支配者のお茶会直前くらいに書きました!
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「さとるくん。いきましょ」
アインズはフラミーから伸ばされた手と顔を順々に見た。
「むぅ。本名はやっぱりダメですか……?」
二人は気晴らしのお出かけに行こうとその身を五歳児程度まで小さくしていた。アインズは初めて始原の魔法を練って失敗した時の感覚を思い出しながら子供に、フラミーはパンドラズアクターの作ったスモールライトで子供になった。子供の姿ならはしゃいでいても恥ずかしくないし、下手に他人に何かを聞かれたりもしないはずなのでこれ以上の格好はない。
「い、いえ。全然ダメじゃないですよ!」
ミニアインズは自分の首の後ろを撫でるとはにかんだ。
「わぁ!じゃあ、悟くんって呼びますね!」
「はは。そんな風に呼ばれたの初めてですよほんと。じゃ、俺も文香さんって呼ぼうかな」
フラミーは幼く大きな目をパチクリさせると──
「はい!文香です!!」
元気一杯に返事した。
「はは。なんかそれ五歳児感出てますよ!じゃ、行きますか!」
フラミーは頷くと、初めて外に出た時に着用していた翼を隠せる魔法のローブを着てフードを深くかぶった。肌は幻術で肌色に、髪と瞳は黒にした。アインズも顔に入る線を消して髪を黒く染めると二人はちっちゃな手を握り合った。妙に大人びた喋り方をする子供二人は、後ろで鼻血を垂らして倒れているアルベドと当番のメイド達を置いて出かけた。
エ・ランテル闇の神殿にある余り人の出入りのない部屋に繋げた
アインズはフラミーの手を引いて聖堂を出ると、外はいい天気でこんな環境の中育っていたら最高だったなと思う。聖堂の前では親と祈りを捧げる事に飽きた子供達が遊び回っていて実に平和的だった。
「あーエ・ランテルの都市計画は本当大成功だな!セバスもよくやってるようだ」
アインズが空気を目いっぱい吸い込んでいると、何者かにパチンッと頭を叩かれた。その瞬間街を警らする
「少年。好きな子の前でカッコつけたくなるのは分かるが、その物言いは不敬だ」
声に振り向くと、イビルアイが腰に手を当ててアインズを覗き込んでいた。
「イ……イビルアイ……」
「何?私を知ってるのか。じゃあお前は王国の時からここに住んでるんだろう。神王陛下や光神陛下、セバス様にはきちんと感謝しろよ。わかったか」
「あ、あぁ……わかった……じゃない、わかりました」
「悟くん大丈夫ですか?」
フラミーは子供アインズが頭をスリスリ触っている様子が可哀想で少し背伸びをしてその頭を撫でた。当然レベルは百なので痛くも痒くも無いが、脊髄反射だ。
「あ、はは。ありがとうございます。大丈夫ですよ。このくらい」
「全く。加減はしてやったが痛かっただろ。来い」
「えっ?」
イビルアイは唐突にアインズの腕を取ると歩き出した。
「あ、いや。私は大丈夫です」
「私?お前はどこかの元貴族の子か?不遜な物言いをするわけだ」
フラミーは慌ててアインズの手を取ると一緒に歩き出し、ベンチに座っている青の薔薇の面々の下にたどり着いた。
「おい、ラキュース。すまん、この小僧の頭を引っ叩いたから回復してやってくれ」
イビルアイは手を繋いでいるアインズのことを指差した。
「何やってんのよ。僕、痛かったわね。
「こ、これはどうも。じゃ、私達はこれで」
アインズはもう行こうとイビルアイの手から抜け出したが、二人の忍者が目の前に立ちはだかった。
「美ショタ」「美ロリ」
「びしょた?びろり?」
フラミーが首をかしげると、二人はひょいと持ち上げられた。
「「お持ち帰りしたい!!」」
「おいおい、ティナ、ティア、バカ言ってんじゃねーぞ!」
「「可愛すぎる」」
フラミーは女性に頬ずりされて別になんとも思っていなかったが、アインズがドギマギしている様子に僅かに嫉妬した。
アインズはあまりの不測の事態に手をこまねいていた。彼等は冒険者の中でも最上位の存在だ。そんな二人を自分が平気で振り払ったら一体どうなると思考はぐるぐる回っていた。
「あの、離して下さい。悟くん、なんで何も言わないんですか」
アインズはハッとして、別に相手はアルベドじゃ無いんだから力技に頼らなくていいのかと首をぷるぷる振った。
「離して下さい!大人を呼びますよ!」
「ち。思ったより高度に教育されてる」
忍者は渋々子供を下ろすとアインズはフラミーの手をとって慌てて駆け出した。
「すっげぇ足はえーな」
ガガーランの呟きに全員がウン、と頷いた。
アインズは一頻り走ると、追いかけられていない様子にホッと一息ついた。
「はー良かった。びっくりしましたね?」
フラミーはほんの少しむくれたように下を見ていた。
「……気持ち悪かったですか?大丈夫ですか?」
「気持ちいいはずありません!悟くんは……嬉しそうだったけど……」
「え!?ちょっとちょっと、なんでそんなことになるんですか!」
「堪能しようとしてたじゃないですか!ティナさんの体!えっち!!」
体を堪能するというのはちょっとよくない表現なんじゃないかとアインズは関係ないことを考えた。
「お、落ち着いて下さい。そんな訳ないじゃないですか」
「悟くんのえっち!!」
アインズは頭の上にタライが落ちてきたかと思った。ガンっと響いた謎の効果音が頭の中で響く。
「そ、そんな呼び方でそんなこと言わないでくださいよ!!」
「えっちえっちえっち!悟くんのえっち!!」
周りの大人がジロジロと見ている様子にアインズは冷や汗をかいた。
「し、静かに!!あーもう!」
ちっちゃなアインズはちっちゃなフラミーを抱きしめた。
「俺がこうしたいのは文香さんだけだってなんでわかんないんですか!!」
フラミーは顔をボンっと赤くするとちっちゃなアインズの胸を押しておっきな瞳を覗いた。
「……えっち」