女子守護者とフラミー様のお料理のお話をとリクエストをいただきました。
「その時のフラミー様の切ってくださったウサギちゃんったらもう……!」
「ええ──ー!?」
第六階層の湖畔にシャルティア一人の嘆きが響いた。
「えっ!?わ、妾だけでありんすか!?」
これまでこういう時はアウラも共に声を上げてくれてきた筈なのに。バッとそちらを見ると、アウラはマーレとともに嬉しそうに分かる分かると頷いていた。
「な……な……全員食べたんでありんすか……!?」
「まーそうなのかもね!あ、でもコキュートスも食べてないかな?」
「仕方ないじゃない。あなた、ずっと雑種と遊んでるんだから」
「遊んどりんせん!!ああ!フラミー様……こんな……あんまりにもご無体なぁぁ……!!」
シャルティアは地に伏せるとワンワン泣きだした。
「あ、あの、フラミー様に僕からもお願いしてあげますから!」
「マーレぇ……おんしはこの頭のおかしい二人とは違いんすねぇ……」
「い、いえ!僕もまたフラミー様とリンゴ狩りしたいですし!」
「「はぁっ!?」」
アルベドとシャルティアは瞳孔の開いた目でマーレを睨み付けた。
「あ、あなた!!それはどういうことなの!?」
「おんし、そんな楽しいイベントを勝手にしたんでありんすか!!」
二人は途端にマーレに詰め寄りだした。
「……はー。マーレ。あんたが悪いよ……」
騒ぎを聞きつけたコキュートスが一郎と二郎の下から向かってくるのが見えると、アウラはこれはもう収集がつかないと確信した。
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「……それで、お前達フラミーさんに何の用なんだ……?」
フラミーの部屋にはデミウルゴスを除いた守護者達が訪ねてきた。デミウルゴスはと言うと、フラミーの執務件勉強に付き合っていたため──とどのつまりその部屋には守護者フルメンバーが揃ってしまった。
「君たちフラミー様のお勉強の邪魔をして──」
「黙りなさいデミウルゴス。あなたもこちら側に来るのよ」
デミウルゴスはアインズと目を合わせて首を傾げた。
「フラミー様!一度もウサギさんをいただけていない守護者のためにも、果物狩りに行きましょう!!」
「な!?あれは特別ボーナスでしょう、アルベド!」
「貴方はウサギさんをいただけていない二人を可哀想に思わないの?」
「私モ兎サンヲ頂キタイ……」「妾もでありんす!おんしは黙っておりんせぃ!」
様子を見ていたフラミーは嬉しそうに笑った。
「あはっ、皆ウサギさん大好きだったんだぁ!」
執務机を立つとソファセットへ向かい、ローテーブルに飾られるように乗せられていたリンゴをひとつ手に取ると、どこからともなく包丁を取り出した。
「ふ、フラミー様!もぎには……」
「これも今朝もぎもぎしたやつですからきっと美味しいですよ!」
フラミーはリンゴを櫛切りにして行くと、なんの変哲も無い櫛切りのリンゴを守護者たちにひとつづつ渡した。
「皆も包丁出してくださいね!」
アインズは顔を手で覆った。守護者はウサギさんを食べたいわけじゃなく、フラミーのウサギさんが食べたいというのに残酷だった。
「……フラミーさん、あの──」
「はいっ!アインズさんも!」
アインズの手の中にもリンゴが渡された。全員で顔を見合わせると、渋々フラミーの周りに集まり、各々座った。
「じゃあ、まず芯を取りまーす!」
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「妾のウサギさんが一番可愛らしいでありんすねぇ」
「何を言っているのかしら。私のウサギさんを見なさい。お目目をつけたのよ」
「あ、あの!僕のウサギさんには、馬車を作りました!!」
「「「「「馬車!?」」」」」
「はい!こうやって、ウサギさんを二匹並べて、このリンゴをここに置くと……アインズ様とフラミー様のウサギさんをお乗せできるんです!!」
「ははは。上手だな、マーレ。しかし私のリンゴは下手でダメだ」
アインズが自分の、耳が微妙に欠けてしまっている可哀想なウサギを口に放り込もうとすると、直前でそれはキャッチされた。
「アインズ様?こちらは私が頂いても?」
「あ、あぁ。別に良いが」
「アインズ様!!妾も!!」
「お前もか。しかし……そうは言ってももうマーレの馬車を切らなければりんごがないだろう」
それを見ていたフラミーはパッと顔を明るくした。
「私もアインズさんのウサギさん欲しいな!」
またリンゴを取りに行こうとフラミーは思っていたが、アルベドは震えた。
「ふふふふふらみーさま……」
「ふ。アルベド。早くフラミー様に捧げなんし」
アルベドは震える手でフラミーにアインズのウサギさんを差し出した。
「ふ、ふらみーさま……あいんずさまの……うさぎさんでございます……」
「え、この子貰って良いんですか?」
「当然でありんす!!」
「へへ。じゃあ、あーん」
するとフラミーは目を閉じ、嬉しそうに口を開け──アルベドは倒れた。
「あっ!?アルベドさん!?」
アインズのウサギはポロリと床に落ち、鼻血を垂らすアルベドは謎の夢の中に紛れ込んで行ってしまった。慌ててアウラとデミウルゴスが支配者たちの足下で倒れる可愛らしいゴリラを回収する。
「……今のはフラミーさんが悪い」
「えぇ!?」
その後ウサギはしばらくナザリックで流行り、リンゴの最もポピュラーな剥き方として定着する。高級そうな素晴らしい料理の最後に出てくるシャーベッドにウサギがちょこりと乗っている様はチグハグだった。
ちなみにこの時アルベドの手から落ちた不恰好なウサギはコキュートスによってこっそりと拾われ、氷の祭壇の上に鎮座ましますのだった。
うん、料理会じゃないね!!