7/7にボーナスで書きました〜!
「お前達。今日は七夕だ」
アインズに呼び出された全守護者は首を傾げた。
「たなばた、でございますか?」
「そうだ。七夕だ。お前たちこれに願いを書くんだ」
その手の中には短冊と、複数の紐があった。まるでなにかを授与するかのように全員が受け取って行く様はとても七夕の短冊を受け取る光景ではない。
「ほら、フラミーさんもどうぞ」
「わぁ!私はいつものお願いにしよっと!」
フラミーは残った最後の短冊を受け取ると
「あ……アインズ様……これは、書いた願いは聞き届けられるのでしょうか……?」
「ん?んーそうだな。聞き届けられることも聞き届けられないこともあるだろう」
アインズは子供の頃に自分も持ったような可愛らしい疑問に胸をあたたかくした。
「さぁ書きなさい。できたら第六階層に掛けに行くぞ」
「「「「「は!!」」」」」
アインズ達は各々自分の短冊を持つと
「これでいいだろう」
アインズは満足すると、不思議そうに二人を眺めていた子供達を手招いた。
「これはリアルの風習だ。何故願いを掛けるかはわからんがそう言うものだと割り切ってお前達もここに願いを掛けなさい」
「……なるほど、そういうことですか」
デミウルゴスはいつもの不穏な呟きを漏らすとメガネを押し上げた。
「さぁあなた達、願いを掛けましょう」
アルベドの号令に従い、守護者達は短冊をいそいそと掛けだした。
フラミーは自分の短冊の前で手を合わせていたが、守護者達の願いを見てみたいと人の短冊チェックを始めた。
「アルベドさんのお願いは何かなぁ!」
[●アインズ様の子供とフラミー様の子供が欲しい]
「……はは。まぁ、そうですよね」
シャルティアはちらりとフラミーの手元を覗くとギリッと歯ぎしりした。
「こんなお願いを叶えて頂こうなんて、おんしは加減てもんがわかりんせんの!?」
「ふふ。アインズ様は聞き届けることも聞き届けられない事もあると仰ったのよ。であれば、最高の願いを書くのが当然」
「っくぅ!!妾も書き直すでありんす!!」
シャルティアは紙を取り出すと短冊を作ろうとせっせと工作を始め、様子を見ていたアウラはシャルティアの願いを確認した。
[●極上ハーレム]
「……シャルティア、あんたねぇ。こんなのアインズ様が叶えてくださるわけないじゃん!」
「うるさいでありんす!そういうチビはどんな願いにしたんでありんすか!」
「私?私はフラミー様とまたご飯会をしたいってお願いした!私とマーレは叶えて貰えそうな事を書いたの!」
「そ、そうなんです!ぼ、僕もアインズ様のお膝に、その、乗りたいって書きました!」
「ナルホド。ソレハ賢イナ」
「コキュートス、君は何を書いたのかな」
デミウルゴスは高いところにかかる短冊を見ようと笹丈の枝を引っ張った。
「ふむ。お世継ぎを願ったんだね。これは確かにいい願いだ」
「オ前ハ何ヲ願ッタ」
「私かい?私はこれさ」
[●ナザリック平和]
「はは、世界平和って書く人いましたよね」
フラミーは後ろから覗いていたアインズを振り返った。
「いましたね。デミウルゴスは無欲だな」
「いえ。これ以外を望む者は些か問題があるかと。ところでアインズ様は何と?」
アインズはナザリックの平和を願っていないので鎮静された。フラミーと守護者達が覗き込むと、少し照れ臭そうにアインズはそれを見せた。
[●ずっと皆で暮らしたい]
「…………」
「…………」
「す、すまんな……。ナザリックの平和を──」
「いいえ何を仰いますアインズ様!!!」
「これこそナザリックの平和ですわ!!!」
「これ以上の願いはありんせん!!!」
「あいんずさまぁ!」
「ふぇー!」
「ナント、ナント素晴ラシキ願イ……」
守護者達は肩を震わせて泣いた。
「はは、ははは。良かった良かった。ナザリック平和だな」
「アインズさん!ずっと皆で暮らしていけたらいいですね」
手を握られる感触にアインズは骨の顔をほころばせた。
「はい。はは。恥ずかしいな」
その後僕達にも短冊を書いてかけるように言うと、七夕の会は解散した。すぐに笹竹には大量の短冊がかかった。
「あ、フラミーさんの見損ねた」
執務室に戻ってしばらくナザリック平和について考えていたアインズは直ぐに立ち上がり、再び第六階層へ転移した。
短冊がかかりすぎて松ぼっくりのようになった笹竹の前で、デミウルゴスがせっせと短冊を掻き分けていた。
「デミウルゴス」
「は、これはアインズ様。如何なさいましたか?」
「あぁ、私はフラミーさんの願いを見損ねてな。お前こそどうした?」
「私もフラミー様の願いの確認をと。アインズ様とフラミー様は叶える側でしょうから、少しでもお役に立てればと」
「ははは、そうか。それで、なんだって?」
「いえ、私もまだ探し始めたところですので」
二人は短冊を掻き分け目的の短冊を探した。
「あ、ございまし……これは……」
「あったか。なんだ?」
デミウルゴスと短冊に顔を突っ込んでそれを見ると、フラミーがいつも書くと言う願いを前に、アインズは胸が苦しくなった。
[●家族が欲しい]
「これは……どういう事なのでしょうか」
「あの人は親も兄弟も持たない。夢は可愛いお嫁さんだと言っていたが……そう言うことか……」
二人は掻き分けた短冊を静かに戻すと、後ろから声がかかった。
「あら?何してるんですか?」
振り返るとアインズとデミウルゴスは微笑んだ。
「全員の願いの確認中ですよ」
「反乱分子が混ざっていてはいけませんので」
「はは!私も子供達が何書いたのか知りたくって来ちゃいました!じゃあ、私はあっちから確認しますね!」
フラミーが木の向こうに行くと、アインズはつぶやいた。
「子供達、か」