※この作品はR-18です。

マスタースレイブ・リストリクテッド   作:ランプライト

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065「殺気」

見えない鎧、

実際には完全に見えない訳では無く、光学迷彩で周囲の景色と同化しつつ、特殊な電波?で意図的に意識を他の対象に向けさせて、見えているのに気付かない状態になっている。 しかし何に注意すべきかの意識のコツを掴めば、視覚的トリックを用いたパズルみたいに比較的容易に見つけ出す事は可能だ、

 

富士本は僕に背中を預けて、

 

佳枝:「チンピラゾンビの方は任せます、お兄さんには丁度良い練習台ですね、」……言いながら、富士本は突っ込んできた拳銃男のどてっぱらにテイザー針を打っ刺して、さらに電力Upしたもはや爆発のような電撃で男を吹き飛ばす!

 

拳銃男の背後から気配を消した侭急襲する見えない鎧! 富士本はその腕の関節部に流星錘のワイヤーを絡めて、一瞬の引きで中の腕の肉ごと切断!

 

それでも尚ひるまない見えない鎧に特攻する富士本! 胸の谷間から取り出したなにやら小さな吸盤を鎧のヘルメットにくっ付ける、……途端に鎧の内部に大音量で反響する意味不明の不快音! 人間の許容限界を超えた不快音が鎧の動きを鈍らせて、その隙に、千切れた肘の傷口に暗器の毒針を突き刺して、致死量をはるかに超える薬物を注入する!

 

一人目の鎧を沈黙、

 

僕の周りには更に十名近くのチンピラゾンビが群がる。 銘銘に銘銘のナイフをちらつかせて切りかかってくるチンピラゾンビ! ナイフの攻撃も馬鹿にしたものではない、一撃必殺スタイルで突っ込んでくる素人っぽいのも居れば起用に手首を返して切り掛かって来るのもいる、トリッキーに体を動かし続けていても何時迄も避けきれるものでもなく、……盾の代わりに突き出した腕のあちこちには既に結構深い切り傷ができている。 それでも動きを止めれば一気に囲まれて一斉に攻撃されるのは判り切っているからそれだけは避けなければならない、言ってみれば防戦一方と言えなくも無い状況。 見よう見まねで敵のナイフを制圧しようとするが、何の技術の裏打ちも無しに富士本ミタイな格好いい立ち回りは無理!

 

一貴:「くそっ!」

 

その瞬間ぞくり、と背筋に悪寒が走り、

 

僕は考えるよりも先にしゃがみ込んで、後ろから突っ込んで来た男の脇差を避けていた! それでその侭男の足を引っ掛けて突っ転ばせて、反対側から攻撃して来た別の敵と絡ませる! 

 

更に別の方向からの「殺気」!

 

僕は足下の砂利を掬って不快感の方向に向って打ち撒ける! 石つぶては敵の顔面に直撃し、一瞬目を瞑った男のナイフを持つ手を左手で制し、男の横から背後に踏み込んで、右手を男の首に添えて、胴体の突進力で押して、腰の回転で回して、肩甲骨を使って腕を伸ばし、三方向同時の力で相手の顎をカチアゲて、その侭円を描く様に腕を旋転させて、男の上半身を反らせて、その侭背中を地面に、墜とす! で、男は地面に転がっていたソコソコ大き目の石に後頭部を強打して、その侭動かなくなった、……宅間に散々掛けられた技だが、不格好ながらも何とか様になった?

 

間髪なく背後から突っ込んで来る別の敵! ゾワゾワっとする感覚で身を翻すが、黒光りする敵のランボーナイフが強か僕の背中を抉る! 僕は皮膚の内側が剥き出しになった何とも言われない頼りない感覚を無理矢理押殺しながら、しゃがみ込んだ姿勢から立ち上がり様に男の鳩尾に潜り込んで掌を触れさせる。 殴った、打った、と言う感覚は無いに等しく、丁度其処に有る何かを取ろうと手を差し伸ばした位の気軽さで触れた掌が、僕の立ち上がろうとする力をその侭伝えて、男の身体を吹っ飛ばす! 

 

人を殺そうと言う意志はまるでそれ自体が狂気の叫びの様に伝わって来る事を僕は知る。 僕は少しずつこの「殺気」と言う奇妙な情報伝達手段の要領を掴み始めていた、僕を取り囲む十数人の敵の中で今度は何奴が仕掛けて来るのかが朧げながらに解る、いやそれは明確な信号でも記号でも理屈でも無く、何方かと言えば身体が感じる「なんか不味そうな気がする」……そんな感じの匂い、気配、

 

しかしだからと言って多勢に無勢、身体の彼方此方も切り傷だらけで結構挫けて来た、何時迄も凌げる気がしないぞ……と、チラリ振り返り見た富士本は、

 

富士本は依然二体目の見えない鎧と交戦中!

ガスタンクの様な形状の戦闘装甲を相手にして生身の富士本が互角以上に攻防する。 同じ技量の式神だとすれば見えない鎧は気配を消してこそ勝機を得るが、居場所を察知できる相手に対しては着ぐるみを着ている分動きが鈍って必ずしも有利とは言えない、電動式のパワーアシスト機能も敵を捕まえる事ができて初めて役に立つものであり、残る機能は防弾防刀のみ、……しかし、富士本の流星錘の様に柔らかな間接部分にワイヤーを巻き付いけて来る様な獲物には空っきし分が悪かった、

 

とうとう、もう一体の見えない鎧も膝関節にワイヤーを絡められて、……その侭一気にまるで粘土を糸で切るかの如くすっぱりと分断される! 体勢を崩して地面に転がる鎧! そして、

 

佳枝:「お兄さん、爆発します!」……見えない鎧、自爆!

 

僕は一瞬早く、ナイフの斬撃をモノともせずに敵の包囲を突破して! 立ち木の陰に隠れる!

 

辺り10m四方を吹き飛ばす大爆発が沸き起こる!

 

閃光と轟音をやり過ごし、注意深く辺りの様子を伺う。 防いだ筈の敵のナイフは左腕に刺さった侭で、爆風で飛ばされた木片か何かが僕の右の脛を抉って結構出血が酷い。 足の裏は最早ざくざくに切り傷だらけで、無我夢中アドレナリンによる興奮状態でなければ身動き一つ出来なかったに違いないレベル。 今になって全身を痛みと疲労がぎちぎちに拘束して、最早立ち上がるのがやっとでこれ以上の戦闘は無理。 虎狼の連中はと見ると、モロに爆撃を喰らったらしく辺りには誰のモノだか判らない手足が転がっている。 どうやら最早、立ち上がって攻撃を仕掛けて来る残党は居ない様子だが、

 

佳枝:「大丈夫ですか?お兄さん、」……流石の富士本は無傷、

一貴:「何とかね、富士本さんは?」

佳枝:「良かった、」……そう言いながら富士本は僕に近づいて来て、持っていた小型のスピアを僕の胸に突き刺した、

 

佳枝:「では予定通り全て問題なしです、」……殺気の欠片等微塵も感じさせなかった、

 

驚く程無抵抗に金属製の異物は僕の胴体を貫通して、見る見る内にどす黒い血が僕の身体から抜け出して行く。 あっと言う間に息が出来なくなって、直ぐに意識が朦朧としてきて、……

 

僕は最も信頼していた人間の一人によって、どうやら呆気なく命を落としたらしい、

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