今回はプロローグです、エロ無しです
「はぁ・・・・・・また団長と喧嘩しちゃったわ、そんなつもりじゃなかったのに」
あたしは自分の部屋の机に突っ伏して、さっきの出来事を反省していた
きっかけは些細な書類のミスからだった
書類のミスを指摘した後、あたしが余計な小言を言ったら団長も機嫌を悪くし互いに愚痴を言い合い喧嘩に発展してしまった
「こんな気持ちになるのも団長のせいよ!・・・・・・なんであんな事言っちゃったんだろう、まぁ団長と最近デートしてないし・・・・・・」
団長と気まずい雰囲気になり始めたのは二ヶ月位前からだろうか
団長と副団長のあたしが数日間他の騎士団へ出張する為、ベルガモットバレーを訪れた日の夜に団長が先輩団長と出掛けて行って夜遅く帰ってきた時からだろうか
何故かあたしと目を合わせようとせず返事もぎこちない様子に違和感を覚えたのが始まりだった
その後夜何か有ったかと聞き出そうとしているうちに喧嘩になり今の気まずい雰囲気になっていったのだ
しかもあれから毎週休みの日になるとベルガモットバレーへと向かうようになり、1日泊まってから帰ってくる日もあった
「まさか浮気とか・・・・・・いやいやいや!団長が浮気なんてする度胸あるわけ無いじゃない!」
不安になり過ぎて団長が浮気しているのではと疑ってしまう
しかし団長がそんな事する姿は思い付かない
「今度団長の後付けてみようかな・・・・・・そうよ!これは団長が危険な目に合わないようにするためなんだからストーカーとかじゃないわ!」
自分に言い聞かせるように言いながら団長を付ける事を決意した、後にあんな後悔をするとはこの時は知るよしも無かった
「アブラナ、今日もベルガモットバレーに用事が有るから出掛けてくる」
「そう、あまり遅くならないようにね」
団長が呼んでおいた馬車に乗り込むのを見送るとあたしは加護の力を足に込めて走り出す
馬車に気付かれないように移動するには馬より自分の足で走った方が静かで小回りも効く、なによりパトロールだと言い訳しやすいのだ
「馬車は・・・・・・有ったわね!・・・・・・ん?ベルガモットバレーの街じゃなくて桃源郷に向かってる?」
馬車が二股の分かれ道に着いた時左へと曲がって行った
街に行く場合は右の道に、桃源郷へ向かう場合左の道に進むと到着するのだ
つまり団長は始めから桃源郷に行くつもりだったのだろう
「団長、まさか本気で浮気してるかもしれないなんて・・・・・・」
あたしは団長が他の女性と歩み去っていくという最悪の想像をしてしまい足を止めてしまう
しかし真実を知りたいという想いが折れかけていたあたしを奮い立たせ、再び馬車を追いかけていく
もうしばらく進むと桃源郷が見えてくる、たとえどんな展開になろうともあたしはもう止まらない
それが最悪に進んでいく道であろうと・・・・・・
馬車は桃源郷の入り口に着くと停まり、団長が馬車から降りてくる
馬車から降りた団長は桃源郷の入り口側のお菓子屋へと入って行ったので、その隙にあたしも桃源郷へと入り込む
近くの呉服屋に入り着物の生地を見ているふりをしながら団長の様子を観察する
「うーん、すみません!この飴と・・・・・・を二袋下さい!あと・・・・・・も」
「はい、ただいま!」
あたしは加護の力を耳に集中させて聞き耳を立てる、周りの雑音に紛れた団長の声を全部聞き取るのは不可能だがある程度は聞き取れた
会計を済ませた後、団長は二種類の飴を2袋ずつと金平糖を一袋持ってお菓子屋を出てきた
その後何処かに向けて歩き出したのであたしも密かに付いていく
団長は桃源郷の奥、遊郭のある方へと歩いて行っていた
「なんでこっちに行く用事があるのよ!なにしてんのよ団長!」
一人不安に駆られて焦りを募らせていると団長の前に一人の幼い少女が近づいてきた
あたしは咄嗟に人一人隠れられる幅の松の木に身体を隠して二人の様子を観察する事にした
「秋桜お兄さん!また来てくれたんだね!うち感激だよ~!」
「おっとっと・・・・・・急に飛びついてくるなんて危ないじゃないかスイカズラちゃん」
スイカズラと呼ばれた幼い少女は団長の胸に飛び込むように抱きついていた
団長も少女の事を見つけた瞬間に受け止めれるように足を踏ん張っていた辺り、このやり取りは何度か経験しているのだろう
「秋桜お兄さんならうちの事を受け止めてくれるって信じてたもの!」
「そりゃ毎回抱き付かれてたらなれるよ、はいこれお土産」
「わぁああ!金平糖だ!貰っていいの!」
「スイカズラちゃんへのお土産だからね、他の皆にもこの飴玉渡すんだよ?」
「どうしようかなぁ~♪みんなにはうちへのプレゼントだよ~って自慢して一人占めしちゃおっかなぁ♪」
少女と親しげに話す団長に対してモヤモヤとした感情が沸き上がってくる
つい隠れていた松の幹の一部を握り潰してしまい松の皮が剥げてしまった
「なによ、あんな小さな女の子にデレデレしちゃって・・・・・・まさか浮気相手ってあの娘!?」
あたしの中で団長は浮気をしていると決めつけてしまっている気もするが、そんな事はどうでもいい
「秋桜お兄さんってうちらの中でモテモテだから、うちが独占しちゃったら皆から恨まれちゃうかもね・・・・・・でもうちだってお兄さんみたいな人に愛されたいんだよ♥️」
あたしは直感的に理解した、あの少女は幼いが女であると
幼さを武器に男を誘う一人の遊女であるという事を
幼さという光に寄ってきた虫を捕食する幼き蜘蛛にあたしは焦燥感に駆られた
指で団長のお腹や胸を撫でて甘える姿や着物の下の幼いながらも女として成長しつつある柔肌を見せつける姿は絡まった獲物を手繰り寄せる蜘蛛のように見えてきた
「流石にこうゆう環境にいるとませているね、でも私には心に決めた人が居るからね」
「もぅ~!いつもそう言ってはぐらかすんだから!そうゆう所も含めて秋桜お兄さんの事気に入ったるんだけど!でももっとこう!」
「はいはい、それじゃあ行こうか」
「むぅ~!お店の中まで離さないんだから!」
少女が団長の右手に抱きつき、それを微笑ましそうに見つめる団長にあたしの心は徐々に冷たくなっていった
仲良く店の中に消えていく二人の背中をただ呆然と見つめ続けていた
その後の記憶が曖昧だがあたしは桃源郷の中をとぼとぼと歩いていた
ただ目的も無く歩くあたしを見ても街行く人々はぶつからぬよう避けて歩いていくだけだった
「お姉さん、お姉さん!そこの落ち込んでるお姉さん!」
「・・・・・・なによ」
突然一人の男があたしに声を掛けてきた
派手な浴衣に客引き用と思われる看板を紐で肩に吊るしている客引きと思われる男はニヤニヤと笑いながら話を続ける
「なぁに寂しげな背中が見えたもんでつい声を掛けましてね・・・・・・どうです?うちにはいい男娼揃ってますよ、へっへっへっ」
いやらしい笑みを浮かべる客引き男を無視して去ろうとするも腕を捕まれ引き留められる
「お姉さん、お姉さん!なにも無視する事はないでしょうに!ちょっと覗くだけでも!」
「うっさいわね!しつこいのよ!離しなさい!」
「ちょっとおいたが過ぎるわよ、そこまでにしておきなさい」
客引き男と揉み合ってると別の女性が客引き男の腕を掴み止めにかかった
すると客引き男は青ざめ逃げていった
「助かったわ、ありがとう」
「いいのよ、こちらこそ不快な思いをさせてごめんなさいね」
百合の花を模した簪で髪を結った四十代程の美しい女性があたしを助けてくれたので感謝すると向こうから謝られた
「悪いのはあの男なのに謝る必要ないわよ」
「一応私も桃源郷自警団の一人だからああゆう輩を野放しにしてたって意味で謝罪よ、桃源郷は疲れた人が癒しを求めてくる場所・・・・・・それなのに不快な思いをしたら嫌でしょ?」
にこりと笑う女性であるあたしもドキッとしてしまう、それだけ美しさと色気を感じる笑みだった
「ところでお嬢さん、何か嫌な事でもあったのかしら?うちで少し休んでいかないかしら?」
「あんたも客引きなわけ?」
「そりゃもちろんよ、でも今はただのお節介よ。お金は要求しないわ」
胡散臭く思いつつもあたしはその女性の店に着いていく事にした
その結果あたしの人生が大きく変わり運命の出会いを果たすとは想像していなかった
次回、アブラナ運命の出会い!?デイリリー登場!
次回もお楽しみに!(次回予告風にお読み下さい)
どのような話が好きかアンケートです、アンケート結果を参考に話を考えたりする予定です
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