番なのだ」
「一息でまくしたてられても、ごまかされませんよぉ」
「むしろ、冥琳さまも加わって弾しゃまを消耗させますよ」
「私の事、アレアレって言うの酷くない?」
「「雪蓮さまは黙っていてください!」」
早口で誤魔化そうとした冥琳だけど、二人の圧力に押され気味だ。
「「「祭(さま)!!」」」
「いや、あの提案は、魅力的だったが、ワシは本気で、そろそろ引退しようと考えておったのだぞ。
ワシは、お前たちが幼子の頃から戦いに身を投じてきた。ようやく訪れた平和なのだ。武器を置くにはちょうど良い機会だと思う。
ワシも、我が子を抱き、好いた男の為に飯を炊く。そんな古き良き女に憧れて何が悪い!
それに、冥琳はひそかに練習しているようだが、雪蓮に家事などできるものか!」
「ご主人様のお世話をするのは、私の役目です!」
「確かに、祭さまたちは、古き女なのですから、引退してもいいので、縁側でお茶でも啜っていてください」
「そうだそうだ。閣下との子供は私が作って、お前のことをおばあちゃんと呼ぶようにしつけてやる!」
「貴様らぁ! 表に出ろ!!」
「「「上等(だ)です!」」」
「さらっと、私のことも祭と同じ古き女って言わなかった?」
「「「雪蓮(さま)は、黙ってい(ろ)てください」」」
蹴り破る勢いで武官たちは外に出ていった。
それにしても、我が姉ながら、扱いがひどいな。
「ううぅ……蓮華、みんなが私に酷いこと言うぅ」
「「当然の結果」」
「妹たちまでひどい!」
両手で顔を抑えて泣くふりをするお姉さまを私とシャオは、冷たい視線を向ける。
「……でも、王位を譲ろうと思っていることと、蓮華と弾を結婚してもらおうと思っていることは本当」
顔を上げたお姉さまは、真面目な顔で私を見た。
「私じゃ、平和な国を引っ張ていくことはできない。血に狂いすぎているもの」
「そんなこと!」
「言っておくけれど、あなたに譲ることに関して、悪い感情なんて持っていないわ。むしろ、平和になった時代であなたに国を託せることに誇りすら感じているし、肩の荷が下りた気分なの」
そう言って差し出される姉の手には何も乗っていない。でも、私には、国が乗っているように見えた。
私が受け継いでいいのか、戸惑いはあるも、お姉さまの期待に応えたいという思いもある。
「お姉さま……」
差し出された姉の手に自分の手を伸ばした。
そして、その手ではなく腕を掴んだ。
「そんなことを言って、私たちに押し付けて、自分たちだけ爛れた生活を使用だなんて許しません!」
「ッチ!」
「うわぁ、舌打ちしたよ」
後日、この話が弾のところに伝わった際、一緒に聴いていたらしい美羽と七乃が騒いだ。
「弾の一番は、妾!」
「そして、その次が私です!」
呉の天の御使いは、他の二国と違い、軍師や文官のような立場にいたという。そして、戦後は、呉の中でも重要な領地を任され、その地の領主の娘と結婚し、仲睦まじく領地も素晴らしい発展を遂げた。軍師や武将たちも、よく訪れていたという。
孫策は、戦後の落ち着いたころに王位を妹の孫権に譲り、隠居するも孫権の強い希望もあり、相談役として呉を守った。
孫権は、孫策が唯一認めた男といわれる紀霊と結婚し、多くの子宝に恵まれた。同時期に呉の主な軍師や武将たちも子供が生まれている。
父親は不明と言われているが、一説では、一族の結びつきの強いと言われる呉なので、孫策が認めるほどの男である紀霊とそう言った関係になっていたのではないかと言われている。
余りに子宝に恵まれていた為、安産祈願・子授けの名所となり、多くの夫婦が訪れる地となった。
“転生者夢想 堕とす者と堕とされる者” 完結です。
やりたいこと、やってみたいことはやれたと思うので、満足しております。
読んでくださった方々も、楽しんでいてくれたのなら、嬉しい限りです。
実は、魏編や呉編を作ろうと考え出した頃に、もう一つ、月たちの陣営をメインにした第四国目を作ろうかと思ったのですが、キャラクターの分配で躓き、やめました。南郷や東郷という名前はその名残で、第四国に現れる予定だった御使いを西郷にしようと思っておりました。
現在ですが、バトルもの一作とエロものを一作、制作中です。
どちらがいつ完成するかは、完全未定ですが、出来たら、投稿しようと思っているので、それまではしばらく、読み専に戻らせていただきます。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。