※この作品はR-18です。

破壊と欲望の神の為の楽園   作:Möbius Klein

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※男×雄、男×両性(主に男性)、主従、SM、調教ぽい何か?猟奇的描写(食人等遺骸損壊他)や同性愛的描写(ボーイズラブっぽい何か?)を多く含みますので閲覧には十分ご注意下さい。

この作品の外伝集も良かったらお楽しみ下さい。外伝3更新しました!
R15作品のシリーズとして本編の合間に消化予定。
https://syosetu.org/novel/195952/


第30話 神の交歓

僕は神獣フェンリル=フローズヴィトニル。破壊と欲望の神フェンリル様と今の肉体を共有しながらニヴルヘイムの柩の番人をしている。フェンリル様と僕は肉体と精神の飢えを満たす為、ひたすら肉欲に溺れる生活を送っていた。

 

だがこれまでフェンリル様と2人でそれらをやり過ごして来たがここに同志が加わった。死の聖母アルプトラ=サンタグリム…僕達が漸く得られた育ての母とも呼べる存在だ。彼女は僕をフェンリル様と呼び、フェンリル様をホープトレジャーと呼んで僕達に身も心も捧げて仕えてくれている。

 

僕とグリムの主は破壊と欲望の神フェンリル様なのだが、彼女は神獣フェンリルつまり僕が居なければ飢え死にしてしまう僕に依存した存在故に僕にも仕える形になった。グリムは満月を挟む三日間、このニヴルヘイムの柩であらゆる雄達によって尻の穴から精を注がれこの世で最も汚れた存在となるが僕とフェンリル様によってその汚れを浄められながら生きている。

 

満月を前にグリムは腹がパンパンになるまで尻の穴から雄達の精を受け入れ、フェンリル様に再生された女性器から体内に移植された魔物アルプトラウムの子宮に精を注がれ尻の穴から雄達の精で腹を満たしたアルプトラウムの仔を産み落とし、フェンリル様の精で浄められて行くのだ。グリムの尻の穴から零れ落ちるように生まれてくる無数の蛇をフェンリル様は腰を振り続けながら狂喜の表情を浮かべ丸一昼夜もの間、その魔物の仔を喰らい続けた。

 

げっそりと痩せこけたグリムの上の口から僕はグリムの、アルプトラウムの食料となる僕の排泄物を直接与えると青褪めた顔色は恍惚の表情へと変わり、僕の雄芯と尻の穴に吸い付きながらグリムは夢中になってフェンリル様の雄芯をおまんこに咥え込みながら腰を振っていた。

 

体内から溜め込んだ雄達の精が無くなる頃には彼女の中は僕の排泄物とフェンリル様の精に満たされ完全に浄められた状態になる。この世界に存在するあらゆる雄の精は彼女の子宮となった魔物アルプトラウムが仔を産むための糧となり、フェンリル様の子種を含まない精を女性器から受精する事によって魔物の仔を尻の穴から生み出していくのだ。

 

この世界では男女の交わりでは必ず雌の種族が生まれ、子種を含まない精を受精すると魔物が生まれる。その為女性は人間族と魔物以外を相手にする時は避妊体質であり、雄は自分の子を雌に受精させる為には子種となる魂を込めなくてはならない。魔物以外の子を成す場合は男女とも薬の服用が必要となるのだ。無論、神はそんな薬を必要としないがその代わりにこの世界に存在する薬からは何の効果も得られない。

 

破壊と欲望の神は日夜この世の罪悪の魂と血肉や魔物を喰らい、その途方も無い暴食で腹と欲望を満たす。満月の夜には雄の精と魔物の子宮を用いて仔を孕ませその仔をも喰らい尽くすのだ。

 

 

 

これに対し創造神ユニコーン=グランドトレジャーにも創造と再生を行う為の東の宮、『パンドラの匣』イアールンヴィズ宮が存在する。グランドトレジャーはパンドラボックスと皮肉を込めて呼んでいるが、そこには創造神ユニコーンと受肉した神獣ユニコーン=イアールンヴィズがグランドトレジャーをユニコーン様と崇め、身も心も捧げて創造神ユニコーンの為に勤めを果たしている。『叶わぬ望み』という『渇望』の加護を受け、創造神ユニコーンの精神的欲求を満たす為に、『パンドラの匣』で全身を荊で拘束されたまま口から善なる魂を取り込み続け『絶望の雫』と呼ばれる涎を垂れ流し、創造神が沐浴をしながらこの世界の生命達を生み出す為の泉を満たし続けているのだ。

 

 

 

新月の夜を挟む三日間の間、グランドトレジャーはこの宮で過ごす。両性体の聖獣ヴァルゴ=サンパウロが神獣ユニコーンの祭司として任命されており、神獣ユニコーンの排泄物を喰らいこの世界の殉教者の魂を持つ肉体と交わり、創造神ユニコーンによって子宮に移植された魔物ヴァルゴの子宮から魔物の仔を尻の穴から無数に産み落としていくのである。そこから生まれた魔物達はこの世界に次々と放たれていくのだ。

 

これらの行為は創造神ユニコーンの狂った精神を満たす為に拷問部屋が使用されておりサンパウロがその役目を終えると、性欲も排泄器官も失い水しか飲めない創造神ユニコーンの雄芯から神の聖水と呼ばれる復活の水がその身に浴びせられ『鉄の処女』と呼ばれる拷問器具に架けられ殉死を強いられる。

 

これによりサンパウロは新月を挟む三日間で生と死を味わう事になる。新月の前に蘇生され、新月の終わりに処刑される存在なのである。サンパウロが魂の寿命を終えるまでこれが繰り返されていくのだ。これは主にこの世界を循環させる為の再生と輪廻に関わる作業のひとつにあたる。

 

全身が拷問をする事により血塗れになった創造神ユニコーンは神獣ユニコーンの涎が生み出す冷たい『絶望の雫』に身を浸からせて沐浴し神の文言を唱えながら創造を行なっている。雫を満たす沐浴用の床にはこの世界の源泉とも呼べる雄芯を象ったこの世界の生命を司る魂柱が存在し創造神ユニコーンは尻の穴でそれを受け入れる。性欲もなく肉欲もない狂った創造神の精神的欲求を満たすには痛みと苦しみという名の昏い快楽と『絶望』が必要だった。

 

全身を荊で締め付けられながら産褥に塗れ創造神ユニコーンは口から新たな魂を生み出していくのである。創造神は自らの孤独を癒やし精神的欲求を満たす為にひたすら創造によって生命を生み出していくしかないのだ。この原因は3000年前に破壊と欲望の神の力によって与えられた『慈愛』と、フェンリルに与えた『希望』と引き換えに手に入れた『絶望』にあった。

 

数十億年もの間に失われた創造神の人間的な感情は、破壊と欲望の神フェンリルから与えられた『慈愛』によって次々と目覚め、半身を失った『孤独』に創造神ユニコーンは耐え切れずに発狂した。だが神は不老不死、不滅の存在である。今の創造神ユニコーンはフェンリルの為に次々と生命を生み出し孕み続ける事が望みであり、全てなのだ。創造の力しか持たない創造神はそこに完結した。愛しい子供に『神殺し』という最大の禁忌を犯させた父親は、痛みと苦しみの中でしかその罪悪感を癒やす事が出来ない。

 

我が子の欲望を満たしてやれない純潔を保ち続けなければ死んでしまう両性体の身体を創造神は呪い、創造しか力を持たない己の無力に嘆く。今もなお自分の為に罪悪達の肉体と魂を喰らい続け、自分と共に生きる為に魔物の暴食を繰り返す我が子を想う。それも全ては半身と引き換えに子を産んで精神を病んだ挙句に創造の力を摩耗させ干からびてしまった自分を助ける為なのだ。自分の為に生まれ、自分の為に生きる。分離した半身とはいえもう1人の自分、互いが互いの為に生きる…これは2人の神々には必然だった。

 

 

 

新月を挟む三日間…父様は『パンドラの匣』ことイアールンヴィズ宮へと籠る。これは誰にも言えない僕と父様の『神の交歓』とも呼べる三日間なのだ。父様は僕がパンドラの匣を覗いているのを知っていても何も言わない。この世界で唯一僕の全てを受け入れられる母体を持つ父様は、純潔を失うと肉体が死んでしまう…なんというジレンマなのだろう。そのまま精神で交われば僕達はひとつに戻ってしまう、故に母体たり得ない。だが考えてみればこの世界で僕と対になれるのは半身である父様しかいないのは当然の帰結なのだ。

 

両性体だが父様は雄芯が体内に納められていて剥き出しに雄芯が付いていないだけの殆ど見た目は男性だ。僕と分離をした時に父様は性欲と肉欲だけでなく雄芯機能も失い今は以前よりも中性的な容貌になったようだ。食欲と共に排泄器官も消化器官も失った父様は水しか飲めない。父様は尻の穴からこの世界の源泉とも呼べる魂柱の力を直接子宮に取り込み、口から魂を吐き出し新たな生命を生み出している。

 

僕がメス化するように父様の尻の穴に突っ込んでしまうと、子宮がもう僕以外を受け入れなくなり魂柱が僕の精で溶けてしまうので父様が新たな生命を生み出す事が出来なくなってしまう。僕の体液は純潔の父様には汚れに満ちていて有毒となり口付けや愛撫も出来ない。精々挨拶代わりのフレンチキスが精一杯だ。純潔の身体が帯びる嫌悪感や拒絶は父様の気持ちとは別物で、父様と繋がって感覚共有も可能な僕にはそれがよく分かるのだ。

 

 

 

僕がこの世界でその事実を知った時の怒りは父様ではなくユニコーンを生んだ種族に向けられた。一角獣モノケロース達は僕の怒りの前に跡形も無く地上から消滅したが、僕はその時父様の顔を見る事が出来ず父様も僕には何も言わなかった。正直一角獣モノケロースと同じ姿をした神獣ユニコーンは視界に入れるのも不快だ。

 

いっそ壊してしまおうか、何もかも…

 

ああ…あの父様の半身でもある神獣ユニコーンを見ていると心の中でこんな悪魔のような囁きが僕を惑わすのだ。純潔だからこそ汚したい、堪らない。いつしか父様がいない三日間、僕は部屋に引き篭もるようになった。生まれた時から僕の側で仕えるケルベロス三姉妹ですら部屋に引き篭もる殺気を帯びた僕には近づけない。

 

「クソ…ッこんな事ならモノケロースを滅ぼすんじゃなかったよっ」

精通が来てから僕は後悔で胸が一杯になった。繁殖させて犯りまくれば良かった。僕に処女膜を貫かれ精を吐き出されながら絶頂と嫌悪感で絶命する、父様の半身である神獣ユニコーンにそっくりな一角獣モノケロースとか物凄いご馳走じゃないか。考えただけでも勃起しそうだ…ミズガルズで腰を振り続けて丸3ヶ月を過ごした今の僕には罪悪感よりも快楽が勝る。それからだ…僕が父様のいないこの三日間を過ごす為に父様を延々と遠隔視で眺めながら過ごすようになったのは。

 

肉欲で快楽を得られない父様は精神的欲求による快楽でしか絶頂出来ない。父様は痛みや苦しみでは苦痛と嫌悪感しか得られないのに、それでも僕の名を呼びながら父様の精神は絶頂してしまう。僕はよくそんな父様と感覚共有をして雄芯をシコって自慰に耽ったものだ。僕は痛みや苦しみからも快楽と歓びを得る事が出来るのだ。父様は何も言わないけれど知っていたと思う…でもこれはおあいこだ、父様だって僕と感覚共有をして羞恥と欲望から苦しみや痛みを得ているのだから。

 

ドラに時々して貰う『竜の交感』…これは竜の気を使って自然の魔力を体内に循環させる事で体内の魔力と交わり、まるで母親の胎内にいるような感覚と満足感に包まれる。僕達のこの行為は所謂『神の交歓』にあたる。決して交われない僕達が感覚を共有する事で得られる擬似的一体感と絶頂感。雄芯をシコりながら僕の雄芯は父様の子宮を貫くあの忌々しい世界の魂柱とやらに化すのだ。

 

最近は幾ら吐き出しても収まりがつかない僕の雄芯については、恐らく第2次成長期が近いのだと予測している。第1次成長期の前もこんな感じに頭がグルグルになって情緒不安定になった。ミズガルズに引き篭もり魔物を喰らい捲って食欲で補おうと気を紛らわせていたのだ。そして今は目の前に僕の全てを受け止められる母体、父様がいるのだ…治る訳がない。

 

僕の唾液を含んだだけで父様は血を吐くだろうし、その身体に僕の精をぶっかけるだけで父様の肌は火傷を負うだろう。処女膜を貫けば父様は…

 

そこまで考えた所で僕は頭を振って我に返る。本気でヤバイ…父様が今パンドラの匣にいて良かった。今父様の匂いを嗅いだらぶっ飛んでいたかも知れない。

 

 

 

新月の夜はいつもの事だがフェンリル様の機嫌が悪い。僕こと神獣フェンリル=フローズヴィトニルは新月を挟む三日間の間、グリムに断食をさせていてニヴルヘイムの柩への立ち入りを一切禁止している。正直、創造神様がいないこの時のフェンリル様が僕は一番怖い。創造神ユニコーン様は破壊と欲望の神フェンリル様を御せられる唯一の存在だからだ。

 

「リートゥ…ホラ、もっと食べろ」

フェンリル様が僕を四つん這いにさせ、罪悪の腹へ僕の頭を押し付けた。僕はグチャグチャと音を立てながら必死になって生きたまま捥がく罪悪の肉体を押さえ込み罪悪の内臓を喰らっている。フェンリル様はそんな僕の雄芯を罪悪の脳みそに突き刺しもっと腰を触れと煽り立てているんだ。僕はただひたすらフェンリル様のいう通りに腰を振って肉を喰らい続けるしかない。この所、フェンリル様の食欲には際限がなく僕は延々と罪悪の肉を喰らっている状態だ。

 

さっきまで僕達はミズガルズで散々魔物達を食い散らかしていたのにコレはない。『暴食』の加護を受けている僕はフェンリル様の飢えを満たす為に幾らでも食べられるけれど、尻の穴には栓代わりに前立腺を刺激するエネマグラが埋め込まれているし、雄芯にはコックリングだけでなく尿道プラグも嵌められていて既に腸も膀胱もパンパンの状態だ。だが苦しいけれど怖くて何も言えないのだ。耐えるしかない…本能がそう言っている、今フェンリル様に逆らうのは駄目だと。ああ…フェンリル様が僕の尻肉を強く揉み込むようにしながら自身の雄芯をシコっていて、先程から尻の穴がヒクついて仕方がない。

 

「ああ…リートゥ?そんなに尻の穴をヒクつかせたら、ボクのおちんぽが…ホラあ、ウッカリ入っちゃう…だろお?」

「ひっいい…っ!?あっすみませ、締めます…っすぐ締めますからあっ」

フェンリル様が尻の穴から出ているエネマグラの根元の部分に雄芯引っ掛けるとエネマグラも一緒に腰をゆっくりとグラインドさせて動かし始める。尻がグプグプ言っているし、僕はその刺激だけでまた射精してしまった。僕の雄芯をズルルルッと罪悪の脳みそから引き摺り出し、脳みそが剥き出しになったその罪悪の頭を持ち上げるとフェンリル様は脳みそをちゅうちゅうと吸い始める。

 

「んちゅう…っああっ美味しい、リートゥ。君のミリュクの…ちゅうちゅう、詰まった罪悪の脳みしょお…っグチャグチャ」

フェンリル様は罪悪の脳みそが萎むまで吸い上げるとそのまま噛り付いて丸ごと食べてしまった。僕を仰向けにしてフェンリル様が僕の臍を雄芯の先を押し付け腰をゆっくりと回している。ああ、またヤルのか…アレ。アレをやると腹が破裂してしまうのだ。

 

「今日は君の汚物に塗れたい気分だ…ボクのおちんぽ、馬鹿になってるの分かるだろ…いくらヤッても治りゃしない」

「ぐがっがががあああ…っ」

フェンリル様の雄芯が臍から突き入れられ、腹が破裂して腸が跳ねて暴れ回っている。痛みで失禁し尻の穴にあったエネマグラも飛び出して尻の穴からも垂れ流し状態だ。僕の腸をズルズルと引き摺り出して美味しそうにフェンリル様がグチャグチャと食べている。こんなに痛くて苦しいのにフェンリル様の歓ぶお姿だけでイッちゃえる僕も大概可笑しいのだろうな。僕の体内にある汚物がフェンリル様の精で清められその内に真っ白になって僕の意識はフェンリル様の中へと溶けていく。いつもそこから先の記憶がない、新月が終われば元の日常に戻っているのだ。

 

 

 

「古代迷宮へは私が案内をさせて頂く…マッピングと罠解除には地魔法を使うのでニーニャには覚えて貰うぞ。ひと通り教えたら私とハピが交代して今度は水魔法の訓練だ…複合魔法を始めた実戦的な事はその後グリムに教わるといいだろう」

「は…はいっよろしくお願いします!」

ドワーフ族ドワーフ=ネフィリム部族長。偽名をドワーフ=ネフィ。地属性魔法最高峰の呼び名が高い彼女がまずニーニャの指導に当たる事になった。僕はこの辺のパーティー仲間の教育はホープトレジャー委員会に任せている。

 

「私は冒険者知識が担当…冒険者歴は長いから勿論古代迷宮も挑戦した事があるわ。最下層迄は流石に辿り着いた事はないけれど、依頼をこなしながら必要な知識を追加していきましょう。実戦の訓練はグリムと相談して場合によっては私の使役するビースト達がお相手するわ」

人間族ヒューマン=ブルガザリィ上級令嬢。偽名をヒューマン=ロザリィ。古代遺跡をメインにビーストテイマーとして活動するBランク冒険者である。僕がいるとビースト達が中々姿を見せてくれないんだよ、別に食べたりはしないんだけどね!?

 

「…今日だけ途中まで同行するぞ、オレはアヤトへの愛の鞭担当という所だな。他にやる事があるから途中で抜ける、まあ放置はマズいからドラに後は任せていく」

「愛の鞭引き継ぎ担当官ドラ…今日はビシバシいきますよ、アヤト」

何だよそれー!?愛の鞭…怖いよ、ソレ本当に冒険者をやる為に必要なのか。いや超天才の言う事に間違いはない、と思いたい。だがそんな事を考えていた僕には全く想像も出来ないような難問が古代迷宮で僕を待ち受けていたのである。

 

 

 

「ぎゃああああ…っアヤトお、大量虐殺はもうよせえっ自然に優しくだあ、オマエがヤると古代迷宮でアイテムがドロップしねえだろうがあ…っ!!」

「やめたげてえ…っ!幾らでも復活するとはいえスライムにも五分の魂って、もう!寸止めが無理なら…荷物持ちに専念して、モンスターは全回避よおっ」

「ぶつかるだけでもアウトなのか…アヤト、ここはボク達に任せて」

古代迷宮は父様が循環魔力を利用して作った代物。ここの魔物は死ぬと消えてしまう代わりにアイテムや宝箱をドロップする。ただそこには厄介な問題があった。父様の言うオーバーキル問題である。

 

「ちょっとお…っこれでもオーバーキルしちゃうのお!?」

「アヤト…言っただろ?古代迷宮にいる魔物はモンスターとして扱われ、ダメージ計算のオーバーキルは9999迄だ、9998迄で倒さないとアイテムがドロップしないし経験値も入らないぞお」

そう…ここにいる魔物、モンスターは外にいる魔物みたいに弱体化をさせる為に腕を切り離してもトータルダメージが9999に達したら消えてしまうのである。なんて面倒臭いんだ。故にアイテムはドロップせず経験値も手に入らず魔物は消えるだけ…魔物の素材収集も出来ない。

 

「いや…普通9999のダメージなんて出ないからな、基本オマエ以外には何の不都合もないんだよ…この古代迷宮は。手加減の訓練には丁度いいだろ?」

「お宝ドロップしないとかあんまりだよお…っこんなのただのシューティングゲームじゃまいかあ、しかも景品無しとかさあ…ないなあ、コレ」

僕は思考錯誤をしながらあらゆる手段を試みるが中々9998迄にダメージを留める事が出来ない。パーティーメンバーからはスライムの大量虐殺を繰り返す僕にやめてくれえっの声が上がっているけれどやめてたまるか、僕はこのスライムから『やくそう』か『ひのきのぼう』でもいいからゲットしてみせるぞ。

 

「あー…アヤト、そこはポーションな。オマエに分かりやすくいうと古代迷宮はドラコーンクエストじゃなくファイファイ…いやFF形式だぞ」

「そんな気してたあ…っオーバーキル99999とか出てるもん、いいよもうそんなのどっちでもお…うわーん、とりあえず何かアイテムを吐き出せえっこのクソスライムう」

僕は今半泣きになってスライムを相手に戦っている、倒してもすぐに定位置で弱いモンスターは再ポップするそうだ。当面のボクの敵はオマエだスライム、僕はオマエからお宝を貰うまでは諦めないぞっ

 

「フ…ッ予想通り、アヤトがスライム地獄に嵌った流石オレ。ここまでは超天才の計算通りだ…ドラはアヤトの世話を頼む。オマエ達は先に行け、アヤトがこの課題をクリア出来れば直ぐにオマエ達に追いつくだろう。それまでに古代迷宮を先に進めて置くんだ、レベル20とかなら10階層位までなら何とかなると聞いているが?」

「そうですね…次の階層への入口の手前にはワープゾーンがあります。これはステータスボードの登録をする事により、次の階層への移動と古代迷宮の入口に移動が可能です。今日一日で進めるだけ進めておきましょう。その内キャンプをする形になります…下階層に進む程、古代迷宮は広く複雑になって行きますから」

そんな話をしながら皆は僕を置いて古代迷宮を進んだ。父様は神宮に戻り、ドラと僕がこの場所に取り残される形になった。完全に僕はこの古代迷宮では足手纏いである…うわーん、なんでだよっ

 

 

 

「おいドラ…手本ってドラあ、何呑気にスマフォーンで遊ぼうとしてるのかなあっ!?空気読めよ、このKYっ」

「いえ…アヤトがスライムからお宝をゲットするまでの時間潰しにグランド氏から支給されました。アヤト、心から?応援していますから頑張って下さい…見本はソコに置いておきました、ではっノシ」

そうしてドラはピロロローンッとゲーム音を上げながらゲームを始めてしまった。ドラが見本として置いたのはトドメを刺さずに加減したHPが1のスライムである。同階層内なら移動が可能なのでドラによってそのスライムは拘束された状態にある。

 

「何で同じスキルや魔法を使ってもダメージ計算がこんなに違うんだろう…規模も距離も同じ筈だし、ボクは神の力を使っていない。この世界にある要素と魔力だけ…うーん」

僕はスライムと見つめあいながらスライムのステータスボードとダメージを交互に確認して作戦タイムに入った。父様にはアイテムドロップしたんだよ…考えられるのはあのクソ忌々しい破壊と欲望の力位なのだけれど『不壊』の力以外、一体何の力が邪魔をしている?神々にステータスボードがない事と関係があるのだろうか。

 

この世界に生きる存在は父様による完全ステータス管理だが、このモンスターは生き物というよりは玩具だろう。確かにHPがゼロになれば死ぬけれど循環魔力のおかげで直ぐに生まれ変わるようにステータスがリセットされて再生する。同じ個体でもステータス値は毎度バラバラ…それなのにダメージ計算だけが9999で固定なんだ。つまりアイテムや宝箱のHPイコール9999となる訳だ。9998以内のダメージで倒さないと消えてしまう…コレをクリアしないと僕は古代迷宮に存在する全てのモンスターからお宝がゲット出来ない。

 

「うーん…僕が破壊と欲望の神の力を発動しちゃうとステータスのリセット機能も再生機能も全て破壊されてしまうしなあ。どうしたものか」

一体どこが違うんだ…僕の振るう攻撃と皆の攻撃。力加減を真似てもダメージ値が全く違う。急所を外そうが一撃でダメージが99999…万単位の測定不能のオーバーキルになる。待てよ…古代迷宮の中だけ循環魔力でモンスターがポップされているのなら9999が循環魔力の最大値という事になるのか。

 

この世界で攻撃力9999以上の存在は僕と父様以外にはいない、そもそも僕と父様にはステータス自体が存在しない。ボクのステータスボード擬きはこの間のジャッカロープの大量虐殺でレベル3になったのだけれど普通ならアレでレベル30は超えているらしい。ステータス値だけでなくレベルアップ経験値にもステータスボードには個人差が存在するようなのだ。父様は僕との模擬戦だけでレベル200を超えた。レベル200までに習得したスキルや特殊能力が関係しているのではないだろうか…父様は神の力を使わずに9998のオーバーキルを叩き出していたのだ。

 

えーと…ステータスボードにスキル説明があった筈だ。それでも駄目なら父様の図書館でステータス関連を調べないといけない。僕はそこでドラに縛られたスライムを放置してステータスボードと睨めっこを開始した。

 

 

 

これかあ…っ!?『会心の一撃』っ

 

レベル10以下の獣人族には皆その特殊能力が備わっているらしい。これは神獣フェンリルのステータスボードに記載があった。そうなんだ…この身体は僕が受肉しているけれど元々神獣フェンリルの身体なのだ。肉体は共有していても現在ステータスは別々に存在している。ステータスボードを元々持たない僕のステータスボード擬きと神獣フェンリルのステータスボードである。

 

受肉したこの身体は神の力を使わない状態の僕では神獣フェンリルのステータスボードの影響下にあった。僕には神獣フェンリルのステータスは覗けても自分のステータスボードとしては扱えない。だが僕のステータスボードと神獣フェンリルのステータスボードはリンクしているのだ、よって神獣フェンリルもレベルは3。ああ…なんてややこしい事になってるんだ、コレ!?いや、ステータスボードを2つも持ってるのは父様と僕だけか、うん…。

 

ふふふ…レベル5未満の獣人族の会心の一撃、つまりクリティカル攻撃の確率は100%なんだってさ。だが普通の獣人族ならば100%でもオーバーキルの9999なんて出ないのだ。コレ、僕専用の罠スキルとしか思えない。そして考えられるのは神獣専用の特殊能力『ダメージ限界突破』…これによるリミットブレイクの二重罠。コレも駄目だろい、神獣って実はチートキャラなのか!?

 

レベル6から会心の一撃の確率が下がり始め、レベル10で10%の固定になるらしい。せめてこの会心の一撃を20%以下にしたい、多分コレでオーバーキル問題は解決する筈だ。よし、今までサボっていた分レベル上げをするぞ!当面の目標は目指せ、神獣フェンリルのレベル10だっミズガルズに引き篭もるか、父様と帰ったら模擬戦…これしかないっ

 

 

 

「よう…やっと帰ってきたか、待ってたぞ。いい頭の体操になっただろう、下半身だけでなく頭をたまには使ってやれ…超天才のオレの子なんだ、鍛えれば脳みそも普通の天才レベルにはなれるだろ?」

「もう…っ頭がパンクしそうだよお、父様の意地悪う。父様っレベル上げ手伝ってえ、レベルが上がらなくなったらミズガルズに引き篭もって来るう」

こうして僕は父様と久々に模擬戦三昧の時間を過ごした。古代迷宮のスライムよ、待っていろ。僕は必ずオマエからお宝をゲットしてやるからなっ

 

破壊と欲望の神フェンリル=ホープトレジャーは負けず嫌いであった。ゲームの攻略も毎度攻略本を買って完全攻略をするタイプでこれは転生前の久神アヤトに原因がある。久神アヤトは金銭感覚も庶民派でゲーム攻略は完璧派だった。

 

創造神ユニコーン=グランドトレジャーはご機嫌であった。自分は子育ての出来ないダメ親ではなく、息子の武術の師であり息子を導く父親なのである。グランドトレジャーはご満悦の様子で息子のレベル上げを手伝ってやった…だがそれも飽きるまではという条件がつく。超天才のグランドトレジャーはヒラメキで行動する感覚派で攻略本などに頼らずゲームのエンディングを見るタイプで、金銭感覚はインゴット単位のテケトー派である。基本、自分に興味が無い事には無関心を貫く科学者にありがちな専門馬鹿な作りになっている。

 

 

 

「父様の馬鹿あ…っ父様の性悪う…っ唐変木う」

「誰が馬鹿で性悪で唐変木なダメ親だあ…っ!?この超天才に向かって」

神獣のレベルの伸び率はランダムであって自分のせいではない。中々レベルが上がらないアヤトが愚痴を言いながら痴話喧嘩のような超戦闘は結界の張られた闘技場を使って行われた。途中、サムバーティがグランドトレジャーを呼びに来たがアヤトの邪魔すんな、の一言で追い返されてしまっている。

 

「なあ…ホープ、今日はこの辺にして後はミズガルズで喰らってこい。神獣のレベルが中々上がらないのはオレのせいでいいから、もうマジ勘弁…」

「ああ…っ父様、狡っ」

日が沈む前、グランドトレジャーは降参して闘技場を後にする。闘技場を出ると結界の外に出てしまう為、超戦闘による模擬戦は不可能なのだ。

 

喧嘩する程仲が良い相思相愛の親子がそこにいた。

 

 

 

グランドトレジャーはアヤトの冒険者仲間であるワンダーの父親と仲がいい。ワンダーの父親は息子の名前を店の名前にしてしまう程の親馬鹿だった。すっかりその影響を受けたグランドトレジャーは息子の将来を熱く語るワンダーの父親と意気投合し、息子の夢を叶えるべく行動を移した。

 

だが古代迷宮に潜りたいと言っていた息子の為を思ってグランドトレジャーが行った息子への愛の鞭作戦は一方通行なすれ違いに終わった。模擬戦後、アヤトはすっかり拗ねてしまい半泣きのままミズガルズへと飛んでいってしまったのである。

 

 

 

こうして今夜も帰らずの森ミズガルズは破壊と欲望の神による殺戮の夜が行われる事になるのである。

 




新キャラが登場してしまいましたが、聖獣ヴァルゴ=サンパウロはパンドラボックスで生と死を繰り返している魂の虜囚です。本体はパンドラボックスに安置されていて人知れず存在する両性体の聖獣になります。

オーバーキル問題に古代迷宮攻略の足手纏いになったアヤトですが、レベル上げをこれから頑張って一人前になったアヤトを早く書きたいデス!
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