※この作品はR-18です。

エロ系最強能力でリゼロ世界を生き抜きます   作:TS娘はオレの嫁

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第三章開幕。


三章 影の支配者編
第十二話 やっと舞台の幕は上がる(混沌)


『どうしても駄目? 』

『駄目だよ』

『·····ケチ』

『仕方ないだろ? まだ安静にしとかないと』

『もう、大丈夫だもん』

『君を連れ出すと僕が君のお父さんに叱られる羽目になるから、嫌だよ·····』

『むぅ·····』

『仕方ないなあ。じゃあ、治ったら、君と一緒にどこかへ出かけるって約束するからさ、それで勘弁してよ』

『ほんと!? 』

『あぁ、本当だよ』

『うん! 絶対だよ。 約束だからね!  』

『あぁ、分かってるってば·····、約束だよ』

 

 他愛もない日常の記憶。

 彼女との約束の思い出。

 そして·····。

 

──もう、意味の無い約束だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ·····、不運すぎない? 見方を変えれば幸運と捉えられなくもないんだけどさあ。でも、このタイミングで来られてもどうしようもないよねって話」

 まあ、心情的には完全に不幸な部類だ。目の前のア(・)レ(・)は。

 

「あぁ、なんということデスか! まさか、まさかまさか『試練』の前にこのような障害があろうとは、私も予期出来なかったことなのデス! 何故、アナタはワタシの邪魔をするというのデスか! あぁ、アナタのことなど情報には無かったのデス。つまりは私の準備不足? アナタの勤勉さがワタシを上回ったということなのデスか!? それは、ワタシが怠惰だということの証明にほかならないのデス! 実に実に実にぃ、脳が震えるぅぅ……!」

 

 全く会話できる気がしない。これだから頭のイカれた狂人は嫌いなんだ。あくまで物語の中のキャラとしてなら、そこそこ好きだったのに。このイカれ具合はヤバいわ。なんで、こんな奴と真っ向から対峙しなきゃいけないんだよ。しかも、護衛もいない状態で·····。

 ちくしょう、どこで間違ったんだ。『指先』は予定通り潰すことに成功したっていうのにこれじゃあ、意味が無いじゃないか·····。

 

 こうなったきっかけは僕とペテ公との邂逅から約1か月程前まで遡ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「·····これは、一体どういうことかな? 」

 聖域から自身の屋敷へと帰ってきたロズワールは唖然とした。

 ラムから大事な話があると言われ、食堂へと案内されたロズワールが見たのはまさしく異様な光景であった。

 使用人であるラムとレム、そして、エミリア、さらにはベアトリスまでもがどこか虚ろな目をして、食堂の最奥にある本来であればロズワールの席であるそこへと座っている男に対して平伏していた。

「やあ、遅かったね、ロズワール」

 その男はロズワールが知る限りでは、いつもと同じ様子だった。それがかえってこの状況の不気味さを引き立てていた。

「早速だけど、ロズワール、取引と行こうじゃないか」

「取引? 」

 ロズワールは思わず眉根を寄せた。この異様な状況でこの男は一体何を言い出すのか。ロズワールほどの知恵を持ってしてもこの男の考えを読むことは出来なかった。

 当然だ。この男は狂っているのだから。ロズワールとは別ベクトルに狂っているこの男の考えがロズワールに分かるはずもなかった。

 とはいえ、考えが分かったとしてもなんの慰めにもならなかっただろう。

 なぜなら──

 

「あぁ、ロズワール、悪いけどさ、君の願いは諦めて僕のために尽くしてくれよ、彼女たちみたいに。僕はね、この国の王になることにしたんだ」

 

 取引と呼ぶにはあまりにも一方的なそれは例え分かっていたとしても到底許容できるものでは無いからだ。

 

 この言葉はロズワールの怒りに触れることになる。

「──随分と知ったような口を聞いてくれるじゃないか。お前ごとき小僧がこの私の願いを阻むだと? それを私が許容するとでも? それに王になるだと·····、それは度が過ぎているとは思わないかい? 」

 

 刹那、ロズワールの身体がブレる。そして、気づいた時には、彼は目の前の男を殺すために首へと手刀を振り下ろしており、一瞬にして男の命は·····。

 

「させないわよ」

「な!? 」

 儚く消えることは無かった。

 

 突如、何も無いところから現れたのは黒衣を纏った美女。エルザ・グランヒルテだ。エルザはロズワールの手刀をロズワールの肩からその手に持ったククリナイフでバッサリと切り下ろした。

 当然、所詮は人間の肉体であるロズワールが腕を落とされて無事でいられるはずもなく、手刀を放った右腕は重症だ。

 咄嗟にロズワールは後ろへと大きく避ける。

 

「君は·····」

「この間ぶりね、元雇い主さん」

「なぜ、君がここに·····」

「あら、だって、ご主人様に命令されたんだもの、当然でしょう? 」

 

 そこで、ロズワールはエルザの目も虚ろなことに気づいた。

「まさか、これほどとはね·····。君のその力は一体何なんだい? 」

「おー、さすがロズっちよく気がついたね! すごいすごいー、褒めてあげるよ」

 相手を煽るようにして男はロズワールを賞賛するため手を叩く。

「それで、この力のことだっけ? この力のことは僕もよく分かってないんだけどさー、ある日突然使えるようになっただけのただの、そう、た(・)だ(・)の(・)借(・)り(・)物(・)の(・)力(・)だよ」

「まさか、それは、その能力は『権能』の力だとでも·····? 」

「あーうん、そうだよ。そういえば、ちゃんと名乗ってなかったねぇ。こほん」

 ここで、男は自身の居住まいを少しだけ正す。

 

「魔女教大罪司教『傲慢』担当。ナツキ・スバル」

 

「ロズワール・L・メイザース。僕に従わない屑。だから、君も僕の従順な手駒にしてあげるよ」

 男は歪んだ笑みを浮かべてロズワールを見下ろす。

 

「あぁ、そうそう余計な抵抗はしない方がいいよ? すぐ楽にしてあげるから」

 

 そして、ロズワールは周りにいた屋敷の住人達に取り囲まれて、呆気なく意識を奪われた。

 

 想いも、記憶も、何もかもあっさり踏みにじられて·····。

 

 消えゆくロズワールの意識の最中、考えていたのは自らの望みのこと·····ではなかった。

 

 それは本当にささやかな願い。自らの願いのもう一つの幕引き。

 

 もし、叶うなら彼女が私を終わらせてくれますように。

 

 そして、偶然か否か、ロズワール・L・メイザースでいられた最後の瞬間の意識を奪ったのは桃髪の少女の得意とする風魔法(フーラ)であった。

 

 

 

 

 こうして、ロズワール邸はこの男の手に落ちることとなった。

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