戦国恋姫の世界で鬼に転生してしまった件について 作:人中の蝮
俺と幽はそれからはしばらくお互いに無言であったが幽のほうから沈黙を破ったのである。どうして鬼に近いあなたまで捕まっているのかが気になったらしいので俺は素直に話すのであった。
「まあ、ここにいる鬼とは違う所からきているからじゃないかな。少なからず俺は人間とできる限り共存したいと考えているがそんなことを考えている鬼なんてないに等しいから常に一匹でいることが多い。まあ、はぐれ鬼と言うべきかな」
「そのような鬼がいるとは・・・もし早く会えましたらもっと良い結末が待っていましたかな。今となってはすでに遅いことですが」
それもそうだなと返事をして俺たちはただ待っていることしかできなかった。俺は希望を捨て始めていた、正直に言ってこの状況で生きられる自信はない。この京の都がこんなに大惨事ならほかのところも同じぐらいの惨劇を起きているに決まっている。
それにこれだけの力をもらってもあの酒吞童子に手足も出ない上にそれ以上の化け物がいると考えたら希望なんてない。アニメみたいな主人公たちなら何とかなるかもしれないが俺はそんなアニメみたいな主人公じゃない、ここからの逆転なんて無理だ。それに今は力も封じられているのか特殊なチートたちが使えなかった。
せめて幽だけでも逃がしてあげたいところであるがそんなこともできそうもない。ため息ばかりついていた時に外から意外な者が来たのである、酒吞童子であった。
「こんにちは細川さんに・・・そちらの鬼さんは確か信鬼さんだったかな。牢獄の生活は慣れてきたかな、今日はとても面白い茶番劇でもしようと来たの。そうだな・・・今回は新しく入った信鬼さんにお願いしようかな。これから連れてくる予定の人と今そこにいる細川さんのどちらかを殺してもらいます。もちろん二人とも選ばなかったらあなたも含めて三人、我が殺しますので注意してくださいね」
俺はいきなり何を言われているのかが理解でき・・・いや理解などしたくなかった。そうして現実から遠ざけている時にもう片方の人が入ってきたのである。それは剣丞であった、とりあえず生きていたことにうれしく思ったがすぐに嫌な予感が来たのである。
「そう、信鬼さんには細川さんにこの人のどちらかを殺してもらいます。制限時間は一時間、信鬼さんは好きなほうを殺してもらっても構いませんので我は遠くから見物でもしますのでよく考えて実行してくださいね」
そう言って酒吞童子は牢獄の外に出た、近くには首をはねるための大きな刀があったがすぐに手を取ることは出来ずにただ下を向いて考える・・いや現実を否定したかった。こんな惨劇はしたくないでもしないと三人とも・・・そう考えていたら
「信鬼さん、俺をやってくれ。そんな女性を殺すよりも俺なんかのほうがいろんな人のためになるはずだ」
「いいや、某にやってくれませんか。某はそうやって多くの人たちを殺してきました。そろそろこんな風に殺してきた罪を償いたいのでどうか・・・お願いできないでしょうか、信鬼殿」
俺にこんなことをする決断なんてあるわけがないでもしないと三人とも死ぬ、誰かを殺さないと。俺は自然と精神的に追い込まれていった、誰を殺しても片方には恨まれるが生かすには殺すしかない。
そうして時間はただ過ぎていき後五分しか残されていなかった、俺は精神的苦痛でどうにかなりそうであった。そして俺が出した答えは・・・
「幽さん・・・ごめんなさい。どうかあの世で俺のことを恨んでください」
「いいえ、感謝はするかもしれませんが信鬼殿を恨むことは決してありません。どうか、無事にここから出られることをあの世から祈っております」
俺は泣き叫びながら幽に対して斬りつけた、鬼の攻撃を防御なしで食らった幽は大量の血を流しながら息を引き取った。俺はその光景を見てすぐに持っていた刀を捨てて後ろにいた剣丞に対して泣きながら土下座をしながら
「剣丞、ごめんなさい、ごめんなさい。でもお前が死んだら希望が完全になくなる、この状況で変えてくれる最後の希望をなくすわけにはいかなかった。どうか、この悪鬼を許してくれ、剣丞」
「俺はには信鬼さんを攻める理由はない、そんなに泣きながら謝ってくる相手にそんな酷いことはできない。こちらこそ、そんなつらい思いをさせてすまなかった」
剣丞はこんなことをした俺ですら許してくれるのかやはり原作主人公と俺では比べる必要もない。たとえ俺が死んでも剣丞だけはここから出してやると決意を決めた次の瞬間、背後から何者か俺を刺してきたのである。それもかなり深く俺は誰かほかにいたのかと後ろを振り返ると・・・
「すみませんがどうやらあの世に行けずに悪鬼になってしまったらしいです。ですが人として亡くなった前から続いていた他者を殺したい衝動が亡くなってからさらに大きくなり殺さないと頭がおかしくなりそうで・・・それで某を殺したあなた様なら良いかなと思い・・刺してあげました」
そう言っていた幽はすでに目の色が変化し角らしいものも出てきていた。すでに人の心は消えて完全に鬼へと変わっていた。そう、こんな風に鬼へと変わっていくのかと恐怖と痛みを感じながら俺は剣丞に攻撃に向かないように必死に戦おうとしたが先ほどの不意打ちが心臓に届いており反撃もできなかった。
俺は何もできずにただ地面に倒れこんだ、俺は上を見上げると笑顔な幽の姿を見えた。そして俺は結局、誰も救えないまま死ぬのかだがせめてと思い残りの力を声に変えて
「頼む、幽。剣丞だけは・・・・許してください」
「そうですね、本当ならそれでもいいと酒吞童子様が言っておりますが・・・某、個人的に殺したくてしょうがないのでそれは無理な相談ですな。ですが、安心してください。二人が死んだ後、酒吞童子が本当の鬼に生まれ変えてくれるらしいので良かったですね。今はわかりませんが死んだ後になればわかりますよ、某の気持ちを・・・ではまた会いましょう、剣丞殿に信鬼殿」
そう言って瀕死の俺よりも先に剣丞を刀で斬殺してこちらのほうに向かってきた。最後の希望の剣丞も刀で斬られて亡くなったがしばらくすれば彼も鬼の仲間として人を殺す悪鬼になるのであろうか。しかし、それを知るすべはなかったなぜなら・・・
「それではまた会いましょう、信鬼殿。これで先ほどの攻撃はなかったことにいたします・・・それに某は悪鬼になったかもしれませんがあなたが気に入っていることには変わりませんので」
そう言って幽は刀で俺の顔に向かって突き下ろした。その瞬間、俺の意識は真っ暗になったのであった。
暗い話ばかりどころか、原作にオリジナル主人公お互いに亡くなってしまいましたが・・・作品は続きますので・・・・