無人島暮らし~いろんなヒロインが流れ着くエロゲみたいな島~ 作:みずしろオルカ
絶妙に痛いのです。
さて、リリカルなのはの外伝となります。
割と難産。
コロナに台風に大変な状況ですが、油断せず慢心せず、乗り越えていきましょう。
さて、『ここすき機能』ですが、好きな表現の部分だけじゃなく、所謂伏線の部分に付けてくださる方も居て、面白い使い方だと思いました。
この伏線割と注目されてるな、とか気づかれて無いからここを拾えば面白くなるかな? とか、夢が膨らみます。
機能の練習がてらに、使ってみてはいかがでしょうか。
それでは、どうぞ!
無事? あの無人島から脱出が出来た。
俺としては、それぞれの世界に戻ってめでたしめでたし……っというのが希望的観測ではあるが、もし脱出すると仮定した時に、起こり得る可能性として高い方の選択肢だと思っていた。
しかし現実は、魔法少女リリカルなのはStSの世界に飛ばされた。
全員を連れて……。
最大の懸案事項として、あの島のフェイトと、この世界のフェイトさんの存在統合が行われたことだろうか。
この世界で過ごした記憶と同時に、俺たちと過ごした無人島の記憶が混ざった状態。
最初は混乱していたが、今では納得はしているようだ。
感覚としては原作世界の存在が強いようで、メイン人格が原作世界、その中で俺らと共に過ごした時間が記憶されているという感じらしい。
そんな中、俺と小猫・アーシア、木乃香と刹那、ゆかりさんと束は、この世界での戸籍を用意してもらえた。
フェイトさんと友人の高町さんや八神さんのお陰だ。
ありがたい事に、フェイトさんがミッドチルダと地球での住処と仕事を斡旋してくれた。
こうなると、小猫やアーシア、木乃香と刹那、ゆかりさんと束を養うために頑張るしかない。
小猫やアーシア、木乃香と刹那は地球の学校で学生生活をしている。
フェイトが小さい頃に拠点にしていた豪華なマンションを借りて地球の拠点として活用中だ。
ミッドチルダでは、ゆかりさんが時空管理局の事務員として働き、事務員としてはかなりの要職になっていると聞く。
束は一番分からない。
基本的に無限書庫に通い詰めては、気付いたら色々な特許を引っ提げて帰ってくる。
そして、俺と一緒にミッドチルダの自宅でゲーム実況者だったり、実験動画投稿者として稼いだりしている。
俺はそこに料理系の動画も併せて投稿してチャンネル運営もしている。
俺と束のゲーム実況チャンネル、束の実験チャンネル、俺の料理チャンネルの計三チャンネルだ。
本当は地球で就職を考えていたのだが、全員に阻止された。
地球とミッドチルダでの拠点は基本的に転送装置(束製)で繋がっており、二つの拠点を管理する人間が必要だと言われ、ほぼ強制的に主夫兼動画での収入での生活になった。
管理局の介入やらを防ぐ為に地球側での生活が主になっていて、家族以外で知っているのが、フェイトさんと高町さん、八神さんのお世話になった人達のみだ。
「さて、本日作っていく料理はこちらです!」
今、地球側拠点のキッチンで『ミルフィーユかつ』の料理動画を収録している。
ミルフィーユかつとは、トンカツに使われる厚く切られた肉とは違い、薄い肉を複数重ねて一纏めにして、揚げる事で出来上がる料理だ。
普通のトンカツと違い、非常に柔らかい食感が印象的な料理だ。
肉を重ねて揚げるという形態上、間に様々な食材を挟むことができる為、個々人のオリジナリティが出せる。
「ミルフィーユかつという事で、今回はその調理過程と幾つかアレンジもご紹介できればと思います」
少しずつ慣れてきた撮影も順調に進み、実食部分も取り終えて後は編集と投稿のみだ。
そこまでで一息つき、満腹感と満足感を堪能しながら、洗い物を片付けている。
しかしその満足感もそこそこに、最近の状況で諦めの様な苛立ちの様な感情が湧き上がってくる。
まぁ、動画投稿者とは理解され辛い部分だし、地球側の文化でもそういう目で見られるのだ。
ミッドチルダではそう言う収入をする人というのは居ないと言ったら語弊があるが、かなり少ないという話だ。
心配なんだろうな。
フェイトさんから何度もウチに来てくれるし、生活できてるかとか、次元漂流者という事で虐められてないかとか……。
有難い事なんだけど、過保護というか。
執務官の仕事に影響は出ていないだろうけど、負担になっているんじゃないかって思える頻度だ。
本人から聞いて間違いない事だが、フェイトさんと高町さんが保護している娘。
ヴィヴィオちゃんも居るし、何だったらStSの直後ぐらいの時系列だ。
怪我もしているだろうし、執務官としての仕事も大量に来ているだろう時期だ。
そんな時期で、しかも娘になるヴィヴィオちゃんも甘えたい盛りだろう。
「さすがに釘さしておかないとなぁ……」
日を追うごとにエスカレートしているフェイトさんを、一回諫めておかないと彼女の負担になるし、周囲から男の家に通う女というイメージが付いてしまう可能性もある。
特にフェイトさんや高町さん、八神さんは美人な上に、管理局の新星だ。
管理局側から求められるイメージもあるだろうし、この世界にも当然のようにゴシップ雑誌やメディアも存在している。
次元漂流者という身元不明の男を保護して身元保証人になったり、その家に通うなどゴシップのいいネタだ。
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最近のフェイトちゃんがおかしい。
少し前に保護した次元漂流者の人達の所に通っていて、忙しい合間を縫うように甲斐甲斐しく通い詰めている。
男の子が一人いて、その子を取り囲む様に女の子が集まっている。
ロストロギアが影響している可能性も考えられていたが、フェイトちゃんの記憶に干渉して別のフェイトちゃんの記憶が混ざったような感じになっている。
基本的にフェイトちゃんの人格には影響は出ていないし、自分が登場する漫画を頭に入れられた感じだと言っていた。
その記憶では本当に色々とあったみたいだったけど、命の恩人だって言ってたのは覚えている。
フェイトちゃん自身が助けられたわけじゃないけど、フェイトちゃんは自分の様な存在に手を差し伸べる事が出来る彼らを信頼しているようだった。
人柄としては、深い関りが無いから測り損ねている。
はやてちゃんだったら、ある程度は把握もしているかもしれないけど、基本的に彼らと関わりのある用事は、ほぼフェイトちゃんが受け持っている。
地球とミッドチルダを行き来できる装置を所有していて、管理局側もそれに関しては黙認している。
彼らの身内が多く持っている特許だったり、技術力が管理局も恩恵を受けている為、犯罪者でもない限りは不利益になる事をしないという決定になっていると聞いた。
はやてちゃんから聞いたけど、管理局側の過激な人達が色々しようとしたらしいけど、不祥事や不正を大量に世間にバラ撒かれ、その上それを理由に管理局が止められた技術特許で大損害を受けたらしい。
過激な人達は文字通りクビからの犯罪者として捕まった。
あれは一生刑務所から出て来れない。
それだけの不祥事に関わっていて、しかも恥ずかしい経歴なんかも管理世界全域にバラ撒かれている。
仮に出たとしても、まともな生活は送れないだろう。
はやてちゃんも、「エッグいなぁ……、なのはちゃんと声が似とるから余計にギャップで怖いわぁ」と言っていた。
そんなに似てるかな?
でも、フェイトちゃんもはやてちゃんも似てるってよく言っているから、そうなんだなぁっという感想。
そう考えていると、レイジングハートから着信音がする。
送信元は、フェイトちゃんのバルディッシュから。
内容は、至急指定住所に来て欲しいという内容。
ここは件の男の子達が住んでいる住所のはずだ。
それにフェイトちゃんからじゃなく、バルディッシュからというのが引っかかる。
「フェイトちゃんに何かあったのかな?」
考えられるのはフェイトちゃんが発信できない状況で、バルディッシュが急遽連絡した可能性。
それだと、内容が薄いし緊急性が伝わっていない。
もしくは、バルディッシュがフェイトちゃんの状況を良くないと判断して、私に連絡をしてきた可能性。
それだと、この情報の薄さも分かるし、最近のフェイトちゃんの行動からも理解ができる。
「もし、あの人達にフェイトちゃんが何かされているなら……私が助けないと!」
決意を新たに、メールにかかれていた住所に向かうために準備をする。
レイジングハート経由で、はやてちゃんに連絡して彼らの住所へ向かう事にした。
魔導師とは言え、事件でもないのに飛翔魔法は使えない。
フェイトちゃんみたいにスポーツカーとか持って無いし……。
タクシー使おう……。
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ミッドチルダで借りている一室。
束が持ち主のマンション最上階で眼前には正座しているフェイトさん。
腕組みしている俺。
そして、俺とフェイトさんの間でオロオロしている高町さんの構図だ。
「さて、三人だけになりましたし、お説教の続きと行きましょうか?」
俺の言葉に、ビクッと肩が跳ねる。
今まで二人っきりでのお説教タイムだったわけで、フェイトさんは十分に身に染みているだろう。
しかし、高町さんが到着してから、状況の説明と仲介及び見届け役をお願いした。
俺の本気が分かってくれたのか、高町さんは協力してくれた。
「キョウジさんってこんなに怖かったの?」
「うん……左目を閉じてるから……結構怒っている時の癖だったかな……?」
ああ、そう言えば俺の癖はあの島の全員が知っていて、それはフェイトも例外じゃなかった。
フェイトさんが記録から読み取っていても不思議じゃないか。
「何度も注意してましたよね? 俺達は次元漂流者で、フェイトさんや高町さん、八神さん達は俺達の保護者の様な立ち位置です」
苛立ちを表すように、腕を組んだ状態で指がトントンっと動く。
左目を閉じた状態で、フェイトさんを不満げに見つめ続ける。
この異様な空気に、フェイトさんはおろか高町さんもオロオロしている。
俺自身も相当イラ立っている状態なのだが、それには理由がある。
「執務官の仕事に影響が無いのは当然ですが、オーバーワークで仕事を早く終わらせるとはどういうことですか? ただでさえ激務の執務官の仕事、自分で負荷を悪戯に増やすのはダメでしょう」
執務官の激務具合は与えられている権限や事務職のゆかりさんからの情報でも容易に理解できる。
少し調べてみれば、執務官の試験は超難関だと分かるし、仕事内容も公表されている物だけでも相当に重要なものが多い。
だというのに、フェイトさんはウチに来る時間を捻出する為に、無理を続けている。
何度も注意してもそれを改める事が無いから、今回の説教タイムとなったわけだ。
「大体、ヴィヴィオちゃんという娘さんが居るんでしょう? 俺らよりもその娘に時間を使うべきだ」
StSの後という時系列のようで、機動六課は解散直前。
それぞれも忙しくなってくる時期だし、確か解散後はティアナを補佐に付けて活動するはずだ。
執務官の仕事量、そしてフェイトさんの性格や知名度・人気などを総合すると相当量の負荷がかかっているだろう。
「はい……そのとおりです」
「えっと、キョウジさん? フェイトちゃんも反省しているし……」
余りの状況に耐えられずに、フェイトさんへ助け舟を出す高町さん。
いや、その行動は分かる。
スーツ姿で、座布団の上とはいえ正座しているフェイトさん。
高町さんが到着した時からこの状況で、最初こそ勢いがあった高町さんが説明が進むごとに、「あー」っと納得したような表情になっていくのが印象的だった。
そして、お説教が進むにつれてフェイトさんをかばう側に回り始めていた。
二人は優しいし、高町さんは優しさの中に厳しさをしっかりと持った人だと分かるが、友人にはまだ甘い。
「いいですか高町さん!」
「ひ、ひゃい!?」
正座しているフェイトさんの横で、直立不動の姿勢をとる高町さん。
流石、時空管理局の魔導師の教導を行っているだけあり、その姿勢は綺麗な物だ。
ただ、直立不動の姿勢は上官への敬礼に属する行動のはずだ。
いや、時空管理局がその方式をとっているかは分からないが、不動の姿勢は脱帽時の敬礼で、民間人のオレにやるモノじゃない。
「十五回です」
「へ?」
「十五回目の注意なんですよ」
最初はそれとない感じの、当たり障りのない注意だった。
十を超えたあたりから、今の様な説教形式へ。
今回は流石に回数も重なり、理由があるだろうと高町さん同席の下に理由を聞く事にした。
「フェイトさん、貴女が理由も無くこういう事をする人じゃないのは分かります。理由を教えてくれませんか?」
思慮深く、多くの事を考えるフェイトさん。
最初は世話好きな彼女の部分が暴走しているのかとも思ったが、そういう訳でもなさそうだ。
そうであれば、理由を聞かずに拒否をするのは良くない。
ただ、何度も注意しても聞かない姿勢には苦言を呈す必要はある。
「名前……」
不満げに口を尖らせながら、しかしハッキリとそう言っていた。
フェイトさんの呼び方。
これはあの島のフェイトと、この世界のフェイトさんを混同しないようにする俺なりの線引きであり、フェイトさんだけでなく高町さんや八神さん達へも説明済みだ。
フェイトさんにとって、身に覚えのない自分の情事を見せつけられたようなものだ。
積極的にウチに訪ねてくるから、そこまで気にしていないのかもしれないが、身に覚えのない自分と重ねられることは彼女の出生から鑑みても避けるべきだと判断している。
「さん付けじゃなくて、呼び捨てにして欲しい……」
頬を赤らめ、潤んだ眼。
不満げに口をとがらせている姿は、非常に可愛らしい。
隣の高町さんも目をキラキラさせている。
しかし、フェイトさんが呼び捨てを求めているというのは意外だった。
最初は高町さんや八神さん達の後ろに隠れていたし、俺が話しかけるとビクッと肩が跳ねていた。
だから距離を開けるという意味でも、さん付けにすることであの島のフェイトとの差別化を図っていたのだ。
「いつまでも最初の印象を持ち続ける訳やないって事やな」
後ろからかけられた声に振り向くと、八神さんが立っていた。
たぶん、高町さんが呼んだのだろう。
バルディッシュには、高町さんだけに声をかけてもらったが、彼女が他に声をかけるかどうかは彼女次第だ。
まぁ、フェイトさんからの呼び出しではなく、彼女のデバイスであるバルディッシュからの呼び出し。
事件性を感じて応援を呼ぶのは当たり前だろう。
「はやてちゃん、ごめんね呼び出して」
「気にせんでええよ。フェイトちゃんの件やったし、私もこれを機に聞きたいこともあったしな」
恐らく仕事先から直接来たのだろう。
スーツ姿で僅かに疲れを滲ませている。
「お久しぶりや、キョウジさん。勝手に入ってゴメンな?」
「いえ、大丈夫です。お久しぶりです、八神さん」
たぶん、家の外には彼女の家族たちも居るかもしれない。
全員でなくとも、シグナムさんかヴィータさん当たりは居るだろうな。
「フェイトちゃんの無理は私等も気付いとったけど、止められなくてなぁ」
つまり、固い意志をもってウチに来ていたのか。
ますます、理解できない。
俺なんかよりも、高町さんや八神さんの言葉は彼女を動かすはずなのだ。
だというのに、彼女はここに来ている。
「キョウジさんがフェイトちゃんを誑かしとるようなら、ウチやなのはちゃんの力を全部使って対応せなあかんなぁって」
ひぃ!?
雅な口調と笑顔の中に確かな殺意!!
まぁ、親友同士だしダメな男に対して警戒して、彼女を助けるのは自然か。
高町さんは管理局の教導官で、その戦闘力も高い。
八神さんは個人の戦闘力よりも、彼女のコネクションが恐ろしい。
物理と社会的に潰すことが可能な布陣に恐怖を禁じ得ない。
「まぁ、私もはやてちゃんも一週間ぐらいで大丈夫だって思ったけどね」
「シグナムあたりがずっと警戒しとるけどな」
まぁ、彼女の性格では俺のしている生活は警戒されても仕方ないだろうな。
戦闘力があるわけでも無いし。
その辺りは、フェイトさんが説明していたのだろう。
露骨に突撃されることは無かったし、これからもそれなりに慎ましく生活してれば大丈夫かな?
「それでな? フェイトちゃんが呼び捨てて欲しい言うとるし、気を使わなくてええと思うで?」
「だけど、フェイトさんという呼び方は、島の彼女とを区別する一つの方法です」
恐怖とは違う、戸惑いと困惑。
あの時にフェイトさんの感情は、割とダイレクトに俺の心に来た。
考えてみると当然だろう。
初対面のはずなのに、目の前の人間との情事の記録が強制的に再生されるのだ。
しかも、マゾヒズムを前面に押し出した性行為だったし、認めにくいというのも分かる。
あの性癖、彼女の根本とはいえ果実が影響していただろうから、余計に忌避感が勝っていても不思議ではない。
「でも、それはフェイトちゃんがいいって……」
「例の島で、俺がしてきたことを知っての話です?」
正直、普通の恋人以上の回数は性交をしている。
互いに触れていない場所は無いと断言できるレベルで、しかもプレイ内容もアブノーマルな内容だ。
「それでもや。フェイトちゃんは言わんけど、何となく想像つくしなぁ」
「私も。フェイトちゃんMっ気あると思うしねぇ」
「はやて!? なのは!?」
予想外の方向からの攻撃にフェイトさんも戸惑いの声を上げている。
いや、そう言う方向の知識があるのは当然だけど、サラッと言われると複雑な気持ちになる。
フェイトさん自身も知識はあるし、アブノーマルな方向の知識もあったからこの二人も当然あると思っていたが、割と寛容なようだ。
「えっと、その辺りは本人に直接聞いてください」
「!?」
フェイトさんが裏切られたみたいな感じの表情を向けてくる。
少々心が痛むが、女性二人に情事の事を根掘り葉掘り聞かれるのは精神的にキツイからね。
申し訳ないが、生け贄になってくれ……。
「やっぱり、相手の感情を読み取れるだけの観察力があるんや。せやったら、フェイトちゃんと話し合いやな」
そう言うと、八神さんが俺を、高町さんがフェイトさんを連れて押し込む様に隣の部屋に押し込んだ。
結構狭い部屋で、動画の編集用PCとゲーム実況用のPCが並んでいる。
因みに俺用のPCで、束は別のPCを使っている。
全部組んでいるのは束だけど、編集は基本的に俺が担当している。
「えっと……なのは達がごめんなさい……」
「いや、友人を守りたいって事さ。それに、名前の件……気付けなくてゴメン」
フェイトさんが、よくウチに来る事を心配してるだけと決めつけていたが、交流を重ねて呼び捨てを切り出そうとしていたのは予想外だった。
八神さんが言っていたように、最初の印象をフェイトさんが持ち続けていた訳ではないという事か。
悪い癖だ。
俺は第一印象に引きずられ、今の彼女を視ようとしていなかった。
「ううん、私もハッキリと伝えなかったし……。キョウジさんに甘えていた所があったから……」
気まずそうにこちらを見てくる彼女。
双方に悪い所があったと、反省して彼女の希望をかなえる事にする。
「……フェイト、来るなとはもう言わない。だから無理はしないでくれ」
「……! はい、キョウジさん、ありがとうございます」
すると懐から、バルディッシュを取り出した。
魔法? いや、必要性が無い。
そんなことを考えていたら、バルディッシュからホログラム状のカレンダーと予定表。
予定の内容は分からない様になっているが、フェイトの仕事の日程が記されている。
「この日とこの日がオフなので、片方をヴィヴィオと過ごして、もう片方をキョウジさんと過ごしたいです」
テキパキと日程の調整をしてくる。
あまりの速さに面を食らってしまう。
一週間とか平気で予定のマークが入れられている状況で、オフの日を次々と埋めていく。
オフの日のみできちんと調整しているようだ。
「ああ、良いが身体を休めなくていいのか?」
溜まっている用事もあるだろうし、公共料金とかも当然この世界にもある。
もし、高町さんとそう言った手続きを補完し合っているなら休みは重要だと思うのだが……。
「えっと……来客用の一部屋を借りたいのですけど……」
モジモジとした仕草で上目遣いでこちらを見てくる。
今の家は沢山部屋があるタイプで、大家族用の物件だ。
配信用の部屋や実験動画用の部屋、来客用の部屋も複数用意している。
ミッドチルダだけじゃなく、地球側でも同レベルの物件を借りているから、部屋なんて余るほどだ。
「……一部屋開けておくから、私物とか運ぶといいよ」
「ありがとうございます!」
俺は基本的に地球側の部屋がメインで、小猫やアーシア、木乃香・刹那も地球側の部屋を使っている。
ゆかりさんと束はミッドチルダ側。
そして、ミッドチルダ側で撮影と編集をしているので、ミッドチルダ側の部屋は余っている。
「……キョウジさん」
「なんだい?」
フェイトの顔はここ数日で一番晴れやかで、笑顔が溢れていた。
同時にそんなに負担になっていたのかと反省する。
「以前の関係に戻れる様に……頑張りますね!」
そう言うと、パッと部屋から出て行ってしまう。
外の高町さんと八神さんもびっくりした表情で、家から出ていくフェイトを見ている。
「おお……フェイトちゃん、大胆……」
「いやぁ、言うとる意味分かっとらんやろ」
二人は苦笑い。
俺は額に手を当てている。
以前の関係って、かなりディープなんだが……。
数分後に、慌てた様子で俺の携帯端末へ訂正の連絡を入れてくるのは、別の話で良いのだろう。
いかがだったでしょうか。
外伝ごとにキョウジ君の職業とか立ち位置考えるの楽しかったり大変だったりします。
次回は本編ですが、次回の外伝はハイスクールD×Dの方になる予定です。
その外伝ですが、メッセージなどでそれぞれの後日談の様な話を求めてくださっている方々がいらっしゃいます。
ありがたい事で、登場作品分を全部出し終わったら、その関係のアンケートを取るかもしれません。
是非とも投票してください。
よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
それでは~。