メール本文:「東郷を返して欲しかったら文華を連れて来い 二人だけで来るんだ 誰か他の人間を連れて来たら東郷を殺す お前の家に迎えの車をやる」……それで、家の前でケタタマシク警笛するヤンキーホーン、
一貴:「ちょっと危ない事になってる、三枝は絶対にこの部屋から出ないで、」……僕は文華達が寝室の地下に拵えた急造のシェルターに三枝を隠し、
三枝:「藤塚サン迄行くのは危険じゃない?」
文華:「でも、言う事を聞かないと奴等は納得しないでしょうね、」
三枝:「分ったわ、けど、ちゃんと後で説明してよね、」
一貴:「ああ、」
ーーー
で、外に出てみると、家の前にはまるでデコチャリの如く派手に改造された軽自動車が一台、スカーフでマスクをして白い特攻服を来た2人組の金髪ニキビが僕の事を睨みつける。 車の横には早乙女が立っていた、
早乙女:「俺には此処で残れとさ、」……直ぐ傍に潜む「見えない鎧」の気配、やはり、沙紀達の仕業に間違いなかった、
僕達は軽自動車の後部座席に乗り込み、
一貴:「東郷は無事なんだろうな、」……金髪ニキビは一言も口を聞かない侭車は走り出す。 何処に連れて行かれるのかと思っていたら、最寄り駅前のロータリー、
金髪ニキビ:「お前たちの財布と携帯をよこせ、」……僕達は言う通りに従い、代わりに金髪ニキビは別の携帯とスイカを僕に手渡す、
金髪ニキビ:「ここで指示を待て、」……それで、僕達を降ろした軽自動車はその侭走り去る、
真島メール:「熱海行きの最終に乗れ、行き先は乗ってから伝える、お前の事を見張っている事を忘れるな、」
一貴返信:「東郷は無事なんだろうな、」……送られて来る画像、
全裸にされた東郷が、両手をロープで縛られて天井から吊るされている、何処か広い倉庫?
真島メール:「余計な事を聞いた罰にこれからこの女を回す こっちは30人以上いるからこの先もう普通のセックスできなくなっちまうかも知れないがお前の所為だ 電車に乗ったら報告しろ」
一貴:「くそっ!」……僕達は駅の階段を駆け上がり、スイカで改札を潜ってその侭下りホームへ、
一貴:「どうしよう、何とかして、……」……富士本に連絡を取らなければ、と言いかけた僕の口を文華が塞ぐ、
文華:「兎に角、行ってみるしかなさそうね、」……文華は真島から渡された携帯を指差して、それから人差し指を立てて口元に、……つまり「余計な事を喋るな、」と言うジェスチャー、つまりこの会話は盗聴されていると言う事か?
ーーー
午前0時過ぎ、熱海行きの最終がホームに滑り込み、僕達は列車に乗り込んで、真島にメールを送る、
一貴返信:「電車に乗った、」……やがて列車は走り出し、
真島メール:「小田原で降りろ、」
一貴:「全く、何処へ連れて行くつもりなんだ、」
文華はポーチの中を確認して、
文華:「ごめん一貴、…私、一寸怖い、」……文華はそう言いながら僕に抱きついてきて、僕の身体を盾にして他の客には見えない様にしてスカートを捲り、パンツの中の、恐らくもっと奥の方に、ポーチから取り出した幾つかの「道具」を格納した、
ーーー
小田原駅で降りると直ぐに真島からのメールが届く、つまり此処にも見張りが居ると言う事か、
真島メール:「タクシーに乗れ、乗ったら報告しろ、」……こうしている間にも東郷が非道い目に遭わされているかと思うと居ても立っても居られなくなって、……思わず握りしめた拳を文華がそっと掌で包み込む、
文華:「心を持って行かれては駄目、冷静な判断を奪って相手を自分の思い通りにするのが陰陽師の常套手段よ、」
僕達は駅前のロータリーでタクシーを拾い、
運転手:「どちら迄?」
一貴:「えと、ちょっと待って下さい、」
運転手:「後ろつかえてるから、少し前に出すよ、」……で、漸く真島からのメール、
真島メール:「足柄市大雄山、、、、、、」……僕は、メールに書かれた通りの行き先を運転手に読み上げる、
タクシーが夜の街を走り出し、30分程で、見た事も無い様な林の中の大きなお寺の参道に辿り着く、
運転手:「お客さん、着いたけど、寺迄は未だ少し有るよ、境内迄行こうか?」
一貴:「いえ、此処で良いです、」
運転手:「そう、」……メーターの代金は、って財布持ってない!
丸坊主にトレーナーを来た男が運転席に近づいて来て、窓ガラスをノックする、
丸坊主:「俺が払うよ、幾ら?」……僕達はそこでタクシーを降りて、
丸坊主:「着いて来い、」……林の影に止めてあった一台の白いバンに乗せられる、
ーーー
丸坊主:「身体検査だ、着ているもんを全部脱げ、靴も、パンツも全部だ、」……運転席に座ったもう一人の柄の悪い男が、僕達に拳銃を向ける、
運転手:「言っとくけど本物だぜ、」……僕達はバンの後部座席で、言われた通りに身ぐるみ剥がれて、
運転手:「全部コッチに渡せ、鞄も、携帯もだ、もうお前達には必要ない、」
丸坊主:「男、お前だ、両手を後ろで組め、」……僕は言われた通りに両手を後ろ手に組んで、丸坊主は僕の両手の親指を、結束バンド(インシュロック)二本でキチキチと締め上げる、
それで、バンは走り出す、
ーーー
小一時間程を窮屈な車内でやり過ごし、人気の無い恐らく廃棄されたと思われる建築資材倉庫跡の前でバンは止まった、
丸坊主:「降りろ、」……僕達は、砂利の混じった地面を裸足で歩かされて、薄暗く灯りの灯った倉庫の中の、放置された資材が詰まった棚の迷路を進み、漸く東郷の元へと辿り着く、
東郷:「…あぁ……、」
東郷は、もはや涙も悲鳴も枯れて、ズダボロに汚された格好でコンクリートの地べたに転がされていた、
真島:「ひひひ、…遅かったな、もっと早く来ないからイケナイんだぜ、全部お前の所為だよ、北条、」