縛られていた上、抜け出そうとして乱れに乱れた着衣。まあ僕がおっぱいを揉みしだいたというせいもあるのだが──女性が着衣の乱れを直す姿というものは、妙にエロいものだ。手伝う振りをしながらお尻を触ったら、またもやゲンコツを落とされた。これは生徒への虐待ではなかろうか。
「──ここか!?」
「きゃっ…! ね、熱斗くん?」
「まりこ先生! …と宙!? こんなとこでなにを…」
「ちょっとばかし大人の授業をね──あだっ!」
「馬鹿言いなさい! …それより熱斗くん、急いでるみたいだけど…?」
「あ、そうだ! 学校中でWWWの演説プログラムが流れてて──まりこ先生のパスカードがいるんだよ!」
「やっぱり日暮先生が…! わかったわ、持っていってちょうだい」
『やっぱり日暮先生が』からの『わかったわ、持っていってちょうだい』という、セリフの繋がりが理解できない件について。まりこ先生、それでいいのか…? 相手は小学生だぞ。いやまあ、熱斗くんの腕が一流だというのは、少なくとも秋原小学校においては周知の事実だ。緊急を要する事態であれば、建前よりも実を取る──そう考えればとても素晴らしい判断といえる。
「ちょっと待った熱斗、僕も行くよ。オフィシャルの沽券に関わるし」
「ああ! お前が一緒なら心強いぜ!」
「…っ」
くっ、ナチュラルに心をくすぐってくるな。人好きのする人間というのは、熱斗くんのような人物を指すんだろう。人気者というのも頷ける。彼にならケツを貸してやってもいい……いや冗談だ。絶対に御免こうむる。
しかしよく考えたら、僕は熱斗くんを諌めなければならない立場ではなかろうか。『素人は引っ込んでいろ……ここからはオフィシャルの管轄だ。腕自慢がしたいなら他を当たりな』みたいな。
「熱斗、急いでいるところ申し訳ないんだけど……オフィシャルとして、僕は君に警告しなけりゃならない」
「な、なんだよ?」
「廊下を走るのはよくないよ」
「それどころじゃねーだろ!?」
うむ、いい突っ込みだ。まあそれはともかく──やはり一般人を事件にかからわせる際は、なにかと制約がかかる。どう考えても一般人から逸脱した熱斗くんではあるが、立場的にはごく普通の小学生だ。『止められる状況にあって、しかしそれをしなかった』事実は、僕の責任問題に発展しかねない。まあそんなことで糾弾してくる輩がいるとは思えないけど、転ばぬ先の杖ってやつだ。対策しておくに越したことはない。
「一応、オフィシャルとしてさ……事にあたって、捜査権限を持たない人と一緒にってのはまずいんだよね」
「で、でも! みんなが危ないんだ! 黙って見てられるかよ!」
「うん、その気持は僕も汲みたいよ。だから──これを受け取ってくれるかい?」
「これは……『オフィシャルパス』…?」
「うん。それを持ってれば、一時的にオフィシャルと同等の権利を有することになる」
「い、いいのか?」
「もちろん、いいことばかりじゃないぜ。権利には義務も付随する……それを持って任務に当たる際、怪我や事故は自己責任になる」
「えーっと…?」
「熱斗が死んでも、僕のせいじゃないっていう証明がほしいんだ」
「こえーよ!」
責任とは逃れるためにあるものだ。なんかイヤなものを手にしたとでもいうような表情をされているが、結構貴重なものなんだからもっと喜んでほしいな。というか渡した時点で結局、いくばくかの責任は取らされるんだけどさ。まあ渡さないで好き勝手されるより、渡して好き勝手された方がマシだろう。
「一応、『受け入れた』って証明のデータが必要だから、取らせてもらうね」
「えっと……どうすりゃいいんだ?」
「ちょっと難しいから、そのまま復唱してくれればいいよ。まずは……『電脳法三条二項、オフィシャルネットバトラーニヨリオフィシャルパスヲ付与サレタ者ハ、コレト同様の権利ヲ有スル』」
「で、電脳法さんじょう、にこう…? オ、オフィシャル……~~」
「うん、そうそう。次は『役務上デノ行動ハONNノ規定ニ基ヅキ、マタ担保サレル。乙ハ甲ニ従シ…』」
「えーっと……ヤクムジョー……~~」
「『乙ハコレニ同意シ、受ケ入ルモノトス』」
「『乙ハコレニ同意シ、受ケ入ルモノトス』」
「『俺は桜井メイルを愛しています』」
「『俺は桜井メイルを愛しています』……んっ!? ちょっ、まっ…!?」
「やだぁ、熱烈な告白データ取れちゃった。切り取って大切に保存しとこっと」
「おおぉぉい!?」
「大丈夫だって、必要な時にしか使わないから」
「脅迫にしか使えないけど!?」
「急ごう、時間がない」
「誰のせいだよ!!」
さて、熱斗くんに対する絶対のカードも手に入れたことだし、さっさと事件を解決しよう。まりこ先生のパスカードを使って電脳にプラグイン。いつの日かまりこ先生にもプラグインしたいところだ……よし、おちゃらけはここまでにするか。僕にとってのプラグインとは、どんな時であれ死の危険がつきまとう。それを交通事故にあう程度の確率にするか、天和を上がるくらいの確率にするか、飛行機事故に巻き込まれるような確率にするかは僕次第である。
敵が瀕死状態であろうとも、油断してムラマサなんか食らっちゃったら目も当てられない。まあそんなレアチップを持っている人なんてごく少数だけど、それでも絶対じゃないんだ。だからこそ電脳世界では、リラックスしつつ警戒を張るという矛盾した行動を取らねばならない。
──さ、行こうか『マイン』。
■
まりこ先生のおっぱいを堪能できるとは、なんと羨ましいんだ僕め。まあ昨日の夜、散々楽しんだ僕がいうことでもないかもしれんけど。さすが近未来の技術の粋がつまったエログラムというべきか、現実世界ではけして味わえない素晴らしい体験を堪能できた。
「君が宙くんのナビかい? ボクはロックマン! よろしくね!」
「よろしくお願いします先輩!」
「せ、先輩!? ど、どういうこと?」
「いやあ、まさかあの高名なロックマンさんを呼び捨てになんてできませんし…」
「え、えぇ…? よくわからないけど、オフィシャルのナビである君の方がすごいんじゃない?」
「それもそっか。頭が高いぞロックマン」
「手の平返しがひどい!」
「冗談冗談。僕のことはマインって呼んでよ……よろしく、ロックマン。ロックマン……ロックマン……んん、ちょっと長くて呼びにくいな。縮めて呼んでもいいかい?」
「うん、僕もその方が嬉しいかな」
「じゃあよろしくね、ロッ。」
「そこで止めちゃうの!?」
「じゃあロックで」
「う、うん…」
すごく微妙な表情をしているロックと共に、電脳の奥を目指す。ウイルスバスティングの腕は、僕が見ても惚れ惚れするほどだ。大したチップは使っていないけれど、その上で的確に敵を処理していく。オペレーターと息の合ったナビを客観的に見ると、こんな風に見えるのか。
「──すごいねマイン! こんなにオペレーターと息の合ったナビ、初めて見たよ!」
「そっくりそのまま返したいセリフだけど……まあ僕とぼ──宙の方が息はあってるっちゃあってるか。ま、当たり前の話だけど」
「やっぱりオフィシャルではこれが普通なの?」
「まさか。ロックと熱斗くんの実力なら、オフィシャルでも最上位レベルの腕前だぜ」
「そ、そう? ほんとだったら嬉しいけど…」
…顔を赤らめるんじゃありません。僕が変な道に目覚めたらどうしてくれるんだ。しかしほんと、普通のナビのオペレートは難しいんだろうなぁ。二人でのネットバトルというのは、わかりやすく言うなら『二人羽織』である。瞬間的な判断が連続して続く状態で、ピッタリ息を合わせるのがどれほど難しいことか。同一人物である僕たちですら、最初の方は少しだけ手こずったものだ。
状況に対して同じ解を出せるとはいえ、視点は違う。ウイルスと目の前で対峙する僕と、それを現実世界で俯瞰気味に見ている僕では、どうしても認識の差が出てくる。それをすり合わせることこそが、ネットバトルの肝なのだ。
とはいえさして時間もかからずに──というより、強制的になるべくしてなったような最終フォーム『パーフェクトフルシンクロ』は、オペレーターとナビの間にあるタイムラグなど消え失せる。世界が違っても僕たちが『僕たち』であるのは、この同調状態によるところが大きい。
あらゆる感覚が研ぎ澄まされ、あらゆる能力値が大幅に上昇する『パーフェクトフルシンクロ』。この状態の僕に不意打ちできる存在は、おそらくいないだろう。ウイルスがロックに奇襲を仕掛けようとしているのもお見通しだ。
「わっ!? しまっ──」
「──油断は禁物だよ、ロック」
「わ、速っ…!? あ──……ありがと、マイン」
「どう致しまして」
「すごい……こんなに速く動けるナビ、見たことないよ」
「んー……『攻撃に当たらないように』じゃなくて、『当たったら終わり』って感じだしね」
「…? そういう志で臨んでるってこと?」
「いや、物理的な話さ」
「う、ん…?」
火傷を負おうが腕が折れようが、僕の方はリカバリーチップを使えば問題ないが……現実の僕はそう上手くいかない。この世界の人間はやたら頑丈なようで、室温が百度になっても重傷で済むような、スーパーマサラ人もどきがゴロゴロしているのだが──傷の治りがそこまで早いという訳ではない。故に僕たちの常軌を逸した能力値を、更に偏向型にすることで無類の速さを得ると同時、絶対に攻撃に当たらないよう気をつけているのだ。
怖いのは一撃が重い攻撃ではなく、軽くとも攻撃範囲の広い攻撃である。なんせ現実の僕って痛がりだし……となれば、当然ながら僕だって痛がりだ。なぜナビに痛覚を積んでいるのかと、製作者に小一時間ほど説教してやりたい。なんにしても、攻撃にあたるのはどっちの僕にとっても望ましくないのである。
戦闘を介して親交を深めながら、奥へと進む。その先で待ち受けていたのは──電球のような頭が特徴的なナビ『ナンバーマン』だ。演説プログラムの基盤を守っているようで、ガーディアンのように立ちはだかっている。
「──首謀者はお前か! 演説プログラムを止めるんだ! みんなおかしくなっちゃうじゃないか!」
「ふむ、ここまでやってくるのは中々のもの……しかしなぜ止める必要が? WWWの忠実なシモベとなれるのならば、それはとても幸せなこと……そうですよね、日暮さん」
『その通りでマス! WWWはとてもお給料が良いのでマス──レアチップ集めも捗るでマスし、みんなもお金が稼げて万々歳でマス!』
『そんな汚いお金で集めたレアチップなんか、なんの価値もないだろ! そんなことのためにまりこ先生に酷いことしたのか!』
『うっ…! た、確かにちょっと気は引けたでマスが…』
『どこまでやったんだ! 正直に言え! おっぱいは触ったのか? もしかして膜まで破ったんじゃ──痛いっ!』
『そ・ら・く・ん?』
『ば、場を和ませるジョークって奴だから……あでででっ! くっ……まりこ先生、あなたをオフィシャル役務執行妨害で逮捕する! 取り調べ室ではエッチな尋問を覚悟するんだな! ──いでででっ、み、耳はほんとに千切れやすいんだから、やめて…』
『なにやってんのお前…』
まりこ先生の尋問プレイかぁ……ぜひやってみたいよね。まあそれはともかく、ナンバーマンも──そしてオペレーターの方も気が緩みきっている。ゲームとの一番の違いは、『よーいドン』で戦闘が始まるわけじゃない、というところだ。現実の方の僕もふざけた行動を取ってはいるものの、手元の動きは正確だ。気付かれないようにチップを送ってくれている。
「遊んでる場合じゃないよ! 早くサーバーのアクセス権を取り返さなきゃ──えっ?」
ロックが後方で叫んでいるが、そのセリフに意味はない。なんせもう終わった話だし。崩れ落ちるナンバーマンが日暮さんに謝罪しているけど、それは被害を受けた生徒たちへと向けてほしいものだ。
「ガ、ガガッ──も、申し訳あり……ぐ……さん…」
「はい、終わりっと。敵を前に油断しちゃダメだぜ、ナンバーマン」
『へっ…? え、もう終わったのか…?』
『だね。馬鹿なやり取りで敵の気を緩ませるのも、戦術の一つさ』
『そ、そうだったのね……ごめんなさい、宙くん。私ったらてっきり…』
『ええ、償いは体で払っていただこうかと──あぶっ!?』
速さこそが強さである──とか言ってると噛ませになりそうなので、口にはしないでおこう。古今東西、スピードキャラとは強キャラの踏み台にされる運命なのだ。まあ今はそんなことより、初めてのナビチップゲットを喜ぼう……ナンバーマンって運に左右されるとはいえ、結構強いんだよね。ありがたやありがたや……ちなみに完全デリートしなかったのは慈悲じゃない。V3ナビチップがいっぱい欲しいからだ。期待していますぞ、日暮さん。
■
職員室の巨大サーバー前で、大の大人が小学生に説教されている。熱斗くんのお説教って、ほんとに相手のためを思ってるってのが感じ取れるな……そのおかげか、日暮さんも改心したようだ。僕じゃこうはいかないだろうし、流石は主人公だぜ。
メイルちゃん、デカオくん、やいとちゃん、熱斗くん、まりこ先生……そして僕。この六人の前で、贖罪を誓う日暮さん。なんだか闇が抜けきったようで、善きかな善きかな。さて、一件落着といったこの雰囲気の中だが、職務は遂行せねば。
「ま、大事に至らなくてよかったね」
「だな! 宙がスゲエやつってのもわかったし──ん? ナニ持ってんだ?」
「手錠」
「…なんで?」
「なんでって……『反省しましたはい終わり』で済んだら、オフィシャルなんていらないだろ? 集団への洗脳は『暴行罪』が適用されるし、WWWが絡んでるなら『政治目的騒乱煽動罪』も追加だね」
「で、でも日暮さんはもう悪いことしないって…!」
みんながもどかしいような目でこちらを見てくる。『理屈はわかるが、それでも…』といった感じだ。もっとも日暮さん本人は投降する気があるようで、神妙な面持ちである。
──ちなみに彼等が日暮さんへの温情を求めているのは、実のところ一定の効果がある。性善説に基づいて定められているのが“元の世界の法”であり──そして性善説を
なんとなんと、現場の状況と当該人物たちの判断如何によっては、罪を罪と認めないこともできるのだ。ガバガバのガバだが、日本転覆を企んだWWW構成員ですら、反省したと見なされれば数ヶ月で出所するのがこの世界。それを考えればむしろ当然なのかもしれないし、人の根本が違うのだから、この世界の司法に対し僕が文句をつけることは無粋だろう。死刑制度など元から存在しないあたりが、優しい世界の証明ってやつなのだろうか。
「…罪を償うと仰っていましたが、それはどういった手段で?」
「…店を開きたいんでマス! みんなにもっとチップが行き渡るように…! みんながもっとネットバトルを楽しめるように! 個人的に作ったルートはたくさんあるでマス。できればこの秋原町に店を開いて、今日迷惑をかけた生徒のみんなに償いをしたいんでマス…」
「なるほど…」
腕を組んで、考え込む──振りをする。彼が経営する『ヒグレヤ』は非常に便利な店である。希少なチップもたまにあるし、後々にはお取り寄せサービスなる便利なものも提供してくれる。故に、そもそも逮捕などという勿体ないことをする筈もない。
ならばなぜこうも弾劾しているのかと言えば、ヒグレヤを利用するにあたってさらなるサービスを受けたいからだ。お金って大事。
「勘違いされることも多いですが……懲役刑とは罰ではなく、反省を促して社会復帰を目指すための制度です。既に反省し、社会に貢献しようとしている人間のためのものではない」
「そ、それじゃあ…!」
「──条件付きではありますが、あなたの贖罪を見届けましょう」
「か、感謝するでマス!」
「それで、条件って…?」
鋭い眼光で日暮さんを射抜く。僕と日暮さん以外の全員がゴクリと喉をならし、どうなることかと見守っている。僕は一つ真面目に頷いて、口を開いた。
「チップ屋を経営するにあたって……常時僕だけ半額サービス。これで手を打ちましょう」
「職権濫用じゃねーか!」
「だまらっしゃい。この世は義理と人情でできてるんだよ、熱斗」
「おもいっきり私情じゃん!」
「日暮さん……新しく開いたチップ屋が、一年以内にどれだけ店を畳むか知ってますか?」
「し、知らんでマス…」
「その数、実に六十%。経営手腕がかなり問われる職業と言えますね」
「ナ、ナニが言いたいんでマス?」
「店には“売り”が必要です。つまり──オフィシャルネットバトラー御用達の店となると、それは実にいい宣伝材料になる。常時半額なんてサービス、広告費として破格では? もちろん常識的な買い物しかしませんよ、僕は」
「おお…! なるほど……でマス」
「これが“ゆちゃく”ってやつか…」
「見てはいけないものを見たような…」
「拒否して豚箱にぶちこまれるか、輝かしい未来を手にするか! 選ぶんだ日暮さん!」
「脅迫じゃねーか!」
「長いお付き合いをヨロシクでマス!」
「あんたもそれでいいのか!?」
ガッチリと手を組んで、契約を交わす。たとえ周囲に白い目で見られようとも、これが僕と日暮さんの友情の証だ。まさにこれにて万事解決、一件落着。別に犯罪とはいえないし、ちょっとした役得といったところだろう。
──もっというと、フォルダの強化に関しては割と切実なのだ。最強に憧れてはいないけど、最強であり続けなければならない業を背負ってるわけだし。ヒグレヤの開店と同時、いの一番にチップトレーダーを専有してやろう。ふふふ……実に楽しみだ。
■
さて、WWW騒動が終わって数日……秋原町も秋原小も、非常に平和である。そもそも学校全体を巻き込んだ騒動だというのに、二時間目からは普通に授業をしていたあたり、世界の違いを痛感する。生徒も先生も、メンタルどうなってんだよ。惰弱千万とかいって悪かったよ。警察に通報すらしないって凄いよね……まあ一応オフィシャルである僕がいたから、報告はしたようなものって感じだったのかもしれないけどさ。
それはともかく、日暮さんの改心によって『WWWメトロパス』を手に入れ──WWW本拠地への切符を手に入れることができた。もちろん上には報告済みだし、悪の組織が壊滅するのも秒読み状態である。
ワイリーさんは常にあそこにいるからいいとして、問題は幹部共だ。なるべく本拠地に揃っている状態で制圧しなければ、後々に面倒なことになる。留置所が襲われるなんてことも十二分にありえるだろうし、そうでなくとも死に物狂いで奪い返しにくるのは間違いない。なんであんなマッドサイエンティストに忠誠を誓うのか、ほんと意味不明だよね。
まあ近々大規模な制圧任務が課されるのは確かだろうし、ある程度の覚悟はしておこう。この世界の戦いは何故か電脳バトルの比重が大きいが、一応物理的な戦闘も可能性としてはある。フィジカルで言えば小学生なんだから、あまり無茶はできない。
…まあこの体もそうだし、他人の体もそうなんだけど──めちゃくちゃ頑丈なんだよな。熱斗パパは、常人なら焼け死ぬ部屋にいても無事だったし……熱斗くんだって、高圧電流を流されても『うわーーー!!』で済むし。光一族だけの特別かと思っていたが、この前、誤って二階から落ちてしまっても無傷だったことを考えると、そもそもこの世界の人々はホモ・サピエンスではないのだろう。
だからといって銃に撃たれれば流石に死ぬだろうし、無理は禁物だ。一応、戦車とかもあるみたいだし。まあゲームにおいては生身で立ち向かっていたあたり、銃で撃たれても死なない可能性はあるけどさ。
──まあそんな先のことはおいといて、だ。今は目の前のことに集中したい。眼前にはオデコがキュートな幼女……ご存知、世界有数の財閥のお嬢様、やいとちゃんである。授業も終わったというのになぜ教室にいるかというと、彼女にネットバトルのコツを教授してほしいと頼まれたからだ。
もっというと、『算数を教えた代わりにネットバトルを教えなさいよ』と命令されたからだ。いや……ほら、言い訳じゃないんだけどさ。分数の掛け算とか割り算とか、社会人になってから使わないじゃん? 公式なんて記憶の彼方だし、僕が覚えてないのも当然……いや、もはや必然と言っていいだろう。僕が馬鹿というわけでは、けっしてない。
その証拠に、国語とウイルスバスティングの成績は常に満点だ。他? 他は……まあ社会とかはさ、僕この世界の歴史とか知らないから。一から覚え直しってことは、最初は成績悪くても仕方ないよね。
理科? 理科はほら……この世界って、ガチで物理法則がちょっと違うんだよね。公式とかの違いが微妙なせいで、逆に覚え辛いっていうか。英語はまあ……普通だ。総じて言えば平均ってとこだろうか。
対してやいとちゃんはと言えば、ほぼ全て満点という才女だ。苦手なものといえば体育くらいのものだが、そもそも彼女は年齢的に二学年下である。三年生と五年生は二歳しか離れていないが、子供の頃の二年は非常に大きい。
頭脳は小五、実年齢は小三、体は小一なみ……それがやいとちゃんである。僕が勝てるのは国語とネットバトルとフィジカルのみだが、まあ気にしてもしょうがない。人間には得手不得手というのが存在するのだ。一つ突き抜けてれば、それを芯にして生きていけばいいのさ。
ちなみに、ネットバトルも好成績なやいとちゃんがなぜ教えを請うのか──ってのは説明するまでもないだろう。彼女は小学生の中でトップクラスだが、僕は世界の中でもトップクラス。井の中の蛙を良しとしないやいとちゃんは、向上心も抜群だ。超一流に訓練してもらえるという、ある意味美味しい状況を、十全に利用してやろうって魂胆だろう。
そもそもとして、彼女はネットバトルにおいて自分を優秀だと認識していない。僕は言わずもがなとしても、同じクラスに熱斗くんやデカオくんがいるのだ。前者は言うまでもなく一流、そして後者も実は大概である。そのうち『ウラランキング四位』になるような逸材だぜ? 今でも充分おかしいレベルだし、オフィシャルに入っていても違和感はない。
そんなのが周りにいたら、自分が大した腕前だと思えないのは当然だ。だからこそ僕に頼んできたんだろうし……あとは単純に仲が良いから頼みやすかったってのもあるだろう。なにかにつけてやいとちゃんを構っていた効果が発揮されてるのかもね。ちみっこい彼女を抱きしめても、妹分を猫可愛がりしてるようなものだ。小学生という年代で、その行動に性的なものを感じる人間は少ないだろう。まりこ先生はちょっと不安そうに見てたけど。
「やいとちゃんはチップに頼りすぎる癖があるね。もちろんスタイルはそれぞれだろうけど、防御や回避までチップ頼りにするのは危険だぜ。インビジブルだって突き破ってくるウイルスはたまにいるし、そうでなくともチップの回りが悪いと途端に劣勢になる。運命力を期待するオペレーターは、二流の証さ」
「ウーン……そりゃ理屈ではわかるけど…」
「グライドは元々機動力の高いナビだし、いくらコードが合ってるからってバシバシとチップを送る必要はないよ。ナビ側からするとね、次のチップが送られてくるまでに使い切らなきゃって焦りに繋がる。結果として、半端なタイミングで使って無駄になったり──最悪、隙をさらけ出すことになる。『ナビは不満を言わない』……これ割と重要だぜ。もちろんナビの性格によっては喧嘩するなんてこともあるだろうけど、グライドは見るからにイエスマンよりのナビだ。だから君がよく見て察する必要がある」
「…っ。──ハァ……ほんと、憎たらしいくらい的確。耳が痛いわよ」
「やいとちゃんが大切だからこそ、嫌われる覚悟で苦言を呈するのさ。どうでもいい相手なら、適当に褒めて終わらすし」
「う…」
オデコを赤くしながら、はにかむやいとちゃん。可愛い。まあ小学生の男子なんて、意地っ張りと照れ隠しの塊のようなものだ。ストレートに好意を表す僕みたいなのは、あんまりいないだろう。膝の上でおとなしく撫でられている姿は、まるで懐きかけの小動物のようだ。
ん? なぜ膝の上なのかって? そりゃあPETの扱いを見るのはこの位置が一番見やすいし、そもそも僕の教え方は、彼女の手を使いながらグライドを操作するという実践的なものだからだ──それが一割。残りの九割は、小さなお尻の感触を堪能するためである。どこもかしこも柔らかくてぷにぷにで、一生こうしてたいくらいだね。
まあ授業自体はちゃんとしてるから別にいいだろう。細かい判断の部分なんかは、口に出して指摘するとすぐに吸収してくれるのがやいとちゃんクオリティ。後はチップがない状態でのナビ支援を教えるくらいだけど……やいとちゃんのネットバトルにおいてなにが一番問題かって、手の小ささである。PETって意外とでかいもんだから、年齢よりも更に小さいおててを持つ彼女には、少し扱いづらいだろう。
そもそも世の中は彼女のような低年齢に、高度なウイルスバスティングを求めていない。普通に使う分にはそこまで不便ではないからこそ、小さいPETは必要とされていないのだろう。しかし上級レベルとなると、指の移動の一瞬が勝敗をわけることもある。物理的なタイムラグが出てしまうのは、かなり不利となってしまうのだ。
言ってしまえば、ピアノの奏者みたいなものだろう。あれもプロレベルになってくると、小さい手や短い指は欠点として表れる。手術で指の間を切り取って、可動域を長くする人間だっているくらいだ。
「…さ、今日はこんなもんかな」
「ん、アリガト。頼んでよかったわ……自分でも上手くなったって実感できるもの」
「どう致しまして。じゃあお礼の方を…」
「あら、算数を教えたお礼でしょ?」
「ふっ……分数を教えるくらい、そのへんの馬鹿でもできるさ。でもこのレベルのネットバトルを教えられるのは、限られた人間だけだぜ。釣り合ってない分は払ってもらわなきゃね」
「暗にそのへんの馬鹿以下って自虐してない?」
「…」
「…」
「…数学ができなくとも、人間は死なないんだ」
「算数くらいはできといた方がいいんじゃない?」
「ぬぅ……ああ言えばこう言う幼女め」
「その幼女に算数を教わる馬鹿はどこのどいつかしら」
「ふふん、僕は世間的に認められたオフィシャル様だぜ。僕を馬鹿にしたいなら、馬鹿にできる立場になってから出直してくるんだね」
「ガブゴン社の社長令嬢に逆らうつもり?」
「…権力を笠にきる奴って、ろくなもんじゃないぜ」
「自分の言動を振り返ってらっしゃい」
ううむ……口では敵わないようなので、実力行使でなんとかしよう。体中をくすぐったり突いたりしてイチャイチャしてると、やいとちゃんの激しい動きで下半身が刺激される。最終的に対面座位のような体勢になったが、ここまでくると流石の彼女も恥ずかしいようだ。
床へ降りようと藻掻く彼女も可愛い。しかし腰に手を回してそれを阻止する。あんまりやりすぎると嫌われちゃうかもしんないけど……勘違いじゃなければ、かなり好意は持たれているだろう。知性の高さからくる大人びた部分と、年齢ゆえの幼い部分が混在したやいとちゃん。子供の体に大人の精神が入った僕にちょっと似てるし、短い付き合いながら非常に馬が合う。
彼女から見た僕は、このネットワーク社会において優秀さの象徴ともいえる『オフィシャル』で……それに加え、常に自分へ好意を寄せた態度をとる人間だ。やいとちゃんにとって『気になる男の子』か、それ以上の認識となるには充分だろう。
「そ、宙…? ちょ、ちょっと…!」
「イヤかい?」
「い、イヤじゃない……けど…」
「じゃ、目を瞑って」
「う、あ…」
顔を真っ赤っ赤にして目を閉じるやいとちゃん。可愛すぎて心臓が止まりそうな上、先程の激しい攻防で刺激されたチンポが、完全に臨戦態勢に移行した。さっきから小さいお尻に押し付けてるんだけど、彼女は意味を理解しているのかいないのか……この年代の性知識ってどうなんだろね? 男だとギリギリ目覚めてるか目覚めてないかくらいだと思うけど。
まあそんなことはどうでもいいか。ぷるりとした桜色の唇が、目の前で待ち惚けているのだ。折れそうなほどに華奢な体をギュッと抱きしめて、そっと顔を近付ける。
「ん、ちゅ、んっ……──んむっ!? や、ちょっとそら──んぅっ…!」
流石に舌を入れられるとは思っていなかったのか、目を見開いて驚くやいとちゃん。しかし弱い抵抗を無視して、彼女の口内をねぶり続けると──次第に目がトロンとしてきた。軽視されがちだが、ディープキスというものは非常に刺激が強いのだ。
性感帯のように強い刺激は得られないものの、感覚器としては体内体外含めて断トツで神経が通っている。『舌』とは生殖器にも劣らない受容帯であり、未熟な子供であっても快感を得やすい器官だ。痛みを伴わないぶん、ダイレクトに味わえるというのも重要である。
舌を絡ませあい、両手の指を絡ませあう。肉体への依存度が大きい男性とは違い、女性が快感を得るには、精神的な高揚が必要となる。もちろん『のぼり棒大好き女子』などが存在する以上、体の方も無視はできないだろうけど、やはり雰囲気というものは無視できない。
女性がムードを気にしたりするのは、そういうわけだ。『愛されている』という認識は、女性がセックスを楽しむにあたって重要な位置を占める。だから無理矢理はよくないよね。幼い唇を貪りながら言うことじゃないかもしれんが。
かなり長い時間、繋がりあったせいか──やいとちゃんは脱力しきっている。火照った体をこちらに預けてくる姿は、幼さとは無縁な筈の『性』を感じさせ、その相反するギャップが、背徳感をこれでもかと煽ってくる。犯罪を犯すつもりは毛頭ないが、小学生同士の恋愛を縛る法はない。今だけに許された特権だろう。
「あ……え…? そ、そらぁ…?」
「大丈夫大丈夫、僕に任せて」
「ひっ、んっ……そ、そこは…」
性欲が高まった男の『大丈夫』は、『行けたら行きます』くらいに信用ならないものである。まあそんなどうでもいいことは置いといて、彼女の太ももに手を這わせ──秘所へと近付ける。ただでさえ温まった体の、更に熱が溜まる場所。シルクのガードをくぐり抜け、産毛の感触もない恥丘を撫でる。少し怯えたようなやいとちゃんに再度キスをし、まだ露出もしてないクリトリスを弄る。
「はっ、んっ、あっ…? そ、そら、なにかへんだから……んくっ!? あ、う、っ…」
「ここはどう?」
「んっ──あっ、な、にか……ピリって…」
「怖がらなくていいから……ほら、もっかいキスしよっか」
「ん、んむ、…っ、あ、え、な、ナニこえ──あぐっ…! う、あ、あ──んきゅっ…!」
幼い体を震わせて、絶頂に至ったやいとちゃん。ちょろちょろと零れる黄金水……染みが広がっていく僕のズボン。床に水たまりが広がっていくと同時、後悔も広がっていく。なるほど、予測されるべき未来だった。
息を荒げたやいとちゃんがやっと自分を取り戻し、ふと我に返る。目の前の惨状を見て、慌てて取り乱す様子もまた可愛い。そういえばゲームでもちょっと漏らしてたな。まあ子供の膀胱が緩いのは生物として当然だ。
「え、え、えっと…! その、と、とにかくズボン脱いで…!」
「…そうだね」
「…っ……~~っ!?」
濡れたズボンと下着を脱ぎ捨てて、いきり立ったチンポをさらけ出す。絶頂やら羞恥やらで赤くなっていたやいとちゃんの顔が、さらに紅潮してピシリと固まる。見たことはなくとも、勃起という現象くらいは知識にあるのだろう。
「やいとちゃんも下着脱がなきゃ……ごめんね? ちょっとやりすぎちゃった」
「え、あ、えっと……うん…」
僕に背を向け、びしょびしょになった下着を脱ぎ捨てるやいとちゃん。スカートが濡れていないのが幸いだ。ちょうど脱ぎきった瞬間を見計らい、ひょいと彼女を持ち上げる。床の濡れた席から離れて、一つ隣へと腰を下ろした。
「…! そ、そら? 早く掃除しなきゃ…」
「後でいいよ」
「で、でも…」
ぐずるやいとちゃんの唇を塞ぎ、彼女の太ももに剛直を挿し込んだ。濡れそぼった秘所は、おしっことは明確に違う粘性の液体が溢れている。割れ目というよりも一本の筋といった表現が似合うそこから、幼さとは無縁の液体が分泌されている事実に興奮する。
小さいクリに擦れるようにピストンを開始すると、先程の余韻もあってかすぐに喘ぎ始めるやいとちゃん。幼女の素股とは非常に贅沢である。流石に挿入はキツイものがあるので、慣れてくるまでは見送るとしよう。
僕たち以外は誰もいない教室に、粘りを含んだ水音が響く。ぐちゅぐちゅ、ぐぷぐぷと淫らな音が幾度も繰り返され──そこに肌を打ち付け合う音も混じる。切なそうに潤んだやいとちゃんの瞳が、下から覗きあげてきて……我慢できずに唇を貪った。
どれほど肉棒を抜き差ししただろうか──やいとちゃんがビクンと体を震わせて絶頂したのを合図に、込み上げていた射精感を解放した。閉じた太ももに溜まっていく精液の量が、そのまま快感の量を示しているようだ。力の抜けきった彼女を机に寝かし、付着した白濁液をティッシュで拭き取っていく。
一部ゼリー状になっていた濃い精液を、指と共に膜付きの穴へツプリと侵入させた。ビクンと跳ねたやいとちゃんを落ち着かせるようにキスをして……教室の情事は終わりを迎えた。
──かと思いきや、突然教室のドアが開いた。淫らな香りが充満する教室に乗り込んできたのは、羞恥と怒りが入り混じった表情のまりこ先生だ。
「こ、こ、こ、こらー! ま、まさかと思ったけど──ほんとに手を出すなんて…!」
「合意ックスです」
「関係ありません! というか場所! ここは学校ですよ!?」
「よくあるパターンですね」
「あってたまりますか!」
お怒りのまりこ先生から隠れるように、あわあわしながら僕の後ろに回り込むやいとちゃん。可愛い。大丈夫大丈夫、心配することないぜ。処女のまりこ先生より、疑似的とはいえセックスしたやいとちゃんの方が生物として格上だ。ふんぞり返って『なにか?』とでも言っておけばいい。なにも犯罪を犯したわけじゃないんだから。
「まあまあ落ち着いて……あ、じゃあ先生も混ざりますか? ──ぐふぅっ!?」
余裕風を吹かせて飄々とお誘いしたら、ゲンコツを落とされて──後ろのやいとちゃんにも金的を蹴り上げられた。嫉妬に年齢は関係ないんだなぁ……というのが、本日の教訓である。ま、結果としては万々歳だろう。