※この作品はR-18です。

魔法先生ネギま!? 現れた誰も知らない大魔王   作:上平 英

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第9話 (無謀な王女+無謀な皇女)×秘密会談=拉致監禁 

 ダイオラマ魔法球から現実に戻ってきて2日。アリカが同じく大戦を停めようと考えているヘラス帝国の姫と秘密裏に会談しに行くと告げられた。

 

 普通であればそこまで気にする事柄ではなかったのだが……。

 

 アリカは会談に護衛は不用だと言いやがった。

 

 なんでも平和のための会談だし、相手に信用されるためにも、最低限……小型船の操舵手さえいればいいとか……。

 

 だから俺もニィも城でお留守番しててくれとか言いだしやがったんだ。

 

 戦時中に国外で秘密会談とか最高の暗殺&誘拐しやすい状況での護衛無し発言に、ニィも呆れた様子だ。

 

「アリカは……、やはりバカだったのか?」

 

「ニィ、『やはり』とはなんじゃ? 妾はバカではないぞ」

 

「いや、アリカ。戦時中の会談なのに護衛無しはいくらなんでもバカだろう……」

 

 ニィの言葉を不服そうに否定したアリカを、俺が否定する。

 

 ニィは呆れた様子のまま、サンドイッチを食べながらアリカに訊ねる。

 

「そもそも『紅き翼』だったか? 凄腕の戦闘集団がこの国にいるんだからそいつらを使えばいいんじゃないか?」

 

「それはダメじゃ。あやつらはいい意味でも悪い意味でも有名すぎる。――あやつらを連れて行けばいらぬ不安をかうであろう」

 

「まあ、それはわからんでもないか」

 

 ニィは納得したようにため息を吐いた。

 

 まっ、『紅き翼』はメンバー全員が規格外の集団で有名人らしいからな。変装させて連れて行けばいいというわけでもないし、置いていくのは当然か。

 

「だけど、なんで俺たちもそれで留守番になるんだ? 俺たちは城に引き篭もりっぱなしだし、戦力になるとは誰も知らないはずだぞ?」

 

「それは……」

 

 俺の言葉に詰まるアリカ。何か大層な理由でもないみたいだし、「平和のための会談は相手が知らなくても強い護衛つけたらダメだよね。だからアルヴィンとニィも置いていかないと……」ってな感じで実はよく考えていなかったり……。

 

「…………そうじゃな。アルヴィンは元大魔王といっても誰も知らぬし、ニィも知られてはおらん。そもそもかわいらしい黒龍の姿なんじゃし、別にペットだと言うことにしておけば……」

 

 小声でぶつぶつと考え始めるアリカさん。…………図星でしたか

 

「うむ。万が一にも襲われた場合マズいしの。やはり主らも一緒に来てはくれぬか?」

 

「……ああ」

 

「……わかった」

 

 華麗な手の平返しにうなずく俺とニィ。

 

「でも、俺と違ってニィは能力の隠蔽が完全じゃないからな。会談のときは俺の影に潜ませておいたほうがいいか?」

 

「そのようなことができるのか?」

 

「まあな。元々は影を媒介にした転移魔法の応用みたいなものだから、素養と術式があれば誰でも使えるぞ」

 

「そうなのか。それならば頼む。護衛は少ないほうがよいからな」

 

「わかった」

 

 アリカにうなずく。ふぅ、何とか護衛無しは回避できたな。

 

「それでアリカ。いつ出発するんだ?」

 

「これからじゃ」

 

「へ?」

 

「え?」

 

 アリカの言葉に俺とニィはリアクションを忘れて固まった。

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 アリカに会談の場に向うと言われて数時間後。現在オスティアの空港にいた。

 

 俺はニィを影のなかで待機させ、黒龍フォームでアリカの首に巻きつくように乗っかっていた。

 

 俺たち会談に向うメンバーの他に空港にいるのは『紅き翼』のメンバーという、赤毛の子供と旧世界のサムライ、ニィと創りが似ている子供。筋肉質の亜人に、本体が別にあるだろう人外。ふけ顔スーツの歩きタバコオヤジに、それによく似たスーツ姿の子供だ。

 

「よう、姫さん。あんた黒龍なんて飼ってたのか?」

 

『紅き翼』のメンバーだという赤毛が興味深そうに訊ねてきた。

 

 アリカは俺の頭を撫でながら答える。

 

「黒龍のアルヴィン。妾の使い魔じゃ」

 

「使い魔?」

 

 アリカの言葉に疑問符を浮べる赤毛の子供。なんでそんな顔になるんだ? 見ればスーツの子供も意外です! と言いたそうにしてるし。

 

 まあ、俺には別段どうでもいいか。

 

 俺は特に何もすることないんだし、アリカの首に巻きついたまま寝ようとしていると、優男風の人外が近づいてきた。

 

「これは珍しい黒龍ですね。細く長い首と胴体に、短い手足。なにより翼がないのに浮遊して……。こんな黒龍、長い年月を生きていますが、一度も見た事がありませんよ」

 

 興味深そうに観察してくる優男人外に、もう1人が加わった。

 

「これは……、この黒龍はまさか……」

 

 旧世界のサムライだった。信じられないようなモノを見るように顎に手を当ててジロジロと観察してきた。

 

「何か知っているのですか、詠春?」

 

「あ、ああ。私の故郷……、旧世界の呪術師、陰陽師と呼ばれる者たちに代々伝わる伝承に、この黒龍のような龍がでてくるんだ」

 

 詠春の言葉に、ヘラス帝国の亜人が俺を指差して意外そうにつぶやく。

 

「ん? じゃあ、このちっこいのがその伝説の龍なのか?」

 

「それは……、私にもわからない。だが、伝承は数百年前のモノだし、いつまでも小さいままというのは……」

 

「だったら、その伝説の黒龍の子供とかじゃないですか?」

 

 スーツの子供がそう言い、アリカも気になったのか念話で訊ねてきた。

 

『実際のところはどうなのじゃ?』

 

『その龍、本人だ』

 

 アリカの質問に俺は素直に念話で返す。何故念話で会話しているかというと、話せることがわかるといろいろと面倒になるかもしれないからだ。

 

 そして、話せないではなく、話さないのであれば話せることがバレても平気だからな。

 

 今度こそアリカの胸に顔を置いて寝ようとすると……。

 

「その伝説の龍だそうだ」

 

 と、アリカがあっさりと詠春にバラした……。

 

「そりゃあ、すげぇな」

 

「――なっ!?」

 

「ほう、そうなのですか」

 

「へぇ、こんなちっこいのがなぁ」

 

「そう言われてみれば、こやつから歴史を感じるのぅ」

 

「ほ、本物?」

 

 上から赤毛、詠春、優男、亜人、子供、スーツ子供だ。

 

 詠春以外それぞれが感心するような、疑うような視線を送ってきていた。

 

『おい、アリカ』

 

『なんじゃ? 別に言っても困りはせぬだろう?』

 

 そう息を吐きながら言うアリカに、詠春が凄まじい勢いで詰め寄った。

 

「アリカさま! 本当なんですかそれは!?」

 

「そ、そうじゃが」

 

 アリカは詠春の勢いに押されて少しだけたじろいた。

 

『なんなのじゃ、こやつ。主は旧世界で有名じゃったのか?』

 

 なぜ詠春が興奮しているのかを念話で訊ねてきた。俺は詠春と目を会わせないように寝たふりをしながら言う。

 

『ああ、京都という都市の一部でな。――約500年前ぐらいに魔法世界に住んでいたときも、時おり旧世界に行っていて、かれこれ陰陽師や神鳴流と呼ばれる者の開祖からの付き合いだ』

 

『…………なんとなくじゃが旧世界で主はすごいということはわかるのじゃ』

 

『まあな』

 

 口の端を持上げて笑っていると、興奮した詠春が仲間に俺を説明してる声が聞えてきた。

 

「そもそもその黒龍というのはな、京都では最も神聖な生き物とされているんだ。なぜかというと黒龍は数年から数十年単位で京都に現れ、今はなき大昔の陰陽師の術を見所のある術者や巫女に伝授したり、神鳴流の剣士に大きな力を与えたりとしてだな。――大昔に京で神が暴れた際も、京の術者たちに協力してその神を封印する手助けをしてくれたりと、何かと京を守る為に動いてくれて……」

 

 長々と説明を続ける詠春と、話を聞きながら感心したような息を漏らしたり、興味深そうな視線を俺に送ってくる『紅き翼』。…………ていうか、まだ続くのか?

 

 アリカも詠春の話に感心しているなかの1人で、話を聞きながら俺の胴を撫でていた。

 

 そんななか乗る予定となっていた小型飛行船のほうから、フケ顔スーツ歩きタバコオヤジがやって来た。

 

「アリカさま。準備が整いました」

 

「わかったのじゃ」

 

 アリカは歩きタバコの言葉にうなずき飛行船へ足を向ける。

 

 完全に寝堕ちしそうになっていた俺の耳に声が聞えてきた。

 

「つまり、あの証拠があれば戦を終わらせられるのじゃな?」

 

「ま、多分な」

 

「では、それは主に任す」

 

「あんたもよくやるぜ、戦果の中こんなボロ舟で帝国第3皇女と接触しに行こうってんだからな」

 

 アリカの会話の相手は赤毛の子供か。

 

「なんじゃ、心配しておるのか?」

 

「へ? 心配? 何の?」

 

「…………」

 

 赤毛の態度に怒りとイラつきで無言となるアリカ。…………さっきのアリカの問いに、その反応で返すのはないだろう……。

 

 半ば呆れていると、アリカがイラつきを発散するため赤毛にビンタを放ち、舟へと向った。

 

「アリカさま! その黒龍と話を……!」

 

「落ち着きなさい詠春、帰ってきてからでいいでしょう」

 

「コレ! ガトウ、タカミチ! 詠春を抑えるのじゃ!」

 

「おいおい、どうしたんだこいつ?」

 

「は、はい!」

 

「アリカさま! お願いですから黒龍と話を~!」

 

「ガハハハハッ! またぶたれてやんの!」

 

「うるせぞ、ラカン!」

 

「おおっ、やるか、ナギ!」

 

 …………。

 

「騒がしい連中じゃ」

 

 …………ああ、まったくの同意見だが、そもそもおまえがバラすからこうなったんだからな?

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 アリカと飛行船の船内に乗り込んで数時間ほどが経った頃。俺は目を覚ました。

 

「起きたか、アルヴィン」

 

「ああ」

 

 うなずき、固まった体をほぐすように伸びをする。いつの間にかベッドに寝かされていたようだ。

 

 あくびをかみころし、ふと気になったことがあったので、椅子に座って書類を読んでいるアリカに訊ねてみる。

 

「そういえば会談の場まで行くのに大体何時間かかるんだ?」

 

 先ほど行くと聞かされたばかりだから、会談の場まで何時間かかるとは聞かされていなかった。

 

 アリカは書類に目を通しながら、顎に手を当てて答えた。

 

「そうじゃな、大体2日ぐらいじゃ」

 

「2日?」

 

「うむ。敵に会わんように隠れながらの移動になるからの、移動には時間がかかるのじゃ」

 

「へぇ、そうなのか」

 

 じゃあ、2日間は暇なのかぁ~。

 

 ふわふわと空中を漂いながらアリカのヒザの上に座る。

 

 アリカはふぅと少し息を吐くと、片手で俺の胴を撫でてきた。

 

「そういえば、アルヴィン。ニィはどうしておるのじゃ?」

 

「ん? ニィか。ニィは――」

 

 影と繋げている家に意識を向けてニィがどうしてるか確認すると……。

 

『うむ、今度はこれを着てみるか。え~と、白スク水? ニーソ? よくわからんな。メイド1号、着付けを頼む。メイド2号はそのまま撮影を頼む』

 

『かしこまりました。ニィ様、ネコミミも用意しておきますね』

 

『では着付けの間に背景を変えておきます。プールがいいですか? それとも地下室?』

 

『任せる』

 

 ………………。

 

「……ニィはホムンクルスメイドと遊んでるみたいだから大丈夫だよ」

 

「そうなのか?」

 

「うん。とっても楽しそうだ」

 

「ニィには窮屈な思いをさせておると思ったが、そうでないならよい」

 

『ほ、ほう、これはなかなかエッチだな』

 

『はい、ニィさま。とても綺麗でかわいらしいです』

 

『プールもいいですが、地下室も似合いそうです。ニィさまこちらに視線を……、はい、今度は――』

 

『ふふふっ、アリカだけ100冊のアルバムがあるなどズルいからな。ここにいる間にアルヴィンを悶死させるような、ものすごいアルバムを制作してやる』

 

「……うん。本当に、楽しそうだ」

 

「アルヴィン? どうしたのじゃ?」

 

「いや、なんでもない」

 

 とりあえず楽しみにしてるよ、ニィ。

 

 こうしてゆっくりと俺たちの短い旅が始まった。

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 オスティアの空港を出発してから約3日後……。

 

「…………見事に捕まったな」

 

『ああ、驚くほど見事にな』

 

「ぅぅ……、捕まってしまったのじゃぁぁ……」

 

 俺達と会談相手のヘラス帝国第3皇女……、テオドラと共に、敵対組織に捕まってしまっていた。

 

 現在地は闇の迷宮と呼ばれるダンジョンの牢屋のような、一面を分厚い壁で囲まれた長方形の部屋で、俺とアリカ、テオドラの3人でそこに閉じ込められていた。

 

『はぁ……、主には護衛は頼んでおらんかったし、大戦には協力しない約束じゃったから、襲われれば捕まるのが当然か』

 

 アリカは部屋に備えつけられた長椅子に座り、重いため息を吐いてしみじみといった風にそんな愚痴を漏らす。

 

 俺はそんなアリカの肩に巻きついたまま言う。

 

『まあ、そうだが、仮に襲ってきた連中を俺が退けたとしても、第3皇女のテオドラをどうするんだっていう話になるし、襲ってきた相手も必要以上に危害を加えてこない奴らだったからな』

 

『殺されるわけではないから素直に捕まり、救助を待ったほうがいいと?』

 

『ああ、そういうことだ』

 

『ふむ……』

 

『それに逃げようと思えば、いつでも逃げることができるぞ』

 

『本当か?』

 

『ああ、影を媒介にした転移魔法を使えば簡単だ』

 

『じゃが、魔法の発動体は没収されて……』

 

『悪魔の俺に発動体が必要だと思うか?』

 

『…………そうじゃったな』

 

『だから危なくなったらすぐに転移すればいい。いまは救助を待とう』

 

『わかった』

 

 アリカが納得したところで胸の谷間に顔を乗せる。

 

『これ、どこに頭を乗せておるのだ』

 

『どこって胸だけど?』

 

『はぁぁぁ……、主という奴は……』

 

 アリカはさっきよりも長いため息を吐いて長椅子と繋がってる壁にもたれかかる。俺はそんなアリカの様子がおもしろくて、笑みを浮かべて谷間に顔を埋めた。

 

 いい匂いで温かく、スベスベの吸いつくような柔肌は最高の枕だ。

 

 顔を動かし、アリカの胸の谷間で遊びながら言う。

 

『それにしても結構実ってきたねぇ』

 

『……何の事じゃ?』

 

『アリカのおっぱい大きくなったね~、って言ってるんだよ』

 

『――っ』

 

 胸の谷間でふふんと鼻を鳴らしてアリカの顔を見上げると、顔を赤に染めて恥ずかしそうに俺から視線を逸らした。これもツンデレポイントかな? いや~、それにしてもワンサイズぐらい大きくなったんじゃない?

 

『やっぱり寝るときによく揉んだり、たまに口とかお尻とかで精液を受け止めてるおかげかな?』

 

「――なっ!?」

 

 俺の発言にアリカは念話を忘れて、そのまま大声をあげて驚いた。

 

「どうしたのじゃ、アリカ!?」

 

 突然大声をあげたアリカに、部屋の奥で嘆いていたテオドラが心配そうな表情を浮かべて訊ねてきた。

 

 アリカはテオドラの問いに、普段のクールな対応をする。

 

「何でもないのじゃ。驚かせてすまなかった」

 

「そうか?」

 

「気にしないでくれると助かる」

 

 アリカは会話を切って、心を落ち着かせようと息を整え始める。

 

『それで、アルヴィン。……せ、精液を体で受け止めるとなぜ胸が大きくなるのじゃ?』

 

『まあ、アリカは知らなくて当然だろうけど、女性は性的に快楽を感じたり、男の精子を身に受けたりすると、女性ホルモンってのが刺激されて、より女らしくなるそうなんだ』

 

『む……』

 

『アリカも俺に弄られて感じたことがあるだろう? 口やお尻の穴じゃなく、オマンコのほうにペニスを入れて子宮で精液を受け止めたいとかさ』

 

『そ、それは……』

 

 俺の言葉に心当たりがあるのだろう、アリカは真っ赤になって俯いた。

 

『子宮で精液受け止めて受精して妊娠して子を産みたい。――まさに女性の本能にして欲求……。その欲求を叶えるために、女性ホルモンが普段より活発に活動して男を欲情させるような体に変化させていってるんだよ』

 

『…………』

 

 アリカは無言で自分の体に視線を落とした。胸から腰、股から足先まで見つめて顔を赤らめた。

 

「本当にどうしたのじゃ?」

 

 そんなテオドラの問いにも気づかないほど内心で戸惑うアリカ。

 

『一例をあげると、女性が妊娠したら胸がはって母乳が出るようになるってことあるだろう? あれも妊娠によって女性ホルモンが働いて母乳が出るように体を変えたからなんだ』

 

『……さ、最近胸が服に擦れただけで痛くなるのは、ぼ、母乳が出そうになっておるからなのか?』

 

 心配そうに訊ねるアリカだけど……。

 

『おそらくただ弄りまくったせいで敏感になってるからだろうな』

 

『――っ』

 

「本当にどうしたのじゃ、アリカ……?」

 

 テオドラが何かつぶやいたが無視してアリカの胸を短い前足で軽く叩く。

 

『まあ、毎晩のように吸いついてるんだ。もしかしたら出るかもしれないな、母乳』

 

『妊娠もしてないのに母乳が……』

 

『なんだ? じゃあ、思い切って妊娠してみるか?』

 

「それはダメに決まっておるじゃろう!」

 

「――おおぅっ!? ど、どうしたのじゃアリカ!?」

 

 アリカの突然の大声にテオドラは椅子から転げ落ち、怯えるような表情でアリカを見た。

 

 アリカはううっ、手で口元を塞いでテオドラから顔を逸らした。

 

「…………」

 

「…………」

 

 何ともいえない空気が場を支配する。

 

 まあ、黒龍フォームの俺には関係ないとアリカの胸の谷間を味わいながら目を閉じた。

 

「アリカ……」

 

「……なんじゃ?」

 

「会談のときから気になっておったが、その黒龍はなんなのじゃ?」

 

「…………妾の使い魔じゃ」

 

「そうなのか? さ、触ってもよいか?」

 

『よいか、アルヴィン?』

 

『ん~……、乱暴にしないなら別にいいけど』

 

『わかったのじゃ』

 

「乱暴にしないなら触ってもよいそうじゃぞ」

 

「アリカは黒龍の言葉がわかるのか!?」

 

「う、うむ……」

 

「それはすごいのぅ。使い魔といっておったし、念話みたいなものなのか?」

 

「……そうじゃ」

 

 アリカがうなずいたあと、すぅっと頭の上に小さな手が乗った。頭の両側に生えている小さな角を触らないように、頭の中央をやさしく撫でてくる。

 

「ふむ、かわいいのぅ。妾もこんな使い魔が欲しいのじゃ」

 

「…………かわいく見えてもその実、ものすごくエッチな悪魔じゃがな」

 

「ん? 何か言ったかアリカ?」

 

「なんでもないのじゃ」

 

『……小声で言っても俺にはバッチリ聞えていたからね、アリカ。夜になったら、いつもよりしつこく吸いつくから覚悟しといてよ?』

 

「――っ!?」

 

『ふふふ、母乳が出ちゃうかもしれないな』

 

「どうしたのじゃ、アリカ? すごい汗じゃぞ?」

 

「なっ、なんでもないのじゃ……」

 

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