早朝練習二日目、再び只管立たされている、
宅間:「何だか疲れているみたいだな、」
一貴:「はあ、ちょっと寝不足で、」
宅間:「やり過ぎには注意しろよ、」
一貴:「はあ、そういう事は何一つやっていません、……宅間さんは結婚されてるんですか?」
宅間:「ああ、」
一貴:「奥さんが口を利いてくれない事とかあります?」
宅間:「時々な、つまりお前達は喧嘩中なのか?」
一貴:「そうみたいです、」
宅間:「原因は何なんだ?」
一貴:「それが分らないから眠れないんです、」
宅間:「なるほどな、判る気がする、」
一貴:「なんかいい解決策はないでしょうか?」
宅間:「人ぞれぞれだからな、一概に何が良いとかは無い、」
一貴:「因みに宅間さんの場合はどうするんですか、」
宅間:「只只管嵐が過ぎ去るのを待つ、」
ーーー
顔を洗ってから部屋に戻ると、藤塚は着替え中だった。
一貴:「あ、ごめん、」
寝間着の上着を脱いだ上半身はおっぱいがモロ出しになっていて、それなのに藤塚はまるで僕の事なんか透明人間扱いで終始無言の侭着替えを続ける。 少し屈んだ格好で紫のブラのカップの中で膨よかな乳房の形を整えて、上から薄いコットンのキャミソールを羽織る。 寝間着のズボンを脱いで形の良いお尻をパンティの中で整え、ガーターベルトを巻いてレース付きストッキングに綺麗な爪先を通す。 それからチェックのプリーツスカートを膝上丈に調整し、夏服の白いシャツに袖を通して、……気がつくと何時の間にか僕は藤塚が制服に着替える姿をずっとぼおっと眺め続けていた。 髪を搔き上げてチラリと見えた脇の下の艶っぽさに思わず僕の視線は釘付けになって、
無自覚の内にふらふらと僕は藤塚の二の腕を掴まえていた、
文華:「なに?」……まるで腐った生ごみでも見る様な冷たい視線に、はっと我に返る、
ーーー
それから一日中 藤塚が好き、僕にはもうそれしか考えられなくなってしまっていた。 学校の勉強も何も頭に入ってくる訳が無くて、食事も一体何を食べたのかどうかも判らなくなってしまう。 藤塚の気持ちとか契約の事とかそんな事すらだんだんどうでも良くなってきてしまっていて、この気持ちはきっと思いやりの欠片も無い単なる性欲なんだと自分でも判っているのだけれど、近くに居るほどにバニラのように濃厚に甘い藤塚の体臭と、チラチラと艶かしい藤塚の姿に暴露され続けて、メンタル的に挫け気味でもフィジカル的に健康な思春期の男子がどうにかなってしまわない訳がない、
美少女がふと洗面所で歯を磨いていたり、美少女が同じトイレを使っていたり、美少女がエプロン姿でお勝手に立っていたり、あれ程恋い焦がれた瑠璃色の長い髪が無造作に屑篭に置き去りにされていたり、部屋の中には思わず匂いを嗅いでしまいそうになる際疾い下着が陰干しされていたり、風呂に入ろうとすれば脱衣所には今湯からあがったばかりの全裸の藤塚がほんのり桜色に火照った身体を拭っていたり、
一貴:「ゴメン、」……僕は急いで後ろを向いて目を逸らし、藤塚は無言の侭バスタオルを捲いただけの格好でパタパタと部屋に退散してしまう、
ーーー
風呂からあがって部屋に戻ると既に部屋の電気は消えていて真っ暗で、藤塚はもう静かに寝息を立てて眠っているミタイだった。
僕は、自分の為に敷かれた布団の上にポツンと座って、じっと大好きな女の子の寝姿を観察する。 大好きな女の子が直ぐ傍に眠っていて、それなのに何もできないなんて抱きしめられないなんて辛すぎる。 それはいけない事だろうか?恥じるべき事だろうか? でも、僕にはもうそうする以外にもうどうしようも無くなっていたのだ。 だから僕はしょうが無く藤塚が眠る布団に忍び寄って、起こしてしまわない様にこっそりと布団の中に潜り込んで、その華奢な背中に、暖かな眠る藤塚の身体に掌を触れて、額を押し付けた。
藤塚の甘い髪の匂いが僕の鼻腔から脳髄の隅々にまで沁みわたって、あっという間に僕は軽い酩酊状態に陥って正気を失う。 抱きしめたい、そんなのは只の性的衝動に決まっているが、でも最早僕に選択の余地なんて残されて無くて、ドキドキと耳に届きそうな心臓の鼓動が全ての理性と後悔をかき消してしまって、……とうとう僕は我慢出来ずに藤塚の背中から手を回して、胸の前で組んだ藤塚の掌にそっと触れて、ぴったりと体を寄り添わせ……
文華:「ごめんなさいは?」
一貴:「え、」