※この作品はR-18です。

マスタースレイブ・リストリクテッド   作:ランプライト

34 / 85
033「お泊り会における数学的考察」

黒沢旅館2階、和室「洋紅の間」……

6畳間にテーブルを置いて6人で取り囲む 。

 

 金平、高野、

僕、    三枝、

 藤塚、黒沢

 

こんな感じ、

それで三枝が作って来たお弁当をテーブルに拡げる。 バスケットいっぱいのカツサンド、野菜サンド、卵サンド、ハムサンド、ツナサンド…

 

高野:「美味しい。」

三枝:「知ってる? サンドイッチって、昔イギリスのサンドイッチ伯爵がトランプをしながら食べた事で有名になってサンドイッチって呼ばれる様になったんですって。」

朋生:「なんか聞いた事有るな…。」

文華:「私も少しだけどお弁当作って来ちゃった、良かったら食べてね、」……兎に角女子力で負けるのが嫌いらしい、

 

から揚げ、おにぎり、玉子焼き…、

 

三枝:「コレは何?」

文華:「中華風の春巻きなんだけど、薄く焼いた卵焼きを皮にして包んであるの。私の大好物なんだ、食べてみて。」

三枝:「ホント、美味しい。こんなの始めてかも知れない。」

朋生:「どれどれ、」

藤塚:「黒沢クンも良かったら、お一つどうぞ。」

 

黒沢、ちょっと、いやかなり照れてる、

 

 

 

ーーー

そこそこ腹も膨れた夜8時……

藤塚が入れたお茶を飲みながら、黒沢がポーカーの薀蓄を語り始める。

 

黒沢:「今回の検証実験はポーカーの役、正式には「ポーカーハンド」の出現確率を実証してみようって話なんですけど、実は簡単な計算で理論的な確率は求められるんです。」

黒沢:「トランプのカードは全部で52枚あります。 スペード、ダイヤ、クローバー、ハート、正式には「スート」って言うんですけど、各スートにそれぞれ1から10までと、ジャック、クイーン、キングを合わせた13枚、これでワンセット。」

黒沢:「これら52枚の可能な組み合わせは…全部で2598960通り、例えば一番強いロイヤルストレートフラッシュは、それぞれのスートに一組ずつしか可能性が無いから、出現確率はざっと2598960分の4。 つまり649740分の1という計算になります。」

 

黒沢:「ストレートフラッシュは同じスートで数字が続く組み合わせなので、一つのスートに9種類が可能。 10、J、Q、K、Aの組み合わせはロイヤルストレートフラッシュだから除いて。 つまり9×4で全部で36通りの組み合わせが可能、だから、出現確率は、ざっと72193分の1。 フォーカードだと624通りの組み合わせが出来るから、4165分の1の確率。 フルハウスは694分の1。フラッシュだと約509分の1。 ストレートは255分の1、スリーカードは47分の1、ツーペアだと21分の1、ワンペアは2.4分の1。 ノーペアは5枚の札の数字が全て異なる組み合わせだから…約2分の1。」

 

黒沢は持って来たスケッチブックに計算式を展開しながら此れ等の組み合わせ確率を事細かく説明して行く。 勉強が好きな人は何でも計算式にしちゃうんだ、

 

そこへビビッと高野がオカルトネタをはさむ、

 

高野:「因みに4種類のスートはタロットの小アルカナの棍棒ワンド、剣ソード、杯カップ、金貨ペンタクルに対応してる訳。 更にそれぞれが4大エレメントの火、風、水、地に対応するのね。 更に更に、これらは黄道12星座のしし座、さぞり座、水瓶座、牡牛座に対応していて。 更に更に更に、さそり座ってカバラでは鷲座だったのよ、だからこの4つの星座がつまり牡牛と獅子と鷲と人って事でメルカバーに対応する訳! なんか奥が深くない? …トランプって。」

 

いや、途中から丸っきりトランプ関係なくなってたし…。

 

三枝:「私、黒沢くんの言ってるノーペアの確率って、ちょっと違うと思う、それって5枚の数字が全部異なってる確率だけど、その場合ストレートとかフラッシュとかストレートフラッシュとかが含まれちゃうでしょう。 だからノーペアを計算する時は、これらの組み合わせを差し引いた上で総組み合わせ数で割らないと駄目なはず…。」

 

おいおい!これから告白しようって相手を論破して貶めてどうするんだ、三枝!

 

黒沢:「なるほど、……藤塚さんはどう思う?今日の実験について、」

 

藤塚が、おしとやかに喋り出す。

 

文華:「私は……最初に「主催者の北条クン」からこの話を聞いた時に、 どうして65万分の1の確率でしか出現しないロイヤルストレートフラッシュの出現をたった100回の勝負で検証できるなんて考えてるんだろうって… ちょっと不思議に思ったの。」……はい、来ました。いきなり駄目出しですね、

 

文華:「でも少し考えて、そんなに単純ではない事に気付いたの。 なんて言うのかな、65万分の1という数字を知っている事と、実際にやって見る事は ぜんぜん違うんだって思ったのね。」

文華:「つまり、65万分の1と言うのは、最初に配られた時に出現する手札の「役」の発生確率の事だけど。 実際のゲームで実際に出来る「役」の出現確率は違うんじゃないのかな、って思ったの。」

文華:「実際のポーカーでは、普通、最初の手札に対して、ドローを行うでしょ(不要なカードを捨ててストックから捨てた枚数分新しいカードをもらう事)。 その時点でさっき黒沢クンが説明してくれた出現確率はそのまま適用出来なくなっちゃう。」

文華:「それに最初の52枚のカードでは足りなくなったら。場に捨てられたカードをシャッフルして再利用するでしょ、この時捨てられたカードは プレーヤーが狙っている「役」によって取捨選択された結果だから、一回目と同じ確率でカードが揃ってる訳ではないので、また確率は変動する。」

 

藤塚は人差し指をクリクリ動かしながら、可愛らしーく説明を続ける。

 

文華:「更に、仮に隣の人が自分と同じ「役」を狙っていた場合、二人で確率を分け合う事になるから。例えばロイヤルストレートフラッシュを完成する確率は130万分の1に近づいちゃう。」

 

藤塚はまるで幼稚園のお遊戯の様に、もっと可愛らしーく熱弁を振るう。

 

文華:「そして、そんな事よりももーっと重要なのは、ポーカーがゲームだって言う事。つまり、勝てない「役」の出現確率を一生懸命調べたって、余り「役」に立たないって言う事なのなの。」

文華:「今、私 上手い事 言った?」……藤塚、一寸ドジっ娘風に照れた顔……勿論演技、

文華:「最後にリスクを覚悟して賭けるのか、リスクを回避する為に逃げるのかはプレーヤーに選択権がある訳でしょ。 つまり、負ける確率が高いワンペアが勝利する確率は実際にはずっと低くなる、」

 

皆、何だか、だんだん 丸め込まれている気分、

 

黒沢:「そ、そうだね…」

文華:「そこまで考えた上で、実際のゲームでどんな「役」がどれ位の確率で出現するのかを検証してみるのは、ちょっと面白いかなって思ったの。 つまり「北条クン」が100回の勝負で検証するって言ってるのは、そう言う事 なんじゃないのかな、」

 

僕は黙って頷く、……全て打ち合わせ通り。

 

文華:「北条君って普段は控えめな感じだけど、本当は凄く深〜い所まで考えてる人なんだ、って一寸見直しちゃった。」……藤塚が悪戯そうな笑顔で僕を見る、……白々しい演技だ、

 

お陰で微妙な雰囲気がこの場に漂う。 なんかこの検証「やる意味有るの?」……的な、

 

文華:「でも、賭けるか、降りるかの選択って、実際に自分にリスクとリターンが発生するのと発生しないのとでは随分変わってくると思うんだ、……北条クン、何かいい案は無いかな?」……藤塚が、一寸熱い眼差しで僕を見る、……これも演技、

 

一貴:「うーん、例えば、実際に何か賭けてみるとか?」(棒読み)

文華:「なるほどね! でも私達高校生だから、本当にお金を賭けるのは良く無いと思うな、」

一貴:「そうだな、それじゃあ最初にコインを10枚持っておいて、賭けでコインが無くなったら「罰ゲーム」って言うのはどうかな。」(棒読み)

 

何だか、みんなの顔が不思議そう。 もしかして……口裏合わせてるのバレてる??

 

文華:「金平君はどう思う?」

朋生:「ど、どう思うって?」

 

そりゃ、いきなりそんな事聞かれても解らないよな、僕だって昨日の夜みっちり「予習」させられたから何となく解った気になっているだけで。 ただ一人三枝は、恐らくこの時点で藤塚の本質に気付いていたかも知れない。 僕が藤塚に台詞を言わされている事も、そして藤塚の提案が秘めている可能性も。

 

三枝:「判ったわ、面白そうだから「北条クンの案」でやってみましょうよ。」

黒沢:「でも罰ゲームって?」

高野:「あんまり無茶な事は嫌よ。エッチな事とか。」

三枝:「そうね、ボディタッチ的な事は止めにしておきましょう。」

文華:「でも、簡単に出来てしまう事じゃ罰ゲームにならないわよね。本気でやりたくない事じゃないと勝負を降りる気にはならないもの、」

 

そして僕はこれまでに築き上げてきた人格を一気に崩壊させる。

 

一貴:「コインが無くなったら、身に着けているものを一枚脱ぐ、とか。」 (棒読み)

 

一同、唖然…

 

高野:「北条クン、今 何って言った??」

黒沢:「だ、脱衣ポーカー??」

朋生:「いや、カズっち、あり得ないだろ。そんなの誰も乗ってこないよ。」

 

たったの一言で、ポーカーハンドの出現確率は大きく変化する。

 

文華:「へぇ、北条君って見かけによらずエッチなんだね、」

高野:「私パス、裸見られるのなんて、恥ずかしいもの。」

黒沢:「そうですよ、無理すぎます。」

高野:「トモクンもやらないよね、もしかして女の子の裸見たいとか?」

朋生:「いや、けしてそういう訳では、」

 

文華:「私は良いよ、」

 

その一言に、この場が一瞬にして凍り付く。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。