「ふうっ。ようやく根回しが終わったわ。手古摺らせてくれたものね」
広い室内の大きなデスクで、女、百里棗が呟く。
京都の本社から新宿支店への転勤。
それは棗から上層部へ願い出た配置転換で、3年ほど前にはもう決定していた異動だ。
だというのにその根回しが今日、新宿支店への初出勤を明日に控えたこの夜にようやく終わったのには、いくつかの突発的な要因があったが、最大の問題はなんだったかと問われたならば答えるのは容易い。
坂東の能力者が思っていた以上に頑固で、それを京から来た棗に見せる気概があっても、それを許される実力が伴っていない事。
それに尽きる。
ゆえに棗は3年前から京の能力者の子弟のみが通う小中高一貫校で初等部の1年から机を並べて共に学んだ桃と手分けをし、口を出してきそうな家には相手の不利益になる情報をチラつかせ、殺意まではなくともちょっかいをかけてきそうな家には飛車角を交代で1枚ずつ出して脅しをかけさせた。
「それで潰しておくべき家を決めていざそうしようと思ったら、本社の年寄り連中に命だけはと泣きついて。あげく玉将の起請文に判を押すだけの段になっても、のらりくらりと。……まあ、いいわ。血判を押したからには、もうあの子に手は出せない。もしもフリーのゴロツキ能力者なんかに依頼をしたとしても、その場で体中の穴という穴から出血してこの世とはおさらばよ」
これ以上ないほど物騒な独白であるが、それを漏らす棗は声を上げずに笑んでいる。
だがその笑みは己などよりずっと大切な愛娘、その3人の中で唯一東京に伴ったマモリの食事の時間が過ぎようとしているのに気がつくと、すぐに消えた。
「マモリ、晩御飯を食べましょう。少し冷めてしまったでしょうけど、ごめんなさいね」
そう声をかけると蛍光灯に照らされて伸びている棗の影が蠢き、そこから小さな生き物が姿を見せた。
小さなとは言えど、それは人と比べたらの話である。
この日本で暮らしていれば誰もが幾度か目にする、そうであればなかなかにその姿を忘れ難いであろう蜘蛛、絡新婦の体躯。
それは現実ではあり得ぬ子犬ほどの大きさであるし、その頭部があるはずの場所から生えるように存在する女の子の上半身は、外国などで目にする高級玩具の人形ほどの高さがあるのだから。
「さ、食べましょうか」
小さな、比喩ではなく本当に人形のような容姿と体長の女の子が首を縦に振る。
異形。
誰もがそうとしか表現せぬであろう愛娘に向けられた目にも、その子をそっと抱き上げる動きにも、世の母親達が子に向けるそれと同じ、もしくはそれ以上の優しさが滲み出ている。
恥ずかしがりで滅多にはしゃいだりしないマモリがテーブルに用意された好物、分家の調理担当の者に命じて作らせたお子様ランチを見てソワソワしているのに気づいた棗は、愛する我が子に手ずからそれを食べさせてやりながら、マモリが生まれてきてくれた夜を無意識に思い出す。
「終了。時間よ、ペンを置きなさい」
部屋のドアを開けるなり、棗は平坦な声でそうとだけ言った。
ホワイトボード、その前に長テーブル。
テーブルを使うための椅子は1つだけで、もう1つはホワイトボードの横に置かれている。
その簡素すぎる教室の床をカツッカツッとヒールを鳴らしながら歩き、棗はテーブルに置かれている答案用紙を取り上げてホワイトボードの横の椅子に腰を下ろす。
「可もなく不可もない、といったところかしらね」
そんな棗の言葉に生徒、まだ9歳でしかないヒロキはどう返していいのかわからず、ただ小さな体を折るようにして頭を下げた。
「謝れと言ってるんじゃないのよ」
「は、はい」
ようやくそうとだけ言ったヒロキは、とある場所から視線を外そうと必死だ。
だが、その努力は実を結ばない。
大人の、そうだからこそ醸し出せる色気を振り撒く女の豊満な肉体。
身に纏う紺色のスーツもブラウスも、なんの変哲もない既製品。
だが元から大きな乳房は2人目の子供にまだ授乳を続けているせいで張りに張っており、ついさっきイタズラ好きのサラの手でブラウスのボタンを3つも外され、惜しげもなく胸の谷間を見せつけている。
ヒロキは、そこから目を離せない。
「どうしたの?」
「なっ、なんでもありませんっ!」
ヒロキはまだ9歳でしかないが、己の視線を女のそんな場所に固定するのがとても褒められた行為でないことくらいは知っている。
申し訳なさに身が縮み、項垂れまでしたので、視線を豊かな胸の谷間から外すのには成功した。
が、視線が下がったその先にも罠にも似た誘惑がヒロキを待っている。
大きな尻のせいでタイトに見えるが、横幅も丈の長さも社会人の女性として常識的な紺色のスカート。
その裾から伸びるむっちりとした、黒いストッキングに包まれている肉感的なふともも。
「……聞いてるの?」
椅子の上でヒロキはビクリと身を震わせる。
棗が今回の小テストでもう少し注意深く回答するべきだった箇所を注意しているのに、それに気づきもせず組まれた足とそのせいで少し広がったスカートの隙間を凝視していた、その事を気づかれたのではないかと怯えたからだ。
「ご、ごめんなさい」
「だから謝れと言ってるんじゃないの。こことここ、それからここももう少し注意深く問題を読めていれば回答は違ったはずでしょうと言ってるの。そこじゃ見えないだろうから、こっちに来て答案用紙を見てみなさい」
「は、はい」
ヒロキがまるで膝しか関節のないロボットのような動きで立ち上がる。
そのギクシャクとした動きで己に歩み寄る子供用の甚平を着せられた少年を見ながら、棗はどうしようもないほどに昂っていた。
つい1時間ほど前まで棗は、この屋敷のリビングで3人の女にあらん限りの大声を出して説教をしていたというのに。
一般家庭で生まれ育った子が突如として発現した能力を謎の奇病と判断され、過酷な環境に隔離されていたのを助けるのはいい。
その子が長い軟禁生活中に精通を迎え、酷い淫気詰まりを患っていたからそれを祓ってやったのもいい。
その子の稀有な才能を見抜いて日本中に名を馳せる飛車角の最初で最後の弟子にするのも、自分達では不安だからと『観る』ついでに座学の講義を私に頼むのもいい。
だがなぜ、最初で最後の弟子を、まだたった9歳でしかない今まで筆舌に尽くしがたいほどの苦労をしてきてやっと人間らしい暮らしを得た男の子を、どうしてあなた達は夜ごとベッドに連れ込むんだ。
恥を知りなさい、恥を!
そうまで言って罵った棗に、もう5年来の付き合いになるハーフ美女、日本でただ1人の角将級であるサラは「いいからまずこれを見てくれ」と言ってある魔法を使った。
光の奔流に瞳が潰される!
そんな恐怖から強く閉じた瞼の裏に映ったのは、あまりにも衝撃的なシーン。
「ほ、本当にいいんですか?」
「ああ。そうしなきゃボウズの、オマエさんの病気は治らないんだよ。早く治したいだろう?」
「は、はい」
「なら来い。こっちの準備はできてるからさ」
そう言ってニヤリと笑ったサラは偉そうに肘枕をして横たわっている、それも全裸で。
そしてその棗より大きな乳房や、こんもりとした恥丘でクーラーの風に揺らされる髪と同じ黄金色の淡い恥毛、その下の肉感的に過ぎる大陰唇が重なった縦スジを見下ろす少年は、なんとも子供らしい白いブリーフをもどかしそうに脱ぎ捨てた瞬間に射精した。
異常なほどの射精量。
精通を迎えてどれほど経つのかは本人も覚えていないらしいが、だいぶ黄みがかった、見るからに青臭い精子がバケツで水を撒くような勢いでサラの白い体を汚す。
その口の横に飛んだ精子をペロリと伸ばした舌で舐めたサラは、面白くて仕方がないと言った表情で上体を起こし、ヒロキの腰を抱いた。
完全に亀頭を覆い隠している皮を口で剥かれてまた射精し、初めて外気に触れたのではないかとまで思えるピンク色の亀頭にキスを落とされただけで射精しと、とにかくヒロキは信じられぬほどの回数、信じられぬほど多くの精子を吐き出し続ける。
「な、棗先生?」
その声でハッと顔を上げた棗は、己の口角が自嘲の笑みを形作ろうと上がってゆくのを自覚したが、表情筋を止められない。
あの魔法の映像には続きがあって、そのシーンにはご丁寧にも『淫気祓いの翌日、最後の射精から約9時間』というテロップがあった。
閉め切った和室の隅、その暗がりで熱に浮かされたような表情をしながら、幼い肉棒を必死で擦り上げているヒロキ。
祓いに慣れた、もしくはそういった祓いの依頼を受けて能力者を派遣する部署にいた事のある棗のような者ならばすぐにそうと断言できる、淫気祓いの再発。
何度、どれだけ多く射精をしてから試しても、ヒロキは8時間ほどで淫気詰まりを起こしてしまう。
だからといって、この子には射精が必要だからといって、自分達のような大人が幼い子供の体を貪っていいはずがない。
だが、棗がさっき『観た』結果、それで明らかになったヒロキの『能力』とそれに付随されると思われる『特性』を考えると、なるべく自慰で淫気を散らすのも、射精へと導く女が劣情を隠して事務的に手淫を施すのも、ヒロキの能力者としての成長に絶対に悪影響を及ぼす。
なので最初からそう考えていた淫乱女達、長い付き合いの友人2人とその使い魔のセーラー服を着た使い魔に、棗は押し切られてしまった。
「なんでもないわ。それより、どうして股間を手で隠してるのかしら?」
ヒロキは棗が持つ答案用紙を覗き込める位置に立っているが、その両手は不自然に前、股間で重ねられている。
誰がどう見ようとなにを隠そうとしているのかは明白だ。
「ご、ごめんなさい」
「謝れとは言ってないの。どうして、と聞いているのよ?」
幼い、見るからにぷにぷにとした感触の頬が真っ赤になる。
小さな手が少しでも股間を隠そうと広げられる。
だがそんな事では、股間のふくらみは隠し切れない。
そんな光景を見ながら、棗はショーツのクロッチに己の淫液が染み込んでゆくのを感じた。
「それは、その、おっきく、なってしまった、というか……」
「なにが大きくなったの?」
「それは、その。…………お、おちんちん、です」
「なるほど。どうせあの子達の事だから、これから座学のたびにちゃんと勉強してたら棗がご褒美をくれるとでも言ったんでしょうね」
「は、はい。ごめんなさい」
「謝れと言ってるんじゃないわ。欲しいの、ご褒美が?」
生唾を飲み下したヒロキが恥ずかしそうに、だがハッキリと頷く。
「13時間よ」
「えっ?」
「朝にこのストッキングを、別に新品でもないヒールを履いて13時間。運転して仕事場に行って、立ったり座ったり歩いたり。それからまた、ここまで運転。それはそれは臭いでしょうね、今の私の足は」
「ああっ……」
無意識に身を捩ると、ブリーフの生地に勃起し切った皮かぶりの肉棒が擦れる。
たったそれだけの刺激で射精しかけたヒロキは、どうして射精できなかったんだと己を心の中で呪う。
それほどに、今のヒロキは精子を吐き出したいと願っている。
「あなたの、ヒロキくんの能力から予想される特性を考えれば、異性の体臭で酷く昂るのも仕方ないわ。その中でも、特に悪臭を好むのもね。この臭い足を嗅ぎたいの?」
「は、はい」
「それから?」
「嗅ぎながらおちんちんを触って、その、サラさんの言うオナニーがしたいです」
「変態ね」
「ご、ごめんなさい」
「謝れとは言ってないわ。嗅いでもいいけれど、オナニーは禁止。それでいいなら好きにしなさい」
「はっ、はいっ!」
ヒロキが跳びつくようにして床に膝をつき、パンプスと黒いストッキングで蒸れに蒸れた足の指の間に鼻をうずめる。
そのわずかな動きで股間、己の秘所がかすかに擦れ、『くちゅっ』という音と共に、今まで感じた覚えがないほどの興奮と快感が背筋を駆け上がるのを棗は感じた。
うるさいほどに鼻を鳴らして足の指の間を嗅いでいるヒロキは、目を細め陶然とした表情で両のふとももをモジモジさせている。
まずは服を自分で脱がせて、ストッキングを穿いた足で皮を剥いてあげようかしら。
上手におねだりができたらそのまま足で挟んでシコシコしてあげて、射精ができたらまたご褒美ね。
酷く汚れた、さっきから止まらなくなってる子持ち女の汚れたショーツを顔に押し当ててオナニーを許可したら、このかわいらしい私の生徒はどうするのかしらね。
この子供らしい細い黒髪、その下にある顔を、薄い胸板を、腹筋なんて存在しない柔らかいお腹を、無毛の股間を、それなのに勃起してしまっているおちんちんから足先まで。
そのすべてを昂りすぎているからか、トクントクンと痛いほど尖った乳首から滴って授乳パッドを濡らしている母乳まみれにしたら、この子はどんな表情をして、どんな言葉でその先を願うのかしら。
「愉しみだわ……」
足を組み、肘当てに立てた腕の拳に今にも眩みそうな目の横を預けながら、うっとりとした表情で呟く。
その数時間後、逆に髪の毛から足の先までをヒロキの精子まみれにされた棗はマモリを産んだ。