無人島暮らし~いろんなヒロインが流れ着くエロゲみたいな島~ 作:みずしろオルカ
脂質と肝臓がヤバいので、食生活に気を付けています。
酒は普段あまり飲まないので、脂肪肝なんだろうなぁっと予想。
さて、今回はエロ無しの風呂敷畳み話。
次回もエロ無しになるだろうことが予想されますので、もしかしたらまた短編でエロを上げるかもしれません。
それではどうぞ!
北部山頂に向けて歩き続けて丸一日。
無理のないルートと速度で歩いていた為、随分と時間がかかってしまったが、六合目ぐらいは来ているだろう。
この辺りから徐々にだが、草木が無くなってきて、一部の高山植物だけが残っている。
今の所、人が入った形跡は無く、獣道がある程度だ。
「フェイト、魔法はどうだ?」
「麓とほぼ変わらず、減衰範囲は麓からが最大とみて間違いない……かな」
北部山脈全体から魔法減衰のフィールドを展開していることは予想していたけど、ここまで大規模だったとは。
目の前で束が、魔法陣を展開するも、あっという間に霧散してしまう。
というか、束はもうそんなレベルで魔法を習得してるのか。
「魔法の反応で探すのは難しいか……。皆、互いが確認できる距離で探索を始めよう。発見時は大声で呼んでくれ」
互いにある程度の距離を保ちつつ、周囲の探索を始める。
地面や岩などを棒で叩いてみたり、獣道を外れた先を確認したり。
刹那が式神を放って少し広く探索をしてくれる。
あまり遠くに飛ばすと維持できなくなるらしいので、人の入りにくい場所の探索をしてもらう。
束もドローンを使用して高い位置から全体を見ている。
彼女の手元にある端末には俺達を上空から移した映像が映されているようで、束は俺らのちょうど真ん中で適当な岩に腰を下ろしながら端末を操作していた。
「上からじゃ、ただの山だね。裏側に回す?」
「いや、何かあった時に上空から全員確認できるのは強いから、できれば上空に待機させてくれると助かる」
「りょうか~い」
ポンポンと端末を操作し、そのまま胸ポケットにしまい込んだ。
屈むと落ちてしまうのではと思ったが、その豊満な胸のお陰で安定した保管場所となっている。
「束さんを中心に滞空するように設定したから、前後三十分録画もあるし安心だね!」
そう言いながら、全員のちょうど真ん中にいる様に周囲を確認している。
俺も、岩壁を軽く叩きながら確認。
ほとんど違和感を感じないが、奇妙な感覚がここのあたり全体を包んでいる。
獣道もあるし、もう少し上に行ってみるのもありか?
獣すら立ち入らない場所。
束の話ではもう少し登ればそういう道があるという。
「キョウジさん、もう少し上に登ってみませんか?」
刹那が木乃香を連れてそう言ってきた。
彼女は魔法無しで空を飛べる貴重な人材だ。
他には、悪魔の力を持っている小猫とアーシアが居るが、二人は拠点で待機している。
フェイトは魔法使用が前提で、この場所では飛行は使えないものと考えた方が良い。
「そうだな……。上の方はどういう状況?」
「ドローンでは、危険な場所は無いね」
「そうか。刹那の言う通り、もう少し登ってみよう。もう獣道も細くなっているから、無くなるだろう。滑落に注意して行こう」
獣道は指標だ。
多少の滑落し辛い場所を示している。
しかし、獣道は文字通り獣がよく通る跡なのだ。
この辺りからほぼ植物が無い。
草食動物やそれを狙う肉食動物が通るには余りにも旨味が無いのだ。
「キョウジさん、眼帯大丈夫? 道細くなってくんやったら、片目だと辛ない?」
木乃香に言われて気付く、自身の左目の眼帯の存在。
視界を立体的にとらえる為には、両目での視点が必要になる。
半分視界を閉ざしている今、多くの起伏や小石や岩がゴロゴロしているこの場所で立体視を持っていないのは辛いだろう。
大分違和感が無くなっていて、装着していることを忘れていた。
「そうですね。足元も悪いですし、この山の探索中ぐらいは外した方が良いと思います」
刹那も自分の左目に手を当てて、そう言ってくる。
剣士である刹那は、片目の危険性を一番理解しているだろう。
「探索中は外しておいた方が安全……だな」
納得して外そうとした時、ガシッと束に手を掴まれた。
結構な力がかかっていて、手が動かせなくなる。
彼女の方を見ると、いつになく真剣な表情。
割と彼女との間には数人分の距離があったはずだが、一瞬で間合いを詰めてきた。
「キョウ君、左目の状態は束さんから見ても良くないからさ。眼帯はしたママが良いよ。私が一緒に歩くから」
僅かな違和感を思えたが、自分と束の関係を考えると、理解できる部分もある為、その違和感は棚上げしておく。
医学系統の知識は俺にはほぼ無いと言って良い。
ごくごく一般的な民間医療的な知識と、食毒の判別と薬効のある野草の知識。
病状だったり、身体の状態から病名を導き出すことはできない。
この島で生活しているメンバーで、医療の知識があり、診断を出せる人間は二人。
フェイトと束だ。
治療が出来るという観点では木乃香とアーシアだが、診断が出せるという観点ではフェイトのバルディッシュがする診断と束の圧倒的な知識と彼女謹製の機器類が主流だ。
「……そうですね。キョウジさんも左目が疲れるまでの間隔が短くなってますから、あまり外さない方が良いと思います」
フェイトからも外さない方が良いという意見が出る。
この生活の医者担当の二人に言われれば、無理に外す気も無い。
木乃香と刹那も、二人の意見に納得したのか上に行く為の道筋なんかの話をしている。
再び違和感が心の奥でぼんやりと輪郭を表すが、ここは努めて無視することにした。
この二人が話さないという事は、確証が持てていないか、知らない事で守れる事だったりするからだ。
「じゃあ、悪いけど束にサポートしてもらおうかな」
「おっけー、束さんに任せなさい!」
元気よくサムズアップする彼女に一種の安心感の様なものを感じつつ、俺達は更に上に登って行った。
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獣道も無くなり、隣ではキョウ君が地面に触れたり、石を観察している。
この場所までの間でおかしな所はまだ見つけられていない。
魔法的な違和感はふーちゃんやこのちゃんに任せるしかないけど。
さっきは危なかった。
私の推察が正しければ、キョウ君の眼帯はできる限り外さない方が良い。
「キョウジさん、束さん! こっちに来てください!」
ふーちゃんが大声で呼んできた。
一番奥に行っていたけど、一番目立つのもふーちゃんだったりする。
束さん程じゃないけど、おっぱいもおっきいし金髪が目立つからね。
ふーちゃんの下に行くと、奇妙な岩が転がっていた。
異様に滑らかな岩肌に、中ほどから折れた様な断面。
断面は空洞になっていて、基盤や配線の影が見える。
「これって……」
「キョウジさんには……分かるかもしれないけど……」
ふーちゃんが言い辛そうにしている。
もしかしたら、彼女の知っている物なのかもしれない。
「ガジェットドローン……だよな?」
「うん、AMFみたいじゃなくて、AMFそのものだったって事だね」
AMFっていうのは、ふーちゃんの世界の魔法を阻害するフィールドの事。
色々と抜け道はあるけど、基本的に魔法を使えなくする技術。
ただ不思議な事があった。
目の前にあるそのガジェットと呼ばれる物体。
もし、稼働している実物があるなら束さんとしても是非とも調査したい一品だ。
だけど、私には眼前の物体が、土で出来た人形にしか見えなかった。
「がじぇっとって、土で出来てるん?」
「ううん、私の知っているガジェットドローンは金属でできていたし、それ以外の素材で出来ているのを見たことは無い……かな」
ふーちゃんの表情は驚いているって感じかな。
金属で出来ていたというのは本当だろうし、目の前の土塊がそのガジェットドローンに酷似して居るというのも本当なんだろうな。
キョウ君が持っていた木の棒、山登りする時に滑落防止用に装備品だったけど、それで土塊の端を突っついている。
本当に渇いた土で、突いた端からボロボロと崩れていく。
中身も配線や基盤がしっかりと残っているが、全て土だ。
「ふーちゃんは、ガジェットの中身見たことある?」
「資料写真は何度も……。まるで、そのまま土になったみたいな……」
これは、想定している事態の中でもかなり確率を低くしてたモノの方が正解かもしれないね。
今ほど、キョウ君から創作物の設定を聞いておいて良かったと思った事ない。
科学だけでは絶対に辿り着けなかった事実。
魔法だけでも発見できなかった結論。
目の前のガジェットドローンという機械は、キョウ君が棒で壊した瞬間に魔力を阻害するフィールドを展開しなくなった。
私もふーちゃんから教わって魔力を意識できるようになってたお陰で理解できた。
形を崩したことで、ようやく土として安定したのだろう。
これに気付くのは、多分私とふーちゃんだけかな。
キョウ君は魔法を使わないし、このちゃんとせっちゃんは阻害される魔力の割合が小さいから気づいていない。
「多分これと同じ状態のモノが、沢山この山にあるんだろうね。奥に行けばもっとあるかな」
棒で壊したけど、多分土となる前の状態で触れて良いモノかは、正直分からない。
この状態で直接触れるのは無しかな。
とりあえず、外装に相当する部分と内部基盤に該当する土をそれぞれピンセットで採取していく。
拠点のラボで解析しないと詳しく分からないけど、完全に土塊になっているけど、壊す前の状態をここから解析できるかもしれない。
最高はAMFを発している状態をそのまま手に入れる事だけど、拠点に持ち込むとふーちゃん達の魔法に影響があるかもしれないし、なによりこの状態で攻撃能力を失っているかどうかが不明という事で、断念する。
採取して研究するにしても、西側の旧拠点か中間拠点かな。
中間拠点はまだ設備が整っていないし、西の旧拠点も殆どの研究機材を今の拠点に運び出しているから、どちらで研究するにしても準備が必要だね。
「どうするん? 原因も分かったし、一旦降りる?」
「しかし、得られた情報が少なくないですか? もう少し上に行けばまだ情報がある可能性も……」
私としては、このちゃんの意見を採用したい。
ある程度の情報が取れているし、そこからキョウ君の状態も気になる。
「束さんとしては、一旦引いた方が良いと思うよ。情報は手に入ったし、細かい所はドローンでも十分じゃないかな?」
「私も、ちょっとこの山にガジェットがある理由も分からないし、一度全員で情報を整理した方が良いと思う……」
ふーちゃんも撤退側だね。
キョウ君とせっちゃんが進行側。
束さんとふーちゃん、このちゃんが撤退側。
不安要素が無ければ私も進行側に立ってたと思うけど、今回は一つの確証が持てただけでも十分だし、その確証を得られた観点ではキョウ君が危険になる可能性が高い。
「……撤退多数だな。一度拠点に戻る事にしよう」
あっという間に撤退の方向に思考を切り替えたみたい。
キョウ君は切り替えと決断が速いのだ。
自分の事には割と優柔不断な部分が見えるけど、拠点やメンバーの事に関しては切り替える速さは同一人物と思えない時がある。
私達の事に関して、特に正確な決断と行動をするのだ。
「風も出てきましたし、気を付けて降りましょう。風にあおられて滑落の可能性もあります」
確かに、杖を突きながらでも強風で滑落する可能性はある。
せっちゃんでも一度滑落してしまえば飛び立つのは難しいはずだ。
「せやったら、ロープきちんと握っていこうか」
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下山も大分麓に近づいてきた。
山頂近くで見たガジェットドローンの形の土は、気にしてみると一部と思われるもの見え隠れしている。
あそこまではっきりと形が残っているわけじゃないから気付かなかった。
意識して見てみれば、元々コード部分だったであろう箇所や、外装だったであろう箇所も確認できた。
一度認識してしまうと、この山全体がガジェットドローンの残骸で出来ていると思えてしまう。
「キョウ君の考えは殆ど当たってるよ。束さんの見解はガジェット以外も存在しているだろうって事」
束の意見だけど、そう言われてみれば当然。
ガジェットドローンだけがこの場所で土塊になっているわけが無いのだ。
何故土塊になっているのかという疑問はあるが、それとは別にガジェットだけがここに来ているのかという疑問も当然出てくる。
ガジェットが来ているのであれば、他のモノも来ているだろうというのが予想が可能だ。
「一度、拠点に帰ってゆーちゃん達も含めての話し合いが必要だよ。ふーちゃんの世界の存在があったって事は、しーちゃんとあーちゃんやこのちゃんとせっちゃんの世界からも来ている可能性はある。束さんの世界からだって十分にあり得るからね」
ガジェットドローンはフェイトの世界で大量生産されていた無人兵器。
そしてこの島には多くの漂流物が流れ着いている。
俺たちの住む南側にはスーツケースや日常品など、東側にはあまり多くは無いけど無差別に色々と、西側には大型の船舶や破損した旅客機の残骸が流れ着く。
北側は、山岳の裏側なので見る事はまだできない。
束のドローンで見るか、今回の様に実際に足を運んで山を越える必要がある。
「大分麓が近くなったな。今日中には麓のキャンプ地に着くかな」
「そうやね。登りの時と違って道は作っとるし、探索もしてないしな」
基本的には安全を考慮した帰路につくだけの道程。
三分の一程度の時間で登りだす前のキャンプ地に戻ってこれた。
ロープとそれを岩肌に固定する器具。
予定では頂上まで器具を打ち込みながら登っていく予定だったから、杭やロープも十分余っている。
また来た時の為に道を補強しながらだったけど、それでも十分以上に早く降りられそうだ。
「刹那、フェイト。杭とロープはどれだけ残ってる?」
「えっと……ロープは十分に残ってます」
「杭は残り僅かって感じです。道筋強化の為にこのちゃんと一緒に予定の倍ぐらい打ち込んでますし」
両方とも予想通り。
また探索で来るときに、多めに打ち付けている杭は最初の探索よりも安全性を高めてくれる。
ロープはまた来るときの為に、中間拠点に置いておこう。
必要な資材や使うだろう道具類は基本的に中間拠点に置く様にしており、ツリーハウスの拠点には野生動物が入り込む可能性は極端に下がっている。
例外として鳥や蝙蝠の様な飛行能力のある生物と、猿やモモンガの様な木を登る事に特化している生物は入る事が出来るのだが。
それらの対策としては、戸締りとネズミ返しの様な器具を付けている。
効果としては、被害が無い所を見るに十分なのかもしれない。
「ロープは中間拠点に置いておこう。……杭はどうしようかな」
「杭も中間拠点でええんちゃう? 使うんはここだけやろうし……」
「いや、メイン拠点に持っていって鋳型を作るのに使おうかとも考えててね」
「それぐらいなら、束さんが量産型のマシン作っちゃうよ?」
確かに、効率で言えばそれでいいのかもしれないが、機材は有限だ。
鋳型を作って自分たちで作れれば、それ以外の部分で束の発明を他の分野に回せる。
自分たちで出来る部分は自分達でやった方が良い。
「いや、今回の杭はそれほど使用頻度も高い訳じゃないから、鋳型を作って自分達で作るのが良いと思う」
「ああ、確かに山頂まで使う個数も多くないでしょうし、ロープ自体は十分ありますから、自分たちで作る方が束さんの手も空きますしね」
「ふーちゃん、私は別に頼ってくれても良いんだよ?」
「でも、束さんもやる事は少ない方が良いでしょう?」
「それは、確かにやりたいこともあるけど……」
束の技術は高いが、負担をかけすぎるのは良くない。
特に最近は色々と考えているようだし、それに伴って彼女の部屋にこもる事も多い。
今回は山の探索だったから一緒に来ているけど、本来なら自分の研究室から出たくなかっただろう。
なにしろ、拠点の発展・魔法の学習・ゆかりさんの世界の科学技術の習得・他の世界の魔法や世界観の設定を俺から教わっている。
「それより、束。これから帰るし、信号弾の青、撃てる?」
「あ、了解。少し離れてね、危険は無いけど火薬だから」
そう言うと、空に向けて口径の大きい拳銃の様なものを向け、引き金を引いた。
パシュンっという音と一緒に、光る球が空へを飛んでいき、一定の高さま到達したら青い煙を吹き出しながらゆっくりと地面に落ちていく。
濃い煙で強風にあおられない限り、しばらくは停滞しているだろう。
青は問題無し、これから戻る。
黄が問題軽微、これから戻る。
赤が重大問題、至急救援頼む。
事前の取り決めで、赤が上がったら拠点組も俺達の救出に出てきてくれる。
上がる事も無いと思っているけど、準備自体は必要だからな。
「これでよしっと! 麓で一泊してから帰ろうか、キョウ君!」
強風に流されない限り、小一時間程停滞する煙だし、この位置は背面の山もあって目立つ。
結構な期間を登山と下山に費やしてるから、疲れた。
「そうだな。一泊して体力を回復してから戻ろう」
そう言えばかなりの期間、眼帯を外していない。
帰ったら眼帯の洗濯や一度目の様子を見ておこう。
使っていないのに、妙に眼帯の下が熱いのも調べて貰わないと……ね。
いかがだったでしょうか。
短編で鬼滅の刃を上げたのですが、このご時世のお陰か予想以上に読んで頂きまして嬉しく思っております。
こっちのエロとは違う方向で書いてますので興味がありましたらどうぞ。
もしかたら、こっちでのエロ無しの鬱憤を、短編に続編とかで晴らすかもしれません。
長く続いていたこの作品もそろそろ終わりも見えてきました。
綺麗に風呂敷を畳めれば良いなぁ……。
よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
それでは~。