無人島暮らし~いろんなヒロインが流れ着くエロゲみたいな島~ 作:みずしろオルカ
リアルで在宅がし辛い仕事なので、マスクやウェットティッシュは生命線でしたからね。
さて、外伝も進んでまいりました。
本編情報も少しずつ散りばめているので、楽しんで頂ければ幸いです。
無事? あの無人島から脱出が出来た。
俺としては、それぞれの世界に戻ってめでたしめでたし……っというのが希望的観測ではあるが、もし脱出すると仮定した時に、起こり得る可能性として高い方の選択肢だと思っていた。
しかし現実は、ネギま!の世界に飛ばされた。
全員を連れて……。
最大の懸案事項として、島の木乃香・刹那と、この世界の木乃香・刹那の存在統合が行われたことだろうか。
この世界で過ごした記憶と同時に、俺たちと過ごした無人島の記憶が混ざった状態。
最初は混乱していたが、今では二人とも納得はしているようだ。
感覚としては原作世界の存在が強いようで、メイン人格が原作世界、その中で俺らと共に過ごした時間が記憶されているという感じらしい。
そんな中、俺と小猫・アーシア、フェイトとゆかりさんは、この世界での戸籍を用意してもらえた。
木乃香の祖父である近衛近右衛門の好意でだ。
ありがたい事に、木乃香が学園長に頼み込んでこの町での住処と仕事を斡旋してくれた。
こうなると、小猫やアーシアとフェイト、ゆかりさんを養うために頑張るしかない。
フェイトは元々管理局に勤務していたこともあり、キャリアウーマンとしてバリバリ働いているし、ゆかりさんも同期機能での多くの職歴や知識のおかげで教員になっていた。俺も会社に入ろうとした所、フェイトとゆかりさんからの強い勧めで主夫をしている。
小猫とアーシアは転校生という事で高校へ通っている。
家の事をする人間は欲しいという事で押し切られた。
……ヒモやん。
え? どういうことだよ。
麻帆良の教員や働く人間達の為のマンションの一室を与えてもらい、そこで日々主夫及び動画投稿と株で稼いでいる。
本当なら学園長に事務員の紹介をしてもらう予定だったが、木乃香が阻止したらしい。
刹那が申し訳なさそうに教えてくれた。
フェイトは学園の事務として、ゆかりさんは教師として非常に優秀だとか。
小猫もアーシアも問題無くクラスに馴染んでいるようで、アーシアに至っては教会の方に足しげく通っているようだ。
「ふむ、刹那がよく語るからどんな御仁かと思えば、何とも親しみやすい御仁でござるな」
「ヒャッハー、探検だー」
「お、お姉ちゃんーー!?」
バタバタと家の奥に走っていく双子の鳴滝姉妹と、リビングのテーブルでお茶と羊羹を食べている忍者こと長瀬楓。
まぁ、子供に見られてヤバい物は置いてないし、昨夜の行為の痕跡はきちんと隠滅済みだ。
「おやおや、いいんでござるか? あの娘達は結構悪戯好きでござるか……」
「いや、別に小猫達の部屋は鍵が掛かっているし、俺の部屋も見られて困るモノは無いからな。食べられる野草とキノコ図鑑とかそんなのばかりだ」
性行為関係の道具は小猫達が個々人で管理しているし、俺はエロ漫画とかは所持していない。
そんな暇が無いというかなんというか……。
「ほほう、後ほど拙者も読ませていただいてもよろしいですかな?」
「なんなら貸してやるから、二冊ぐらい選んどけ」
家では木乃香と刹那が紹介したのだろうA組の娘が遊びに来る。
活動的な娘が多いが、遊び道具が多いからか割と誰かしらが居るという頻度。
お菓子も出すからか?
そんなことを考えていると、少しテンションが低い双子が帰ってきた。
何も面白い物が無かったのだろう。
「おかえり」
「つまんない!」
「です……」
遊べるものはリビングに集めてるし、自室は徹底的に掃除済み。
小猫達は遊びに出ているし、ゆかりさん達は仕事中。
そりゃ、つまらないだろう。
二人にもジュースとお菓子を出してやる。
羊羹ではなくプチシューの盛り合わせを長瀬も食べられるように出してやる。
「何を期待してたかは知らんが、ゲーム類はここにあるからここで遊びなさい」
「もっと、エッチな玩具とかあると思ったー」
「本とかも無かったです……」
「それは残念でござるなぁ」
「お前ら性に興味持ち過ぎじゃないか?」
思春期とはいえ、堂々とし過ぎだ。
双子は面白くなさそうにしながら、今のゲームを起動し始める。
長瀬の方はそれを見て面白そうにしていた。
「いやはや、このか殿が言っていた絶倫具合は垣間見えませんでしたな」
「女の子がそういう言葉を堂々と使っちゃいけません」
つーか、しゃべっちゃってるのかよ。
刹那は積極的に話すタイプじゃないだろうが、木乃香もわざわざ恥を晒すような事はしないと思ったが……。
「塔城殿と話している時にちょっと……」
よし、小猫にはお仕置きを検討するとして、被害状況はどうなんだろうか?
小猫やアーシアは高校生だが、木乃香や刹那とは変わらず仲が良い。
先日も四人でカラオケに行ったらしいし、そういう密閉空間での話なら数人に口止めで済むだろうが……。
「ちなみにその話は……」
「む? 拙者と双子、真名に古が居たでござるな」
よし、被害は軽微だ。
口止めをできれば、これ以上の被害が広がる事は無いだろう。
「おお、そう言えば朝倉殿も居たでござるな」
「手遅れだったよチクショウ!!?」
終わったわ。
朝倉と言えば、パパラッチとも呼ばれているスピーカー女子じゃないか。
一日もあればクラス全員に知れ渡るだろうよ。
割とあのクラスとは、顔を合わせる機会が多いから気まずいじゃないか。
こうして長瀬たちが来ることもそうだし、街中で買い物途中や学園長の所に行くときにも会うことが多いのだ。
気まずい事この上ない。
***********************************
夕飯の買い出し。
長瀬たちは一通りゲームで遊んだ後、ゲーム二本と俺の本二冊を借りて帰っていった。
実況用にゲームは大量にあるし、現在実況しているゲームは今は別の場所に保管してあるので問題ない。
夕飯用の買い出しは、シチューでも作ろうかな。
いやぁ、人数が多いからスープやシチューなんかの汁物系が便利だ。
ホワイトにするかビーフにするか……そこが問題だ。
「最近、お野菜足りてへんし……お野菜多めのホワイトがええんやない?」
「しかしお嬢様。ビーフでも野菜は取れると思いますが……」
「いやいや、せっちゃんは甘いなぁ。キョウジさんのここ一週間の献立はお肉がメインの献立や。ここでビーフシチューは皆飽きてまうやん」
「なるほど、さすが木乃香だな。……何で居るのん?」
真剣にシチューの素の陳列棚を前に悩んでいる所を後ろから声をかけられる。
いや、本当に気づかなかった。
「このかさん、図書館島に行く為の食糧なんですけど……」
木乃香と刹那。
他には綾瀬と宮崎、早乙女が一緒だ。
多分図書委員会の集まりだろう。
「お? 今話題の動画主様じゃないっスか! 何々? ネタになりそうな話?」
早乙女は楽しそうに、綾瀬と宮崎は若干距離を開けてくる。
まぁ、長瀬が言っていた通りならクラス全体に広がっているだろうから、男性が苦手な宮崎と相応の倫理観がある綾瀬は近づきたくない人間だろう。
ちょっと悲しい。
まぁ、自業自得だけどね。
「動画の視聴ありがとう。今日はご飯の買い出しだからネタじゃないよ」
ファンは大事。
まぁ、木乃香達だけじゃないからあまりあの島の話をするわけにもいかないし、当たり障りのない話題が良いだろう。
今日のご飯の買い出しを終えたら、準備しないといけない。
木乃香の言う通りホワイトシチューに野菜を多めに、淡白な鶏むね肉を加えて一品にするか。
木乃香の料理の腕は素晴らしいからな。
あの島での記憶を受け継いでからは栄養バランスにも気を使ってレパートリーも増えたという。
あの屋台の四葉さんも美味しくなったと認めているそうだ。
「近衛さん達は部活動? 気を付けてくださいね」
手早くその場を後にする。
流石に中学生相手に長時間話をしていると、事案と思われて通報されそうだ。
いや、見た目が学生レベルにまで若返っているけど、精神的にちょっと怖い。
元々三十台だったから女学生は忌避感が出てしまう。
チキンだって?
世の中、目が合っただけで事案になる悲しい世界だぞ?
機雷がそこらに浮いていると思って過ごしている。
それに、木乃香や刹那が親し気に話しかけてくれるのは彼女達のコミュ力が高いから。
この世界に来てから、思春期の女の子達だからと距離をあけようとしていた所で、近衛近右衛門に頼み込んで我が部屋の合鍵を手に入れて、歓迎会の様なパーティーが行われた。
まるで俺が距離を置こうとしている事を見抜いていたかのような行動だった。
いや、見抜いていたのかもしれない。
人の気持ちに聡い年頃。
それに加えて、記録だけとはいえ俺と過ごした情報が彼女達には有る。
「我ながら臆病なものだな」
自虐気味に呟いた言葉は誰に聞かれる事も無く、夕日に染まる街に溶けていった。
***********************************
「やっぱり、キョウジさんは私達に気を使い過ぎてると思うのです」
「来るなり何を言ってるんだ?」
「ウチもそう思うえ。キョウジさんはウチ等がクラスで変な眼で見られない様に気を使っているのが分かるからなぁ」
土曜日。
結構な頻度で木乃香と刹那は週末にウチに来る。
小猫達と遊んだり、御飯を作ったり、クラスであった事を話したり。
そのまま客間と称した二人の部屋に泊まったりもする。
「ウチ等としては、キョウジさん達と過ごしたあの島の記憶は貴重なモノなんよ」
「貴重な経験や体験です。そう感じている事はキョウジさんでも覆せない事です」
実況済のゲームを遊んでいるリビングで、俺の後ろでコーヒーを飲んでいた二人。
小猫達はそれぞれ遊びに行ったり、教師の付き合いで出かけていた。
たぶん、木乃香達が話すために申し合わせて家を空けたのかもしれない。
「気を遣うのは当然だ。木乃香達は思春期の学生だろ? 仲の良いクラスの様だから大丈夫かもしれないけど、それ以外のクラスや学校が別にある男子中学校なんかに妙な噂が流れてしまえば、大変な事になりかねない」
無垢な故の残酷さ。
幼いが故の加減の無さ。
それは十分以上にあり得ることだ。
力で制裁することも多い麻帆良学園だが、影での所謂いじめの様なライトな表現を借りた犯罪行為にはそこまでの対処がされているわけではない。
そういった悪意から守る為には、盾になるかそもそも悪意に晒される機会を減らす事だ。
最高の防衛法は、持論になるが選択肢に上がらない事だと思っている。
昇進の選択だろうが、降格の選択だろうが、その選択肢に上がらない事。
防衛という面で見ればこれ以上のモノは無いと思う。
当然、利益を享受する選択をしない訳だから、防衛以外の面では下策ではあるのだが。
「幸い、二人は記録のみの共有だ。メインの記憶も肉体もこの世界に根差した『近衛木乃香』と『桜咲刹那』のものだ」
直接は言っていないが、肉体は生娘であり、精神だって俺達と過ごしたあの二人ではないのだ。
本やゲームのストーリーを読み込んだような状態という話だし、自分を題材にしたエロ同人を見せつけられたようなものだろう。
いい気分であるわけがない。
「ウチ等の中では他所の出来事でも、キョウジさんにとっては本当の事なんやろ?」
「キョウジさんがしてきた行動も、言葉も私達に向けたものじゃない事も分かっています。それでも限りなく私達に近い人達なんです」
木乃香はいつもニコニコした表情ではなく、真剣な眼をしている。
そして、刹那の表情は悲しそうに眉を下げ、泣き出してしまいそうな顔をしていた。
「ウチ等はあの島での出来事を嫌ってなんかおらへんよ? そりゃ、ビックリもしたし、いっぱい悩んだけどな、みんな一生懸命に生きてた結果やん」
「私達だって同じ状況だったら全く同じ行動をとるでしょう。だって、あの世界の私達も私達なんですから」
いつの間にか、飲んでいたコーヒーを置いて、俺の後ろに居た。
座椅子に座ってプレイしていたゲームは既にリザルト画面。
キリも良い所だし、オートセーブも相まってこのまま電源を落としても問題無い。
というより、二人から肩に手を置かれていてプレイ続行という選択肢が無い状況だ。
「……二人は被害者だと思ってるんだ。望まない記憶に望まない関係だろうと思っていたからね」
「それは……」
「だからこそ!」
何かを言おうとした木乃香の言葉を遮って言葉を続ける。
続けなければならない。
俺の考えだけでは独り善がりになる。
木乃香と刹那も含めて決めなければならない事だったのだと、改めて認識した。
「話そう……。二人があの島の木乃香と刹那じゃない事は分かってるけど、重ねない様にしてきたけど、君たちが望むことを教えて欲しい」
こうして話して、認識の違いがある事を知った。
ここ数日、木乃香達のクラスメイトが来ていたのは、俺という人物を図っていたのかもしれない。
彼女達のクラスメイトが沢山来たが、それぞれが俺やその周囲の印象を確かめていたように思える。
本当に友人思いの娘達じゃないか。
腹芸とか出来ない娘達も居るが、中にはそういう事が得意な部類の娘達も居る。
長瀬楓とかは特に相手の心理をなぞるのはできそうだ。
「俺は今まで、二人があの島の二人じゃないと分かってから、心情を考えて俺との関りは最低限になる様に動いてた。俺と木乃香と刹那だけの状況……今のような状況になるのを避けていた」
今日みたいな状況は出来る限り避けていた。
小猫やゆかりさん、フェイトやアーシアが居る様に調整していたし、俺自身が外出したりすることもあった。
当初は関わるというか視界に入る事も避けていたが、木乃香達からの接触が多かったこともあり、改めたのだ。
「ウチは、避けられてたのは分かっとった。けど、それを認めたくなくて……色々と皆に手伝ってもらって……だけど、それ以上が出来なくて……」
「私も避けられているのに気づいてはいました。ただ、キョウジさんの性格だと私達に気を使っているものだと分かっていたから、半ばあきらめてて……」
こうして聞くと、大分心に負担をかけてたのだと分かる。
独り善がりになっていたのだと改めて自覚する。
あの島で生活していて、小猫達とのコミュニケーションしかしてこなかったし、元々出不精のコミュ障だったのだ。
今更になってその弊害が出たのだろう。
「それで、せっちゃんと相談して……ウチ等の思いを伝えようって……」
「はい、なので小猫さんに相談して今日の場所を用意してもらいました」
……ああ、小猫達にも心配をかけてしまったのか。
今考えると、露骨だったのかもしれない。
それでも指摘してこなかったのは、木乃香達の行動を信じていたのかな。
やれやれ、年長者として情けなさすぎるなホント。
「そうか、悪かった。今まで露骨だった……木乃香や刹那の意見も聞かずに勝手だった」
素直に頭を下げる。
これは俺が悪いのだ。
彼女達はまだ中学生だ。
そう思って、勝手に自分の理想を押し付けてしまっていた。
だけど、自分で考えて行動しているのだ。
いくら若いからと言って……いや、若いからこそ俺は彼女たちの意見に耳を傾けるべきだった。
「ええんよ。キョウジさんはまとめ役やったし、ウチ等を守ろうとしてくれたんよね?」
「私達も、キョウジさんに相談できませんでした……。察してもらおうなんて、勝手でした」
ガシッと木乃香が左側の肩と腕に絡める様にして抱き着いてくる。
それにワンテンポ遅れて刹那が逆側に抱き着いてきた。
「……あれ? 何の真似だ」
「沢山相談したんよ? おじいちゃんにも、アスナにも、図書委員会のみんなにも、いっぱいいっぱい相談して、せっちゃんと一緒にたくさんたくさん悩んで……」
ギュッと抱き着かれている腕に込められている力が強くなる。
成長期の胸が腕に押し付けられて、緊張してしまう。
「それで決めたんです。あの島の私達にはなれませんが、私達なりの方法で貴方の隣に居られるようになろうって……」
刹那にもホールドした腕を両手で固定しつつ、太ももで手を挟まれる。
引き締まっている中に女の子特有の柔らかさを感じ、それがスパッツ越しに俺の右手を包み込んでいる。
ああ、彼女たちなりのアプローチなのか。
木乃香なりの勇気だし、刹那なりの甘えなのかもしれない。
こんな所で二人の面影を見る事になるとは思わなかった。
限りなく近い他人だと勝手に思っていたけど、そうじゃないんだ。
可能性の一つってだけだ。
「せやから……」
「ですから……」
ステレオで両耳に囁かれるように、二人がズイッと身体を乗り出す。
その言葉は決意の感情が乗っている。
二人とも恥ずかしそうにしているけど、それでも両手をしっかりと固定している彼女達の意思がこもっている。
「「ウチ等を超えて見せるから、覚悟しとき!」」
やっぱり、勝てないな。
木乃香も刹那もこの世界に来ても、別人になっても、敵わない。
彼女たちの青春の一部になるか、俺の覚悟が問われるか、今の俺にはわからない。
だけど、今の彼女達を見ると覚悟、キメ時だと心に刻んだ。
いかがだったでしょうか?
外伝も三作品目になりました。
ある程度予測されている人も居ると思いますが、外伝の作品順番がキャラの参加順で書いています。
本編も風呂敷を畳み始めなければならない所まで来ていますので、お待ちいただければと思います。
よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
それでは~。
-5/31追記-
明記できていませんでしたが、束さんも来てはいます。
ただ、キョウジ君達が認識する前だったので、合流していない形になっています。
多分、ネギま世界のどこかで暴れるのかもしれません。