オスティアに住みはじめて1週間。必要品を買い込み、ダイオラマ魔法球を使ってのニィに初級呪文を教えたり、一般常識の勉強をしたりと教育したりしていた。
「それがなんで、いま王宮に忍び込んでいることに繋がる?」
ニィが疑問符をいっぱい浮べながら聞いてくる。
そう、いまは首都オスティア近くを浮遊している空中王宮に俺たちはいた。ちなみにこの1週間&ダイオラマ魔法球での数ヶ月でニィにははっきりと個というものが生まれはじめている。
俺はニィの頭の上に、黒龍フォームで乗っかったまま、その疑問に答える。
「今回の目的は認識阻害の結界が張れてるかの試験と、ついでに王宮の書斎に入ることが目的だよ」
「へ~」
納得した様子のニィにさらに俺は続けて言う。
「あと、ウェスペルタティア王国の王族って前から美女が多くてね。その血がちゃんと受け継がれてるか確認するために来たんだよ」
「…………」
あれ? ニィが呆れたようにため息吐いてる。どうしたの?
「……さすが性欲過多の元大魔王さま」
ニィは重たいため息を吐いて遠くを見つめた。う~ん、やっぱり修行を見る合間に娼館に通ったりしてたのが悪かったかなぁ?
ニィの頭からふよふよと肩を通って、廊下の先を指差して言う。
「ニィ、書斎は確かあっちにあったはずだから進んで~」
「わかった」
◆
「それで、お主達は何者なんじゃ?」
「え~と、あれ?」
「見つかったな」
…………目の前にいるのは金髪の美少女。その人物が誰かはわかっている。この国の姫であるアリカ・アナルキア・エンテオフュシアだ。やっぱ部屋に侵入したのが悪かったかぁ。
アリカはこちらを警戒しながら訊ねてきた。
「私を暗殺しに来たのか?」
「へ? 違うけど」
「だったら何故王宮に忍び込んで私の前に現れた?」
現れたわけじゃないんだよね。見つかっただけで。
「ぶっちゃけ、この国の王族が昔と変わらず美人なのか見物しに来たんだよ」
うん、裂け眉も継承されてるようだし安心したよ!
「…………?」
いったい何を言っておるんじゃ? という感じにアリカは首をかしげた。
まあ、俺たちの目的は完了したんだ。そろそろ帰らせてもらうか。
「じゃあ、アリカちゃん。俺たち帰るね~。ニィ、帰ろう」
「いいのか?」
「いいんじゃない?」
首をかしげるニィを引きつれて出口のほうへ向おうとするが……。
「ちょっと待て」
と、アリカが待ったをかけてきた。
振り返って訊ねる。
「え~と、アリカちゃん? 何か用かな?」
「主らこそ何を普通に帰ろうとしておるんじゃ。主らは立派な侵入者じゃぞ」
「うっ、まあ、そうだね。じゃあ、う~ん……、コレあげる」
虚空に手を突っ込んでアル物を取り出し、アリカに差し出す。
「なんじゃ? この黒い玉は? 中に数字が描いてあるな、4?」
野球ボールサイズの球をアリカが両手で観察するように見つめた。その球を指差しながら説明する。
「そのボールはアルヴィンボールといって7つ集めて『いでよ、アルヴィン!』と叫ぶと、俺がそのボールから出てきて何でも1つ、俺と俺の周りに不利益にならない範囲で、対価なしで願いを叶えてくれちゃうというお宝アイテムなんだ」
「……その玉は違う意味で使用しちゃいけないアイテムだと思うぞ……」
ニィがそんな感想を漏らすなか、アリカはボールを見て、俺をジト目で睨んできた。
「……人語を話せるとはいえ主のような小さい龍に叶えられる願いとは、ボールを7つ集めたとしてもあまり役に立たないような気がするのじゃが?」
「おいおい、酷いなぁ。いまはこの姿をしてるが、俺は魔界で元大魔王だったんだぞ。しかも実体を持ってこの世界に来てるから制限などもない、1分の1大魔王の力が振るえるんだ。人間の願いぐらい叶えられるさ」
「…………大魔王?」
「そう! 元は魔界の大魔王! 神話にも聖書にもどこにも記されることもなかった! 誰も知らない魔界の大魔王さまだったんだ!」
「……それが何故ここに?」
あ~、まだ信じてないな! まあ、信じられないと思うけどさ。
「退屈だったから他の大魔王や魔王とかに協力してもらって、この世界にやってきたんだよ。来たのは大体5、600年ぐらい前になるね」
「…………」
「どうしたんだい、アリカちゃん?」
「いや、すまぬ。ちょっと時間をくれ……」
指で眉間を揉みもみしてる。
「ねえ、長くなるんだったら帰っていい? あ、ちなみにアルヴィンボールの残りの7つは魔法世界と旧世界のどちらの世界にも散らばってるから、がんばって集めてね~」
「1つ……、よいか?」
「なんだい、アリカちゃん」
「アリカちゃんはやめよ。アリカと呼べ」
「じゃあ、俺もアルヴィンでいいよ。ちなみにこの子はニィ」
「よろしく」
ニィは軽く頭下げる。うん、前は他人に声をかけられても基本無視だったけど少しずつ社交的になってきたねぇ~。
「ではアルヴィン。主はどんな願いを叶えることができるのだ?」
「簡単だけど難しい質問だね~。そうだね、とりあえず、武力で世界を滅ぼすことができるよ。それと大抵のアイテムは手に入れることができるし、大金も手に入れることができる。魔法世界で今起こってる大戦の裏事情も知ってるし、そもそも俺が動けば魔法世界の大戦なんて争う奴らごと全部消滅させることができるよ」
「――っ! なっ!?」
大きくアリカが目を開いて驚きの様子だ。
「なに? 魔法世界滅ぼしたいの?」
「違う! 大戦の裏側を知っておるとはどういうことじゃ!? 『完全なる世界』について知っておるのか!?」
「ああ~、『完全なる世界』ね。うん、知ってるよ~。その首領とか数百年来の知り合いだし、目的とかも聞いてもないのに長々と聞かされたからね~」
「…………いや、まさか……、どうして……」
何やらアリカが小声でぶつぶつとつぶやいてる。
「じゃあ、アリカ。今度こそ俺達帰るね~」
「ま、待つのじゃ!」
尻尾をがっ! と握られた。
「おいおい、なんだよぉ」
「『完全なる世界』の情報を……」
「アルヴィンボールを全部集めてから出直せ」
「ぐ、ぐぬぅ……」
せっかく作ったんだから集めてよね。まあ、作ったこと知ってるのはエヴァぐらいだけどさ。
「ま、魔法世界と旧世界に散らばったボールを7つも集める時間はないのじゃ!」
「いや、そんなこと堂々と言われてもねぇ。だいたい大魔王クラスの悪魔がボール集めるだけで願い叶えてくれる夢のアイテムなんだよ? それで世界征服もできるし、完全な死者蘇生まではできないまでも、魂があれば擬似的に蘇生させることもできるんだよ? 自分でもものすごく良心的でお得アイテムだと思うんだけど、何が不満なの?」
「そ、そう言われればそうじゃが……」
「そうだろ。それに悪魔が滅多な事で無償奉仕なんてするわけないじゃん。悪魔の基本は契約。つまり取引なんだからさぁ」
「……それはつまり対価を払えば情報が得られるのか?」
ピッキーン! みたいに思いついた様子のアリカさん。
「でも簡単に言うけどさぁ。アリカに対価払えるの? 俺は元とはいえ大魔王だし、『完全なる世界』の情報って魔法世界の秘密の塊みたいなもんなんだけど?」
「う……、うぬぅ……」
もう、かわいらしく頬を膨らませちゃって。こんな顔されるとちょっと虐めたくなるよね~。
――なんて思っていたら……。
ニィが悪戯っぽい表情でアリカに言った。
「物で払えないなら、体で払えば? ――アルヴィンは頻繁に娼館行ったりするぐらい女が大好きだから、裸でも見せれば対価になると思う」
「ちょっ!? ニィ!?」
娘の発言に驚く俺をよそに、アリカは額に手を当てて悩みこんだ。
「む、むぅ……、は、裸、かぁ……。私が裸を見せれば『完全なる世界』の情報が……」
……どうするんだよ、この状況……。
◆
カオスから立ち直った俺たち3人……、あれ? 俺って今は1匹ってカウントするんだっけ? まあ、いいや。
現在はアリカの私室に出したダイオラマ魔法球(南の島のバカンスタイプで通常の1時間24時間タイプ)の中に俺たちはいた。一応部屋にはアリカの偽者置いてます。
いまはロフトに設置したテーブル&椅子2つに向かい合って座って話し合っていた。ちなみに俺は黒龍フォームだからテーブルの上に座ってます。
「それで、私はどこで脱げばいいのじゃ?」
「いや、アリカ……。脱ぐってとこから離れない?」
「じゃが……」
「ていうか、そもそも1度や2度脱いだぐらいで世界の情報が手に入るって、おまえの裸にどれだけ価値があるんだよ……、って思うんだけど?」
「ぬ、ぬぅ……、じゃが……」
アリカさん、「不服じゃ」って表情で見ないでください……。
ていうか、ニィも部屋の中でアイス食べてないで話しに参加してよ。なに? アイスキャンディーうまうま? ……知らないよ、ニィ。
はぁぁ……、さてと、いったいこの状況をどうするかなぁ。
しばらく考え込んでいると、アリカが顔を赤らめてもじもじしはじめた。
「…………し、仕方ないのじゃ……」
アリカ、どうしたんだい? 嫌な予感がするんだけど。
アリカは背中に手を回して――。
パサッ。
「…………」
上着が半分脱げた。
そして席から立ち上がり、ドレスに手をかけて――。
バサッ。
「…………下着はショーツ以外つけないんだね」
「ふんっ!」
眼前に登場したお姫さまの裸体に思わず感想ももらす俺に、アリカは鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
う~ん、それにしても眼福だねぇ~。サラサラの金髪、小さくなくも大きくもない形のいい胸、くびれた腰。お尻も小ぶりで丸いし、太もももむっちり!
恥ずかしそうに顔を赤くするも、手は腰のところに置いて裸体を隠さないのは王族としての誇りかな?
アリカは覚悟を決めたように一度目を瞑り、開いて真剣な表情で言う。
「さ、さあ、私の体を貪れ……」
「ん?」
「悪魔と契約する場合には処女を捧げるのじゃろう? それとも血のほうがよかったか?」
「…………ま、まあ、魔力以外の対価でいえば一般的だね」
女好きの悪魔だったら魔力の代わりに処女もらったり、その血をもらったりするし、大魔王クラスと契約を結べるほどの魔力なんて用意できないだろうし……。
「じゃあ、一応俺も変身っと」
いつまでもデフォルメ黒龍のままじゃ格好つかないからね。
テーブルからどいてボフンッと白い煙を巻き上げ、人間形態に変身した。
さてと、どうすっかな~。
「~~~~~~~~~~~っ!」
――っ!? アリカがいきなり声にならない悲鳴をあげた!
どうしたんだ?
アリカの視線は下を向いていて――、あ~……。
「もしかして男の見るのはじめてだった?」
「そ、それは……!」
はじめてだったみたいだ。
「隠そうか? ていうか最近服着てなかったから着るの忘れてたんだよねぇ」
虚空に手を突っ込んで服を取り出そうとするが……。
「へ、平気じゃ」
と、アリカが断わった。そして――。
「こ、これをどうにかすればよいのじゃろう?」
アリカがペニスに手を伸ばしてきた。恐る恐る、にぎにぎと戸惑いながら触れてきた。
「あ、熱い……、ビクビクしておるな……」
アリカさんの口からそんな感想が漏れる。アリカの指、気持ちいいね!
さわさわ……、ぎゅっ、ぎゅっ。
ペニスをどう扱っていいのかわからない様子のアリカは、片手の指でペニスを何度も弄り、しだいと警戒心が抜けてきたのか、避けていた亀頭の部分を指先でつついたり、玉袋を触ったりし始めた。
「どう? 男の生殖器、ペニスやチンコと呼ばれるものの感触は?」
「ふ、不思議な感触じゃ……、熱いし、血管がビクビクしてて……、こ、これが男のモノなのか……。ん? 先から何か出てきておるな」
「それはカウパーって言ってね、気持ちいいと出るものなんだよ」
「そ、そうなのか?」
亀頭の先端にある尿道口を指で弄るアリカ。――って意外とエッチな子?
「それでどうすればいいのじゃ? 男は精子を射精させねばいかんのじゃろう?」
へぇ、王宮である程度の性教育は受けてるみたいだね。
「うん、そうだよ。――でも、それにはある程度の技術がいるんだ」
「ど、どうすればいいんじゃ?」
「てっとり早く射精させたいなら、口を使えばいいよ」
「く、口!?」
真っ赤になって驚くアリカ。アリカはペニスを握っていないほうの手を胸にあて、うなずいて覚悟を決めた。――ふふっ、エッチな美女相手だったら手だけでも十分いけるけど、せっかくだからね。
アリカは床に両膝をついて口を大きく開け、ペニスを咥えようとする。
「ちょっとストップ」
「なんじゃ?」
「先にこっちでキスしようよ」
体を少し倒して顔を上げたアリカと唇を重ねる。
「――っ!?」
目を大きく開かせて驚くアリカの頬に両手を添えて、唇を舌で割ってアリカの口内に舌を侵入させる。そして舌を絡めながら唾液をゆっくりと流し込む。
「――んんっ、んむっ……、こ、の……、うむぅ、うむぅっ……!」
アリカが両手を掴んできたけど、止まれない! 久々の女!
いや、ニィにもしてよかったけど、まだ、ね。
「んあっ、ふぅっ……、うぐぐ……、う、ぅん……」
段々とアリカの抵抗が止んできた。
気が済んで唇を離す頃にはアリカの体からは力が抜け、だらりと床に座り込み、放心していた。
「お~い、アリカ~」
「はぁはぁ……、はぁ……、はぁぁ……、何をする、のじゃ……?」
呼びかけるが荒い息を整えながら睨むアリカ。でも――。
「ペニスのほうに先にキスするって嫌じゃない?」
「ぅ……」
アリカってキスしたことなさそうだし、ファーストがペニスってのはねぇ。
「…………」
アリカは手で口の橋から漏れた涎を拭いながらジト目で睨むと、両手でペニスを握りペニスを咥えてきた。
「じゅぶ、じゅ……、はぁはぁ、……どうすればよいのじゃ?」
亀頭から雁首まで咥えて軽く頭を前後に揺すったあと、ペニスから口を離してアリカが訊ねてきた。アリカの頭を撫でながら言う。
「そうだな。さっきよりももっと咥え込んで前後に頭を動かしながら、口を窄めて……、そうそう、いいね」
アリカは指示通りペニスを咥え、口を窄めて顔を動かしはじめた。
「ああ、気持ちいいよ、アリカ。ときどき舌で亀頭……、先っぽを舐めたり、吸いついたりするともっといいよ」
「んじゅ……、こうか?」
恐る恐る舌で亀頭を舐めたり、思い切ってパクッとペニスを咥えてちゅぅっと吸いついてくる。
「ああ、いいよ。すごくいい……」
ん~、姫様の口奉仕最高だね! 全裸&ジト目での上目使いがすごくエロいです。
アリカはそのまま雁と皮の間や尿道口を舐めたりといろいろ試しながらフェラチオを続けた。
ん~、もうちょい楽しんでいたいけど、そろそろ射精してあげないとね。
「アリカ、そろそろ
「う、うむ……」
ペニスを咥えながらうなずくアリカに、俺は欲望を解放した。
「で、
「――っ! ふがぁっ!?」
ビュッ、ビュルウウウウウウウ。ビュビュゥゥゥッ。
アリカの口のなかに射精するが、アリカは射精に驚いたのかすぐに口を離し、白濁した精液がアリカの全身に降りかかった。
「げほっ、げほっ! な、何てモノを口のなかに出すのじゃ……!」
半ば涙目のアリカは口元を押さえ睨んでくる。
「あ~、ゴメンゴメン。はじめてだったら飲むのは無理だよね」
久しぶりだったし、ずっとエヴァや娼婦とか慣れた女ばっかり相手にしてたからつい、いつも通りやっちゃった。
「まったく、酷い味じゃし、体もベトベト。最悪の気分じゃ」
「よしよし、でも気持ちよかったよ。ありがとね」
「う、うむぅ……」
口元を抑えて吐きそうになってるアリカの背中をやさしく撫でる。うわー、改めて見ると本当によく出たね。アリカの体のいたるところに精液かかってるじゃん。
アリカはジト目のまま見上げながら言う。
「それで、『完全なる世界』の情報は?」
「え?」
「え? ――ではない。それとも何か? まだ足りないと申すのか?」
「いやいや、そもそも裸でペニス舐めるのを対価に契約するって言ったっけ?」
「――っ。…………」
そういえば! ってなったあと、黙っちゃったよ……。
ん~……、このまま何も無しじゃかわいそうだよねぇ。
「ねえ、アリカ」
「…………なんじゃ?」
「フェラチオで抜いてもらったことだし、格安で契約してあげようか?」
「契約とは……、情報を教えるということか?」
「うん、そうなるね。『完全なる世界』について教えてあげる代わりに――」
「代わりに?」
アリカの体を下から上まで見る。……うん。
「俺の着せ替え人形になって」
「…………は?」
俺の言葉に呆けるアリカ。処女を差し出さなくてよくなっただけでも少しは喜んでよ……。
まっ、対価にしようとして覚悟を決めたらすぐに裸になったり、フェラチオしたと、妙な貞操観念と価値観持ってるみたいだから、こうなることは予想してたけどさぁ。
「これからアリカにいろんな衣装を着て合計で5000枚の写真撮影をさせてもらう代わりに、俺は『完全なる世界』の情報を与える。という契約だよ。一般的に見たら完全に吊り合ってないだろうけど……、そこはまあ、先ほどのアリカの大胆行動と俺のやさしさで軽くしといたから」
「ぬ、ぬぅ……、よ、喜んでいいのじゃろうか?」
複雑そうなアリカだけど、これはかなり安い対価なんだよ。丁度俺がコスプレ撮影に嵌っててよかったと思ってよ。
「それで、どうするんだいアリカちゃん。契約を結ぶ? それとも結ばない?」
「……結ぶ……。結ぶに決まっておるじゃろう」
「じゃあ、契約成立だね」
こうして俺とアリカはひとつの契約を結んだ。