「へ…?それって本当に大丈夫なんすか!?」
御前会議が終わり1週間交代の休暇を入れ替わりに取りながら、神都と領地で過ごしていた聖獣御前会議の全員に召集が掛かったのは御前会議が終わり1ヶ月位経った頃の事。
今素っ頓狂な声を上げたのはウサミミこと聖獣マーチラビット=ヒューズである。破壊と欲望の神フェンリル=ホープトレジャーの将来冒険者になりたいんだあ、の発言を受けたグランドトレジャーが基本案を練ってから聖獣御前会議に召集をかけたのだ。
「大丈夫って何がだよ…大丈夫にする為にボクはこれから10才までに勉強するんだよ。剣と魔法と冒険者とか、ギルド関連の事に一般知識とかをさあ…分からないかなあ、ウサミミ君」
「ふぎゃああ…っ!?」
ウサミミことヒューブの額のど真ん中に、ホープがダーツのようにして投げた羽ペンが突き刺さりヒューブは悲鳴をあげて椅子からひっくり返る。
「い、いらなくない…!?ホープ、それ以上強くなってどうするのさ?」
「サーシャ兄様…それ逆だよ、考え方が。ボクの力を振るうより剣と魔法のが安全なんだよ、この世界的には。この世界に存在する力は基本この世界で生まれた神ならば全て扱う事が出来る…でも、ボクにはその使い方が分からない。だからその説明とか見本を見せてくれるだけでいいんだ…つまり」
対面に座り席を立ってホープにそう告げたサーシャの言葉に聖獣御前会議を見やりながらホープは話を続ける。
「…これまで君達が見てきたボクの力は破壊と欲望の神に由来した力、神の存在をも消滅し得る力の一片に過ぎない。この力は加減しないと父様の創造したものも復元不可能なまでに完全消滅させてしまう、使い勝手がかなり悪い力なんだ…そうだな、神というのは不滅である上、常に力が成長し続ける小宇宙みたいなものかな。ボクは父様の創ったこの世界を出来るだけ壊したくない、この世界に存在する力なら父様の力と自然回復力で修復が可能だ」
ホープがそこまで話しをした所でビフレスト城の宝物庫から持ち出して来た魔剣を取り出した。そして思いっきり振りかぶり会議室の机に振り下ろす。だが机にぶつかった音がしたのに机には傷が全くつかない。
「ボクが切ろうとしなければ切れない…切ろうとすれば簡単に切れる、粉砕しようとすれば切れずに粉々になる。本気で切ればもう2度とこの切断面は机と接着出来ない。力を込めれば消滅、加減しなければ微粒子すらもこの世界に残らない」
そしてホープが今度はコツンと軽く叩く様に魔剣を机に当てると果物ナイフで切れるように机がスパッと切れた。その後ホープがその切断面を合わせると今の出来事がまるで無かったかのように机は元の姿に戻ってしまう。
「…と、こんな感じになる訳だ。まあ、父様は世界の物理法則を無視したボクの力を奇跡とかチートとか言うけれど振り回すのは結構危険なんだよね…今のは破壊と欲望の力、これまでに見たボク達の数々の奇跡は万能に思えるかも知れないけれど全てボク等は自分の力を応用して使っているだけ。父様の持つ創造と同じボクもこれが唯一の力なんだよ…唯一の力故の絶対的な力を持つ唯一神にあたる。3000年前にこの世界に現れた全知全能の中途半端なオールラウンダーのクズ神とは違うんだ、父様とボクは」
「まあ…そういう訳だ。とりあえずこの間の御前試合を見ているからその辺はもうホープは扱える、後は基礎。そしてあらゆる武器と魔法の扱い方。この世界の安全の為にもなんとしてでもホープに叩き込め…戦えとは言わん。そして冒険者ギルドと他ギルドの事、神宮の外での生活をする為の基礎知識…まあ常識的な事も教えてやってくれ」
グランドトレジャーがそう言って話しを終わらせた。だが聖獣御前会議は神2柱がこの場を退出した後も更に話し合いを続けている。
「確か…これらの関連資料を全部見てみたけど、冒険者ギルドには新人向けの講習会が積極的に行われているし、商業ギルドは職業の斡旋もしているからその職業をする為の職業訓練機関が存在している。ホープトレジャーが冒険者ギルドに仮登録が出来るまでの2年弱…それまでに武芸百般、魔法百般を見せ、基礎を教え、更にはこの世界の常識をも叩き込まないといけない訳だ」
サーシャの言葉に皆大きな溜め息を漏らして顔を俯かせた。誰がそれをやるのか…最早我が身を守る為に仲間を生贄に差し出す気分である。皆が仲間内に視線を泳がせているが誰も目を合わそうとはしない。
「皆…これは我々の普段の仕事の、その合間にやらなくてはならない。諦めろ、全員だ。当番制、当然そうなる!そう為らざるを得んっいいか!?ここは一蓮托生となって…っあ、いや皆一丸となってホープトレジャーへの英才教育を行うのだ!!」
《やっぱりかあああ…っ!!!!》
聖獣御前会議に与えられた神2柱の命令には絶望以外は選択肢すら存在しなかった。こうして彼等はここにホープトレジャー常識化?2年計画を立てる事になる。
そして数日後、その計画がついに実行される事になった。
只今神宮女官長のベルレシア先生とケルベロス三姉妹一の才媛である僕の側近ローザ先生による一般常識基礎知識の授業を受けている。今回はお金編。リズにも買い物を頼む事があるかもしれないから一緒に勉強しようと誘ったら、隣で一生懸命にリズはノートを取ってくれている。
「えええええ…っ!?神都のお金って円なのお…嘘おっ」
「いえ…本当です。主要5大国にも独自の貨幣がありますが、全世界共通の貨幣が存在しそちらがこの世界の主流になっております。神都の円はグランドトレジャーがご主人様がお生まれになった際、それを記念して貨幣を円としました。世界で最も信頼度が高い神の保証付きのお金とされています」
転生前と同じで数の単位の扱いが十進法なのは僕も助かっていたんだ。僕がこれまで使っていたお金はビフレスト城の宝物庫に溢れていたゴールドのインゴット。父様はそのままお金としても使えると言っていたけれど金塊とか原始時代のンギャートルズな世界だよ、それってどうなの…と思い僕は神宮で世界共通の貨幣に両替してからこれまでお金を使っていた。ゴールドのインゴット一本当たり神都の円に換算して1億円…
現在の僕の財布?の中身、そして現在の貨幣と円の単位。
白大金貨=1000万円×9枚
白金貨=100万円×9枚。
大金貨=10万円×9枚
金貨=1万円×9枚
大銀貨=5000円×1枚
銀貨=1000円×4枚
大銅貨=500円×1枚
銅貨=100円×5枚
どうしよう…今はメチャクチャ重く感じる。。
嘘でしょ、誰か嘘だと言ってえっ!うわーん、マジかあああ…!?あの白大金貨1枚で1000万円!?どう考えても8才の僕の財布?に入れる物じゃないでしょうっそれに父様!親バカ炸裂だ、なんで円にした!?そりゃあ円、僕も助かるけどさあ、でもっでもファンタジーがあああ…円。ええんかあ…円、ううっダジャレてる場合じゃない、しっかりしろ僕!
ちなみに神都の円は、転生前の僕の世界と価値が殆ど同じだった。聞いた話では神都の平均賃金にあたる成人初任給は約15万円、だよねー…ヤバイ父様の常識、何がゴールドのインゴットはそのままお金として使えて便利だよ。そりゃあ使えるらしいけど使っちゃ駄目だろい。
ファンタジー的に僕は今まで通り世界共通の貨幣をメインに使うか…呼び方もいい感じ。金=ゴールド、銀=シルバー、銅=ブロンズ。つまり1ゴールド(=ゴルド)1シルバー(=シルバ)1ブロンズ(=ブロン)、又は金貨1枚銀貨1枚銅貨1枚となるらしい。これは人によるので相手に合わせればいいそうだ。
だがボクよ、くれぐれも忘れるな。インゴットと円の価値を…破壊と欲望の神はお金に関しては転生前と同様、完全に庶民派を貫くぞ。この間の御前会議で何本インゴットを使ったかなんて僕に聞いては駄目だし、思い出してもいけない。箝口令を出してでも、だ。マジお願い泣
正直に言って現状驚きの連続でエロス枠の入る余地が全くない。完全に先生と生徒と化している。後でリズと復習をしなければ…勿論ガチで勉強だぞ、リズ。一緒に頑張ろうなっ!
「あ…無理、無理無理。そんなの恥ずかしくて死んじゃう、セバスチャン先生、何とかならないのソレ」
午前中のケルベロス三姉妹との座学を終えて、午後からは魔法と武術のお勉強の開始となった。現在万が一に備えて父様自慢の結界が張られた闘技場に来ている。午前中に僕の授業を覗き見していた父様が汚名挽回とばかりに神宮侍従長こと執事セバスチャンを連れてやってきたのである。エルフ族の賢者と呼ばれる全属性魔法の最高峰と呼ばれるエルフ族の誇る魔術師だそうな。
「…っですから、私の名前はエルフ=サムバーティです!何故執事ならセバスチャンになるしかないのですか、ホープ様」
「それは説明すると長くなる…ってか、それよりヤバイよあの呪文。あんなの人前で叫んで魔法打つの?厨二病なの、セバスチャン!」
父様と一緒に僕は憐れむようにサムバーティを見遣る。サムバーティが僕達のそんな様子にプチパニックを起こしている。そうか、世界の最高峰がこれなのか…ヤバイな魔法。羞恥プレイとしか言いようがない。このままでは僕の魔法は黒歴史として残ってしまう。
「なあ、ホープ…別にいらなくないかあ?」
そう言って父様が見様見真似で、闘技場に土壁を標的代わりに創造しそのままサムバーティの打った魔法を放った。土壁にはお手本通りの魔法が完璧に決まっていた、流石超天才。まだこの魔法の解説も始まっていないのに…でもそうだよね。微粒子の動きまで完全に掌握している父様ならこんなの楽勝…ってか流石チートの本家本元。
「あ…成る程。無詠唱魔法ね、流石父様っ!これならボクも使えるよお」
「ちょ…っちょっと待ってください、ホープ様はご身分をお隠しになるのでしたら無理です!無詠唱魔法は私でも不可能…バレますよ、絶対にっ」
そしてそのままサムバーティの魔法講座が始まった。感覚でやってしまえる父様と違ってこの世界の事を分かっていない僕には必要な知識だ。
聞けば成る程…と僕は思った。魔法は超能力みたいな能力じゃないんだ。この世界に存在する6属性の要素を決められた公式に合わせて集める事で発動。魔法陣と理屈は同じ…でも待てよ?わざわざ生物でもない要素に言葉で呼びかける必要はないよね、この世界の要素ならば全て僕達に従う。だとすると…
「これで…どうだっ!」
ドッカーンっと今ので父様の土壁が大爆発してしまった。結界もヤバイな…威力とかをあまり考えずに何となく打ってしまった。一応無詠唱魔法はこれなら出来るけど修正しないといけないな。
「…っ!オマエなあ、やり方は間違ってないけど大きすぎだろう今のは。いいか、こうやってだなあ」
「お…おおっ!?ああー成る程、浸透圧か。方向と規模をそれで調整すればいいんだね…流石父様っ」
そしてもう一発、父様が作り直した土壁に大きな穴が出来たが狙い通りに僕の魔法が決まった。方向と規模…そして今ので分かったが距離も要素に示してやらないといけないのだ。次の3回目で見本通りに僕の魔法が決まり僕の無詠唱魔法が完成した。慣れれば手順を省いてルーチン化してタイムラグを無しにした発動や時限式の自動発動も出来そうだ。
「わーいっ!恥ずかしくない魔法が出来たあああ…っ」
「恥ずかしいって何ですかもう!ですから無詠唱はバレます、要素の強制指向制御なんて神以外には絶対に不可能ですよ!!」
流石にエルフ族の賢者と呼ばれる世界最高峰の魔術師である。サムバーティは神2柱の魔法の正体にあっという間に気がついてしまった。
「うーん…唱えてるフリとかどうかな?もしくは既に唱えてました即発射!みたいな感じで…最後の必殺技は恥ずかしいけど声上げていうよ、僕頑張るっ」
「…いえ。明らかに頑張る所が可笑しいですよね、ソレ。いいですか、ホープ様。要素を使えば通常の魔法、精霊を使えば精霊魔法になります。この分でしたら精霊の制御も可能かと思いますが、優秀なエルフ族や魔人族ならば何度か見せたらバレますよ…エルフ族は精霊を使いますし、魔人族は要素を視認出来ます。多少ならば誤魔化せるとは思います、私もお二人の話を聞きながら神なればこその無詠唱魔法のやり方を確信しましたし…ですが!見た目が同じ魔法でも出所が違う全く別の魔法という事は忘れないで下さい」
サムバーティの忠告、コレは大事な事だな。エルフ族と魔人族、行動を共にする時は魔法を使う時に気をつけないといけない。僕は頷きながらその後サムバーティに色々な魔法を打って貰った。そして父様と僕は2人一緒に色々な魔法が使えるようになったのだ。父様もお忍びに出る時に使えそうだとご機嫌だった。まあ、僕達は自分の力を使っても似たような事は出来るけどね。
3時のお茶を父様と飲んでから、この後引き続き今度は武術を習うのだが父様が魔法ですっかり気をよくしてしまって2人一緒にまた訓練を受ける事になった。
「フランダース先生…っよろしくお願いしまーす!」
「力の獣人族…不詳の身でありますが、このっ聖獣ガルム=バドラッシュ…精一杯指南役を務めさせて頂きます。つきましては、ハントムーア共和国より武芸百般の強者を集めさせて頂きました…まずはひと通りご覧下さい。ホープ様は剣を主に使う予定との事でしたので対剣でこれより模擬試合を行わせます。終わりましたら基礎の解説を致しましょう」
ひと通り模擬試合を見て思った事。魔法より簡単、脳筋と呼ばれるだけはあるというのが僕の感想だ。そしてその後バドからの解説を受け、そこで武術にも理屈はあった…脳筋はバカだけだったと学ばされた。バドは最初に理科室にあるような人体骨格模型を複数取り出してから人体の急所をこと細かく説明してくれる。
如何にラクに死なせ…じゃなくて倒せるか、如何に相手を無力化するか。それは人体以外の魔物達にも及んだ。その他、他種族の習性や能力についても説明され、その話が終わってからは実戦となる。
「いいですか、ホープ様…それでは今見た技を試して見てください。先程の座学で説明したように如何に敵をラクに倒せるか、如何に素早く無力化出来るか、その辺りを念頭に置いて下さい…それらを見て気になる所があればこちらからも修正や説明を入れます」
「はーい…っ!んじゃ、肩慣らしにやってみるねえー父様やろ?」
「おう…やってみるか」
父様の言葉に皆がぎょっとしたが、大丈夫だからね?神の力を使わないならこの試合圧倒的に父様有利だもん、怪我なんてさせないし僕は不壊の存在。
『なんだこれは…っ!!!!』
皆がこれまでに見た事の無い超戦闘が目の前で繰り広げられていた。2人の戦いはドンドン慣れてエスカレートしていき打ち合いのテンポが上がっていく。
「そら…ホープ、まだまだ行くぞおー」
「ちょっ魔法とか…何なの、その複合必殺技みたいなのお!?」
本日覚えたての魔法に見様見真似の剣術…お手本通りのようで違う。父様はもう見たばかりの武術に修正を加えている。僕は覚えたての縮地の応用でその攻撃を交わした。この世界に存在する物全てを掌握している父様の背後は取れない…完全に読み負けている。となれば、もう真っ向勝負だっ!
「ふむ…中々いい気分転換になったな、ホープ」
「はあっはあはあ…っこれからは体力強化もする。今日見た父様の技、絶対全部覚えてリベンジするからね」
父様を攻めきれず、父様の攻撃を逸らすのが精一杯。超天才ほんと伊達じゃなかった。なんだかチェスの盤上で遊ばれたみたいで背後は一回も取れない。悔しいな…一緒に勉強したのに、父様の中ではもう記憶するだけじゃなくて既に解析して技の全てを昇華させてある。
1時間程僕と父様は打ち合っていたようで、僕のスタミナが限界で終了。初日だからこんなもんか、と父様はコメントを残した。
「父様みたいな初心者、絶対いないからね…っ!創造神やめても闘技場で食ってけるよ、父様のチートキャラあああ」
「ククク…ッ年の功って奴だな。オマエが3000年も寝ていたから身体を鍛える暇があったのさ。この世界の力を使いこなせるようになったらオレはすぐにオマエに敵わなくなるだろうから今の内だろうなあ…うむ、魔法と武術どちらも結構楽しかった…また遊ぼうなホープ」
父様が笑顔で僕にそう言った。本当、敵わないな父様には…でも楽しかったのは僕も同じ。1人だとこんな遊びは出来ないものね。僕達は今2人、だからこそ向き合えるもう1人の自分に。
「今日はもう終わりにしよう…バドラッシュそれに皆の者、礼を言う。ホープ共々楽しませて貰った、これからもよろしく頼む」
「よろしくねっフランダース先生、皆今日は有難う…っ!」
父様と僕は皆に礼をしてその場を後にした。取り敢えずこれらの授業は週に2日の頻度で行われる事になっている。その間は予習と復習だ。この世界で新しい事を知っていくのが楽しい。次々と世界が広がっていくのを僕は感じていた。
日が暮れて夕食を終えたら風呂に入って寝る所なのだがなんだか体内の血の巡りが悪くなったような違和感があった。今日の授業で疲れたという代物ではない。ケルベロス三姉妹に贈った錬金の改良も済んでいるので僕は暫く外出する事をローザに知らせておく。
「ローザ…モルグに行ってくる、随分溜まっているようだ。サボっていたせいで循環が滞ってしまっている、後を頼む」
「…かしこまりました。ご主人様がお戻り次第改めて授業の日程を組み直させて頂きます、お気をつけていってらっしゃいませ」
僕の留守中は神様のお仕事扱いになっている。今の所ミズガルズかモルグに引き篭もって肉体的欲求の処理とこの世界の罪悪とされる魂の昇華だ。僕の肉体と精神の安定にも繋がるので定期的に仕事として行なっている。
留守をローザに預けて僕は神都の端にあるモルグへと向かった。案の定、この収容施設には既に罪人が大勢いて、死体も山一つ分位になっている。ここは正確にはニブルヘイムの棺と呼ばれる館だが、僕はモルグと呼んでいる。死体安置所と罪人の処刑場を兼ねた場所であり僕の胎内と繋がった氷のように寒い閉鎖空間だ。
「死後の世界へようこそ…神の恵みを貪りし罪深き者達よ。我が名は破壊と欲望の神フェンリル=ホープトレジャー、ここは僕の胎内にあたる。ここで与えられるのは罪悪に応じたあらゆる苦しみと痛みのみ…最終的には君達の存在は魂ごと破壊されこの世界と神々の養分になるんだ。輪廻には戻さない…君達の存在はここで消滅する事になる」
突然ここにやって来た者達が絶望の声を上げているが、僕がここで許しているのは苦しみや痛みによる絶叫の声のみ。言葉を発するには僕の許可が必要、だが今は許可なんてしない。これから家畜になる君達に言葉なんて必要ないからね…思う存分泣き叫ぶといい。君達がこれから味わう事になる苦しみと痛み、そして絶叫が僕の肉体と精神を癒してくれる。
破壊の力を抑え込み過ぎてフェンリルが、僕が、我慢に身悶えしているんだ。ああ…堪らない。肉欲に勝るこの歓喜、今から胸が踊る。さあ、お楽しみの時間だ。
以前、ここに2匹のブラックベアーを連れて来た。僕の為に子殺しをしてしまった哀れな贄。僕は彼女達をお母さんと呼んでいた。僕の仔を産み僕に美味しい母乳を与えてくれた彼女達は、僕の精の虜になってしまい産んだ仔を締め殺して僕に差し出しさらに精を求めた。
仔は美味しかった、僕の精で育ったのもあるだろうがメスと仔を殺さないという父様との約束があって僕には差し出された仔を殺せなかったんだ。この世界で生まれてくる子供は魂を込めない精で孕むと必ず魔物になり、一部の例外を除きメスの種族になってしまう。
ミズガルズの魔物を僕が喰らい尽くさないよう、繁殖させる為に僕の食糧は基本魔物のオス、メスは孕ませ仔は残す。父様の考えで僕はそうして来たが、母乳の美味しさを初めて知った僕は彼女達の巣穴に通い詰めてしまってこの結果だ。再び同じ事が起こらないよう僕はここに彼女達を隔離した。
やってしまった物は仕方がない、次は気をつけよう。だが勿体ないので母乳は残さず貰って置こうとした訳だ。最期まで僕はちゃんと面倒を見たよ。
チュパチュパッ…ンチュウッチュウ…ッチュチュウウウ
「美味ち…ちゅぷっお母しゃん、のお…チュパチュパ、おっぱい甘くて…堪んにゃいよお、ちゅうちゅう」
最初の仔を産んだのは僕の精を取り込んで1ヶ月後の事だった。お腹が膨れ始めた頃から母乳を出し始め、偶然近くを通りかかった僕がメスの匂いの違いに気づいて母乳を飲んだのがきっかけとなった。その甘い母乳に夢中になった僕は3日置き位に彼女達の元へと通い続けたのだ。
元いたブラックベアーの仔6匹は母乳を与えられずに全て餓死した。僕に母乳を与えて精を得るために仔への授乳を彼女達が拒絶し始めたのだ。何度も母乳の礼代わりに僕が精を与えた為、既に彼女達は僕の虜になっていた。子供が死んでからは僕は子供達の死骸に囲まれながら母乳が枯れるまで彼女達の胸を毎日のように貪り、精を与え続けた。そして次の仔を孕んだ時にここへ連れて来たのである。
最初の仔を殺して僕に与えた彼女達をここへ隔離してまた仔を産ませた。2週間後にはまた仔が産まれ彼女達はまた仔を絞め殺して僕に食べさせてくれた。だが3度目の仔は僅か3日で腹を破裂するようにして産まれてしまい、彼女達は産褥に塗れて死んでしまった。どうやらAランクの魔物でもこの辺りが限界だったようだ。
パン…パン…パン…パン…
ジャプッジュップジュププ…ッグチュッ、グチュチュチュッ…
「はあ、あああ…っあ…お母さ、大…ちゅきいっチュパチュパ…んちゅっにょこしゃず、おっぱい飲むう…美味ひい、赤ちゃっああ…んっありりゃと、んちゅうっおまんこ、きっちゅいの…ああ、いいお」
僕が動かなくなってしまった彼女達のおまんこに、雄芯を入れて腰を振りながら母乳を夢中に貪っている内に仔は腹に押し潰されるように窒息死してしまった。腰を振り続けながら勿論僕は残さずそれも食べた。目を爛々とさせ喜びに咽びながら彼女達に最期のご褒美の精をあげ、彼女達も死んで身体が温かい内に丸ごと食べてしまった。
僕は絶対的な捕食者なんだ、父様の与えてくれたこの生身には食糧が必要だ。そして肉体的欲求をぶつけられるのは現状魔物だけ。これはどうしようもない事だと冷静に考えられる僕の思考は普通じゃないのだろう。転生してからはそれが当たり前のように僕には受け止められる。これが神という存在なのだ。
僕はもっと力をつけないといけない、食べなきゃいけない。父様の分も沢山食べて僕を産み落としてその力の大半を失ってしまった父様を元の状態に戻してやらないといけないんだ。今の父様は水しか飲めない、僕に殆どの体内の力を注いでしまった。今のこの世界は循環で賄われているに過ぎない。
だから父様の為なら喜んで僕はそれを受け入れる。ああ…父様、僕本当に貴方の事が好きなんだ。純潔の身体にしか受肉出来ないなんて貴方らしいけれど、その両性体の身体に許されるのなら僕の全てを注ぎ込んであげられるのに。
生まれた時から繰り返される僕のこの手の行為はまるでオナニーのようだ。父様をオカズにして自慰をしている感じがする。父様の為に一緒に生きる、その為ならば僕は喜んでこの行為を受け入れる。
僕は拷問部屋にある拷問器具に生きた生贄達を誘導する。身体が勝手に動いて困惑したり、涙を流しながら全身で抵抗を示しても思い通りに身体は動かせない。次々と拷問器具に設置されていく数百の生物達…そう、ここは僕の胎内。僕の意思に君達は抗えない、死ぬ事しか出来ない。僕が満足するまで何度でも生き返り何度でも死ぬんだ、想像を絶する苦しみと痛みの中にあっても僕が君達を発狂も気絶もさせない。
さあ、これから僕の為に苦しみに悶えそして痛みに絶叫してくれ。不壊の僕には痛みや苦しみをこうやって味わうしかない、僕の神経は性感帯に属した苦しみや痛みでしかないんだ。この身体は常に歓びを求め、精神は破壊を求め続けている。
グチュア…ギチギチギチギチイイイ…ジュブズブブッボア
「ぎぃやああああ…っやべでえええっ」
「ひいいい…っぢぬう、もぢぬううう…っ死なせっ」
僕の胎内で一斉に拷問器具が動き出すとここにいる生物達の拘束を全て解放してやった。何度でも君達はここで生き返って死ぬ、僕が満足するまで。満足したら消滅だ、君達のような罪人はこの世界には必要ない。故に輪廻には戻さない、この世界の…僕達の糧となれ。
「あ、はあああ…イイ、凄くいいよお…なんて濃密で甘いんだ。ドロドロとしたこの触感、血肉の味…脳に、精神にこんなにもねっとりと、ベッタリ絡みつく。まるで呪いだ、はああっ堪らない。なんて甘美な…さあ、もっとだ。もっと僕を喜ばせて」
僕は両手足を引き千切られてのたうつ四肢欠損の女を仰向けに抑えつける。何をするかなんて、踠きながらそんな困惑な顔を浮かべても大体察しはつくでしょう、お姉さん。
片手でジタバタするその女を抑えつけながら、僕は空いた片手で腰のベルトとボタンを外しチャックを下ろして反り返った雄芯を取り出した。
「あーああああ…っ!?やあああ死ぬう、そんな死んぢゃあ」
「あははは…っそんな姿でまだ生きたいの?まだまだ結構マトモだね。へえ、君は孤児院に子供を引き取りその子供を食べちゃってたのか。ミックスにしては随分魔族の血が濃い、人間族が生んだ突然変異種…ね、なるほど」
ミックスとは混血種の事だ、ハーフブラドとも呼ばれ人間族が時々産み落とす両方の種族の特性を持った突然変異種のひとつである。人混みに紛れて暮らしているが、国で暮らすには届け出が必要。でも国内で出産してしまった場合、届け出をしない者もいるし魔物の森に仔を置き去りにするとかもあるそうだ。国の審査を受けて害を及ぼさない者ならば普通に暮らしていける。だが審査後体質変化が起きる事があるらしく、原因は個体によって色々存在している。
僕が今押し倒しているこの女もそうだ。だが手足を再生する程の魔力はない、僕の胎内にもう魔力を食べられてしまっている。この胎内にいると個人情報は僕には丸裸だ。善人ヅラをしたこの見た目が敬虔的なシスターはグランドトレジャーの名の下に祭壇に子供を供えて喰らっていただと?ふざけるなよ、本当っ
ズブブブブブ…
「ぐっ、ぐあっ!?んぎぃやああっ…あ!!」
僕は雄芯を獣芯に変えおまんこを慣らす事無く獣芯を力任せに突き刺した。白目を剥いて泡も吹いているが失神はさせない。グランドトレジャーを嬲る行為をした罪人にかける情けなど僕には持ち合わせてはいない。女の口から獣芯を飛び出させながら僕は腰をグラインドさせて振り続ける。
「ラクに死ねると思うな…君は最後だ。他の者を死なせても君だけは死なせない、何度でも生き返らせて殺してやる。これから朝まで君は僕の便器だ」
絶叫と罪人達を噛む触感と味に僕は歓喜し、今宵の獲物を選ぶと思う存分子種を入れて精を解き放つ。何度も、何度も…この部屋が僕の精に浸るまで。
ジュブボア…ッ…ジュボッジュボボボ…ゴボボボボボッ
ブチャ…イャ、ベチャアチャチャチャアアアッ
「んっにゃ!にああ…も止まんにゃっあ、ああんっ出りゅう…もイクっしぇ、えき。お…ちっこ、もいっぴゃ、い…れちゃっあ、ああっああああーっ!!」
ああ…僕の中に荒れ狂うフェンリルが久々の生贄にご満悦のようだ。ここに来るまで澱んでいた僕の血の流れがドクドクと活力に満ちて流れ始める。僕は身体を震わせ、涙を、鼻水を、涎も、排泄物すら全てを洗い流すように垂れ流しながら腰を女のように唸らせて最後の精を吐き出した。このアヘ顔だけは誰にも見せられないな。
「っんう、ごちしょーしゃまあ…」
気付くとこの部屋にいた存在は全て僕のお腹の中。既に僕の胎内でもあるこの館が死体を全て食べ終えていた。肉体と精神、同時に満たされる至福のひと時である。
取り敢えずシャワーを浴びてこのままひと休みしよう、今夜はいい夢が見れそうだ。
漸くホープの冒険者になる為の勉強と一般常識の授業が開始されました。冒険者になるまではまだもう少しかかりますが頑張って冒険者まで書いていきたいです。正直、冒険者の所から話しを始めたかった位だったので…先が長くなりそうなまだまだ序章な話ですがよろしくお付き合いお願いします!
どんどん設定が飛び出してきて、収集つかないなあ…見返して書くのが本当に大変です。書く速度は最初に比べ落ちていってます。気合いで乗り切れる所までは頑張ります笑