フラミーは事務所から外を眺めた。
「…雨…。」
五月は憂鬱だ。かつて恵みをもたらしていた雨は世界を蹂躙する。ダムや海に溜まる毒素の量は尋常ではない。
今日はウルベルトも日下部も傘を持って行っていない事に気がつく。
二人はそれぞれ別の場所へ出かけていった。
「駅までお迎えに行かなきゃ。」
フラミーは二人のそれぞれの予定を確認すると、事務所へ戻ってくる時間を調べた。
「先輩が先にお戻りね!」
やらなければいけない事を済ませると、外出中の札を掛け、電気を少し暗くしてフラミーは自分の傘と、日下部の傘を一本抱いて出かけた。
降り出したばかりのぬるい雨の中進む。
雨は空気中の毒素を全て雫の中に受け入れて大地に落ちてくるので空気そのものは綺麗だ。
駅に向かう途中の道で、フラミーは色々な人に手を振られた。
一人目は事務所からほど近いカフェのマスター。依頼者が来る予定がない時は気分転換にウルベルトと日下部、三人で揃ってここで仕事をすることがある。
「村瀬ちゃん、一人なんて珍しいね。お昼の買い出し?」
「先輩のお迎えに!」
「そっか、いってらっしゃ〜い。」
マスターは手を振ると看板が雨で痛まないように店内に片付けていった。
二人目は郵便屋だ。手紙はほとんど送らなくなった世の中だが、だからと言って小包みを送る人がいなくなったわけではない。
「あ、事務さん。お届け物ありますよ!」
「郵便屋さん、こんにちは!すぐに事務所戻りますから、お願いしまぁす!」
「回ってからいくんで急がなくて平気ですからねー!」
郵便屋は軽く会釈すると、フラミーに何度か出してもらった温かいお茶を思い出して頬を緩めた。
三人目は窓からずっと外を眺めているおばあさん。
一度外に出てきた時に「何を見てるんですか?」と話し掛けて以来、たまに料理を教えてくれる。作って持って帰らせてくれるので、ウルベルトも大好きなおばあさんだ。
おじいさんが肺を壊して死んで以来、寂しかったらしい。外を眺めている理由は、死んだおじいさんが帰ってくる気がして待ってしまうと笑っていた。
おばあさんはフラミーを見るとわざわざ出てきてくれた。
「文ちゃん、宇留部先生のお迎え?」
「いえ!日下部先輩のお迎えです!」
「気を付けてねぇ。」
フラミーは顔全体で笑った。
宇留部探偵事務所は駅から表通りを五分ほど歩いた中通りを曲がった所にある。
表通りはそこそこ店もあり―― わざわざ訪れるような街ではないが――賑やかだ。
ちなみに宇留部も近所にそこそこ愛想を振りまいていて、きちんと表通りと中通りの組合にも入っている。土日に稀に行われる表通り・中通り清掃の会などは若い割には良い出席率だ。
ベルリバーのように家族がいるわけでもない宇留部は消しやすいだろう。
自分がいなくなった時に、身を隠すなんておかしいと言う者は一人でも多い方がいい。これは宇留部の命を守るためにも必要な行為だった。
助けてくれと叫んだ時にすぐに人が来てくれると言うのも大事だ。
慈善事業なんか俺様がやってたまるかとよく悪態をついている。
だが、フラミーはなんて素敵な人と街なのと感動したようだった。
色々な人と手を振り合い、改札に着くと、フラミーはちらりとスマホで時間を確認した。
駅員と頭を下げ合う。
毎日利用時におはようございます、さようならと言っていれば顔馴染みにもなるものだ。
宇留部もそうしていた。駅を使った、使っていないと駅員ははっきり証言してくれるだろう。
フラミーは今の生活が好きだった。
何も知らない平和と愛の日々を。
十分ほど待っていると、改札から駅員と軽い会釈をしあった日下部が出てきた。
「せんぱぁーい!」
「え?あ、村瀬さん!」
フラミーが駆け寄ると日下部はデレリと顔を緩め、すぐにしゃきりと戻した。
「わざわざ来てくれたんですか?」
「はい!お戻りの時間が分かってたんで!」
フラミーから傘を受け取ると、二人は事務所に戻って行った。
途中「宇留部先生にドヤされるぞー」と街の人に声を掛けられるたびに日下部は笑った。
二つの傘はたまにぶつかりながら、進んだ。
「先輩、お引越しほんとに辞めるんです?」
「――うん、やめようかな。宇留部さんが一年か二年くらいであの部屋出るなら、俺あの部屋住みたいし。そしたら礼金もったいないからさ。」
「あらぁ〜皆あのお部屋大好きです。」
「はは、出て行けって言ってるんじゃないよ?」
日下部は妹を愛しく思った。
兄を幸せにしてくれる妹は真ん中の弟にとっても天使だ。
「分かってます!」
「はは、でも、子供ができたら引っ越すって言ってたっけ。俺も楽しみ。」
日下部は今のはセクハラだったと慌てて口に手を当てた。その隣でフラミーは顔を赤くして俯いた。
「こ、こども…。」
昨日の夜は大変なことになってしまった。平日は別々に寝ているが、自然と休日は一つの布団で寝ることにしたのでそのタイミングで交わりがちだ。
避妊具を使った、子供を作るためでもない、快楽を貪るためだけの行為は強く結びつきと愛を感じてしまい、フラミーを満たした。
ウルベルトはいつも念入りだ。
フラミーからよだれが垂れ、やんやんと首を振るのを見るとゴムを出した。
近頃は枕元に起きっぱなしのこともある。
「噛んで。」
ゴムの包装をフラミーに噛ませ、ピッと開けると、汗ばんだ体を寄せ、フラミーからジョニーが見えないようにしてジョニーにころころと履かせてやる。
ゴムの入っていた空の包装を噛んだまま、フラミーはとろけた瞳でウルベルトを眺めた。
そして、すっかり知ってしまった感触がググッと身に入ると「あぁ…」と鳴き、口からぽろりと包装が落ちた。
ぐちぐちと緩く出し入れされると、指でイかされた後の敏感な体は強く反応した。
ウルベルトは一度抱けばこんもんかと落ち着く可能性を期待したが、抱けば抱くほどフラミーの体はウルベルトに馴染み、ウルベルトの快感を絞り出そうとした。
近頃は早漏で困ると思っている。
もっと長く楽しみたいのに――。
フラミーの細い腰を持ち上げ突き入れると、快楽にとろけていく。
フラミーも腰を反らせ、可愛い声で啼いた。
「っあん…っん!っひぁ…ぁっ!んっんっ!!」
突き入れるのに合わせてフラミーが震える。
ウルベルトはフラミーの絶頂が近付くと小さな胸を包むようにし、ハートが浮かぶフラミーに切なげな瞳を返した。
「フラミー、ごめん、イクよ。」
宣言すると射精するために刺激を送り――達した。
「っはぁ――っ……く……ぁ…。」
ウルベルトの小さな喘ぎにフラミーは幸福を感じた。
肩で息をするとウルベルトは愛しげにフラミーの顔を撫でた。汗で張り付く髪を避けてやり、キスする。
事後の甘いひと時は二人を酔わせるようだった。
ウルベルトはジョニーから靴下が脱げないように根元で抑えた。
「抜くよ。」
フラミーはぎゅっと目を閉じた。
体の中からずるずるとウルベルトが出て行くのを感じた。
「っふぁ…あぁ…。」
「はぁ…かわいいやつ…。」
ウルベルトはもう一度キスしてからゴムの口を縛った。
ぼんやりとウルベルトを眺めていたフラミーはそれに手を伸ばした。
「……みたぁい。」
「…ま、またみんの…?」
「みりゅ…。」
閉じ込められた子種を渡した。
「こんなもん、汚いだけだよ。」
「かわいくてすき…。」
ウルベルトは苦笑し、ティッシュでジョニーをお掃除した。
フラミーが覗き込もうとするのを感じると、メッと押し返し、背を向けさせた。
今はまだジョニーを見せるつもりはないし、一度も見せたことはない。ウルベルトはティッシュと、フラミーがぷにょぷにょといじっていたゴムをゴミ箱に放った。
すぐにベッドに戻り、フラミーを後ろから抱きしめる。
「ん、肩少し冷えたか?」
「あついから、冷ましてるの…。」
フラミーが逃れようとするとウルベルトは笑った。
「はは、あれだけ運動すりゃ暑いよなぁ。」
ギュウと熱をにがさないように抱き竦める。
「…あちぃなぁ。」
やっておきながら文句を言うと、フラミーはぽつりとこぼした。
「でも…くっついてるの…すき…。ほんとはもっとくっつきたい…。」
ウルベルトは抱き締める手に力を込めると、フラミーの胸を掴んだ。
「っあぅ!」
「俺も好き。もっとお前のこと感じたい。」
耳の裏を舐められると、痺れるように快感が背筋を上った。
「お前ももっと感じて。」
閉じられている足の間にウルベルトの再び張り詰めた雄が当てられるとフラミーは初めて生でウルベルトのそれが触れる感覚に集中した。
ゆっくりと内股が擦られると芽に触れあい、快感が生まれた。
「っあ…っぁ…っん…っぁ…。」
太腿を膣に見立て、抽送は続いた。
「あーこのまま入れてぇな…。」
ウルベルトの鋼の精神はもろもろと崩れかけては形を取り戻す。
仕方なく、胸をまさぐった。
「っんん…!っぁ…うゆ…べぅ……とたん…。」
名前を呼ばれると愛しさがこみ上げる。
そして、ふと擦り合わせていたジョニーの先端が何かに触れた。
「っん…。っは…。」
ウルベルトは思わず声が漏れた。
フラミーが自分の股間から規則的にのぞいてくるジョニーの先端に手のひらを当てていた。
ウルベルトの敏感な先端はフラミーに撫で上げられ、フラミーの腰にぴたりと腰を当てると円を描くようにジョニーを回した。
フラミーの足に挟まれながら手のひらに押し付けるとジョニーの先端から滲む先走りがにちにちと音を立てた。
この行為はウルベルトの飢餓感を強めるばかりだった。ウルベルトはそろそろ精子は先走りに押し出されたろうと確信した。
「っはぁ、ふらみー…ごめん、外に出すから少し…。」
そう言うとウルベルトはフラミーの腰を持ち上げ、後ろからかぶさった。
「っふぇ、うゆべぅとたん…?」
ウルベルトがフラミーの背筋を舐めるとびくりとのけぞった。肩をベッドに押しつけ、尻だけ突き出す姿は猫科の動物の伸びのようだった。
「入れるよ。」
入り口に熱塊が押し当てられる。
「っあ、あの――」
いつも形がぼんやりとしかわからなかった物が、はっきりとした形状を持って侵入してきた。いつもすべるような感触だったが、体内のヒダを一つ残らず全て丁寧に刺激されるようだった。先端のぷくりとした傘がフラミーの中の道を割り入り、体は大喜びでそれを迎えた。
「――っんあぁ!らめぇ!」
ゆっくりと止まることなく最奥に行き着き、腰を掴まれギュウッと押し当てられるとフラミーは甘く達した。
内部が食い締めるように収縮すると、ウルベルトは息が止まりそうになった。ウルベルトしか男を知らないフラミーはウルベルトを飲み込むためだけに形を覚え、ぴたりとフィットした。
ウルベルトをわずかな隙間ひとつなく包み、吸い付く。
「ッ――はぁ…どんな名器だよ…!」
お互い馴染むまで待つと、ウルベルトはフラミーの様子を見ながらゆるやかに動き出した。真空のような体内はウルベルトが引き抜く度にギュウッと纏わり付き、二人の境目を失わせた。
お互いものすごい刺激だった。
「っあぁ!まってぇ!つけて!つけてぇ!」
「フラミー、中には出さないから…!」
「な、なかにだしてもいいけど、らめなの!やらやら!!おかしくなっちゃうの!!」
ウルベルトは唇を噛んだ。
「お前!自分で自分の首しめてるぞ!そんなこと言われてやめる奴がいるかよ!」
入り込んでいた熱塊は少し引き抜かれて行き、それだけでフラミーは内部を直接擦り上げられる感覚にイきそうになった。
「っあぁっ!」
「っ…お、お前が感じると、俺も――ッ。」
我慢の難易度が上がるが、これまで何度も確かめてきたフラミーの弱みをゆっくり擦り上げた。
「っんあぁ!」
フラミーはシーツを掴んで震えていた。
「はぁ…こりゃ二度目でももたねぇわ…。」
ピストン運動は射精してしまいそうなので、腰の動きを最小限にぐりぐりと奥を刺激し始めると、かぶさっていたウルベルトはフラミーを狂わせる場所の愛撫を始めた。
ぷっくりと膨らむ場所を、痛くなったりジンジンしたりしないように優しくいじり倒した。
「っあ、っあ!らめ、らめ、らめらめらめ!」
フラミーは乱れそうになると堪え、逃れようと身を捩った。
「ちゃんとイって、これが好きなんだろ。」
ウルベルトは押し付けていた腰を振り、抽送を初めた。
「っあぁ!も、もう!!らめらってば!やらやら!やらぁ!」
フラミーは強く最奥に突き入れられ、指で弄ばれ、数度深い場所を蹂躙されると悲鳴を上げた。
「ッ――あぁ!フラミー、出る、イクよ!!」
ウルベルトは宣言するとイッているフラミーを休ませてやる事もできずに容赦なく突いた。
「っあっ!あぁああ!やあぁ!」
咥え込んだ場所は無意識に締まり上がり、ウルベルトが抜くのを邪魔するように絡みついた。
一瞬このまま注ぎ込んで何もかもを自分のものにしてやりたいと思うが――ウルベルトはギリギリで抜き、フラミーの背に迸りを撒いた。
「っあぁ!あぶねぇ…!」
が、ウルベルトは少し漏れた気がした。
汗が体をつたい、何度も肩で息をした。
呼吸が整ってくると初めて精子に汚されたフラミーを大切にするように髪を撫でた。
ジョニーは汚れたフラミーに反応し、戻りたいと訴えた。
ウルベルトの目の前にはだらだらとヨダレを垂らす綺麗なピンク色の――尚も無垢な穴。背に精子の乗るフラミーが動けずにいるのを良いことに数秒眺めた。
いい眺めだな〜とぼんやりと思いながら、動悸が治らない様子のフラミーの背をティッシュで拭いてやる。
動けるくらいに綺麗にすると、ウルベルトはフラミーを抱き上げた。
「っあぅ…。」
「風呂入ろうな。」
「おふろ…。」
「あぁ、立てるか?」
「た、立てぅ…。」
フラミーは立つと、抜けかけの腰でよろよろとし、ウルベルトは支えてやりながらスチームバスに入った。
「立ってるだけでいいから。」
フラミーは壁に手をつき、うなずいた。
温かいスチームが出てくると、ウルベルトはフラミーの背を撫でて汗や精子の残りを落としてやった。
「フラミー、熱い?」
全身が真っ赤なフラミーが心配になった。温度が高いだろうか。
「あ、あつい…あたまがぼっとして…しんじゃう…。」
返事はなんとも言えないものだった。ウルベルトはまた昂ってしまいそうになるのをグッと押し殺した。
ジョニーも使い過ぎれば擦れて痛くなってしまうし、へとへとだ。それにまた生で入れれば中に出したくなるに決まってる。
その割にフラミーの胸を執拗に撫でた。
「き、きれいになった…?」
「……なった。でも、お前…ここがいつまでもこんなだよ。」
ウルベルトはちゅくっと濡れ続けている場所を押した。
「っひゃ!」
フラミーがやめさせようと尻を振るが、まるきり逆効果だ。束の間の攻防は終わった。
ウルベルトが後ろから指を入れると、フラミーは立ったまま震えた。
「っふぇ!?やらよ、やらぁ!」
「必要な事だから我慢して。生で入れちゃったから仕方ないんだわ。」
ウルベルトは一度スチームを止めると、ぐちゅぐちゅと淫らな水音を立てさせながら中をかき混ぜ、水分を外に押し出すように擦った。
狭いスチームバスの中はよく音が響いて、二人の理性を溶かした。
「っあぁ!また、またイくっ、イっちゃう!!」
「良いよ、支えてやるから。イって、フラミー。」
優しく促すと、フラミーは何度目かの絶頂にびくびくと震えた。ポタポタとぬめりが溢れ、指を伝っていく。
ウルベルトは慎重に指を抜き、滑る指を確認した。
イくと分泌される白いぬめりが絡まっているが、精子はなさそうだ。
「…俺の我慢汁もこれで流せたかな…。」
我ながらナイスアイデアと自分を褒める。太腿を伝う滑りを撫で、落としてやると、フラミーを優しく抱え込んでスチームバスを出た。
ウルベルトの腕はどこまでも優しく、すべてを委ねて力を抜いてしまいそうだった。
日下部と事務所に戻ったフラミーはなんてものを思い出しているんだと首を振り、ぼんやりするのをやめた。
仕事を進め、時間が来るともう一本傘を掴んだ。
「じゃあ、私ウルベルトさんもお迎えに行ってきますね!」
「はーい。」
日下部は微笑み、見送った。
フラミーの鼓動は早く会いたいと早まり、自然と駆け足になっていた。
「あ、待て。」
中通りから表通りに出たところで声をかけられるとフラミーは足を止めた。
「フラミー!ただいま!」
微笑むウルベルトは折り畳み傘を上げた。
「ウルベルトさん!」
傘を捨ててしまいそうな勢いでフラミーが胸に飛び込むと、ウルベルトはフラミーを抱きしめた。
「迎えに来てくれたのか?」
「間に合いませんでしたけど!」
えへへと笑うフラミーは幸せそうで、ウルベルトは胸が苦しくなった。
傘を深く下げ、二人は雨の中吐息を漏らしながらキスした。
見かけた街の知り合い達は今日も熱いなぁと顔をぱたぱた仰いだ。
「戻ろう。土産もあるぞ!」
「わぁ!」
フラミーの持ってきた傘に二人肩を寄せ合い事務所に帰った。
「おかえんなさーい。」
「おー、戻ったぞー。」
「ただいまです!」
ウルベルトは傘をフラミーに預け、少し濡れてしまったジャケットを脱いで掛けた。日下部は傘をちゃんと二本使えばいいのにと思ったが、野暮なことは言わない。
片付けをしていると、ノックが響いた。
「宇留部探偵事務所さーん。お届け物でーす!」
「あ!郵便屋さん!」
フラミーは扉を開けると顔馴染みの配達員の到着に頭を下げた。
ここで働くようになってフラミーも四ヶ月だ。もちろん一階の歯医者さんとも仲良くしているし、事務所の近くの美味しいお店も熟知している。
「遅くなったから、また出かけちゃったかと少し心配しましたよ。」
「今戻ったんです!ぴったりのタイミングでした!でも先輩はずっといましたよ!」
「そうでしたか、良かった。えーと川田太一様からです。受取人様のところ一応確認して下さいねー。」
「宇留部…探偵事務所。はい。間違いないです!いつもありがとうございます。お茶飲んでいかれます?」
配達員はフラミーに小包みを渡すとぽり…と頬をかいた。
「いえ。――あの、事務さん。良かったらお茶じゃなくて食事とかどうです?」
「ご飯?もう三時なのにまだ食べてないんですか?」
「はは、いえ、良かったら終業の頃に迎えに――」
配達員がそこまで言うとフラミーの肩に二つ手が置かれた。
「うちの従業員が何か。」「村瀬さんと何ですって?」
「あ、い、いえ〜。じゃ、失礼しまーす。」
「はーい!またお願いしまぁす!」
フラミーは手を振るとぱたりと扉を閉じた。
ウルベルトと日下部は配達員をジッと見送り、姿が見えなくなると揃ってため息を吐いた。
「フラミー、ああ言うのは断れ。」「村瀬さん、あれはダメだよ。」
二人にそう言われるとフラミーは数度瞬いた。
「…受け取り拒否です…?」
二人はあ"ぁ"と声を上げた。
「良いか、あいつはお前とデートしたいって言ってんだよ!」
「えぇ…そうかな…。」
「そうです。村瀬さん、行くつもりだったんですか。」
「い、いえ。行きませんけど、ここで休憩に食べて行きたいって言うなら待合ソファ使わせてあげようかと…。」
「「あ"ぁ!?」」
「っひぇ。」
日下部はウルベルトの両肩を掴んだ。
「先生、まじでこればっかりは何とかしてください。」
「俺もそう思ってるけどこいつ、なんか知らないけどそっち系に関してはさっぱりなんだよ。どうかしてる。」
どうかしてる呼ばわりのフラミーは怒っている様子の二人からそろりそろりと離れ、小包みを開けた。
「川田太一さんなんて依頼者の方にいましたっけ?昔の人かな?ん?お手紙。」
小さなカードは書き殴るようで、少し恐ろしかった。
「何遍言ってもわかんねぇんだよ。」「もっと言わないとダメなんですよ。」
フラミーの後ろでは二人がどうしたら良いんだと頭を抱えていた。
フラミーはカードを取ると、読み上げた。
「to U・A・O
――おりょ?ウルベルト・アレイン・オードルかな?
大変なものを手に入れたかもしれない。袖無しに会いに行け。 」
ウルベルトと日下部はバッと振り返ると、フラミーからそれぞれ手紙と箱を引ったくった。
「っうわ…とっても怒ってる…。」
「フラミー、お前は少し休憩しろ。俺と日下部はこれを確認する。」
to U・A・O
大変なものを手に入れたかもしれない。袖無しに会いにいけ。
家の周りを奴らがうろつくようになった。俺はもうだめだろう。
お前と世界を綺麗にする夢を一緒に見られて良かった。
AOGがWDに栄光あれ。
初夏だと言うのに事務所には冷たい空気が流れた。
えっちなやつらだぜ
後半何も頭にはいんないぜ
最終回が近付いてきてますね〜〜
次回#26引退