この作品の外伝集も良かったらお楽しみ下さい。
R15作品のシリーズとして本編の合間に消化予定です。
https://syosetu.org/novel/195952/
真っ暗だった世界が突然眩い光に包まれた。
随分長い眠りに落ちていた気がする、ボンヤリとした意識の中僕は誰に言うまでもなく心の中で呟く。
(ここ…は、どこ?)
その言葉を聞いた何者かが勢いよく玉座を立ち上がった。
「漸く、目覚めたか…!」
突然そんな声を上げてその場を立ち去ろうとするこの場の主に彼の前に傅く者達が慌ててそれを静止しようと声を上げる。
「お待ちください、我が君…!一体何が!?」
「来たのだ、ついに…我が宿願の叶うこの日がっ誰にも邪魔はさせぬ!」
マントを翻し我が君と呼ばれた者が、勢いよく謁見の間を飛び出して彼の声の元に足早に駆けていく。
(ああ…やっと会えるのだな、長かった。待っていた、オマエと再び会えるこの時を!)
愛しい子、早く還っておいで我が元に。
我が半身から生まれし者よ、オマエが救った世界を見せてやりたい。
この世界はオマエを幸せにする場所、その為だけにオレは生きてきたんだ。
もう2度と離しはしない、ずっと一緒だ。
「フェンリル、オレだ。分かるか?オマエが生まれてから毎日話しかけていたんだぞ」
金髪碧眼の美貌の主が僕に話しかけている。整い過ぎた面立ちは覇気を持った男性を感じさせるものだがどこか中性的で、その人から感じるのは僕への無限の慈愛の念だ。
(だ…れ、貴方は?)
僕は今何故か声が出せない為心の中で問いかけたのだか、当然のように僕の心の声に返事が返ってくる。
「…フェンリル、オレが分からないのか?どうやら長い時の覚醒で意識がまだ混濁しているようだ」
(…眠い、よ)
もう起きていられない、僕の気持ちとは関係なく容赦のない強制的な眠気が襲ってくる。
「今のオマエは赤子だからな…起きたらまた話しをしよう。これからはずっと側にいる、だから今は眠れ」
そう言って額に口付けの挨拶を受けて僕は再び眠りについた。
それから何日かは眠りの中にいては時々僅かな時間に目を覚ます、そんな繰り返しの日々が続いたがその間ずっと側にいて僕にかかさず話しかける声があった。それは僕に最初に話しかけてくれたあの人の声だ、言った通りずっと僕の側にいてくれている。心地よいその人の声を聞きながら安心した僕は心穏やかに眠り続けた。
それから数週間経った頃から睡魔が薄れ意識がハッキリしてくると、僕の側にいた人が待っていたとばかりに話し出す。
「記憶がかなり曖昧になってるようだな、まあ無理はない。オマエが戻るまでに3000年の時が流れているし…あの時はオマエの話が聞けなかった。だからオレも聞きたい事が沢山ある、そうだなこうしよう」
そう言ってその人は僕の額に自分の額を押し付けると、繋がったのが分かった。
(ナニ、コレ…?)
「意識が繋がったのが分かるだろう?今のオマエは赤子の姿で話せない、オレの半身であるオマエ以外には無理だが元々一心同体だったオマエとなら可能だ」
テレパスみたいなものだろう。一言も喋ってない僕と会話が成立するのだからそういった類いのものではないか、とは僕も思っていたのだ。
「…まあ、そんな感じだ。だが表層意識の言葉だけを読み取るテレパスではない、記憶や感覚の共有も可能だ。慣れればどうという事はない、一心同体とはそういう事だ」
確かにこの人の感情が流れてくる、僕に対する慈しみ。嘘偽りのない事も分かる。ああ、成る程と僕も理解する。
「そうか、分かったか…よしよしいい子だ。まずは、だ。オマエも転生者だろう?オレは自分以外の転生者に初めて会ったんだ。オマエは何処から来たんだ?オレは第2コロニー出身で宇宙開拓船に乗っていたんだが」
第2コロニー?宇宙開拓船??僕は困惑した、全くの異次元なSF話だ。
「…太陽系第3惑星地球、日本、東京?なんだソレは。宇宙暦何年位になるんだ?」
宇宙暦なんて僕のいた時代にはなかったし、宇宙なんて漸く目の前の月に辿り着いたレベルの世界だ。宇宙船等もなく地球で飛行機や電車に乗る程度、これはどうやら随分やってきた時代に差がありそうだ。いや、そもそも異次元とか異世界とかでも不思議じゃない。
「そうか、ならば全く別の場所か時代的に数千年の差はありそうだな…その、オマエがいう異次元とかの可能性もある、なんせ今いるココも異世界そのものだし…そうだな、オマエの分かる言葉にしていうならこの世界は剣と魔法とファンタジーの世界だ」
そう言ってその人は自分がどうやってこの世界に来たのかを話し出す。
「…宇宙船事故でオレはどうやら亡くなった、その後この世界に召喚されたようだ。神とかではなく生まれたばかりのこの世界そのものが神を呼んだ、それがオレだったらしい、オレがここに来た時はこの世界には何も無かった。神としてここに呼ばれたオレは奇跡の力を手に入れていた…クリエイション、創造の力だ」
そうして何もないこの世界にあらゆるものを次々に生み出していった。やがて人間や動物が営みを始め長い時が流れた。
「神のオレも獣と受肉して精神体から生身の肉体を得た、この世界では神獣と呼ばれる種族になるが、この世界にはオレとオマエしかいない。この世界の2柱しかいない神、それがオレとオマエになる訳だ」
この世界はつまりこの人が創造したもので出来ている。でも神なんて創造出来るものなのか?いや、それならもしかして…
「…そうだ、オマエはオレの半身。元々一体だった、だから一心同体と言ったんだ。オマエはオレの弱さ故、生まれてきた。いや生まれてきてくれたんだと思う」
そろそろオマエが生まれてきた訳を話そう、そう言って少し顔を俯かせながらその人は再び語り出す。
「3000年前、大厄災と呼ばれる出来事があった…時空の歪みを利用して異世界の神が侵入しこの世界を征服しようと大暴れしたんだ…創造の力しか持たないオレはこの世界の9割近い命が目の前で滅ぼされて行くのをただ見ている事しか出来なかった…あのままでは為す術もなく世界は滅んでいただろう」
絶望に苛まれ大地に膝をつき血の涙を流してオレは気が狂わんばかりに絶叫した。そこで創造の力が発動しオレの半身と9割近く失われたこの世界の命と引き換えにオマエは異世界から召喚されてこの世界に生まれた。
神の絶望とこの世界で失われた大量の命から生まれた破壊と欲望の神。オレはその時とんでもないものを創造してしまったと愕然としたのだが…
「…オマエは異世界の神を殺した、オレはオマエに神殺しの罪を負わせてしまった。だがその時のオマエにはオマエを産み堕としてしまったオレに対する憎悪や嫌悪感が全く無かった」
父様を泣かせた悪い奴はボクが片付けた、父様もう大丈夫だから泣かないで。父様を二度と泣かせたりしないし、誰にもさせない。ボクが守るよ父様の心を。だからボクが生まれたんだ、壊れそうな父様の心を守る為に…。
"オマ、エ…は"
"父様の堪えられない負の部分はボクに分かれた、もう父様を苦しめたりはしないよ"
そう言ってオマエは再びオレに同化して眠りについてしまった。
「オマエはオレの絶望から生まれたが、その時からオレの希望になったんだ。3000年ずっとオマエはオレの中にいた、だから誰よりもオマエの事は分かってる、この世界だってそうだ。この世界はオマエがいなきゃすでに滅んでいた世界、だからオレは決めたんだ。今度はオレを救ってくれたオマエの為に、オマエが幸せになる世界を創ろう…そしてオマエをこの世界に再び産み出そうと」
長い時をかけて漸くオマエをこの世界に戻らせる事が出来た、3000年もかかってしまったがな。
そこで長い話が終わった。聞かされた話は今の僕には殆ど記憶に戻ってきてはいないけれど、この人が僕に嘘をついていない事は分かる。
(…貴方がボクの父様、なの?おかしいな、母様じゃなくて??)
「気がついたか…そうだ。転生して受肉した時にオレは両性体になったんだが、体質に致命的な問題があってな」
最も相性が合った一角獣ユニコーンと受肉した父様は純潔が失われると肉体が死んでしまうらしく、性欲を始めとする全ての欲望は僕が父様と分離した際に父様からは失われてしまっていた。かつて父様を苛んでいた無尽蔵な欲望は今はボクの中にある。
父様は性行為をして僕を出産したのではなく正確には半身の分離と9割近く失われたこの世界の命との融合で僕の魂は召喚され、狼獣フェンリルに受肉して肉体を得て僕は生まれた。その為両性体でも母乳が出る訳でもないし、元々転生前から受肉するまでは男として生きてきたので父様という事になったらしい。
そこまで話を聞いた所で僕はまた眠たくなってしまいまたウトウトし始める。
「…今日はこの辺にしておくか。そろそろ昼寝の時間だ、沢山眠ったらまた話そう…今度はこの世界の話をしよう、おやすみマインホープトレジャー」
我が希望の宝、父様は僕のミドルネームにホープトレジャーを付けた。この世界の神として生きている父様はグランドトレジャーのミドルネームを持っている。永遠なる世界の宝、エターナルグランドトレジャーとこの世界の人々は父様を神として崇めているそうだ。
父様にふわりと頭を撫でられながら閉じた瞼に軽く口付けをされておやすみの挨拶をされると僕は堪らない幸福感に包まれてまた眠る。ああ、早く目を覚ましてまた話しを聞きたい、その声で心でその気高く尊い魂にもっと触れ合っていたくて堪らない。何だろうこの一体感、一心同体ってこういう事なのか。僕の心が温かいモノで満たされて行くのを感じる、父様眠りたくない。もっと、もっと僕と…
「愛してるよ…愛しい子。分かっている、これからはずっと一緒だ。だから眠るんだ、今のオマエは赤子の身体だから疲れやすい。それに眠れば更に意識がハッキリとしてくるだろう」
僕はまたそのまま数日眠りに落ちていたらしい。目を覚ました僕が辺りを見回すと父様の姿がない。僕は堪らず心の中で声を上げた。
(父様…何処にいるの?)
(…何だ、目を覚ましたのか?随分よく寝ていたから仕事を片付けていた。今から直ぐに行くからいい子にして待ってろよ)
眠っている間、僕は沢山の夢を見て色々な事を思い出していた。僕の
前世、地球で亡くなってこの世界に転生した3000年前の出来事、そして世界で最も大切で愛しい半身である父様の事を。ああ、早く会いたいな。父様と沢山話がしたくて堪らない。
(父様…っ!)
(よく眠っていたな…よしよし。どうだ、随分色々な夢をみていたようだが)
父様が僕の額に口付けを与えながら優しく話しかけてくれる。父様のスキンシップが多いのは今の僕にはよく分かる。いつも触れ合っていたい、離れたくないからだ。一心同体って本当だ、父様の純潔の身体は他者と交わる事が出来ない。だからこうやって少しでも触れ合うしかない。
(うん!一杯寝たからかな…今は凄くスッキリしてるよ。父様、今日も沢山お話し聞かせて)
父様の生の声を聞きたい、この3000年もの間ずっと父様の中にいたけれどそれだけで凄く僕は幸せな気持ちになる。ああ、父様大好き。赤子の姿で身体がまともに動けないのがもどかしくて堪らない。
「そうか、そうか!それは何よりだ、一緒に夢を見ていたからオマエの前世については大体の事はオレにも分かった。それに懐かしい夢を見ていたな…オレの泣き顔なんて忘れてくれていいのに」
(…だってボクがいるからもう父様の泣き顔見れないじゃない、ボクがもう父様を泣かせないからさ)
その言葉に父様は、こいつめ!っといって自分の頰を僕の頰に擦り付けて頬擦りをする。父様の可愛い照れ隠しに僕が笑うと、父様が頬擦りをやめておはようの挨拶代りに僕の頰に口付けてくる。
「確か、今度はこの世界の話だったか…オマエがオレの中に戻ってからこれまでについて話そう」
僕が父様の中に戻って眠りついた後、父様はこの世界を蘇えらせる為に奔走した。まずこの世界に生きる生物のベースとなる既に滅んだ人間を再び創った。能力が軒並平均化したのは繁殖力を優先した為だ。人間だけはあらゆる種族と交わっても子を成す事が可能だった。父様はその後この世界に存在する余剰魔力の調整をする為に死んだ動植物達の身体を使って魂を持たない獣、魔物と自然回復を促進させる為の肉体を持たない精神体の精霊を創り出す。そして世界は人間を繁殖源として色々な種族が存在する事になっていく。
人間と精霊族が交わりエルフとドワーフが生まれ、人間と獣が交わり獣人が生まれ、人間と魔物と交わり魔人族が生まれた。精霊と植物が交わり妖精が生まれたのには創造主の父様も驚いたようだ。精霊と妖精は実体を持たない精神体でこの世界の自然回復を更に加速するという思わぬ嬉しい誤算が生まれたらしい。
能力は平均化したが種族問わずに子を成せる最も繁殖力を持った人間族、あらゆる獣の特性と力に特化した獣人族、自然の魔力を操る事に特化したエルフ族と自然の魔力を利用した生産技術に特化したドワーフ族、魔物の特性に特化した魔力を持つ魔人族が人間から生まれた種族達だ。中には元から強い力を持った魔物が人間と交わらぬまま純血を保った種族もある。長い時をかけて自然の魔力を利用する事によって魂を宿らせた竜族、水棲族、魔族等がそれにあたる。神である父様と僕は精神体から肉体を得る為に獣に受肉した為神獣と呼ばれているこの世界で2人だけの種族だ。
3000年の時を経て種族間の諍いはあったが、創造主の父様の下現在に至っているとの事だ。父様は現在支配すれども統治せず、各種族達の自主性に基本任せているそうだ。
この世界の中央にある世界で最も大きい父様の城、神のおわす宮殿として神宮として世界の要として存在し、創造主からの最大の恩恵を受けた世界最大の都市がある。創造主の下そこではどの種族も平等に扱われている中立地帯でもあった。その都市を取り囲むように各種族が自分達の習性にあった場所に各々作り上げた国が存在し、その外側は魔物達の森と海の世界だ。創造主の加護を受ける事を拒み独自の思想に至った者達は点在する島々や山奥に暮らしているらしい。
(あれ…父様の加護がなかったら、この世界で生きていけなくない?)
そこまで話を聞いた所で僕がそう言うと父様はニヤリと笑った。
「…まあな、実質この世界創造主のオレがいなくなったらまず自然や魔力は失われ、生物は生きて行けない」
種族抗争であったり、罪人だったり、居場所が失った者が主な存在だが他人からの支配を受けたくない、等といった思想的背信というのもある。だが父様はその気になれば簡単に出来るのにその者達の居場所を奪ったり、支配したりはしなかった。
(父様、優しいね…ボクはそんな父様の優しさも知らずにのさばってる連中なんて許せないんだけど)
「そう言うな、別にオレに対して何かをした訳でもない。この世界で生きていく理由が必要な弱い者達なんだ。放っておけばいい、滅びるなら滅びる。もうオレは世界を救わないし、守らない…オマエと共に在り続けるだけだ」
3000年の間に父様の中でなにか心境の変化があったようだ。父様はまたこの世界が滅びるような事があってもそれを受け止めると言っている。世界が終わるなら終わらせる、そう言っているのだ。
(父様がいいならそれでいいよ、父様とずっと一緒にいられるならそれだけでボクはいいんだ…でも、父様を煩わせるようなバカは許さないからね)
「ククク…っ余りオレを甘やかすなよ、ホープ。このままずっと二人だけで、なんて妄想してしまうから、さ。まあこの世界の事はこの世界に生きる者達でどうとでもしろって思ったんだ。世界は創った、後はオマエ達でヤレって事だな」
3000年前と違って随分と肩の力が父様から抜けている。父様はもうこの世界を背負ってはいない、荷を下ろしたんだ。
(そっか…そうだね!僕達は僕達でいいんだね。なら僕はどうしようかなあ)
父様のスタンスが確認出来た所で僕は再びこの世界に生きる事になった意味を考える。破壊と欲望の神、いらなくない?
「コラコラ…そんな事言うな、言っただろうオマエはオレの希望だって!とりあえずはそうだな、生まれたばかりのオマエの赤子の身体じゃ身動きも取れないだろうからまずは頑張って育て。それから何かやりたい事があればすれば良い、ここはオマエの為の世界なんだから何だってやっていいんだ」
滅ぼしてもいい、この世界が不要なら。
そんな父様の言葉に僕は目を剥いた。
「オレはもう一人じゃない…オマエがいる。ずっと、そうだろう?」
長い時を経て父様の中で何かが壊れ狂った。多分それは父様の中にずっと
いた僕のせいだろうけどそれで構わない、父様には僕がいればいいんだ。
(父様、大好き…っ)
「ああ、ホープ…生まれて来てくれて有難う。オマエがオレにくれた世界、今度はオレがくれてやる。皆オマエのものだ、オレはオマエでオマエはオレなのだから」
(うん、ボクは父様のもの…これからもずっと一緒だよ)
僕の言葉に父様が僕の頭を撫でる。ああ、こんな日が来るなんて本当に夢みたいだ。ここは父様の創った楽園、僕達はここで幸せになれるんだ。
「そうだ…オマエが眠ってる間に色々と準備をしていたんだ。なんせオマエは最強の神獣、いずれは番いになれる者が必要だろう?色々悪戦苦闘してみたんだがなあ…」
溜息混じりに父様は話しを始めた。この世界では不思議な事に異種族同士の男女の交わりで生まれる子供は女の種族になるそうだ。通常の性交渉で生まれる子供は魂を持たない動く肉塊、つまり魔物となる。魂をこめて精を出す事で子供を作るのだ。その為通常の子供が出来にくい造りになっている。その例外が繁殖力の高い人間族であり、通常の性交渉で生まれる魔物だ。魔物は受肉して生まれるモノ、世界の余剰魔力より生まれる精神体のモノがある。
また人間と交わらない純血種族は繁殖力に乏しい為少数だがその能力は全てにおいて突出している。繁殖力に劣る人間と交わって生まれた他種族は力の獣人族、魔力のエルフ族と魔人族、生産能力のドワーフ族といった人間とは違う優秀な特性を持っており、各々あってこそこの世界が成り立っている形になっているのだ。
だがそれも全て創造神あっての事である。創造神の力なくして繁栄はあり得ない滅びあるのみである事は、この世界の誰もが知る常識であり至高の存在とされている。
「…まあ、それで神獣であるオレ達の身体は獣人族に近い造りになっている。オレと違いオマエには欲望があるから、いずれ身体が大人になって来ると魔物の森に籠るかハーレムを造る事になるだろう、強い獣程飢えや性欲といった欲望は高い。これは別段オマエに限った事ではない」
なにせオマエは破壊と欲望の神、ハーレムは3桁は必要かもしれない。番いになる相手は今色々な方向から準備を進めている、と父様は話を纏めた。
(欲望ねえ…まだピンとこないんだけど)
「だから、こそだ!オマエは何も望まない、望まなくても大抵の事は叶うからな。だか受肉した今は違う。その肉体を生かす為だけに食欲性欲排泄欲といった肉体的欲求にかなり偏って出る筈だ…その為の準備だ」
父様が指を鳴らすとドアの外側に3つの気配が生まれた。父様の入れ、という言葉に3人の女性が部屋へと入ってくる。この世界で父様以外に初めてみた者達だ。
「こいつ等はケルベロスの身体を使って創り出した。人型を与えて3人に分離させたら子宮も3つに別れてしまってな…誤算だった。まあ言えばオマエの番い造りの途中で出来た失敗作、オマエを愛する為に生まれ、オマエに愛されないと生きていけない身体を持っている。オマエがいらないのならラクに死なせてやるのが慈悲というもの、こちらで処分しよう。…どうする?」
父様がなんかとんでもない事を言っている。顔を3人の女性に向けると3人とも身を固くして震わせながら頭を伏せてその返事を待っていた。
(君はケルベロスの長女かな、名前は? )
僕の声を聞いて頭をあげたのは3人の中でも見た目が一番大人の女性で、整った優しい面差しを持っており貞淑な貴婦人を思わせる。
「わ、私に名は有りませぬ、一体化すればケルベロスになりますが」
(そう…なら君の名は今日からベル。見た目だけでなく優しい鈴のような声音をしているからね、君には明日から毎日同じ時間に僕を起こして食事と身の回りの世話をして貰おうかな。三姉妹は長女の君が上手く纏めて欲しい…いいね)
僕がそう言うと彼女、ベルは顔に笑みを浮かべてそれに答える。
「はい…有難うございます、これより全身全霊をかけてこの命尽きるまでお仕えさせて頂きます。私の名前までつけて下さるとは…光栄です。私は…ベルは嬉しゅうございます」
ベルからすれば僕の言葉は神の御言葉。涙を流して喜ぶベルによろしくね、と言って話を終わらせた。そして今度は隣にいる少女へと目を向ける。
3人の中で最も美貌なのはといえば彼女だろう、大人になればさぞ鮮やかな女性になるのは見ていてすぐわかる。ベルとはまた対照的でタイプの違う派手でキツ目な容貌をしている。
(君は美しい…まるで薔薇のようだ。君の名はローザ、僕の部屋の掃除や洗濯、身支度は君に任せる。君のようにいつでも綺麗にしていたい…君は三姉妹の次女、ベルの手助けも頼むよ)
「ローザ…私の名前はローザ。はい、お任せ下さい!どうぞ何なりとお申し付けを、ご主人様に私の全てを捧げ絶対の忠誠を誓います」
気が強いのかローザは涙を堪えて顔を紅潮させながら歓喜の声で僕に言葉を返した。
そして3人目だが、まだ少女というより幼女と言っていい見た目をしている。恐らくは分離の際に上の姉達に多く比率が言ってしまったのだろう。だがその容姿が将来有望なのは否定出来ない、姉二人のいいとこ取りをしたような感じだ。
(君の名前はリズ…君は僕の遊び相手になって欲しい。今はまだ大した事は出来ないけど…そうだなとりあえず毎日本でも読んで貰おうかな。読めないなら僕が教えてあげるから、どう?後は僕や上の姉さん達のお手伝い、無理のない範囲でいいからね)
「そ、それなら私にでも出来るかも…やります、やらせて下さい!ご主人様、精一杯頑張りますのでどうか私を…リズをお側に置いて下さい」
辿々しい小さな口調でそう言ったリズは、どうやら恥ずかしがり屋の内気なタイプのようだ。3人の役割を決めた所で父様を見やると父様がうなづいてくれている。
(父様が創った僕への贈り物…大事にするよ、僕の為に有難う父様)
「そうか…ならばオマエの好きにするといい。いいか、オマエ達。フェンリルに誠心誠意、その命賭けて勤めに励めよ。役立たずは問答無用で処分する、オマエ達の主を全身全霊で守り慈しめ!」
父様の言葉に三姉妹はその場でひれ伏して跪き頭を床に押し付けて最大の礼を持ってそれに答える。こうしてケルベロス三姉妹はこの日から僕の召使い、メイドになった。
「明日から仕事で暫く来れない…とっとと片付けて来るから、それまでコイツらを使って不自由なく過ごせ。使い潰しても構わない」
ケルベロス三姉妹を下がらせた後、父様はそう言っていた。本当によく僕の事を分かっているんだな、と思う。このワクワクとした気持ちは新しい玩具を手に入れた時に似ている。父様がこない間、彼女達とどうやって過ごそうか、などと考えながら僕はそのまま眠りについた。
「おはようございます、ご主人様」
そう言って枕元から優しい声をかけてくるのはケルベロス三姉妹の長女ベルだ。僕に言われた通りに朝起こしに来てくれたらしい。
(おはよう、ベル…君の声でいい目覚めだよ)
僕の言葉に頰を赤く染めて軽く頭を下げて礼で答えるとベルは朝食の準備に取り掛かる。
「ご主人様は何をお召し上がりになりますか?我が君のお話ではこれまではミルクを飲ませているが離乳食ならばソロソロ問題ない、との事ですが…」
(食事の準備はそのままでいいからこっちに来て、ベル…)
僕の言葉にテーブルに並べた一通りの朝食をそのままに僕が横たわっているベッドの傍にベルがやってくる。
ベルは長女という事もあってか三姉妹の中で1番身体が発達しているな。三姉妹の中では唯一成人してる女性で顔だけでなくプロポーションも凹凸がハッキリして完璧に整っている。それにしても胸がデカい、次女のローザも大きかったが正直メロンとスイカ位の差はありそうだ。そんな事を考えながら見つめていると、ベルが顔を赤らめてモジモジと僕の返事を待っている。
「あ、あの…私に何か問題でも」
(いや、そうじゃないんだ…今日から時々ごっこ遊びをするからそれに付き合ってくれないかな?)
ごっこ遊びでございますか?と言って首を傾げるベルに僕は説明を始めた。
(…僕がママといったら、君は僕を思いっきり甘やかして可愛がる母親役になるんだ。敬語は当然禁止、僕の名前の呼び捨ては流石に他に聞かれるとマズイだろうから僕の事はアヤトでいいよ、転生前のボクの名前なんだ)
「ア、アヤト様…ですか?」
僕の提案に困惑しながらベルは返事を返したが、様はいらないと言うとベルは益々困ってしまい妥協案を提示してくる。
「ア、アヤト君、でどうでしょうか?言葉遣いは普段からこの話し方ですのでこれから覚えます」
(いいね、新米ママだしそこは大目に見よう。さあママ…ボクを抱っこして)
「はい、ア…アヤ、ト君」
僕が笑顔でそう言うとベルが恥ずかしそうにそれに答えて僕を抱え込む。予想以上に凄く柔らかくていい弾力だ、この胸。僕は堪らず胸に顔を埋める。
(ママ…気持ちいい、それに凄くいい匂いがするよ)
「アヤト君に喜んで貰えて…マ、ママも凄く嬉しいで…嬉しいわ」
僕がベルの胸を堪能しているとベルが優しく抱きしめてくれる。それがまた堪らなくて気持ちがいい。
(ママ、大好き…)
「ママもアヤト君の事が大好き…よ」
まるで宝物を抱え込む様にベルはそっと僕を抱きしめて僕の額にキスをする。これは親しい者同士がする敬愛の印で今の親子関係では不敬にはあたらない。
「さ、さあアヤト君ソロソロご飯を食べ…」
ベルの食事を促す発言に僕は首を振ってベルの胸の谷間に顔を埋める。
(やー…僕はママのおっぱい吸いたいの)
「ア、アヤト君…ママの、おっぱいはその、ミルクが…出ないの、だから」
僕の言葉にベルが慌ててそう答えるが別にそれでも僕には問題ないんだ。
(いいから早くおっぱい出してー吸わせてくれたらご褒美にママに僕の魔力味あわせてあげるから…父様からもう魔力供給して貰えないんでしょ?僕の魔力とっても美味しいと思うよ、ママの身体は僕の為に作られた身体だからね)
どちらにしてもベルは僕の言う事には逆らえない。ベルが震えた手で上からボタンを外していくとプルンっと大きな胸が飛び出してくる。大きいが張りがあって決して垂れてはいない、上向きの胸の先の尖りがとても美味しそうだ。
(そっか…ママ。ブラジャー付けてないんだサイズがないよね、流石に)
「アヤト君…言わないで。マ、ママ恥ずかしいの、この胸。私だけこんなに大きくて皆さん私の胸ばかりジロジロ見てきて…きっとみっともないと思っていらっしゃるのでしょう、アヤト様…いえアヤト君は気持ち悪くない?」
目に涙を溜めて自分のコンプレックスになっている胸についてベルは語るが、それはベルの勘違いというものだ。
(皆ママのおっぱいが魅力的過ぎて見惚れてるだけだよ…ボクもそうだもの。ああ…ママ、凄いモチ肌なんだね。それに服を脱いだらもっと美味しそうな匂いが…もう、ボク我慢出来ないよ)
僕はベルの胸先にむしゃぶりつくと、ベルはぎゅっと僕を抱きしめてそれを受け止める。
ん…ちゅっんちゅうう…れろ、れろ、ちゅるっる
「あ…っあん、駄目…アヤト君、そんな激しくっ…だ、だめえ」
(美味、しい…こんなに真っ赤に熟れて、もっと食べたい)
僕は伸び始めたばかりの歯でギリギリと胸の先の果実に噛みついて口全体で胸をチュパチュパと音を立てて思い切り何度も吸い上げる。
「…あ、あっああ!?いっああ…やっ…やああっ」
ベルは背筋を反り上げて口が酸欠を起こしたようにパクパクとさせだらしなく涎を零し、目は完全にイッている。並外れた嗅覚を持つ僕の鼻がすでに女性独特の密液の匂いを感じ取っていた。この分ではベルの下着はもうグショグショだろう。僕が途中から獣の牙を生やしモチ肌の胸に牙を食い込ませそこから大量の魔力を送り込んだのだ。
(ママ…このままボクのベッドに横になろうか。沢山噛んであげるからママのおっぱいもっと味あわせて、このおっぱいはもう僕のだからね)
「ひゃ、ひゃい…みゃみゃの、おっぴゃいはアヤト君のもにょれふ」
ベッドに仰向けになった上に僕が乗ると僕はベルの胸を心ゆくまで味わう。
(ママのおっぱい最高だよ…それにこの肌、モチモチして気持ちがいい。どこもかしこもママの身体は美味しい)
牙に食い込む弾力が気に入って僕は何度も胸以外もベルの肌に歯型を残し吸い付いたり舐め回したりしたが、すでに僕の魔力を大量に受け入れて魔力酔いしたベルには快感しか生まれない。成る程、僕に愛される為に作られただけはある。
「ああー…んっアヤ、トくぅん、ママ…おかしくなっちゃ、うううっ」
シーツが濡れる程にベルの密液が溢れてはいるが、今の赤子の僕では流石に牙ならともかく雄芯は使いモノにはならない。
(ねえママ…パンティ降ろしてグチャグチャになったいやらしくて恥ずかしいお漏らしおまんこみせてよ。もっとおかしくしてあげるから、さ)
僕の言葉にベルは腰を揺らしながらパンティに手を掛け、震える身体でズリ下ろそうとすると…
(ママのパンティ…すっごくいやらしい、糸引いてるよ)
「ああ、らめれしゅ…見にゃい、でえっこんな、いやらしいママでごめんにゃしゃい…嫌いに、にゃらっないれ…っ」
顔を真っ赤にして吃逆を上げて泣きながらベルが僕に懇願する。そう、ベルは僕の言う事には逆らえないんだ、そういう生き物だから。分かっていて僕はやっている。普段見た目が貞淑な貴婦人の彼女の娼婦顔負けの今のいやらしさのギャップが堪らない。僕がベルの下肢の濡れた場所にある花弁を両手で押し開くと溢れる程の密液がゴボゴボと音を立てて溢れ落ちてくる。
グチュチュ…グチュポ…
(なんてはしたなくていやらしいんだ、ママ…涎を零しながらアヘ顔浮かべてこんなにお漏らしして、こんなにシーツに濡らし、て…っ)
僕は顔を寄せてベルのそこへむしゃぶりつくと、ベルが許しを請うような嬌声を上げる。
「らめえ…っ止まらにゃくにゃっちゃう、もう許してえ!!」
(全部飲んであげるよ…ママのいやらしいお漏らし。全部飲んだら思いっきりおまんこ噛んであげる、ママどうなっちゃうんだろうね?)
噛まれ癖がすでについてしまったベルである。何度も噛まれながらイッてしまい、今はイキっ放しで下肢から溢れる愛液が止まらない。
「らめ、らめらめえ…っ!!ママ死んじゃう、アヤト君におまんこ噛まれながら気持ち良過ぎて死んじゃう…から、あっああ!!また、またいっぐううう」
唇のような下肢の花弁がいやらしく誘うようにヒクヒクと僕の愛撫を請うように僕の舌と唇に絡みついてくる。ああ、本当いやらしい身体をしているベルは。思いっきりそこに噛み付いてやると全身痙攣を起こしながらイッてベルは白目を剥いて失神してしまった。ここまでか、と僕は内心舌打ちする。父様が言った通りこの辺が失敗作の限界なのだろう。慣らせば僕の成長に合わせて何とか使えるのかな?確かに父様の言う通り足りない分は数に頼る事になるのかと、実体験で納得した。
(ご馳走様、ママ。凄く美味しかったよ)
僕はドロドロになったベルの顔の鼻先にチュッとキスをする。とりあえずベルが目を覚ますまではこのままだな、と溜息をついてベルが目を覚ますまで待つ事になった。
「も、申し訳ございません…っ!」
目を覚ましたベルは真っ青な顔でベッドから身体を起こして今は平謝りの土下座をしている。ベルが謝る事は何もないのにな、僕は実験かねて少し遊んだくらいの気持ちだった。だがそう言ってもベルの涙は止まらない。
(…分かったよ、ベル。お仕置きが欲しいんでしょ?お預けと自慰禁止どっちがいい?どうしても我慢出来ない時は僕の前でする事。お預けは一度したら次の機会はもうないかもしれない、どうする?)
「…お預けは、嫌です。私、ご主人様無しではもう生きていけません」
顔を真っ赤にしながら小さな声でベルがそう答えた。
(もう僕の許可無しでベルの身体には誰も触れられない、ベル自身も。我慢出来る?もし約束を破ったら…ベルは父様に返すよ、僕は嘘が大嫌いだ)
「守ります、私の身体はご主人様のもの。お疑いならばどうぞ奴隷の首輪でも呪いでもなんでもかけて下さいませ、この身、この命すでにご主人様に捧げたモノです」
ベルの真摯な言葉に僕は首を傾げる。奴隷の首輪に呪い?何だろう拘束的なナニかか??
「奴隷の首輪…?ああ、色々種類はあるが大体は主人の命令違反をすると奴隷をしに至らしめるモノだな。首が絞まったり、毒を注入したり、首輪だけでなくアクセサリーの形をしたものが他にもあるぞ。呪いも似たようなものだ」
父様が仕事の合間に顔を出してそんな事を言った。SMの道具にしてはハード過ぎるな。死姦とかならそれもアリなのか??
「…オマエ赤子の姿でそんなおっそろしい事考えるなよ。うーん…だがこの世界の性行為にはオマエの考えてるような性的娯楽要素なモノは殆ど無い、な。なんせケダモノだろ?性行為というより交尾、快楽は精を出した時に感じる瞬間的な刹那感にあるというか。難しいな、この身体になってからご無沙汰なオレには」
(…僕の方こそ父様の口から交尾の単語が飛び出した事に驚きだよ。父様、一応純潔の神様なんだからその辺気をつけないと)
この世界にも宗教はある。勿論主神は父様。他にもそれを帯びた宗教があるけれど父様は殆どその辺は自由にさせてノータッチらしい。僕の宗教もあるそうだけど、破壊と欲望の神…うーん、あからさまにロクでもなさそう。ここはスルーだな、僕も…でも父様を崇める宗教なら改宗してもいいかな。
「オイ、神のオマエがオレの宗教に入るとかどう考えても可笑しいだろうが。正直思い込みが激しくて極端な連中が多いようだからノータッチだ、いいな!オレも関わり合いたくない、銅像拝むより目の前のオレでいいだろう」
(ふふ…それもそうだね。僕の目の前にいる神様の言う通りにするよ)
こうして僕の異世界生活が3000年目にして始まった。
不定期更新になるとは思いますが、ゆっくり続けて行きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。