ピンクの悪魔よ、この忌々しい世界に制裁を!(番外編) 作:Mk-5
私はゆんゆん…………あ、少々お待ちを……。
『グチョッ………クチュッ……』
「んあ……はあ……ん♡」
『グチュチュッ…クリクリ…チュッチュッ』
「はぁう…くぅっ…んきひぃ!」
『クチュクチュクチュクチュクチュクチュ…………ビクゥン』
「んっんっんっんっんっんっ…………んくうううぅぅぅぅぅうぅぅぅ!!!」
………どうも、最近立ちオナニーにはまってるゆんゆんです。
私の部屋は一応防音仕様なんですが、それでも喘ぎ声とか聞かれるのが嫌なので、無意識に歯を食いしばったり口を手で塞いだりしてるわけです。
…というか、あれから更に5年ですか。
私とカービィさんとの生活は、未だに大した変化なし。
アイリス元王女との付き合いも5年前と変わっていません。
強いて変わっているとすれば、外の世界での私達の扱いだけですね。
アイリスは正式に王女の座を降りたその後も、カービィさんとの付き合いによって磨かれたカリスマ性が皆に認められ、“終身第1王女”というアイリスのためだけの地位が新たに設けられたのです。
そんなわけでアイリス“終身第1王女”は、今なお王族に対し強い発言権を持っているんだとか。
私の方は……紅魔族およびアークウィザード達の間で「ウィザードマスター」と呼ばれるようになりました。
新しい魔法の開発は勿論のこと、カービィさんが魔法をコピー能力と併用する姿からヒントを得たこともあります。
要するに色んな魔法を組み合わせることを思いついたわけです。
とはいえ、単純に組み合わせるだけでは上手くいかないもの。
例えば「インフェルノ」と「トルネード」を組み合わせると、巨大な炎の竜巻が半永久的に発生し続けるんです。
なまじ複数の属性が混じっているせいか、移動させることも消すこともできません。
最終的にはカービィさんの「エスパー」からヒントを得て開発した念力魔法「サイコキノ」を組み合わせることで、何とか制御できるようになりました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
因みに、他の皆が現在どうしているのかというと………まずはめぐみん。
私に最初にできた友達にして、人生最大のライバルでもあるめぐみん……なんですが…実はこの10年、1度も会えていないんです。
妹のこめっこ曰く、「未だ爆裂散歩にいそしんでいる」とのことですが、顔を見れていない以上、確認のしようがありません……一体どういうことなんだろう?
次にダクネス…ぶっちゃけた話、実態をこの目で確認できたのは彼女だけなんです。
カービィさんからマゾヒストの件についてさんざん言われていた彼女は、魔王討伐後から少しずつ心を入れ替え出し、約2年の歳月をかけて改善を図りつつ元婚約者のバルターさんとお付き合いを続け、結婚にこぎつけたんだとか。
何故そのことを教えてくれなかったのかと問いただしてみれば、単純に「恥ずかしかったから」だそうな。
最後はアクア…彼女に関してはハッキリ言って、カービィさんの証言意外に情報を得る手段が無いので…。
そもそも、彼女が女神様だということ自体半信半疑だったので…。
それはそうと、彼女は魔王討伐後に当初の契約通り天界に戻ったわけですが、同時にカービィさんがかけた呪いが解除されてしまった影響で治りかけていた性格が完全に元通りになってしまったらしいです。
カービィさんとしてもこの件には納得できず、何度も厳重抗議したそうですが、碌に取り合ってもらえないそうです。
それからしばらく、カービィさんがご機嫌斜めになったのは言うまでもありません。
「ゆんゆんさ~ん、朝ご飯できましたよ~!」
「「ご飯の時間だぞ~!」」
ミュイさん、そしてベルとミルが声をかけてくる。
私が軽く髪をとかして、ダイニングに向かうと………。
「ふあ~~~~………」
「か、カービィさん!帰ってきてたんですか!?」
「ついさっき帰ってきたところだよ、ゆんゆん。昨日は仕事が立て込んじゃっててさ、天界で寝てたの……まだ眠いや」
「お、お疲れ様です…」
用意された朝食をあっという間に平らげたカービィさん。
安心と疲れがドッと出たのか、その場で眠りこけてしまいました。
ミュイが見かねてカービィさんに掛布団をかけてあげます。
「……もう、アクアのことを心配する余裕とか無さそうですね」
「ゆんゆんさんの言う通りです。最近は特に忙しそうです」
「てゆーか、そうなるように仕向けてるんじゃない?」
「あー確かに!そうだよ、アクアのことに関心が向かないように、わざと忙しくさせてるのよ間違いないわ!!」
突然ベルとミルが騒ぎ始めました。
まぁそれをうるさがったカービィさんに怒られて、すぐに収まったわけですけど…。
すると今度は
「あそうだ。そろそろ時間じゃない?」
「あ、そうだったそうだった。遅れないようにしなきゃ」
双子のエッドエルフ達はそう言うと屋敷を飛び出していきました。
何処に行ったのかというと………実は彼女達、仲間のウッドエルフと共に売春宿を経営してるんです!
圧倒的に小さな体の少女達が全身を使って男性の肉棒をしごく……という特殊なプレイがウケたらしく、かなりの数のリピーターがいるんだとか。
1回1万エリスというリーズナブルな価格も相まって、客足が絶えたことは無いらしいです。
因みに近々、百合プレイもOKにする予定だとか。
「カービィ!カービィ!大変大変大変だよ!!」
と今度は、クリス(エリス様)が騒がしく駆け込んでくる。
「シー!カービィさんは疲れて寝てるんですから!」
「そそそれどころじゃないんだよ!ほ、本当に大変なことなんだから!!」
『ゴソゴソ………』
「…………何さ?」
「ま、魔王が……魔王が復活したんだよ!!」
「「「!!??」」」
………魔王が復活!?
私達は開いた口が塞がらず、カービィさんも眠気を忘れて目を見開いています。
後でカービィさんから聞いた話ですけど、魔王は10~30年周期で復活するんですって!
何で教えてくれなかったのか聞いてみると、忙しすぎてうっかり伝え忘れたんだとか……。
「……なるほどね。じゃあ明日から対策練ろうっと。それじゃおやすみ……」
結局、カービィさんはこの発言を最後に、食事と歯磨きと入浴以外の全ての時間を睡眠に費やしました。
私の想像より遥かにハードな仕事をしていたということでしょうか…?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翌朝、食卓にて………
「それでカービィさん、結局どうするつもりなんですか?」
「…取り敢えずアクセルに行ってみるつもり」
「アクセルに?」
「だって現状を見てからじゃないと、対策なんて練れないよ」
「た、確かに…」
というわけで、私達は久しぶりにアクセルへやってきました。
と言っても、移動先はかつて使っていた館の玄関なんですけどね。
私はちょくちょく足を運んでいましたが、多忙だったカービィさんにとっては冗談抜きで10年ぶりのアクセルです。
あの時とほとんど変わり映えしていないとはいえ、カービィさんが現状確認のために周りをキョロキョロ見る様は、まるで知らない場所にうっかり来てしまった子供のよう。
当然ながら「伝説の戦士」の武勇伝が10年かそこらで薄れるはずもなく、カービィさんがギルド付近にやってくると、ざわつき始める住民の皆さん。
そしてギルドに到着すると…………聞き慣れた声が私達の耳に響き渡ってきました。
「うわあああああん、何で私がそんなことやらなきゃいけないのよおおおお!!」
「うるせぇぞ駄女神、やるっきゃないんだからいい加減シャキッとしろよ!!」
見れば、アクアが茶髪の青年に駄々をこねながら引きずられていたのです。
それを見たカービィさんは当たり前のごとく呆れ顔。
「……アクア、何してるの?」
「?げっ、カービィ!?」
「知ってるのか、アクア?」
「知ってるも何も、前に説明したじゃない!10年前に魔王を倒した“伝説の戦士”よ!」
「な、マジで!?」
茶髪の青年は、たまたま近くにあったカービィさんの石像(ソード)と本人を何度も見比べ……
「………『人は見た目によらない』って本当なんだな」
と小声で一言。
「そりゃあそうよ!何てったって、この偉大なる私が直々に育成したようなものだからね!!」
「…何時あなたがカービィさんを育てたんですか?」
「記憶違いかな…ボクはキミに終始足をひっぱされた記憶しかないんだけど?」
私とカービィさんがジト目でアクアに視線を送っていると、茶髪の青年は肩の荷が下りたような顔で溜息をつき、
「…大丈夫、こいつの言うことが大概信用ならないことは既に学習してるから」
「ちょっとぉ!?」
「話が通じる人で良かったですねカービィさ……ん?」
見ればカービィさん、何時の間にやらアクアに向けて歩を進めていました。
そしてそのまま………
「『フォーメーション・バニル』」
「え?え?ちょ、ちょっと!?」
「『カースド・ダークネス』!」
「いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ………………!!!」
アクアに呪いを掛けました。
「え?な、何だ今の!?」
「話せば長くなりますが、実はカービィさん、かつての魔王を倒す過程で魔王が住む城の結界を維持する存在『魔王軍幹部』とも戦いました。その時、倒した幹部のうち一部の者の能力を、自分の能力として取り込んでしまったのです。今のはかつての魔王軍幹部の1人『バニル』という名の悪魔が持っていたスキルで、対象者に様々な呪いをかけられるんですよ」
「そう。因みに内容は前回と同じ『サボれない呪い』と『無駄遣いできない呪い』だよ。ふぁ~~~…………」
「あ、それとカービィさん、魔王を倒してからというもの、天界の神様達から色々と仕事を任されまくって、今お疲れなんですよ…」
「は、はあ……まぁそれはそうと、あんたは一体何者なんだ?何かやたらとカービィに関して詳しいようだけど…」
「あ、そういえばまだ自己紹介してませんでしたね!私はゆんゆん、カービィさんとは十数年来の付き合いです。巷では“ウィザードマスター”なんてたいそれたあだ名で呼ばれることもありますが…」
「…いや、あだ名はさておき、『ゆんゆん』もあだ名だろ?」
「え?いや、本名なんですけど…」
「へ?」
「ああ、そういえば言ってなかったわね。彼女は『紅魔族』っていう魔法に長けた一族の出身でね、そいつ等は皆こんな感じの名前なのよ」
「……そうなの?」
何となく予想はしていましたが、改めてそこに注目されるとちょっと複雑です………。
とここで視線を下に落とすと…さっきまで私の隣にいたカービィさんが、青年のとある一点をずっと見続けています。
その視線の先には…ズボンのポケットからはみ出した冒険者カード。
何故かそれを食い入るように見つめていました。
そして何を思ったのか、それを素早く引き抜いたのです。
「あ!ちょっと…」
「ふ~ん、『ミミックオールラウンダー』か…」
ああ…そういえばそうでしたね。
カービィさんの現在の職業「オールラウンダー」は、魔法の才能や近接戦闘能力等あらゆる方面で優れているが故に、逆に長所が無い、という人だけがなれるもの。
そうでない人がなろうとすると、職業名が「ミミックオールラウンダー」になってしまうんです。
とはいえ、万に一つの可能性に賭けて、この職業になろうとする“基本職”の人は少なくないんだとか。
それにしても、カービィさんはどうして彼の冒険者カードに興味津々なんでしょう?
………というか、カービィさんの様子がおかしい…?
まるで、私達が知りえない何かを感じ取っているかのような……そんな雰囲気を醸し出してる。
暫くそんな状態で固まっていましたが、そっとカードを返して一言。
「………キミになら、任せられそうだ」
「へ?任せられそうって?」
「決まってるじゃん!次の勇者は、キミさ!!」
「………………………………へ?」
『ええええええええええええ!!??』
その場にいた全員が仰天。
一体あの沈黙の間に、カービィさんの中で何が起きたというのでしょうか……?
「い、いやいやいや待ってくれ!いきなりそんなこと言われてもな……そもそも俺はオールラウンダーになり損ねた男だぞ!?自分で言うのもアレだけど、俺みたいなのが勇者になれるわけないじゃんか!!」
「………は?」
私も彼の言葉には同感です。
私もチラッと彼のカードを見ましたが、ステータス的に………大っぴらには言えませんけど、勇者には程遠かった。
でも、カービィさんはそれを指摘されても「何言ってるの?」的な顔をするばかり。
「いやだから、俺のカード見たんならステータスとかも見たろ?こんな俺が勇者なんて…」
「……勘違いしてもらっちゃ困るな」
「は?」
「勇者ってのはね、人から授けられるようなものじゃないんだよ!キミ自身がこれからなるんだ!本当の勇者にね!だからキミは『オールラウンダー』になろうとしたんじゃないの?」
思い当たる節があるのか、茶髪の青年は口ごもる。
今ので何となく、カービィさんが言いたいことは分かりましたが……それにしても、どうして彼にそのことを言ったんでしょうか?
その辺がまだ分かりません。
「万に1つの可能性をかけて『オールラウンダー』になろうとしたのに、なりそこなったからそのままなんて勿体なさ過ぎるよ。どうせなら今からでも目指せばいいじゃない!“努力の天才”にならないと、長生きできないよ?」
「うぐ……」
「それに……ボクが魔王と戦ってから10年、未だにボク以外の人が『オールラウンダー』になったって話を聞いたことがないんだ…」
カービィさんはおもむろに自分の冒険者カードを取り出し、見比べろと言わんばかりに青年のカードの傍に置いた。
今のカービィさんのレベルは…ちょうど100。
魔王と対峙した時は確か…………22でしたっけ?
「それに大体、魔王と戦うとかいう感じのことをボク1人で全部やっていたら、他の皆は何のために存在してるんだって話じゃない?それに、いくらボクが『オールラウンダー』といったって、やれることには限りがあるんだ。やっぱりボクみたいな職でも、複数人いた方が良いと思うよ。ベストはそう…各街や村に1人ずつとか」
「確かにそうですね…。現にカービィさん、各方面に引っ張りだこでお疲れですから、今までのようにはいかないでしょうね…」
「多分そうだろうね。それに魔王を倒すって目標も、もとはといえばその神様達に頼まれてのことだったから……ボク的には暫く、そういうのから離れて自堕落にやっていきたいんだよね……ハァ」
………単純に息抜きがしたいだけなんでしょうけど、嫌なことを押し付けようとしてる…な~んて考えちゃう私は心が汚れてるんでしょうか?
それはともかく、ここでカービィさんが何か閃いた模様。
そして辺りを見渡すと……
「あ!お~い、こめっこ~!」
たまたまモンスター討伐を終えて帰ってきたらしいこめっこに声を掛けるカービィさん。
…今更ですけど、彼女の杖「トールロッド」は遠くからでも結構目立ってます。
そんな彼女は15歳になった今でも、カービィさんにデレデレなんですよね。
今回も今回とて、カービィさんと目が合った瞬間に全力で抱き付きました。
「カービィ兄ちゃ~ん、久しぶり~!!」
「確かに久しぶりだね…確か3年ぶりくらいだっけ?まぁそれはそうと、久しぶりで急だけど頼みたいことがあって」
「ん?何を?」
「…彼と、パーティ組んでもらえないかな?」
「へ?」
本当に急なことだったので、流石のこめっこも何のことか分からない様子。
でもアクアの姿を見た途端、納得した顔に。
「……あ~分かった!“お守り”しとけばいいんだよね?」
「まぁそんな感じ」
「ちょっと!?」
「まかせて!やり方は心得てるから!」
「うん、ありがとう」
「とゆーわけで、私こめっこは今日から新しいパーティーメンバーになりま~す!」
「あ、あのちょっとタンマ!展開が早すぎて付いて行けてない!」
と言いつつ、割と直ぐに(紅魔族独特の挨拶以外は)順応した青年。
序にこめっこの魔法と幸運ステータスを見て、メンバーに加えることを即決しました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「………それはそうとカービィさん、これからどうするつもりなんですか?」
「そうだな~…どうせだから、今まで行ったことないような場所に行ってみたいな」
「行ったことないような場所?」
「例えば……ここ!この砂漠地帯とか」
「砂漠地帯…ですか。何でまたこんな所に?」
「分かってないなぁ。こういう所だからこそ、新しい発見ができるんじゃない。そんな予感がするんだよ!」
カービィさんは子供みたいに目を輝かせていました。
そういえば、街の子供達と遊んでいた時もこんな感じだったような…。
まぁそれはともかく、私としてもカービィさんと一緒にいられる時間が増えるのは良い知らせです。
そんなわけで、2つ返事で了解しました。
「それで、砂漠へはどうやって行きますか?またロボボアーマーで?」
「ううん、どうせだから飛んでいこうと思ってる」
「となると、ドラグーンで行くんですか?」
「いやいや、今回は2人別々のに乗っていこうよ。折角練習したんだからさ~」
そう、私もカービィさんみたく空を飛んでみたいと思って、ちょくちょく練習してたんです。
といっても、あくまでフードランドの敷地内でやっただけなので、長距離飛行は今回が初めて。
………そう思うと、ちょっと緊張してきました。
「さてと、それじゃ呼ぼうか」
「ちょおおおおおっと待ってくれ~~!!」
「「???」」
走っているかのような重厚な金属音と、聞き覚えのある男勝り感全開の声に振り返れば……そこにいたのは、見慣れたオレンジ色の鎧に身を包んだ金髪の女性。
実際に走ってきたらしく、息を切らしていた。
「……………………ダクネス?」
「お、おい!何故疑問形なんだ!?折角お前達が見慣れた格好をしてきたというのに!」
「ゴメンゴメン、顔つきとか大分違ってるから一瞬分からなかった」
確かにカービィさんの言う通り。
三十路に入った影響か、私達が知っている勇ましそうな表情は鳴りを潜め、かなり穏やかな印象になっています。
「……まぁそんなことはどうでもいい。それよりも、何故私がここに来たのかを疑問に思っているんじゃないか?」
「それはそうですけど…まさかじ」
「私も連れて行ってはもらえないか?昔のように」
まるで自分で言いたかったと言わんばかりに、ダクネスは私の言葉を遮って声を張り上げました。
それに対してカービィさんは…………
「…別にいいけど?」
割とあっさり許可した………かに見えましたが、
「でもボク達、個別の乗り物で行こうとしてるんだよね。どうしても行きたいなら、上手く操縦できるようにならないと…」
「そ、そうか。と、とにかくやらせてくれ!自分で言うのもなんだが、私もそんなに都合のいい女でもないからな!」
「…まぁいいや。取り敢えず『ライトスター』!」
カービィさんの呼びかけに応じ、やってきたのは……ワープスターより一回り小さいマシン。
「…何故こんな小さなマシンを?」
「決まってるじゃん、ゆんゆん。取り敢えずこれに乗ってもらって、どの程度乗りこなせるかを試すのさ!」
「ああ、そういうことですか」
「ほらダクネス、乗ってみて」
「う…うむ」
恐る恐るマシンに跨るダクネス。
その後カービィさんから操作方法を教わります。
基本は進みたい方向に体を傾けるだけ………と口で言うのは簡単ですが、これが結構コツが要りまして…。
といっても、今までにカービィさんのマシンに乗った人は、前進後退くらいなら割とすんなりできるようになるんですけど………ダクネスはそれすらも悪戦苦闘。
初めてだから緊張するのは分かりますけど、余計な力を入れすぎて操作不能になるんですよね。
この様子を見てカービィさん、出発を翌日以降に延期することを決めました。
でもって猛特訓の末、取り敢えず夕暮れになる直前あたりで幾分乗りこなせるようになったわけですけど……大丈夫でしょうか?
「…カービィさん、どう思います?」
「ん?えっとね……取り敢えず、旋回し始めるタイミングが全体的に遅いって感じかな」
「あ~…」
「このまま練習するでもいいけど、時間かけすぎるのもな~……となるとやっぱり、旋回性能の高いマシンで試そうか」
「旋回性能の高いマシン?」
「うん。『ハンドルスター』でもいいんだけど、ここは1つ『ワゴンスター』!」
やってきたのは……やたらと角ばったピンク色の箱(?)のような乗り物。
ゴツそうな見た目をしていますが、カービィさん曰く一番旋回性能に優れているんだとか。
実際にダクネスが乗ってみると………確かにタイミングの遅さをカバーして尚余裕のある曲がり具合です。
これで問題解決……かと思いきや、ここで新たな問題が。
それは、上昇力の悪さです。
ダクネスは全身筋肉ですから、やはり重すぎるんでしょうね。
「う~ん上昇力か……………………旋回性能がちょっと犠牲になるけど、この際仕方ない『フライトワープスター』!」
カービィさんが呼び出したのは……ワープスターと色違いのマシンでした。
「カービィさん、これは?」
「ワープスターの強化型『フライトワープスター』だよ。ワープスターより急角度でも上昇できるんだ。ただ、ボクはそこまで急上昇する機会も無いからあまり使わないんだけどね。それじゃダクネス、乗ってみて」
試してみたところ、割といい感じの結果になりました。
ダクネスを乗せた状態でも、ワープスターと同程度の上昇ができているあたり、流石は強化型といったところですね。
兎にも角にも準備が整ったので、夕闇迫る中解散し、各自明日に備えることに。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そして翌日…
「それじゃっと…『ワープスター』!『フリースター』!『フライトワープスター』!」
カービィさんの呼びかけで、黄色とオレンジの星型マシン、そして青い3角形のマシンが到着。
青いのは私が乗る「フリースター」です。
各自マシンに跨って、早速出発!
雲が漂うそのすぐ下を、風を切りながら飛ぶ私達3人。
始めのうちは不安げだったダクネスも、少しずつコツを掴んできたのか次第に楽しそうな顔に。
そして30分もしないうちに、眼下に砂漠が見えてきました。
「カービィさん、どっちに向かいますか?」
「取り敢えず真っ直ぐ………あいや、ちょっと待った!」
突如急停止し、下を見下ろすカービィさん。
ですが…少なくとも私には何も見えません。
「あ、あの…どうしたんですか?」
「ちょっと来て」
降下し始めたカービィさんに付いて行くと、見えてきたのは……穴でした。
穴といっても、めぐみんの爆裂魔法でできたんじゃないかと思えるほどに大きなものです。
「何でしょう、これ…」
「多分トラップだね。穴の下に何かいるよ」
「「ええ!?」」
「『エスパーカービィ』!」
カービィさんが念力を発動させると…何とも形容しがたいモンスターが現れました。
目も耳も鼻も視認できず、嘴の様な黄土色の巨大な口と、それを取り囲むように生えた薄い赤色の触手があるばかり。
しかも何かキューキュー鳴いてるし。
カービィさんが下に降りたので、私達も取り敢えず降りてみることに。
「う~む、上から見ただけでも変な見た目だったが…横から見ると更に訳が分からん。一体コイツはどんなタイプに分類されるんだろうか?」
ダクネスの言うことはごもっとも。
嘴の下には紫色の管があり、時折不規則に発光しています。
しかもカービィさんが念力で持ち上げているにもかかわらず、管は更に砂の下まで続いているようです。
「タイプとかは分かんないけど、少なくとも本体は更にこの下にあるみたい」
「口だけを地中から伸ばしてたんですか。一体どんな姿なのやら…」
「えいっ」
…………結論から言いますと、見なきゃよかったです。
カービィさんが引き揚げたモンスターの本体は、この世のものとは思えないような紫色の塊。
ポイズンスライムの方がマシだ、と思えるほど。
このままにしておくと危険と判断したカービィさんが、その場で討伐。
まるで透明な手に握りつぶされたかのごとく、派手にはじけ飛びました。
そして冒険者カードを確認。
「なるほど、今のモンスター『サンディー・ビル』っていうらしいよ」
「聞いたことのない名前だ。危険なモンスターなのか?」
「多分そうだろうね。あ、そうだ!ダクネス、めぐみんが今どうしてるかって知らない?」
「ん?急にどうした?」
「いや、あのモンスターのはじけ方を見て思い出したんだよ。会った時に聞こうと思ってすっかり忘れててさ…」
「…おかしな思い出し方だが、まぁいいか。めぐみんなら心配する必要な無いだろう。会うたび会うたびに爆裂散歩に誘ってくるからな」
…めぐみんはめぐみんのままだと、改めて認識させられました。
それにしても、どうして今まで会えなかったんだろう?
私の運が悪いから?それとも、今は会うべきじゃないってことで、カービィさんの幸運が働いてるとか?
「『フォーメーション・バニル』!」
とか考えてる間に、カービィさんはバニルの力で現状確認。
割と近くに町があるらしいので、そこに向かうようです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
到着したのは、「サンクチュアリ」という名のオアシス都市。
宝石みたいに透き通った綺麗な水をたたえる巨大な泉を中心に開拓されたようです。
砂漠の暑さに対応するためか、住人の衣装は白を基調とした独特のもの。
しかも皆、肌が色黒です。
着いた直後から、これでもかというほど熱烈な歓迎を受けました。
いくら大きな街といっても砂漠の真ん中にあることを考えると……街の外から訪ねてくる人なんて滅多にいないんでしょうね。
いやそれよりも、気になってることが1つ。
熱烈な歓迎の割に、皆どことなく顔色が悪いんですよ。
しかも街も何だか活気があんまりない感じで……。
始めのうちは聞いてみても答えをはぐらかしてばかりでしたが、粘り強く聞いてみたら、やっとマトモに答えてくれました。
どうやら最近、この街では謎の病気が流行しているようで、それを知ったら私達が出ていってしまうのではないかと思ったそうです。
「全く…むしろそういうことは早く言ってくれればよかったのに。取り敢えず患者さんって何処にいるの?」
「!!お、お医者様だったのですか!?ど、どうぞこちらに……」
言われるままに歩を進めると……大きな病室いっぱいに患者さんが。
皆、全身に赤い斑点模様が浮かんでいます。
少なくとも私には何の病気なのか見当もつきません。
「『ドクターカービィ』!」
でもカービィさんは全く慌てなかった。
かつてミュイが怪我した時、使おうとして度忘れしたというコピー能力を発動して診察します。
白衣に厚ぶちの眼鏡をかけたその姿は、まさにお医者さん。
果たしてどんな病気なんでしょうか?
「う~ん、診た感じは麻疹に近いんだけど……何というか、一種の呪いみたいだね」
「「呪い!?」」
「うん。でもまぁ、ボクなら問題ないけどね!」
そう言うとカービィさんは、懐から実験器具の様なものを取り出すと、せわしなくガチャガチャやり始めました。
何をしているのかと思えば、間もなくして薬と思しきものが完成。
……お医者さんって、皆ああいう感じで薬を作っているのでしょうか?
あっという間に薬が完成。
カービィさんは早速、その薬を患者さんに飲ませます。
するとどうでしょう、患者さんはたちまち顔色が良くなり、今にも死にそうだったのが嘘のように元気になりました。
そして、お昼までには全員が無事に退院し、その場にいた全員から称賛を受けるカービィさん。
やがてそれが一段落ついたあたりで、ダクネスが口を開きました。
「…なぁ、病気が治ったのは喜ばしいことだが、まだ終わったわけじゃないだろう?」
「そうだね。さっきも言った通り、あの病気は呪いによって引き起こされたものだから、呪いの発生源をどうにかしないと…」
確かに、病気の原因が呪いなら、その根源を絶たないと病気が再発する可能性も考えられます。
私達は病院の一室にて適当な丸テーブルを囲んで、今後のことについて話し合いました。
丁度その時
『グェヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ……!!!』
不気味な笑い声が響き渡ったのです。
しかもその声は、空から聞こえてきます。
何事かと思って外に出てみると……見たことも無いモンスターが翼を羽ばたかせながら見下ろしていました。
パッと見は人間っぽい胴体に犬みたいな頭があり、背中からは鳥みたいな翼が2対も生えています。
両腕は何故か獣臭い見た目で、脚はまるで猛禽類のよう。
そして尻尾は、明らかにサソリのそれでした。
「へっ相当参ってるようだなお前達ぃ!」
「…あの~、どういう意味でしょうか?」
「ハッ分かんねぇのかよ、なら教えてやる!この町の流行病は俺様が仕向けたことなんだよ!」
「何故そんなことをしたんです?まぁ、皆すっかり回復してますけど…」
「そりゃ勿論、これを口実に身代金やら何やらガッポリt………いやちょっと待て、お前今『回復した』とか言わなかったか!?」
「ええ、言いましたけど?」
「……ケッ、見え透いた嘘ついてんじゃねぇよ!あれは単なる病気じゃなくて呪いなんだ!そんじょそこらの医者に治せるわけがないんだよ!」
「……ですって、皆さん」
別に打合せしていたわけではないのですが、丁度よく全員が入り口付近に集まっていたので…。
療養所からゾロゾロと出てきた人達を見て、モンスターは目玉が飛び出そうなほど目を見開いて驚いていました。
「!?!?どどど、どい、どう言うことなんだ!?何故呪いが解けている!?」
「ボクが治療したからだよ、パズズ」
療養所にいた人達を誘導し終えたらしいカービィさんが、姿を現すと同時にそう言いました。
因みにダクネスも一緒です。
「全くもって天才的だなお前は。一体全体何ができないんだと聞きたくなるほどだ。ところであのモンスターだが『パズズ』という名前なのか?」
「そうだよ。犬の頭に2対の翼、ライオンの前足にワシの足、そしてサソリの尻尾。熱風にのせて病気や呪いを運ぶといったらもう、『砂漠の悪魔』パズズしかいないよ!」
「ほほう、そこまで俺のことを知っているとはな!それならあるいは…ってちょっと待て!」
そこまで言うと、「パズズ」という名のモンスターはカービィさんを凝視し始め……
「………まさかお前、『カービィ』……じゃないよな?」
「いや、カービィで合ってるよ?」
「はぁあ!?な、何故にこんなっ、こんな辺境の地に『伝説の戦士』がっ!?」
パズズが叫んだ「伝説の戦士」というワードを聞いて、町の人達がざわつき始めました。
すると間もなく、町の長老と思しきおじいさんがカービィさんのもとにやって来て
「おお……神に選ばれし『伝説の戦士』カービィ殿。よくぞおいでになられました…」
「『神に選ばれし』って?」
「隠す必要は御座いません。曲がりなりにも私はエリス教のアークプリースト…あなた様のことはエリス様より仰せ授かっておりますとも」
「いや別に隠してたわけじゃないんだけど…」
その通り、カービィさんは隠してたわけじゃなく、単に“言う必要性が皆無だった”から言わなかっただけなんです。
というか、こんな辺鄙な場所にもエリス教は根付いてるんですね…。
「…チッ!こ、こうなったらテメーを倒して名を上げてやる!この魔王軍幹部『バールバトン』様の名をなぁ!!」
「あ~魔王軍幹部なのか。何となくそんな気はしてたけど、まさかこんな砂漠の町にまで出るなんて…」
「覚悟しやがれえええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
猪突猛進で襲い掛かって来る魔王軍幹部。
でもカービィさんは一向に慌てる様子もなく…
「ホイッ」
何やら赤い薬品が入ったビン(ガラス製の壺?)を適当に投げつけると、魔王軍幹部に当たった直後に大爆発。
『チュドオオォォォンン!!』
「アギャアアアアァァァァァアァァァァァァァ!!??」
…そしておもむろにこちらに振り返って一言。
「薬は用法用量守って正しく使ってね!」
………何故かカッコよく見えてしまった私はどこかおかしいのでしょうか?
「……ぐぅぅ、まだまだアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!!」
「『ファイアーボール』!」
何もしないのも気が引けるので、私も参戦しました。
中級魔法とはいえ、魔王が倒れてからも魔法の修業を欠かさなかった私のファイアーボールは今や、自分より巨大な火の玉と化しています。
しかし…やはり空を飛べる相手には分が悪いですね。
すんでのところで躱されてしまいました。
でも……私にとってはそれ以上の誤算が………
「な…何だ今のデカい火の玉は!?まさか!?あ、あり得ない…あんなデカい『ファイアーボール』があってたまるか!!」
そう…規模が大きくなってしまった私の魔法は、嫌でも目につきます。
というか、考えてみたら何故今まで気付かなかった私!?
実を言うと私は、未だにちやほやされたり目立ったりするのが苦手なもんで……なんて考えてる間に、既に注目の視線が痛いです(汗)。
ふと視線を人だかりから背けると、そこには………明らかにドン引きしているダクネスと、感心した様子のカービィさん。
「…な、なるほどな。さ、流石は『ウィザードマスター』といったところか」
「何かまた一段と腕を上げたね、ゆんゆん」
2人してやめてください!
何で追い打ちをかけるんですか!
止めてくださいよ早く……!
するとここで、カービィさんが動き出しました。
「えいっ」
『ブスッ』
そして呆然としているパズズに注射器を突き刺します。
すると………………
「っっあびゃjdこあえいjlkdkさどgじゃをりj;sんf;おいgsじゃwhろおwn………………」
という言葉(?)を残して地面に倒れ込み、そのまま動かなくなりました。
その後、私達は冒険者ギルドで一連の出来事について報告しました。
流行り病が魔王軍幹部の仕業であったことに皆が驚愕し、そして討伐されたことを聞いた瞬間、歓喜にあふれるギルド。
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とここでカービィさんが、そんな称賛の声そっちのけで予想外のことを口にしたのです。
ふと見れば、何故か「フォーメーション・バニル」を発動させていました。
「ねぇゆんゆん、ボクまたやりたいことができたんでけど…ちょっといいかな?」
「…?」
「いや実はさ、何気なしにこの町のことを調べてみたんだけど……どうやら位置的に、ここから王都まで一直線の道で繋げられそうなんだ」
「……へ?」
何の脈絡もなく出てきた斜め上行く発言に理解が追い付かず、私も皆も固まってしまいました。
「だから~、この町と王都とを繋げる一本道を建設しようって言いたいの!」
「あいや、言いたいことは分かったんですが、そこに至るまでの過程が理解し切れてないんです!ちょっとだけでいいので時間をください!」
「???」
取り敢えず気持ちを落ち着かせた私は、カービィさんが言わんとしていることについて整理しました。
この町と王都を一本道で繋げられることは分かったのですが、肝心の道を作るための資材はどうする気なんでしょう?
などと考えていたら、このことを聞いた町の建築家さん達がやる気になっています。
それどころか、最終的には町の人ほぼ全員が満場一致で協力するみたい。
何でも、今まで他の街とのまともな交流が無かったせいで閉鎖的になりすぎていたため、そんな事態をこれを機に改めたいんだとか。
早速レンガが急ピッチで生産され始め、カービィさんの指示の元、建設が始まりました。
とここで、ふと気になったことがあるのでカービィさんに聞いてみることに。
「あの~、カービィさん…ちょっといいですか?」
「ん?どうしたの、ゆんゆん?」
「道を作るのまでは分かりましたが、ここから王都までってかなり遠くないですか?辿り着く前に干からびそうな感じが…」
「…ああ、それね。特に問題は無いよ。ちゃんと考えてあるから」
そう言ってカービィさんが指さす先では……建設中の道の脇に、何やら謎の穴を掘っている人達がいました。
一体何をしているのでしょうか?
「『オーシャンカービィ』!『セイクリッド・ハイネス・クリエイトウォーター』!」
カービィさんが不意に発動したコピー能力を見た時……もしやと思い、聞いてみようとして…
「カービィさん、もしかしてあの穴って……」
私が言い切る前に、大きな水音と共に穴から水が噴き出したではありませんか。
「やっぱり井戸用の穴でしたか!」
「そういうこと!…おっといけない、金属加工の人に声かけるの忘れてた!」
……とまぁこんな具合に、ちょくちょくトラブルはあったものの、道の敷設工事と井戸の設置工事は滞ることなく進行。
やがては砂漠を抜けて湿り気を帯びた大地へと突き進み、遂に王都が見える所までやってきました。
早いもので、既に着工から1ヶ月ですか……。
王都の人達は、初めはこっちに向かって謎の集団が道を作りつつ迫りくる事態に驚き、次に彼らが砂漠にあると言われるオアシス都市の住人であることに驚き、そしてカービィさんが彼らを指揮しているところを見るや否や、何故か安心したように胸をなでおろしました。
カービィさんならやりかねない、とでも思ったんでしょうか?
それはともかく、終盤は王都の作業員が自主協力してくれたこともあって、全ての工事が無事に終了。
喜びを分かち合うのもほどほどに、カービィさんは王都の冒険者ギルドへ魔王軍幹部の討伐報告をしに行きました。
報酬はすぐには出ないとのことなので、その日はカービィさんのポケットマネーで適当に一夜を過ごすことに(とはいえ、宿泊可能なお部屋がどれも結構な値段のするものばかりだったため、皆遠慮がちでしたけど)。
翌日、サンクチュアリの皆さんは寝付けなかったのか、私達がギルドにやってきた時には既に全員集合しており、ギルド内はギュウギュウ詰めの状態。
中には立ったまま朝食を取っている人もいるくらいで、私とカービィさんはスキマをぬうようにして受付まで向かいます。
報酬6億エリスで皆に奢っていると……以前見た顔ぶれが。
いつの間にやら、こめっこを筆頭に他のパーティーメンバーも加わっていました。
そして食べ終わるや否や、こめっこはカービィさんの元へ一直線。
遅れて2人もやってきます。
「カービィ兄ちゃんスゴイね!砂漠のオアシス見つけて、おまけに魔王軍幹部まで倒しちゃうなんて!」
「偶々だよ偶々。あの人達は町の閉鎖的さ加減に辟易してたからこそ、今回の事業に積極的に参加したわけだし、魔王軍幹部に関しても、まさかいるなんて夢にも思わなかったよ!骨休めのための旅行だったのに……ハァ」
「ま、まぁいいじゃないですか。町の皆も感謝してますし、終わり良ければ全て良しってことで」
とここで、例の「青年」も会話に加わります。
「つーかあんた、冗談抜きでスゲー功績残してんだな。アクセルでもそうだけど、ここなんて石像だらけだし」
「……言われてみれば確かに…ていうか、前より増えてない?少なくともギルドの中には置いてなかったと思うんだけど」
「あ、そういえば…」
言われてみれば確かに、カービィさんの石像は、今までなら王城の近辺と城の中にしか置いてなかったはず……まさかアイリス王女の仕業だったりします!?
現に彼女、暫く王城で働き詰めになるとか言ってましたし。
「それになんか、王都の門番らしき人がこめっこを見た途端、血相変えて無駄に丁寧に通してくれたんだけど…これも『直弟子』だからか?」
「ん~それもあるけど、やっぱりアイリスの口利きかな?」
「アイリス?」
「この国の元第1王女だよ。今は裏方だけど、そのカリスマ性を見込まれて“終身第1王女”という地位を貰って、今の王族の直属の顧問…みたいなことしてるんだって。こめっこは、彼女が王女だった時から要所要所で付き合いがあるからね」
「確かにそうですね。隣国へ行く際の護衛をカービィさんに頼んだ時も、コッソリ付いて来てましたから…」
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その時でした…けたたましいサイレンと共に、魔王軍襲撃の放送が流れます。
「あ~あ、今度はこれか~」
な~んて最初は気だるそうでしたが、すぐに気持ちを切り替えて大きく伸びをすると、「行こう」という声と共に私の腕を引き始めました。
作戦は今案でと同様の挟み撃ち…但し今回は私も一緒ですから、3方向からの包囲作戦です!
「『ハイパーレールキャノン』!」
まずカービィさんが敵勢力をある程度削り、
「『リモート・トルネード』」
私が竜巻を操って退路を塞ぎます。
「『バーニング・バーニング』!」
それを確認したカービィさんは、不死鳥型の炎を纏って突撃。
「『インフェルノ』!」
私は援護する形で魔法を発動。
流石に2つの魔法を同時に制御するのは骨が折れます…。
「『バースト』!!」
時間差で爆発魔法が撃ちこまれ、声がした方を見れば、こめっこがいました。
そんなこんなで、襲撃してきたモンスターはほぼ、私達3人で討伐。
例の如く祝勝会が翌日開かれるそうです。
そして当日は、何故か参加する気満々なサンクチュアリの住人達にワッショイされながらの入城。
会場では待ってましたとばかりに、アイリスがカービィさんに抱き付いてました(というよりは、飛び付き?)。
それに対し私はこめっこと組んで白けた視線を送る一方、「青年」の方は、アイリスを見て明らかに言葉を失っている様子。
どうやら「王族の顧問」と聞かされたために、かなりの年配者だと思ったらしいです(まぁ実際、不老なので見た目よりは年いってますがね)。
そしてそんな最中、偶然仕入れた「グランドスラム・コロッセオ」に参加するか否かを決めかねるマイペースなカービィさんなのでした。
その場の思い付きで結果的に大活躍、それがカービィです。
因みに「フリースター」も「ハンドルスター」もエアライドに登場するマシンであり、
しかもデバックモードからの操作(?)により、普通のレースでも使えるようになります。
参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=1ARbJz2Ukzo