【魔女兵器】巨乳症→母乳症→複乳症【レンちゃん可愛い】 作:ブラックマンバ
SID本部――その地下倉庫に、訓練の一環としてとある異質物が運び込まれていた。
「なーなーマリル、なにこのキモいの」
「キモいって言うな……お前な、これでも異質物だぞ、少しは気を払え、注意しろ、核兵器を扱うようなものだと思え」
「核兵器の扱い方なんて知らないよぉ」
二人の目の前にあるのは一メートルほどの土偶だった。
それは遮光器土偶のような大きなレンズ状の目玉を持ち、どっしりとした関取のような足腰をしている。
そして何よりも目を惹くのは、胸と思われる部分は大きな乳房が釣り下がり、さらにそこからはブドウのように鈴なりに小さな乳房が生えていて――端的に言えば異形としか言いようがなく、時代が時代ならば悪魔像と忌み嫌われていたかも知れない。
「でもやっぱり気持ち悪いものは気持ち悪いですよー、キモッ! キモッ! おっぱいいっぱいありすぎて気持ち悪いっ!」
「ふう……こういう土偶はだな、世界的には新石器時代の乳房や臀部を誇張した女性像のカテゴリーに入る。その解釈として”農作物の豊饒を祈る地母神崇拝のための人形”と言われるんだ、少しは勉強しておけ……だが、たしかに、この乳房の多さは異常ではあるんだがな」
「で、なんでこんなのが異質物として指定されてるんですか、マリル長官殿」
レンは何がおかしいのか、またおどけてマリルに笑いながら質問をするが、キッと睨まれると慌てて直立不動になる。
「七年戦争中の話だ、この”複乳土偶”が設置されていた博物館に空爆が直撃したのが事の始まりでな、瓦礫を撤去していたら傷一つついていない複乳土偶が発見されたんだ。そうして回収後の実験や調査で破壊不可能オブジェクトということが発覚して以来、異質物扱いされているのだが……特に何かを起こすということはなく、SAFE指定にされているのだ」
「あー……取扱に注意していれば危険ではなく、壊す心配もなくて、異質物の搬送訓練に使うには最適な大きさだから、選ばれたわけなんだ」
「まあそういうことだ、保管所から出しては戻すだけで納税者の税金が使われるんだぞ、分かってるんだろうな?」
その納税者の税金をこれまで湯水のように使っていたマリルを思い出して苦笑いしながら、レンはふざけて敬礼をする。
「はい、長官どの! それで後学のために聞いておきたいんですけど、この異質物ってどこのどいつが作ったんですか?」
「うむ、それはだな、古代オリエントはメソポタミアの東に位置したと思われる、古代オッパニア帝国の神殿にて崇め奉られていた神像が元だと思われてる……って、オイ、レン、どうした?」
古代オッパニア帝国と聞いた途端に腹を抱えて踞ったレンを見て、マリルが慌てて近寄る。
「お、オッパニア、古代オッパニア帝国、うわ、もうだめ我慢できない、我慢できないってこんなの……あはっあはははっあひゃーっひゃひゃひゃっひゃっひゃ! あはっあははーっ! えっ? なに? こんなおっぱいモリモリで、気持ち悪い小おっぱいがいっぱいついてて? オッパニア帝国? オッパニア帝国! オッパニア帝国!! あはっあははーっ! 俺、こんなん絶対に崇める気しないって! やだよ、おっぱい大きくなってこんなキモキモ小おっぱいをぶら下げるなんてさぁーっ! 俺なら絶対死んじゃうってこんなのっ! あははは! ひーっひーっひひひーっ! わ、笑いすぎて、お、お腹いたくなってきた……ぐぶぶっ」
完全にツボに入ってしまったようだった、複乳土偶を指さしながら笑い転げる。それもしょうがないことであろう、健全な十五歳の男子高校生……いや、女子高校生は箸が転んでもおかしい年頃なのだから。
レンのバカ笑いが地下倉庫に広がり、マリルはあっけにとられていたが、本当にただ単に笑っているだけだと気がついた途端にきつく叱り飛ばした。
「いつまでも笑っているんじゃあない! 異質物専用のコンテナに運べ! 対異質物マニュアルに従って封入し、しっかりとシールを貼れ! 分かってるんだろうな!」
たとえSAFE指定されていたとしても異質物は異質物なのだ、このような浮ついた雰囲気では訓練にならない。マリルは険しい表情になり、移送訓練が終わったら座学を増やすか、重めの体力トレーニングを課すか、どちらの方がレンにきついのか頭の中でシミュレーションを始める。
「はいはい、わかってますって、こんなの楽勝ですよぉ……くぷっくふふっ……お、オッパニア帝国……うぷぷぷぷっ」
マリルは両方を課すことを決めた。
そしてその時、複乳土偶の目が妖しくピンク色に光ったのに気がついたのは、SIDの倉庫監視カメラだけであった。