暗い。
汚い。
狭苦しい。
ドロドロとした男女の、欲望の残滓が臭う場所。
それがマンガやアニメ、小説なんかで見聞きしたラブホテルのイメージだったけれど、どうやらそれは大きな間違いだったらしい。
初めて足を踏み入れたラブホテルの部屋は明るくて清潔で、まるでテレビで見た高級ホテルの一室のようだ。
「ほえー……」
「どしたよ、ヒロキ?」
「驚いてるんでしょ。ヒロキくん、ラブホテルは初めてって言ってたし。最近のラブホってムダにオシャレだから」
ここまでの道中で、自己紹介は済ませてある。
赤岩ホムラさんは僕をヒロキと、椚アヤメさんはヒロキくんと呼ぶ事にしたらしい。
僕からの呼び方はなんのひねりもなく、ホムラさんアヤメさんだ。
「ええ。あんまりにもイメージと違ったんで」
「イマドキこんなもんだって。さ、座れ座れ。すぐに酒とツマミを頼むから」
「最初の1杯は冷蔵庫のビールでいいわよね」
「だな」
アヤメさんが壁に据え付けられた棚に埋め込まれた冷蔵庫を開ける。
大きなベッドに音を立てて豪快に座ったホムラさんは、テーブルから持ち上げたリモコンで、これまた大きなテレビの画面を操作しているようだ。
「それは? なんか画面に、高級そうな料理のお皿が映りましたけど」
「これで酒やツマミを注文するんだよ。玄関の横には専用の食器口があって、従業員と顔を合わさずに受け取れるって寸法さ」
「へぇー。ハイテクですねえ」
「ハイテクなんて言葉、ずいぶんとひさしぶりに聞いたな。酒はアヤメがシャンパンとワイン、あたしはバーボンとビール。ヒロキは、その中で好きなのを飲めばいい。ツマミのメインは、オードブル盛り合わせの大でいいか。キャビアなんかも付いてやがる」
「うええっ、それって高いんじゃ? 僕、お金はあんまり……」
「サラダもちゃんと頼んでよ? ホムラったらほっとくと肉とお米しか食べないんだから」
「へいへい。心配すんなって、ヒロキ。ここの払いはぜんぶ、あたし達の奢りだよ。あたしもアヤメも一昨年までは討伐依頼なんかで荒稼ぎしてたから、遠慮しなくていい」
「はぁ。なんかすいません」
テーブルにグラスが3つ並べられ、それにビンのビールが満たされてゆく。
最後になぜかキンキンに冷えているミックスナッツのお皿が真ん中に置かれると、ホムラさんとアヤメさんがソファーに座った。
向かい合って座るのではなく3人が並ぶ形で座ったのは、そういう事だろう。
僕が真ん中だ。
両手に花。
悪くない、というか、楽しみで仕方ない。
気を抜いたら飲んでるうちに勃起してしまうかも。
「そんじゃ、乾杯だ」
「はいはい」
「いただきます。乾杯」
3つのグラスを振れ合わせてからビールを呷る。
昔の僕なら力加減を間違えて割ってしまいそうな薄いグラスが空になると、すぐにアヤメさんがビールを注いでくれた。
「しっかしいい腕だな、ヒロキは。どうして今まで無名だったんだか」
「つい先日まで和歌山の山奥で修行をしてましたから。たまに京都や大阪に出て、討伐や祓い仕事の実地訓練はしてましたけど」
「なるほど。でも、そんなヒロキくんがどうして東京に?」
「ええっと」
思わず言葉に詰まってしまう。
でも2人は僕と同じ能力者で、もしかしたら長い付き合いになるのかもしれない。
なら使役蟲を産ませる能力とセイとフウカの存在以外は話しておいた方がいいだろうと口を開きかけると、アヤメさんが僕の手を優しく押さえた。
白くて長い指。
スベスベで柔らかい手を、思わず凝視してしまう。
「いいのよ。無理に聞き出そうなんて思ってないから」
「そうだぞ。ほら、飲め。なんなら、アヤメのおっぱいでも揉みながらな」
「別に隠す気はないんですけど、アヤメさんの巨乳には触ってみたいですね」
「だろ? ほら、デカパイを堪能するといい」
「できれば、こうですね」
2人を同時に抱き寄せる。
もちろん、腋からそのお胸に手を回しながら。
「おやおや、がっつくねえ」
「んっ」
「いやあ。どっちも美人さんで、素敵なお胸ですから」
「なにこれっ。胸を撫で上げられてるだけなのに、なんでこんなっ……」
「あ。そういえば僕、特性のせいでセックスだけは得意なんです」
「純戦闘職でも稀な剣の腕をしてるのにか? そりゃあとんでもないねえ」
「あはは。それに今は抑えてますけどフェロモン体質で、体液には媚薬効果があったり」
「……やれやれ。色事系の依頼が捗りそうな話だ」
「やっぱり多いんですか、色事系の依頼は?」
「そりゃあるさ。能力者って存在を一般に隠蔽するだけじゃなく、それが歴史上で暗躍し続けるためには、そんな汚れ仕事もどうしたって必要だろう」
「なるほど。関東でも祓ったり戦うだけじゃないんですねえ、能力者って」
「まあね。で、どうだい? アヤメのおっぱいは?」
「たまんないですね。もちろん、ホムラさんのも」
「ふふっ。アヤメは、ドが付くくらいのMだからな。好きにしていいぞ。そうされると、この淫乱女はどこまでも悦ぶ」
「へぇ……」
性癖を暴露されたアヤメさんが抗議の声を上げるけど、ホムラさんは気にもしていない。
僕もそうだ。
唇の端が無意識に持ち上がってゆくのを自覚しながら、まるでスイカのようなふくらみを隠す、アヤメさんが着ている厚手のシャツを脱がしてゆく。
「ヒロキくん、待ちなさい」
「ヤです」
「こ、こらっ」
どうやらアヤメさんはなかなかに用心深い性格のようで、チェック柄の長袖シャツの下に、戦闘職の能力者向けに支店が売っている防刃シャツまで着込んでいた。
「本社謹製の防刃シャツは白いから、ブラジャーが透けて見えますね」
「でっけえだろ、アヤメの淫乱おっぱいは」
「はい。感触もそうですけど、見た目もエロいですねえ」
「くくっ。だとさ、アヤメ?」
「あ、あんまり見ないで。男の人に肌着を晒すなんて、そんな自分がまだ信じられないんだから……」
「じゃあ、目で愉しむ前にこうかな」
チェックのシャツは脱がし終わって、対面の空いているソファーに放ってある。
なのでブラジャーが透けて見える、白い長袖シャツに包まれている腕をまず持ち上げた。
「えっ」
「うははっ、そう来るかぁ」
「はい」
「どうだよ、アヤメの脇のニオイは?」
「たまんないですね。嗅いでるだけで勃起しそうです」
「なら、そっちはあたしが面倒を見てやるか」
ラッキー。
そう思いながら春にしては厚着をしていたせいで、それはそれはたっぷりと汗が滲み、さらにそれがムンムンに蒸れていたらしい腋の下のニオイを嗅ぐ。
「やぁっ。お、お願いだからそんなに嗅がないで。山を走り回って汗を掻いてるから、その、臭いでしょう?」
「それがいいんですよ。フェロモン体質のせいか、僕は女の人のニオイで物凄く興奮するんで」
「みたいだなあ。ちょっと作務衣の上から撫でただけで膨らませてやがる。……にしてもチンコって、こんなデケエのが普通なのか?」
「人よりは大きいらしいですけど、能力で相手のアソコに最適化が出来るんで平気ですよ。ついでに言うと、性病や妊娠の心配もありません」
「どんな能力をしてんだっての、まったく」
「あはは」
「んじゃさっそく脱がせて、遠慮なく生で味わうとしようか」
「やった」
作務衣が脱がされる。
そうされながら僕はアヤメさんの腋の匂いを堪能して、柔らかく大きなお胸を揉み上げた。
「やっ、ああっ……」
「敏感なんですね、アヤメさん」
「ヒロキもな。脱がせただけでビンビンじゃねえか」
「いやあ。ひさしぶりのセックスで、相手が美人さん2人。3Pは大好物だし、レズプレイに交ぜてもらうのも大好きなんで」
「あははっ、そうかい。なら良かった。それじゃあ舐めるよ?」
「お願いします。アヤメさんも脱ぎましょうね」
濡れた感触。
でも僕のアソコを舐めるホムラさんの舌は、どう動くべきか迷っているらしい。
ぎこちない愛撫の、少しだけもどかしい快感に身を委ねながら、白い防刃シャツを脱がした。
「わあっ、やっぱりおっきいですねえ」
「あ、あんまり見ないでってば」
「じゃあこうですね。……ああ、直に嗅ぐとさらにいいニオイです」
「ま、また腋の下を、んあぁっ!」
「味も最高ですよ」
「やぁ。そ、そんな。汚れてるのに……」
腋の下の匂いで興奮するとか、ましてやそこを舌で清めるのが好きだとか、そんなのが普通じゃない事は知っている。
それでも能力者が持つ『特性』で、性病どころかお腹すら下さない僕なら何の問題もない。
ホムラさんが僕の肉棒を、僕がアヤメさんの腋を舐め続け、ついに白いブラジャーのホックを外すと、ピンポーンと控え目な音がラブホテルの部屋に響いた。
「酒とツマミが届いたか。あたしが運ぶから、アヤメにしゃぶらせとくといい」
「手伝いますよ」
「いいって。デカパイを乱暴に揉みながら、強制フェラでもさせてやれ」
ホムラさんが立ち上がって玄関に向かう。
外してしまった白いブラジャーを完全に脱がせるとアヤメさんは、ようやく眼前で聳え立つ僕の肉棒に視線を向けた。
にしても、やっぱり大きい。
サラさんと同じくらいじゃないだろうか、このお胸は。
そして見た目だけでずっしりとした重量感を伝えてくるだけじゃなく、お山の頂にある突起、色素沈着の少ない大きめの乳首がビンビンに勃起し切っているんだからたまらない。
「ウ、ウソでしょ。なによ、この大きさ。前にDVDで見たのは何だったのよ……」
「そう言ってたし、フェラの感じからしてホムラさんは男性経験がないみたいですけど、アヤメさんもやっぱり?」
「当たり前でしょう。家が厳しかったし、機密保持のために一般人男性との交際はいろいろと面倒なのよ。男性の能力者は数が少ないから、かなりの若さで家格の高い家の女の子にあてがわれるし」
「だから女の人同士で、ってのが多いんですねえ。それより、いいですか?」
「え、ええ。舐めて咥えればいいのよね?」
「はい。好きなようにしていいですから」
「わかったわ。……大きい、それに硬い。いきなり咥えるのは怖いから、まず舐めるわね。……んっ」
ピチャッという音が鳴ると、アヤメさんが甘い呻きのような声を漏らす。
僕の肉棒はホムラさんの唾液で濡れているけれど、そこに舌を這わせる事に嫌悪感はないみたいだ。
いつもしているレズプレイの相手なんだから当たり前か。
そんな事を考えながら、少し屈んだだけなのに僕のふとももの上で『むにゅっ』と潰れて形を変えている大きなお胸に手を伸ばす。
「ああ、いい手触りですねえ。指が、どこまでも沈んじゃいそう。まるで、搗き立てのお餅じゃないですか」
「んんっ。な、なんなのこれ。舌が、ジンジンして熱いわ」
それはそうだ。
相手が一般人ならセイに頼んでそうならない魔法をかけてもらうけど、アヤメさんは能力者だし、どうせなら乱れに乱れてほしいのでその魔法はかけていない。
「ガマン汁を舐めたんですね。フェロモンはほぼ完全に抑えられるんですけど、媚薬効果を抑えるのはこれが限界なんです。少しでも舐めたら、もっと舐めたくなるでしょう?」
「え、ええ。……ダメ、舐めるのを止められないわ」
「そうなった状態で咥えるのも気持ちいいらしいですよ」
「してもいいの?」
「もちろん。僕からお願いしたいくらいです」
「わかったわ。なら、こうね」
「おおっ」