無人島暮らし~いろんなヒロインが流れ着くエロゲみたいな島~ 作:みずしろオルカ
カクヨムさんにて連載中ですので、お時間がありましたら一読していただけると幸いです。
さて、久々の外伝。
ハイスクールD×Dの二話目でございます。
外伝は残りひと作品。
それでは、お楽しみください!
小猫に発破をかけられて数週間。
二人の関係はあの島と同等……とまでは行かずとも、かなり親しい関係まで発展している。
一緒にお菓子を買いに行ったり、家でお菓子を一緒に食べたりしてまったり過ごしている。
ゆかりさん達も社会人生活、学生生活を満喫している。
「三高さん! お願いします!! ハーレムのコツを教えてください!!」
土下座をしている兵藤一誠君。
同席していた小猫が言うには、その時に俺の表情は苦笑いと虚無の表情が入り混じった複雑な表情をしていたらしい。
どんな顔だよ。
「あー……、兵藤君はなぜ俺に?」
「だって! あんな沢山の美少女たちに囲まれて!! しかも、おっぱいも色んなサイズをコンプリートしてるじゃないですか!!」
「別に、女性の胸をコレクションしてないからな?」
ハーレムに憧れている彼からすれば、俺の現状は羨ましいモノなのだろうが、意図して作った状況ではないだけに、困惑の感情が先立つ。
一緒に来た小猫は侮蔑の眼で、アーシアさんは苦笑いの表情を浮かべている。
これが通常運転なのか、グレモリー眷属流石だ。
「でも! 美少女ばかりを集めていて……オレは……オレは……」
本気で悔しがっている。
いや、君も相当なんだけどなぁ。
しかし、知識としては有ったけど、本当に性欲旺盛で、熱血漢というスゴイ漢だな。
「前にも言っているかもしれないが、俺の場合は状況が特殊だったんだ。ハーレムを作る方法は分からないし、教えられないって言うのが答えだよ」
「そ……そんな……」
リアルに絶望した! みたいな表情を目の前で見る事になるとは思わなかった。
だけど、これが事実。
俺のこの状況は、特殊な状況下だった。
その影響で女性が周囲に居てくれる状況が作られた。
だから、ハーレムを作る方法なんてわからない。
「だけど……まぁ、ちょっとアドバイスするとね」
この状況を保つ方法ならある程度は分かる。
俺の場合は、彼女達の好意を受けるだけじゃダメだった。
少しでも彼女達の心理的負担を減らすために、色々考えていたのだ。
「兵藤君は、ハーレムをどう考えている?」
「え? えっと……漢の夢っす!!」
まぁ、そう答えるだろうなっと思っていたことがそのまま返ってきた。
これには苦笑するしかなかった。
この世界での、彼の行動を目の当りにしていたから予測はしていたけど、本当に予測通りの反応と回答をしてきてのだから仕方が無い。
「あー、その辺りからアドバイスをしようかな」
そう言って佇まいを正し、兵藤君を見る。
その様子に、彼も姿勢を正した。
同席している、小猫もアーシアもこちらを見ているのが分かる。
「一般的な男女の恋愛、一対一の男と女の恋愛だ。男は女を、女は男を互いに思い合って、成立する関係だ」
「は、はい……」
緊張した面持ちの兵藤君。
まぁ、ハーレムの一端の知識が得られるからだろう。
普段よりも真面目な空気に緊張しているようだ。
「これは、一対一の関係だからだ。これが、多対一になると話が変わってくる」
三人の恋愛。
三角関係とかでも表されるが、三人以上の恋愛は異様に複雑になる。
色々な理由があるが、一番の理由は人間関係の複雑化だろう。
「一対一の恋愛は当人と相手のみ関係だけど、多人数との恋愛は兵藤君と相手だけじゃなくてもう一人の相手との関係もある」
兵藤君とAさん、兵藤君とBさん、そしてAさんとBさんの関係が出てくる。
人数が増える事でその相関図も増えていくのだ。
「そこで気をつける事は、嘘をつかない・誰かと比べないというこの二つだ」
「そんな簡単じゃないですか」
「そうでもないぞ? 兵藤君は胸が好きだろ?」
これは常々彼の口から出ている言葉だ。
彼の根源と言っても過言では無いかもしれない。
「大きさもそうだけど、形だったり、ハリだったり、コンプレックスに感じている部分は女性によって違うんだ」
良かれと思って言った部分がコンプレックスを刺激していたり、誰かを褒めるとそれが他の女性に伝わる。
誉めるのにも言葉を選ばないといけないのだ。
「言葉選びと言ったら、印象はそれほどでもないかもしれないけど、多く語るなら全員に多く語り、少なく語るなら全員に少なく語りなさい」
「えっと……?」
ちょっと難しかったか?
だけど、これ以上直接的な話をすると彼の為にもならないし……。
「そうだなぁ。女性同士の関係も有るってことを覚えておけばいいかな。後は兵藤君が覚えていくべきことだ」
これぐらいのヒントが最初は良いだろう。
これ以上は、グレモリーさんや姫島さんとの関係で学んでいく事だ。
まぁ、俺の知っている世界では上手く動いてたみたいだし、俺達が来たことによる影響もそんなに無いだろう。
終始頭に『?』を浮かべている兵藤君だが、後々で彼自身がこの話をどう生かすかだ。
「キョウジさんは世話焼きですね。先輩はとりあえず、キョウジさんの言葉を胸に刻んで窓から飛び降りてください」
「小猫ちゃん当たり強くない!?」
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小猫は渋る兵藤君を引きずって帰っていった。
アーシアも一緒に帰ると思っていたが、話がしたいと残っていた。
追加でアーシアへ紅茶を出して、向かい側の椅子に座る。
まだ全部消費しきれていないお菓子類も相まってお茶会の様相を呈している。
「音楽でもかけようか?」
「え!? あ、はい、お願いします」
緊張してるな。
まぁ、仕方が無い。
小猫が一緒だったから問題も無かったのだろうが、彼女自身、俺との距離を測り損ねているだろう。
かける音楽は、カフェとかで流れるような明るめのジャズ。
これはフェイトの趣味なんだけど、割と団欒の場所で流されることが多い。
「紅茶、おかわりする?」
「え? あ! ありがとうございます!!」
俺の言葉に、ティーカップの中身を確認して慌てた様子で返答してきた。
緊張で周囲が見れていないかな。
アーシアが、あの島の出来事をどう処理しているのかは分からないが、小猫程割り切っていないことは確実。
どう結論を付けて行くかは、彼女次第なので、俺は彼女の意思を尊重する。
「お菓子、残ってる?」
「え? あ! 大丈夫です残ってます!」
彼女がここに残った理由は、自身のタイミングで語ってほしい。
だから、こうして言い出しやすいように色々動いているんだが……。
アーシアの性格上、色々と考えてしまうのだろう。
事前に覚悟を決めていたのに、土壇場で尻込みしてしまうのはよくある事だ。
音楽の裏でお湯を沸かしながら、紅茶の準備を進める。
こういう生活音で少しは落ち着くきっかけになればいい。
「ほいっと、お茶どうぞ。ミルクと砂糖はテーブルのを使ってくれ」
「あ、ありがとうございます」
テーブルに置いてあるミルクポットと角砂糖瓶。
ミルクポットは客が多い時に出すのだが、小猫達の時に出したものがまだ残っている。
俺はストレートで一口飲む。
良い茶葉を姫島さんから貰っていたが、これは確かに美味しい。
紅茶の入れ方はある程度調べて知ってはいるが、美味しく淹れられるかどうかは別問題。
まだまだ修練が必要のようだ。
「ちょっと、渋みがでちゃったか。抽出時間が長すぎたかな?」
飲めない程じゃないが、以前御馳走になった姫島さんの紅茶には及ばない。
明確な目標が出来るのは良い事だ。
独学でどこまで行けるかを試すのも面白いかもしれない。
そう考えている時だ。
「あ、あの!」
意を決したようにアーシアの声が室内に響いた。
彼女がここに残ってから、三十分ほどかな。
この長い決心までの時間で重要度が分かるというモノだ。
「どうして、そんなにお優しいんですか……」
「……? どういうことだ」
優しいなんて、俺には当てはまらない。
個人的な意見ではあるが、俺は自分と自分の周囲の事だけ無事であればいいと極論そう考えている。
あの島からこの世界に来たことで、多くの人に借りが出来た。
グレモリーさんもそうだし、彼女の兄である魔王にも世話になった。
優しいというならば、アーシアの方だろう。
彼女自身ではないが、あの島で俺の発作を治める為に自らあの果実を口にして、治療という名目を与えてくれたのだ。
聖女と呼ばれていたのは伊達ではないと心の底から理解した出来事だった。
心の優しい人間……人は、種族ではなく個々人の在り方である。
「小猫ちゃんの時もそうでしたけど、あの島での関係を一切持ち込みませんでしたよね」
「二人は、あの島の記憶こそあるだろうけど、本質はこの世界の住民だからな。何よりもこの世界の君たちの生活が優先だ」
小猫とあの島の様な関係程ではないが、友好的に接する事が出来ている。
これは彼女からの歩み寄りであることが大きい。
小猫が俺を受け入れてくれて、自分を受け入れて欲しいと言ってくれたのだ。
そうでなければ、今のアーシアと同様に小猫を別人として接していただろう。
「それって、キョウジさんが一方的にお辛いんじゃないですか?」
「……」
答えられない。
図星ともいえるからだ。
小猫やアーシアは、俺達が島の記憶に重ねた場合、嫌悪感があるだけだろう。
だけど、俺やゆかりさん達が彼女達を島の記憶に重ねてしまうと、その差異に気づいてしまい、あの島の二人はもう居ないという事実に悲しくなってしまう。
第三者から見れば、身勝手な話だと思う。
勝手に知らない人物に重ねて、悲しむのだから。
「何度でも言います。キョウジさんは優しすぎます。誰かが傷つく前に自分が傷つくことを選んで、キョウジさんの周りの人がそれに罪悪感を持たない様に、何でもない風を装っています」
小猫の時とは別の方向で見抜かれている。
どうして女性陣は気弱そうであっても芯の強い人が多いんだろうか。
アーシアは、自身が優しいだけじゃなく、誰かの優しさに気付ける娘だ。
そんな彼女に指摘されると反論も出来ない。
「さっきも、イッセーさんの質問に相手の事を考えて答えてましたよね?」
「彼の熱意だよ」
「それでも、ハーレムの主って言われるの……好きじゃないですよね?」
小猫にも指摘されたけど、確かに果実の影響で得られた関係という認識がまだある。
少しずつ改めようとしているけど、ハーレムの主という部分にはまだまだ苦手意識があるのだ。
さっきまでの慌てていたような空気は無くなって、しっかりとした眼差しでこちらを見ている。
ああ、決意した女性の表情だ。
この表情に俺は勝てた試しがない。
「キョウジさんは、今までたくさん頑張ってきたんですから、報われてください」
ギュッと手を握ってこちらを見つめてくる彼女に、戸惑ってしまう。
こんなに積極的な娘だったか?
「あの島の記憶はエッチな事ばかりじゃないです。少しだけ、私に勇気をくれた記憶もあります」
どの出来事なのかは分からない。
もしかしたらという候補は幾つもあるけど、アーシアがどう考えているかは俺から分かる事は無い。
「最初は戸惑いましたけど、嫌じゃありませんでした。キョウジさん、私は貴方の傍でその優しさに潰されない様にお守りします。小猫ちゃんが貴方を愛す様に、傍で支えます」
まるで祈る様に握っている俺の手を、額の近くまで持っていくと手の甲に彼女の額が当たる。
少しだけ熱い体温が手の甲を伝わってきた。
視線をズラすと、彼女の耳が真っ赤になっている。
ああ、彼女も精いっぱいなんだな。
そう感じると戸惑いは消え、アーシアの優しさが心に染み入る。
「……優しさはアーシアの方が強いじゃないか。君は優しすぎるんだよ。……こんな弱い俺の傍にいてくれるなら……ありがとう。よろしくお願いいたします、アーシア」
握られている手を強く握り返す。
祈る様に伏せられていた顔を上げた彼女の表情は、涙を浮かべたまぶしい笑顔だった。
割と難産だったアーシア編でございます。
NTR要素があるので、あまりそこを強く意識させない様に気を付けましたが、どうしても悪魔になったアーシアとイチャコラさせるには、どうしても避けられませんでした。
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