「はぁ――じゃ、今夜も行くよ。ごめんな。」
ウルベルトは肌を重ねた後の汗ばむフラミーの頭を撫でるとそう言った。
「気をつけてね。」
「あぁ。いつもの事だけど――」
「誰がきても扉は開けません。電気もつけません。」
ウルベルトは静かにうなずいた。
「そうだ、えらいな。――おやすみ、文香。」
「おやすみなさい。」
二人はまるで付き合いはじめの恋人のような生活だった。
肌を重ね、おやすみと囁き合い、眠る頃には別れる。
時にはカバンをフラミーに頼み、終業の事務所からそのまま出かけて行くこともある。
ウルベルトは相変わらず眠そうにしているが前よりも格段に顔色が良い。
夜に寝ている振りをしなくなったので、事務所で昼休みに段ボールを床に敷いてナポレオンを枕にして堂々と寝ている。
ソファは足が伸ばしにくいので本気寝をするならやはりダンボールに限る。
真夜中の街を行くウルベルトはようやく見つけた袖無しの家の前に着くと電子タバコを取り出した。
バッテリーがショートするように細工したそれの電源を入れ、スピリタスから作る簡易火炎瓶と繋いだ。よく燃えるものを丁寧に巻き付け、放り込む。
数日前に、袖無しの下に真実の情報を湾曲させる偽造情報を送った。すぐに襲撃する事で、袖無しは偽造情報を重要な情報だと勘違いするだろう。しばらくほとぼりが冷めるのを待ち、彼は協力者と偽造情報を共有するはずだ。
(…俺の代わりに嘘っぱちの情報をばら撒いてくれ。)
ウルベルトは決して嫌いではなかったかつての協力者に、心の中で謝罪すると夜闇に姿を消した。
家に帰り着くと、フラミーがよく寝ていてウルベルトは微笑んだ。
(世界を綺麗にする天使か…。すぐに死にそうな生き物だと思ってたよ。)
風呂に入り直し、眠りについた。
出勤までのわずかな眠りの時間はすぐに終わる。
「んん…。まぶしい…。」
「おはようございます、お休みします?」
「しない…。はたらく…。」
パンツ一丁で寝ていたウルベルトは特大のあくびをしてベッドを出た。
(はぁ…罪悪感皆無だわ…俺狂ってんな…。)
ここで犯行現場を見に行くのは素人のする事だ。
袖無しは火をつけたくらいでどうこうなる男ではないだろうし、そう言うことが起きた時の対処法をいくつも知っているだろう。警察の出入りも困るために事故と称し、暫くは静かに過ごすはずだ。
ウルベルトはドレッサーの前に座るフラミーの髪を梳かし、一本の三つ編みにした。
「今日は三つ編みの気分なんですか?」
「昨日はお下げにしたからな。――ほい、できたよ。」
「ありがとうございます!ふふ、可愛いです!」
お団子じゃなくなって、髪を結って貰えないのが寂しいとフラミーは正直に言った。
そんなもんいくらでも結んでやるとウルベルトは美容師さんとして復活した。ただ、毎日お任せメニューだ。
「じゃ、行こう。」
「はぁい!――よいしょ。」
フラミーは返事をすると自分の敷布団を抱えた。
「……何やってんの?」
「昨日思い付いたんですけど、これ、事務所に置きます!ウルベルトさんがお昼寝するお布団にしましょう!ここにあっても仕方ないですしね!」
張り切りモードだった。
この状態のフラミーは止まらない、止められない。
「…ちょっと待て。縛るから。」
ウルベルトはこんなもんの為に車を借りて来るのも嫌なので電車の中で布団が開かないように縛り、抱えた。
「……俺変な人だよねこれ。」
「私が持ちますから安心してください!」
「…持たせられるかよ…。」
何が悲しくてカッコつけたスーツにコート、革の手袋にお布団を抱っこちゃんしなければいけないのか。
周りで私が持つ私が持つとうろうろするフラミーを連れて出勤した。
電車内では大変迷惑がられ、顔馴染みの駅員は若干笑い、フラミーと仲良しおばあさんはそんな物うちから貸したのにと言い、通りの人々は事務所でも仲良ししちゃうの?とウルベルトにこそこそ話しかけた。
「………するかー!!」
怒りの山羊さんがグルグルと言うと、通りの人々はぴゅーんと逃げていった。
フラミーがいそいそと事務所の鍵を開けていると、腕の筋肉が疲れたウルベルトはこそこそしている日下部を見てブチ切れた。
「おら!日下部!!他人のふりしてんじゃねぇぞ!!」
「っは、はい!先生!!」
実は同じ電車だったがずっと他人の振りをしていた日下部はウルベルトから布団を受け取った。
「っは!?この布団めっちゃ良い匂いするんすけど!」
「やっぱり返せ!!」
扉が開くとウルベルトは布団をもぎ取り返し、一度待合ソファにおいた。
「っあ、ナポレオン!」
「あ、ごめんナポレオン。」
フラミーは布団に下敷きにされたナポレオンを救い出した。
「はぁ…もう疲れた…。んじゃ、今日もいっちょ働くか…。」
「「はーい。」」
フラミーは二人のスケジュールを出すと、今日の予定を読んでいった。
「……よし、今日はやる事少なそうだな。今言った一時間暇なところと、昼飯食べたあと依頼者が報告聞きに来るまでの一時間、俺は資料室で寝る。寝心地チェック。」
真面目な顔をしてウルベルトは寝られるタイミングを見極め、宇留部探偵事務所の一日は始まった。
「布団最高。フラミーは本当に賢い。」
「えへへぇ。」
ウルベルトは大変よく眠れ、元気爽快だった。
ご機嫌でフラミーをうりうりと撫でながら帰り支度を進め、ウルベルトは、あ、と思いついた。
「日下部、今日飲み行こうぜ。」
同じく帰り支度を進めていた日下部はすごいスピードで顔を上げた。
「そ、そう言ってもらえる日を待ってました!!忘年会しましょうよ!さよなら二一三六年!」
「わぁ!忘年会!」
「はは、行こうぜ。こないだ行けなかった事マスターにも謝んねぇと。」
三人は肩を並べて駅に向かった。
電車に揺られ、正月休みの話をした。
サン・マロに着くと三人で腹を抱えて笑った。
後半はマスターにも飲ませ、四人で忘年会をしていると、他にもお客が来てマスターは離脱した。
「なぁ、フラミー?」
「はぁい。」
ほろ酔いでご機嫌のフラミーは足をプラプラさせていた。
「お前、クリスマスプレゼントは何が欲しい?」
ウルベルトは優しく目を細め、隣に座るフラミーの頬を撫でた。
「くりすます…ぷれぜんと…。」
今日は十二月二十一日金曜日。年末だ。今年はイブが振替休日で、クリスマスは平日だ。
「何でもやるよ。何が欲しい?」
フラミーは赤くした顔で、頬を撫でるウルベルトの手を取った。
「その日はいつものやつ…行かないで…私…ウルベルトさんだけが欲しい…。」
ウルベルトは数度瞬くとフラミーの頬に口付けた。
「分かった。じゃあ、三連休は行かないよ。久し振りにずっと一緒に過ごそうな。」
「うれしい…。」
フラミーは抱き締められ、久し振りに過ごせる夜を想うと鼓動が高鳴った。
「ねぇ、ウルベルトさんは?ウルベルトさんは何が欲しいです?」
「俺もお前が欲しいよ。イブは綺麗なもん見に行こう。帰ってきたら、たくさん抱かせて。」
ウルベルトが耳をはむりと含むとフラミーはンッと声を上げ――日下部はウルベルトを叩いた。
「――いきなり二人の世界にしないでください。なんですか、このあっまいキラキラした空気は。」
「……お前は遠距離恋愛をしている兄を応援する気はないのか。」
「一緒に暮らして毎日事務所で顔合わせてるくせに何寝ぼけたこと言ってんすか!」
「お前もうちの事情わかってんだろ。」
「わかってますけど!」
「新婚さんなのに辛いんだよ。二十四時間そばにいたいってのに。」
フラミーは二人の喧嘩を聞きながら、抱き締められたまま優しい腕に身を任せた。
前ならえっちと怒ったが、本当は当たり前なはずの、当たり前じゃないことを前にフラミーは幸せそうな顔をして呟いた。
「たくさん抱いてね。」
日下部は頭を抱え、ウルベルトは嬉しそうにフラミーに頬ずりした。
「楽しみになっちゃうな。」
「はぁ…まぁお二人が幸せならなんでもいいんですけどね…。」
三人は会計をするとサン・マロを後にした。
日下部は真っ直ぐ駅に、二人は家へ向かった。
フラミーを家に送り届けると、ほろ酔いのウルベルトは家に入らず微笑んだ。
「じゃあ、また明日な。」
「もう行っちゃうの?」
「あぁ。明日からは一緒にいるからさ。」
「…今日から行かないでって言ったら…わがまま…?」
「わがままじゃないさ。だけど、今日は行かないと。」
フラミーは夢の覚める時間にいやいやと首を振った。
「…一緒にいたい。」
「…俺もだよ。」
二人は玄関先でキスし、ゆっくりと唇を離した。
「春が来る頃には…こんなことはおしまいにするって約束するから。」
「……わかりました…。」
「ごめんな。来年から、新婚やり直そう。」
「…約束ですよぉ…。」
「あぁ。約束。」
ウルベルトは微笑むと鞄をフラミーに渡し、出かけて行った。
フラミーはマンションの廊下から背を見送り、見えなくなってもいつまでも眺めた。
少し空気が悪くなると、ようやく部屋に入った。
電気も付けずにソファに座り、ダイブマシーンを繋ぐ。電気は付けないという約束だ。
「あ、フラミーさん!こんばんはー。」
「モモンガさん、こんばんはぁ!」
モモンガは近頃イン率の高いフラミーとまたよく遊んでいた。
ウルベルトの残業が多い様子に、大変だなと思うのと同時に、不謹慎ながらフラミーと遊ぶ時間が増える事を心の中で喜んだ。
「一狩り行きますか?」
フラミーは装備が随分と整い出したので二人でもそう恐れずに狩りにいける。その身を包むのは黒地に金の刺繍が施されたドレスローブだ。そのローブはフラミーの持つたった一つの
フラミーは相当な強化が行われていて、杖のタツノオトシゴが抱くクリスタルは青から金に変わった。かなりの値の張るアーティファクトで、ウルベルトの杖には及ばないなりに相当な火力を実現する。
「……えっと、今日は狩りじゃなくてって…少しお聞きしたい事が…。」
「なんですか?」
「あの…男の人達はどう言う下着が好きなんでしょう…?」
鈴木悟はリアルの口をぽかんと開け、ンンッと咳払いをした。
「…えー…そ、そうですね。ウルベルトさんの趣味はどんなかって事ですよね?」
「あ、あ、あ、あの、あのあの、そうとは限らなくって!えっと、世の中全般的なあれです!えっと、どうなのかなー!なんて!!これは、ただの研究と言うか!だから、ウルベルトさんは関係ないって言うか!!」
フラミーは焦りそう取り繕ったが、どう考えてもウルベルトを誘う下着のご相談だ。なんなら、性なる夜に向けたご相談だろう。
今年も間違いなく嫉妬マスクを手に入れられる男はストレートにウルベルトに嫉妬した。去年までは皆でリア充を血祭りに上げようと言っていたくせに。エセ童貞が。
スーパー勝ち組リア充になりやがって。
そこまで心の中で毒吐くと、モモンガはウルベルトへの嫉妬を一度横に置いた。
「んーと、あー、そうですねぇ…やっぱり、世の中的な事を言えば、透け透けがいいんじゃないですか?ひらひらしたりして。」
「透け透けのひらひら…。なるほどです…。色は何色です?」
「えっ、い、色か。えっと…そうだな…。」
鈴木悟はフラミーに何色の下着を着て欲しいか考えた。
鼻血が出そうだ。友人の、それも友人の嫁である友人の下着姿を想像するのはなんとも背徳感がすごい。
しかし、本人たっての希望なので仕方なく、そう。仕方なく下着姿を想像する。
(…白がいいな…いや…まてまて。白い下着はもしかしたら童貞の発想かもしれないな。)
フラミーの相手は元エセ童貞――もとい、元セカンド童貞だった男だ。モモンガは一度首を振った。
(とすると…柄物とか…?花柄みたいなやつならフラミーさん似合いそうだな。はは。でもウルベルトさんの趣味ではない気がする。)
うーむと唸り、ここはやはり赤か?と考えるが、赤はガツガツしすぎていてフラミーらしくない。
(…やっぱり黒なのかなぁ…。黒のフラミーさんは――ちょっとエッチすぎるんじゃないか…?)
一晩中種付けされるようなことは避けたい。
――であれば「フラミーさんは何色が着たいんですか?」
モモンガは質問に質問を返した。
「私が着るとかじゃないですから!!」
そうだった。そう言う設定だった。
「…すみません。世間一般の話でしたね。」
モモンガが唸っていると、後方からペロロンチーノの声がした。
「俺はピンクが良い!出すたびに結んだゴムをパンツに引っ掛けたい!!」
「だ…ゴ…ふぇ…。」
フラミーは戸惑いながらも心のメモに書き留めている様子だった。そして続く更なる変態――茶釜の声。
「フララ、そこは全裸にリボンかけて私がプレゼント❤︎でしょ。」
「わ、わ、わたしじゃないですって!!」
変態姉弟は顔を見合わせると、動かないはずのアバターの顔でニヤリと笑った気がした。
「じゃあ、フララが着ないなら、どんな提案でも良いわけだ。」
フラミーはうんうんと頷いた。モモンガは嫌な予感しかしなかった。
ペロロンチーノはビシッとフラミーに指をさした。
「まず、臍の少し下のあたりにハートを書いとくのは常識!!」
「えっ…そ、そうなんですか…?」
「そーだよー。弟の言う通り。皆そうしてる。」
「してねーわ!!」
思わずモモンガは突っ込んだ。
「あ、してないんですね!」
「「ちっ。」」
姉弟はわかりやすく舌打ちした。
「えーっと、それで下着ね、下着。下着の前に、クリスマスなんだからサンタさんコスして、メリークリスマースよ。もちろんデート先でホテルに入るならこれは省略可能だからね。ただし、ブラは必ずフロントホック。」
「ふ、フロントホック…着たことないです…。前にホックある奴ですよね…?」
もはや自分の話をしている。
「そうそう。いつもと違って特別感あるでしょ?後ろから抱きしめてもらっておっぱい可愛がってもらった後にそのまま後ろから外してもらったり、前から跨られた時に自分でオープーン!いつもと違う景色にウルベルトさんもそりゃもうムラムラよ。」
フラミーはわりと真剣に茶釜の話に耳を傾けた。
「な、な、なるほど…。検討します!!」
「ふ、分からないことがあったらいつでも私に聞きなさい。」
「はい!!じゃあ、私、早速通販――」
フラミーはそう言ったところで、それまで騒めいていた大量のギルドメンバーが耳を澄ませていた事に気付くと、リアルの顔をボフンっと赤くした。
「つつつつつつ通販みたりなんてしません!!ウルベルトさんの話もしてないですもん!!」
そう言うと落ちた。
「全くわかりやすい。」
茶釜はふふんと鼻を鳴らした。
「ペロさん…。」
「なんすか?」
「子宮の辺りにハートなんか描く奴いるか!!」
「え?最近のキャラどれも描いてあるじゃないですか〜!やだな〜!」
「バカか!!」
今日もナザリックは割と盛り上がっていた。
落ちたフラミーは暗い部屋で下着を一生懸命検索した。
「フロントホック…色はピンクで…す、すけすけ…ひらひら…。サンタさんのかっこう…。」
翌日、ウルベルトが大爆睡している横でこそこそと配達員から荷物を受け取った。
三連休中、ウルベルトは久し振りに人間らしく生活した。
フラミーとたくさん遊んで、よく寝た。
近頃は分かっている情報の封印を済ませ、偽造情報のばら撒きに精を出していた。ウルベルトの知らないところに転がっている情報から深間菫に辿り着く者も出かねないために、念には念を入れて。
春には全てが済むだろう。
そうしたら、ようやく静かに暮らせる。
「それでね、それでね。」
ウルベルトは一緒に綺麗なものを見に行った帰り、晩ご飯を食べながら一生懸命色々な事を話すフラミーの頭を撫でた。
「フラミー、幸せになろうな。」
「はい!」
今まさに幸せだとフラミーの顔には描いてあるようだった。
「はは、かわいい奴。」
食事を済ませ、家に帰るとフラミーから入るようにと風呂をすすめ、上がるとウルベルトも風呂に入った。
今夜を楽しみに、前の二日はフラミーを抱かずに睡眠を貪った。全快だ。
ウルベルトはワクワクと部屋に入った。
部屋は暗くなっていて、まさか寝てしまったかと若干焦り、キッチンの手元灯をつけるとフラミーはベッドの上にぺたりと座っていた。
ちゃんと待っていたフラミーは恥ずかしそうにし、サンタの格好をしていた。長袖の赤い服には縦に三つ白いポンポンがボタンのように並んでいて、短めの赤いスカートは裾に白いふわふわがついていた。
「うるべるとさん、はっぴーめりーくりすますです!」
顔まで赤くして笑い、短いスカートをギュウギュウ引っ張る姿に、ウルベルトは襲いかかりそうになった。
「あの、私、生まれて初めてクリスマスプレゼント買ってみました!」
このフラミーを抱いて良いのかとドキドキしていたウルベルトは少し素っ頓狂な声を出した。
「んぇ?お、おれに?」
フラミーは手のひら大の薄い箱を取り出し、ウルベルトに渡した。
受け取ったウルベルトはフラミーと箱を何度も見合わせた。
「あけていい…?」
うんうん、とフラミーが頷くと、ウルベルトはリボンを解いて箱を開けた。
黒にペイズリー柄の地紋が入ったチーフと、赤紫に蔦の模様が入ったチーフが二枚入っていた。
「ポケットチーフにしてみました!気にいるかな…。」
「やべぇ…すっげぇ嬉しい…。気に入った、本当に気に入った。毎日どっちか使うよ…。ありがと…まじでありがとな。」
「へへ、良かったです。」
ほやりと笑うフラミーの隣に座ると、ウルベルトはフラミーの手を取り、甲に口付けた。
「なぁサンタさん…わがままな俺はこれも欲しいんだけど…。」
フラミーはおずおずとウルベルトの首に手を回しウルベルトの唇にキスした。
触れるだけの短いキスからは、フラミーの緊張が伝わって来るようだった。
「フラミー…。」
ウルベルトは緊張をほぐしてやるようにフラミーの頭を支えるとキスし直した。
優しく唇を割ると、フラミーの甘い舌を絡めとった。
ゆっくりと、急がずに強張りを解いていく――。
二人で顔の角度を変え、唇を吸い合い、もう離れたくないと胸を焼かれる。
「っん……っはぁ…っんぅ…。」
唇を擦り付け、体に熱が灯るのを感じた。
どんどん早くなる呼吸に任せてウルベルトはフラミーをベッドに押し倒した。
「はぁ…フラミー…お前本当キス上手くなったな。」
言いながら、ウルベルトはフラミーの赤い服をたくし上げ――隠されていた淡く透けたピンク色の下着を見た。
「…っやば、なに、かわいいんだけど…。」
ウルベルトはサンタ服をはだけさせるフラミーの体を撫でた。
フラミーは赤い顔で唇を噛み、自分を抱きしめるようにした。
「ふぇ…や…やっぱり……は、恥ずかし…。」
透けている胸がぷるりと腕に押され、短いスカートに覆われた足をもじもじした。
「…えっろ…。決めた。今日は足腰立たなくなるまで付き合ってもらうわ。」
ウルベルトの瞳の中に映る自身の姿から目を逸らすためにフラミーはキュッと目を閉じた。
「あんまり…見ないで…。」
「…その顔もたまんねぇわ…。可愛いよ…フラミー…。」
はぁ…と獣のような息遣いが胸元に降りると、フラミーは胸元に柔らかな感触を感じた。
ちゅっちゅと音が鳴る中、時折小さな痛みが走る。強く吸われているのがわかると、フラミーは、はわ…と声を漏らした。
ウルベルトの所有物の証明が刻まれていく。フラミーもウルベルトに証を付けたかった。もう離れないで済むように、もっとして欲しかった。
そっと指が胸に触れる。ウルベルトはフラミーの反応を見ながら優しく揉み込んだ。
情熱にどんどん火がつき、昂っていく。
「っはぁ…はぅ…。」
フラミーは今日自分は少し感じすぎている気がした。下着の上からウルベルトの舌が片側の突起を捉えると電流が走った。
びりびりと快感が駆け抜ける中、ウルベルトの頭と背を何度も撫でた。
「っんん…はぁ…はっ!ん…。」
緩やかに続く刺激に頭が真っ白になりかけていると、ウルベルトはフラミーを覗き込んだ。
とろけるような表情に我慢ならなくなる。ウルベルトは乱暴に服を脱ぎ、上半身を晒した。
ベッドの下にスウェットが捨てられ、フラミーの手がウルベルトの体を撫でた。
時に走り、隠れ、よく歩いた体は前よりも引き締まっていて、体力は格段に上がった。
雄の体にフラミーがドキドキしているのが伝わる。
ウルベルトはフラミーの隣に転がって抱きしめ、尻を撫でながらスカートをたくし上げると、熱く硬い物をフラミーの柔らかな股間に擦り付けた。
正面からぐにぐにと押し当て、くりっと押し込む感覚を見つけると、フラミーは身を捩らせた。
見失わないように尻をつかんで逃れられないようにすると何度も同じ場所に擦り付けた。
「っん…!っはぁ…はぅ…んぁ…っん…!」
フラミーの昂りを感じる。ウルベルトはフラミーよりよほど熱い息を吐いて昂揚していた。
顎を上げさせ、キスしながら夢中で腰を擦り付けた。
全身が触れ合い、溶けて混ざってしまいそうになるとウルベルトはフラミーの秘所に手を伸ばした。
パンツはぐしょりと濡れ、もう入ってしまいそうだが――ツンと尖る場所をキュッと摘んだ。
「ッキャゎん!」
一度でやめてやる事が多いが無遠慮に何度も摘み、フラミーはきゃんきゃん言い、ガクガクと全身で震えた。
「あー可愛い…可愛いよフラミー…。」
ウルベルトはフラミーの足を自分の足で割り開かせると、パンツを横にずらした。
ねっとりとした場所に指を二本あてがい、吸い込まれるように挿し込んでいく。
「っあぁ…!っはぅ…ぁ……んんぁあ!」
休みなく感じさせるように刺激が送られ始めると抱きすくめられるフラミーは体を仰け反らせた。
腰がひけていってしまいそうになる。
「フラミー、逃げないで。離れないで。」
「うっん…!うん…うん…んぁっ!」
上半身をしっかり抱きしめられているフラミーはウルベルトの体に一層身を寄せ直した。
指は動きやすくなったようでフラミーの中は隅々まで触られた。
フラミーのツボを知り尽くした指は淫らな熱をこみ上げさせ、ぐちゅぐちゅと蜜を垂らす場所が鳴る。
「うゆべぅとたんっ…!っは!あ!イッ…!イ…!」
「もうイきそうなの?」
フラミーの顔を見るとウルベルトはゴクリと喉を鳴らし、指を引き抜いた。
急いで熱を取り出しあてがい――ズンッといきなり貫いた。
「ッキャゎん!!」
息が止まり、激しい快感に目の前を火花が散った。
「フラミー、今日は出なくなるまで中出ししような。」
ウルベルトは優しく言うと、休ませずにフラミーの中を擦り上げた。横から足を広げ、片足にまたがるようにするウルベルトは信じられないほど奥まで入り込んだ。
ウルベルトはフラミーが自分を咥え込むのをよく見た。
「あっ!あぁ…っ!はっ!うゅべぅとたん!!」
「あぁー好きだフラミー…。我慢できねぇよ本当に…!」
抜けてしまいそうな程にズルーリと引き下がり、ばちゅんっと肉と水が弾ける音を鳴らして深い場所に戻る。
フラミーは猛烈な快感を堪えるように枕にしがみついて震えた。
「はぁ…早くして良い…?」
「む…むり…!おかしくなったぅ…!」
「まじ…?おかしくなるお前めっちゃみたい…。」
「っふぇ――」
ウルベルトの求めたがる深い声が部屋に響くと、狂わせるように容赦なく掻き乱した。
「っあぁ!やぁ!!っひん!っんぁ!うんたん!!まってぇ!!」
「待てねぇ!イケよフラミー!お前の一番可愛いところ見せてくれ!」
ぴたりと閉まるはずの内部はウルベルトで埋め尽くされ、フラミーの頭は真っ白になった。
咥え込む体がウルベルトを求めてひっきりなしに痙攣する。
「イ――!!っあぁ!らめ!しゅき!しゅきなの!」
「俺も好きだよ――っク!!」
どくんっと体の中を熱が迸り、腹が無理やり満たされていくのを感じながらフラミーは達した。
ウルベルトは精路を愛が全て通過すると、「ッハァ!」と捨てるように息を吐いた。
掴んでいたフラミーの足は解放されると、指一本動かすのも億劫そうに脱力した。
くたりとベッドに沈み込んだフラミーの中で柔らかくなった物がぐるぐると円を描き始め、熱い手はフラミーの胸を触り、腰を撫であげた。
「っあぁ…!」
媚肉を押し広げる圧迫感が再び生まれてくる。
「フラミー、愛してるよ。いつまでも一緒に生きていこうな…。」
掠れたような声にフラミーは何度も頷いた。
「あいしてぅ…とおるさん…あいしてぅ…。」
「文香…。」
ウルベルトはフラミーの腰を持ち上げ、後ろから体重をかけるように抱き付くと灼熱を打ち当てた。
ウルベルトの出した蜜とフラミーの出した蜜が絡まり、ウルベルトの昂りを甘く刺激する。
胸をまさぐり、ブラを外すと先端をしこしこと捏ね上げ、フラミーを快感に震わせた。
「あっあっ!そ、そこはっ…!」
「こりこりすると締まるよ…。感じてんだな…もっと乱れていいのに…。」
もう十分おかしくなっていると言うのに、まだ足りない様子のウルベルトは胸を手で包むともう片方の手で、ウルベルトを咥えるドロドロな場所の突起に指を絡めた。
「や、やぁ!さ、さわらなっ……!っはぁっ!んやぁぁあ!」
苦しそうに反り返ると、フラミーには律動が刻み込まれ、神経が焼き切れる程の快感が全身を襲った。
「ひっ…イッ!っああぁ!!あぅぅ…!」
「あぁー可愛いよ、ふらみー!」
ひだが生々しいほどに絡みつき、痙攣する内部は抽送する物を満遍なく刺激した。
二度目だというのに手に負えない快楽が込み上げてくる。
「ッアァ、ふらみー、出すよ…!」
切羽詰まる声が耳元で囁かれる。フラミーは三点もの弱みを刺激され続け、啜り泣くようだった。
「いま、いまだされたらっ!あっ!やぁ!!そんなっ!!奥やら!!やらやらやらやらぁ!!」
ギシギシと揺すられ、ぶちゅうっと子宮に先端を押し当てられるとたまらない熱が迸り、フラミーは悲鳴を上げた。
むちぃっと押し込められているものはしはらくビクンビクンと蠢き、縮まっていった。
「っあっ…あぁ……あっ……。」
「ッ――絞り取られたな……。次でもう出なくなっちまうかも…。」
思考する力を奪われたフラミーは言葉の意味を理解しなかった。が、入ったままの肉棒が這いずり始めると否応なしに理解する。
「や、あ、あぁ…も、もぅ…うごかないれぇ…。」
「たくさん抱いてって金曜に言ったのはお前だろ?俺はお前のためならなんでもできるよ。出なくなってもしてやるから安心しな。」
フラミーは仰向けにひっくり返され、ウルベルトに抱きしめられると、そのまま起き上がらされた。
「っあぁ……。」
座るウルベルトの上に座らされ、抱き竦められ、自然と足はウルベルトの腰に巻きついた。
「かわいい…。フラミー…好きだよ…。」
「わたしも…しゅき…しゅき…。」
「はぁ…お前にそう言われるだけでイキそうになる…。」
ウルベルトは頭を優しく撫でると唇を重ね、舌の先を絡めた。
フラミーは腰を掴まれぐりぐりと回されると、カァッと腰が焼けるような快感に襲われた。
ぐっちゅぐっちゅと二つの液体が混ぜ込まれ、キスを続けた。
「んむっ、あ…っぅ……っぁぅん…。」
ウルベルトがギシギシと動き出し、フラミーはウルベルトの頭にしがみついた。
唇が離れないように必死につなぎとめた。
「んっぁんんっ……ぁむっ…はっはむっ…。」
馴染み切っている体は揺さぶるように求め合い、二人は愛を囁き続けた。
フラミーが好きしか言わないようになると、ウルベルトはフラミーから服を引き剥がし、押し倒して押さえつけ、正面から全てを手に入れるように愛した。
ただ、三度目は中々出ず、ウルベルトは乱暴すぎる運動で注いだ。
もう頑張れませんとジョニーが言うと、自ら吐き出した液体をどろぉっと垂らすフラミーに指を入れ、孕まないように精子を掻き出し、舐め、吸い上げ、全身くまなく可愛がった。
くぅんくぅんと鳴くフラミーをみていると、ジョニーは案外いけるかもとやる気を取り戻した。
指を入れていた所にブチュンと戻すと、とんでもない締まりだった。
出したくても出せないウルベルトは死ぬほど喘いだ。
何時間とまぐわい続け、身悶え、汚れる体も気にせずに愛した。
ウルベルトは眠るフラミーに口付けを落とすとベッドを出た。
フラミーがウルベルトを探すようにするのが見えるとその手に口付けた。
「どこにも行かないよ。文香。」
フラミーは安堵の息を吐き、眠った。
翌朝フラミーが目を覚ますと、ウルベルトの胸の中だった。
体がガビガビするが幸福だった。
今日は平日なので早急に風呂に入らなければ。
すっぱだかのフラミーが起きると、枕元にはリボンのかかった筒が置かれていた。
「………。」
無言でそれを取り、望遠鏡のように中を覗き込んだ。
「開けてみ。」
ウルベルトの声にわっ!と声を上げ、慌てて布団を抱き寄せた。
「お、おはようございます。」
「おはよーさん。ハッピーメリークリスマース。」
ウルベルトは肘をついて体を起き上がらせると楽しげにそう言った。
「それはサンタさんから良い子にしてたお前にクリスマスプレゼントだよ。」
「さ、さんたさんから…くりすます…ぷれぜんと…。」
フラミーは生まれてはじめてのクリスマスプレゼントだった。
リボンをほどき、筒を開く。
「わぁ…!カレンダー!一緒にいて貰ったのに、カレンダーまで!」
フラミーは夢中で新しいカレンダーを巡った。
「綺麗!とってもとっても素敵です!」
「サンタさん来て良かったな。」
ウルベルトはそういうとフラミーの後ろに座った。尻のラインと背筋が綺麗だった。わずかにジョニーが反応するが――使いすぎてジンジンした。
「えへへ、ウルベルトさん、ありがとうございます!」
振り返ろうとしたフラミーの首元にはネックレスが掛かった。
「何?フラミーって可愛い顔してサンタさん信じてねぇの?カレンダーはサンタさんから。俺からはこれ。」
フラミーは着けてもらったネックレスのトップに呆然と視線を落とした。
深い青と透き通るような水色、夜明け前の紫色に輝く楕円の石がアンティーク調のデザインに囲まれていた。
光の当たり方や角度で様々な青、紫に姿を変えた。
「空と海の色…。」
「タンザナイト。本当の綺麗な世界の色が、お前には似合うと思って。」
十二月の誕生石だったが、ウルベルトは言わなかった。
「ずっと二十五の朝に渡そうと思っててさ。昨日まさかお前からプレゼントもらうと思ってなかったんだけど…なんか遅れたみたいでごめんな。」
「ううん、ううん。ウルベルトさん…私、クリスマスにプレゼント貰ったの初めて。カレンダーも嬉しいけど、これもすごく嬉しい。こんなにたくさん…本当に…ありがとうございます…。私…こんなに幸せなクリスマス、初めてです。」
振り返り、ぎぅと抱きつくフラミーを抱きしめ返した。
「良かった。……まだもう少し俺は出かけなきゃなんない日が続くけど、気持ちはいつもそばにいるから。夜明けには必ずお前のところに帰るって約束するから。」
「うん、うん…。もう寂しくないよ…。」
ぽろぽろ涙を落とすフラミーに口付けると――本当はずっとそばに居たかった、ずっと寂しかったウルベルトも少し泣いた。
「…それで………今日はその首で働くわけですね。」
日下部はキスマークが幾つも付いているウルベルトの首を見て眉間を抑えた。
「だから交換できないから仕方ねえだろっての。新婚さんなんだから初めてのクリスマスくらいこうなるだろ?」
「あ、あの…あの…ごめんなさい……。」
タートルネックの胸元に蒼い石の輝くペンダントを着けたフラミーは顔を赤くしてもじもじした。
「…金曜の様子からこうなることは予想してました。なので、俺は今日はこれを持ってきました。」
日下部はジャジャーンとスカーフを取り出した。
「おぉ!新太右衛門!!でかしたぞ!」
「父さんのスカーフなんだから汚さないでくださいよ。」
ウルベルトはネクタイを引っ張られ、ぎうぎうとスカーフを首元に押し込まれた。
そしてその晩、フラミーが風呂に入っている間にウルベルトは久々にログインした。
「で、ウルベルトさん。フラミーさんの腹にハートは描かれてました?」
「描かれてねぇよ!!お前らどんな入れ知恵してんだよこの変態姉弟!!」
「はぁ…良かった…。フラミーさんがそんな真似してなくて…。」
モモンガが安堵の息を吐いていると、茶釜はへらへらした。
「でもサンタコスは良かったっしょ?」
「それは良かった。途中で邪魔になって脱がせたけど、興奮しすぎて三発連続で中出しした。」
ど真面目にウルベルトがそういうとモモンガはウルベルトに掴みかかった。
「っておい!!何とんでもない報告してんだよ!!」
「ははは、もうぐっちゃぐちゃで四発目は記憶無くすかと思いましたよ。体の相性良いとまじでヤバいんすね。」
「PVPするぞウルベルト…闘技場上がれ!!」
モモンガが掴みかかるとウルベルトはニヤリと口元を歪めた。
「モモンガさぁん、俺に勝てるんすかぁ?――と、言いたい所なんだけど、モモンガさん、ちょっと真面目な話があるんすよ。」
「やりすぎて嫌われたとか言ってもまじで手助けしませんから。」
「ご心配なく。<
円卓の間に残された面々は死んだ。
「全く…フラミーさんを見る目が変わるようなこと聞かせないで下さいよ。」
昔フラミーと潜ったダンジョンの最奥で、ウルベルトはモモンガに振り返った。
「モモンガさん、ありがとう。まじで最高の時間だった。」
「……そりゃ良かったですよ。」
モモンガは今年の最新の嫉妬マスクを装備した。
「俺、本当にモモンガさんと出会えて良かったです。」
「…いやいや、どんな重さの感謝ですか。」
ウルベルトは帽子、仮面、マントを外した。
「ここに来られて本当に良かった。これは…フラミーじゃなくて、モモンガさんに持っててもらいたい。」
差し出されたウルベルトの最強装備たちを前にモモンガは目を白黒させた。
「え…え…?ウルベルトさん?」
「俺、ここに来る時間も惜しくなりました…。今朝またフラミーの事泣かせて…さっさと全部終わらせないと…。…全部終わらせたら…俺の時間を全部あいつに使ってやりたい…。」
「ウ、ウルベルトさん、落ち着いてください。フラミーさんの強化だって終わってないじゃないですか。それに、フラミーさんだってログインするでしょ!?その時に一緒にインするんだからこれが無きゃだめじゃないですか!!」
「フラミーがインしてる時も…俺は本当のあいつを見つめてやりたい。側で手を握っててやりたい。」
「そ、そんなのフラミーさんだって一緒に遊ぼうって言うに決まってるじゃないですか!一回落ち着いて考え直してくださいよ!!」
「……モモンガさん…。俺とフラミーは多分、本当はこうなっちゃいけなかったんだと思う。浮かばれない人がたくさんいる。だけど、それでも俺はあいつと生きるよ…。」
「ウルベルトさん!?こうなっちゃいけないなんて、そんな事ないから!二人はお似合いだって思いますよ!俺こんなもん被ってるし、嫉妬もしてるけど、二人の幸せが俺の幸せだって思いますよ!!」
ウルベルトは長いため息を吐いた。
「モモンガさんとフラミーが寄り添う未来なんてもんがあったら、俺はどうしてたんだろうな。あいつをモモンガさんから奪って世界に開いてたのかな。……いや、出来っこない。あいつが世界の運命だって分かったら、俺はやっぱりこうやって、何もかもを隠して消そうとしたな…。……もしくは…そもそも正体に辿り着けなかったか…。偶然と奇跡の積み重ねだったから…。」
「ウルベルトさん、何言ってるのか解りませんよ!!頼むから!!」
ウルベルトはモモンガに全てを押し付けた。
「モモンガさん、俺はフラミーの向こうにいつでもいます。これは引退じゃないっすよ。」
モモンガは震える手でウルベルトの装備を見下ろした。
「う……ウルベルトさん……。」
『お風呂出ましたよー。……ウルベルトさん、お風呂入ります?』
山羊から愛らしい声が聞こえると、ウルベルトは優しい声でそれに返した。
「フラミー、俺は風呂は良いや。今日もそろそろ行かなきゃ。」
「こ、こんな時間にどこに…。」
「モモンガさん、また会いましょう。それ、大事に持っててくださいよ。」
ウルベルトはまるでいつものように「じゃあ、また」と落ちた。
「…………フラミーさんの事…幸せにしてくれるんだよな……。そのために……少し休むだけなんだよな………。」
モモンガは震える手で親友の残滓を抱きしめた。
やだ(直球
絶句の1.5万字
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