「──じゃ、帰ろうね」
そう告げたキュータに送られ、レオネは帰宅した。
「おかえり。どうだった?」
レオネパパが嬉しそうに尋ねる。
レオネはどうって何よと思いながら返事をした。
「いつも通りですわよ。お勉強教えて頂いて、天使を出せるように稽古をつけていただきましたの」
「チューは?チューはした?こないだ邪魔しちゃったからなぁ〜」
「あなた、あんまりそんな事おっしゃらないの。それで?キスしていただけたの?」
レオネママまで揃ってそんなことを言う。
「もう!わたくし今日は疲れたし寝ますから!!」
「え〜レオネ〜」
「ご飯はよろしいの?」
「いただいてきましたの!」
「お風呂は?」
「稽古で汗かいたら<
全くとんでもない親たちもいたものだ。
レオネはぷんぷん言って部屋に荷物を置くと、制服を脱いでパジャマを出した。
息苦しいのでブラだけ外して白いワンピースのパジャマを被り、布団に潜り込む。
(もう!もう!デリカシーがないのよ!うちの親たちは!)
レオネを嫁にやりたくてたまらないというのがひしひしと伝わってくる。
相手が神の子だと本当にわかっているのだろうか。
あれで神官かと悪態をつく。
(わたくしだって殿下が殿下じゃなかったらお嫁に行きたかったわよ)
なんて。
レオネはばさりと布団を顔まで被ると、今日の稽古を付けてもらった後の、夫婦じゃなければしないような情事を思い出すと目をギュッと閉じた。
あの大きくなめらかな手がこの体を這い、熱い吐息が耳にかかる。
何度も耳元で「耐え難い……。頼む……私のものになってくれ……」とささやかれ、全身で彼を感じ、レオネは自分で自分を開いて「あなたのものだから……お願い……。ください……」とねだる。
と言うのに、「……私の妻になってくれるか?」と聞いてくる。
なれないと百回は言ったのに。
ダメだと言うと、彼は入れてくれもせずにこの体を求めるように擦り付け、レオネをよがらせ、終わらせてしまう。
レオネの息は荒くなっていた。
ワンピースをたくし上げると、そっと胸に触れた。
キュータに触られる前とは全く違う場所になってしまった。
ふんわりと包んでみると、なんと無く前より大きくなっている気がした。
何度も何度も大切に触ってもらっているせいだろうか。
自分で自分を触ると言うのに、レオネはどこかおっかなびっくりに突起をつまんだ。
「………………」
恥ずかしくて布団の中で小さくなった。
両手でくりくりともてあそび、キュータがしてくれるように少しの力で押し潰した。
「っ…………」
始めてしまうと止まらない。
今日のことを思い出しながらレオネは胸をいじった。
ここをしてもらいながら、こっちに擦り付けてもらう。
片手をそっとショーツの中に忍ばせ、芽を優しくすりすりと触った。
キュータは優しくしかしてくれないから、少しギュッと──「ッ」
などとやっていると、声が漏れてしまいそうになり、レオネはパジャマのスカート部分を噛んだ。
「ふぅー……ふぅー……」
顔が赤くなるのがわかる。
キュータの理性がなくなって早く自分に襲いかかってくれることを期待して仕方がない。
彼のものだと言っているのにあんなに頑なに入れてくれないなんてやっぱり意地悪だ。
キュータが意地悪しなければ、レオネだってこんなふうに自分で胸をいじって芽をいじってパジャマを噛んで自慰なんかしない。
「……っ!……っ!」
あの長い指でもっと中をめちゃくちゃにしてほしい。
その後、あれを入れてもらって、キュータに狂おしい顔をさせて、最後はレオネに愛を注いで──いや、そんなことをして子供でも宿したら大変な騒ぎだ。
神の子だと伏せて育てられるわけがない。
孕ませてくださいとお願いしたいが自分ではあまりにも届かなすぎる。
レオネは自分の指を入れると、自分ではキュータがしてくれるようにできないじれったさに「んんンッ……」と声を上げた。
──その時、部屋に小さめのノックが響いた。
「っ!」
慌てて指を抜く。
「な、なんですの!」
『レオネ。ごめん、君が大切にしてた栞が向こうにあったから持ってきたんだけど……』
その声に飛び起きると、レオネはサッとパジャマを下ろして扉へ駆けた。
「あ!ごめんなさい!!」
扉を開けるとキュータは栞をピラリとレオネに差し出した。
「ううん、おじさんに預けて帰ろうと思ったんだけど、上がって渡してやってくれって。疲れてもう寝るところだって聞いたよ」
「えぇ。でも、まだ稽古していただいても大丈夫そうでしたわ」
「そう?じゃあ次はもう少し頑張ろうか。──それよりさ」
そう言うと、キュータは自分の後ろでそっと扉を閉じた。
「何してたのか教えて」
レオネは栞を手にしたまま顔をカッと赤くした。
顔を上げられず、硬直してしまう。
「ね、寝ようかなって……」
「本当かなぁ」
顎を指がつるりと撫であげ、そのまま下から押し上げられて顔を上げた。
「足りなかった?」
涙目になってしまう。
女子としての尊厳に傷が付く。
レオネはふるふる首を振った。
「僕はね、多分人より耳がいい。ワルワラに野生の獣かって言われるくらいにはね」
キュータはいつもと変わらない笑顔でレオネを見下ろすと、全身で覆い尽くすようにレオネを抱きしめた。
「──次はもっとちゃんとしてあげる。ごめんね」
尻を手が撫で上げていくに合わせてワンピースがずり上がっていくのを感じる。
レオネはキュータのローブにつかまりぷるりと震えた。
「もっとって言ってくれたらいくらでもするのに」
ショーツがずり下されていき、両手で左右に尻が引っ張られると、割れ目もほんの少し引っ張られてクチュンと音がした。
「──思ったより濡れてるみたい」
「ご、ごめんなさ……ゆ、ゆるして……」
「一人で楽しんで?ふふ、面白いこと言うね」
レオネはキュータの胸に顔をギュッと押し付け、本当に泣きそうだった。
割れ目を開かれ、指が一本入るとレオネは期待してしまっていたその快感に思わず悦びの息を漏らした。
だが、すぐに出ていってしまった。
「……ふぇ……」
「ほぐれてるね。そこまでしたんだ」
「っ……!」
羞恥で泣きたい。すぐさま二本の指が入ってくると、キュータは嬉しそうにふふふ、と笑った。
「……っンぅ♡」
「……声が聞きたいけど、流石に我慢してもらわないと困るな。頑張ろうね」
キュータが耳元で囁く。
次の瞬間ぐちゅぐちゅぐちゅと中の肉が刺激されレオネは思わず背を仰け反らせた。
「っあ"ぁ♡!──ンッ……♡ン♡ンン♡」
キュータが急いでキスをしてくれる。キュータで口の中がいっぱいになると、声はくぐもって漏れにくくなった。
必死に声を抑えるが、何でそんなに激しくするのか分からないほどに中を混ぜ込められ、レオネはキュータの舌を押し返して唇を解いた。
そして、できる限りの小さな声で言った。
「っや、やめぇてぇ♡どうして、どうしてぇ♡はげしっ、こんなのぉ♡おうちなのにっおうちなのにっ♡」
「満足させてあげなきゃ可哀想だと思って。僕なりの愛だよ、お姫様」
指からの刺激は増すばかりで、レオネは立っていられなくなりそうになり、キュータの首に必死になって縋りついた。
「っんんぅ♡ん♡ンン♡んっ……♡!」
「ふふ、可愛い。戻ってきてラッキーだった」
片足が持ち上げられ、信じられない格好にさせられると中を押し込めるようだった刺激は抽送へと代わり、レオネはたまらず腰をわずかに揺らした。理性から「そんなはしたない真似やめて」と言われ涙目になる。
「レオネ、もっと腰振って良いんだよ?」
「っ……♡"!っ……♡"」
ぬめる液をひっかき出すようにピストンされ、レオネは思わず達した。
「──♡!!♡♡♡"!!」
立っていられなくなり、指が抜かれるとキュータが大事に抱えてくれる。
「偉かったね」
「っふぅ……っふぅ……♡い、いじわる……♡」
「僕なりの愛だって言ってるのになぁ」
宝物でも置くようにベッドに下ろされ、レオネは必死に息を整えようとした。
背をヘッドボードに預け、ぼんやりとキュータを眺めた。
「──ね、レオネ」
「は……はい……」
「ここ見て」
キュータが指差した所を見ると、一人でしていた形跡かシーツにしみがあった。
「──み、見ないでいいですわよ!!」
「見ちゃったもんは仕方ない。レオネ、どうやってたのか見せてほしい」
「な、何言ってますの!?」
「ダメ?君が良くなれる方法を知りたいんだけど」
「えっち!だめ!!」
「うーん。知りたいな。少しだけお手伝いしてあげるから、お願い」
キュータはレオネの足を撫で上げ、またパジャマの中に手を侵入させるとパンツをするりと脱がせた。
「──これもぐしょぐしょになっちゃったね。脱がしてからしてあげればよかった」
座っているレオネはそのままキュータの顔が下がっていくと「まさか」と様子を見た。
「あ、あの、も、もしかして、あれをされるの……?」
「ん?ふふ。お手伝いだからね」
キュータの口が秘部に触れ、ちゅとキスの音が鳴る。
レオネは必死に首を振った。
「そ、それやなの!わたくしそれ、それ!!」
「声が漏れちゃうと困るね」
全く困る顔をしていなかった。
キュータの指が芽を撫でたかと思うと、皮が剥かれ──ペロリと舐められた。
「っあ"♡」
「静かにしなきゃ。それとも自分でする?」
「やめ、やめてっ、ほんとにっこれ、だめなのっ!だめなのっ!」
「それでも僕を叩かないなんて、レオネはよっぽど僕が好きらしい」
「バカ言ってないで──っゥンン"♡」
ちゅるちゅる吸われ始めると腰がとろけるような感覚に襲われ、背中をヘッドボードに押し付けてしまう。足の指が全部開き切り、体が必死に快感を逃す場所を探した。
「ら、めぇ♡"!めってばぁ♡"!!」
吸われながら指が入ってくる感覚に足が何度もベッドのシーツを蹴った。
このままでは叫んでしまう。叫んで叫んで達してしまう。
ぬぢょぬぢょとひどい音が部屋に満ちる。レオネはキュータの頭を捕まえると、こちらを向かせようと引っ張った。
「す、するッッ♡!自分で──ァッ!するッッからっ……ぁ♡そ、それはっ♡ここじゃッッ……らめぇ"♡♡」
キュータは顔を離すと「わぁい」なんてバカみたいなことを言った。
指が抜かれていく。
レオネは必死に息を吐き、自分を取り戻そうとしながら自らの足の間に手を置いた。
「……ぅぅ……」
敏感になっているところに一本だけ指を侵入させていく。
蓄積されたのか、さっき自分でしていた時とは比べ物にならない快感が広がる。ただ、キュータがしてくれていた時よりは自分でいられる程度。
どこか安心してしまった。
「……っ……♡」
立てていた足をキュータに軽く開かれ、ゆっくりと指を抜き差ししてレオネは俯き唇を噛んだ。そして、いいところに届かなくて、やっぱり焦れったかった。
「んんン……っん……♡」
もっと奥がいいのに、と思わず身を捩ると、キュータが手を添えた──かと思うと、指を一本さらに入れた。
「っふぇっ……♡っえ?っえ?♡」
「……ここに届かないの?それでそんな顔してるの?」
キュータはまじまじとレオネを観察し、くにりと指を曲げた。
自分の中で自分の指を通り越したところを、キュータの指が刺激してくる。
レオネの体は跳ねた。
「ッッは♡はぅ♡っぅ……んん……♡」
「嘘でしょ……。この生き物可愛すぎるって……」
羞恥に体が茹蛸のように真っ赤になるのを感じる。キュータはレオネの入れている手を握るようにすると一緒に抜き差しした。
「っん……♡っんんぅ……!!っぁあ♡"♡"」
「こうすると良いよ。こうして、上手だよ。上手、上手」
もう自分が何をさせられているのか訳がわからなかった。
自分の神の前で自慰をし、それを手伝われるなんて信じられなかった。
レオネは泣きそうになりながら必死に声を上げた。
「あ、あなたもっ♡自分……ッンの…♡っ…してぇ!わたくしばっかり♡ひどい♡!ひどいひどい♡♡!」
「い、いや。それはいいよ」
「やらやら、ひどいひどい♡♡♡こんなにして♡ばか♡ばかばかばか♡♡」
「……えー……。君、頼む才能あるよ……」
「冷めた目で──ッ♡みないでッ♡ン♡っんんぅ♡♡」
「いや、冷めてるどころかとんでもないんですけど……」
キュータの指が出ていく。
レオネはようやく止まった責苦に息を荒くしてキュータの様子を見た。
いきり立つ物が取り出されると、頼んでおいて恥ずかしくて目を逸らした。
「……そうしててくれると助かる」
キュータはそう言うと、もたれて座るレオネにキスをした。
「っふ……♡っん……♡ん……♡」
彼の足の間からちゅこちゅこと音がすると、レオネはゾゾっと背を震わせた。
キスをするキュータの息が荒い。
この人、本当にレオネの自慰なんかを見て興奮していたのかと思うとレオネはなぜだか母性を刺激された。
「っ………………」
「か、かわいい……♡きゅーたさん……♡」
「な、何言ってんの……?」
レオネの心臓がキュンキュンと脈打つ。中も一緒に脈打つ。
自分の指をちゅっちゅっと吸うひだひだのある内部にレオネはまた刺激を送った。
くちゅ、くちゅ、と水分の混ざる音がし、キュータの息が荒くなっていく。
この音を聞いてキュータが感じているのかと思うと、レオネはもっともっとと奉仕するつもりで自分を責め立てた。教えてもらった通りにしていく。キュータの指もないと真っ白になるほどではないが、レオネはとんでもないことを教え込まれてしまった。
「……っんぅ♡っあ……♡あぁう……♡──ッン♡」
口の中に熱い舌が入り、レオネはそれを吸って舌の裏を舐め上げた。
「ッ──っは、れ、れおね」
「ぅん♡♡ぅん♡な、なにぃ♡」
「君があんまり可愛くて……耐え難い……」
「だしゅ……?♡」
「だ、出したい……」
「出して……♡」
「……せめて……君がイッたらにする……」
キュータの指がまたレオネの指に沿って入ってくる。
レオネはそれだけで背を枕とヘッドボードに押し付けて甘く達した。
「っぅぁ……♡」
「……あぁ……ほんとに君って子は……」
手が導かれ、抽送が始まると空いている手で必死に口を押さえた。
「んん♡…ンッ…ん…゛!んん♡♡♡ン♡」
「……吸い付いてきてるよ。レオネ、分かる?こうするんだからね……」
「う…うんっ…♡……!!♡…っ♡……っうん♡ん♡!」
「……もーほんとにこの生き物耐え難い……」
「してぇ…♡…自分のもっ♡♡…………して♡」
キュータは堪えるような顔で自分をしごき、レオネは目にハートが浮かぶのを止められなかった。
目の前で扱かれる場所は気持ちよさそうで、見ているだけで、何かキュータのアレから漂う雄の匂いのようなものにレオネは当てられるようだった。
太く立派な場所がよだれを垂らすようにしていて、信じられないいやらしさだった。
「ふぁ……っ♡!何だかっ♡変…♡…変……♡♡"」
二人の指ですると空気が入ってしまうのかじゅぼじゅぼとレオネの下の口も音を鳴らし、レオネは思わず腰を浮かせてイッた。
「──── らああ…めぇ…♡!めぇぇ♡゛!っ♡…♡♡♡゛!」
その時、レオネの下腹部にビューっ、ビュ、ピュ、と熱いものがかけられ、キュータの喘ぐような声がした。
「っぅく……!ッ……!ッ……!」
「っは♡っは♡っはぁ♡……っは……♡」
指が抜かれていく。
胸を激しく上下させて呼吸し、自分の前に座り同じく呼吸を荒くさせるキュータをぼんやりと眺めた。
「っ……ご、ごめ……」
「うれしぃ……♡」
レオネはああするんだ、とよく分かった。
なので──座るキュータに身を乗り出し、今出したばかりの肉棒をあむりと口に含んだ。
「ッは?──っち、ちょ」
もぐもぐとよく舐め、出っ張りの傘の下も丹念にお掃除をし、キュータがやっていたようにぐじぐじとしごく。
あんなにして痛くないんだとしっかり学んだ。
それに、スピードはこうだし、たまに少しこうやって休んで──こないだ好きそうだった先っぽに舌を目一杯擦り付けて──またこうやって。
レオネは幸せいっぱいにキュータに奉仕した。
「んん♡…ん……ン♡♡…ンン♡」
「れ、れお……ね!や、やめな……っ!やめなって……ちょっと……!」
「ン♡…ンンンッ?♡!ッん♡」
ビクンビクンと震えていて、口の中でさっき見ていたあれのようになっていると思うとレオネは嬉しくてたまらなかった。
いいものを見せてもらえた。
「で、出る──!出るからっ!口離して!」
「やら♡やらもん♡」
「ば、バカ──っぁ、っあ、ちょっ──む、無理!無理無理!」
キュータから切羽詰まった喘ぎ声が聞こえると、レオネはなぜかイきそうになった。
入れてもらえない腹いせのように目一杯咥え込み、喉のこれでもかというほど奥まで受け入れると、キュータから精が弾けた。
飲んでも飲んでも出てくる。
前は途中で離れてしまったが、最後の一滴が出終わるまでレオネはちゃんと待った。
「──っはぁ♡」
っつぽんと口を離すと、レオネは真っ赤な顔で笑った。
「や、やりましたわぁ!えへへ、えへへへ」
キュータは顔を抑え、羞恥に怒ったような笑ったような困ったような変な顔をしていた。
「うふふ。良かった?今回は上手だった?」
「……信じらんないくらい良かった。ありがとうございます……」
「わぁ!うふふ、うふふふ。見せてもらえて良かったぁ」
「僕が勉強したかったのに……」
レオネが嬉しそうに笑う中、キュータは<
「最後の、なんですの?」
「……まずいと思ったから途中で腕輪捨てて無詠唱化した<
「全く気付きませんでしたわ……」
「……それは何よりです」
身支度も済んだキュータはレオネにちらりと振り返ると、「……じゃ、帰ろうかな」といつものセリフの亜種を言った。
「玄関まで送りますわ」
「いや、ここまでで。君と並んでおじさんの顔を見れない。さっと挨拶して帰ります」
「なんで敬語なんですの?」
「君の家の、それも君の部屋で僕って男はほんとにバカだなと思って……。じゃあ、また明日校門で──会うの辛いな……」
「どうして?」
「いや……未来の旦那に悪くて死ぬ……」
「どれだけ未来になってもいませんわよ、そんなもの。何おっしゃってるの」
キュータはこんなことを仕込んでしまって、ロランとレオネが結婚したらロランにぶちのめされると思った。
なんで間男みたいな気持ちにならなきゃいけないんだとキュータは頭をかいた。
「……その顔、何考えてるのか大体わかりますわ」
「……君に僕の気持ちがわかるかよ……」
「分かります。わたくし、あなたの恋人ですのよ。なのにわたくしのこと無視してまた何か勝手なこと考えてらっしゃるんでしょ。それとも……わたくしなんかの意見なんてあなたには……あなたには……」
キュータはハッとすると、素直に頭を下げた。
「ごめん。そんな事ないよ。レオネ、僕は君が好きだ。バカみたいに好きだ。そのせいで理性がうまくいつも働かない。ごめんね」
「……その方がよろしいわ……。キュータさん、わたくし、キュータさんといる時はキュータさんを幸せにして差し上げたい」
「ありがとう。……レオネ、卒業したら私と結婚してくれないか?幸せにすると誓うよ」
ナインズが唇を寄せると、レオネはむぎゅっとそれを押し返した。
「できません、殿下」
「……誰かこのお姫様なんとかしてくれ……」
キュータはため息を吐くと、ふっと笑った。
「──おやすみ、レオネ。君の幸せな夢を祈っているよ」
「ありがとうございます。わたくしも。あなたが素敵な夢を見られることを祈っております。おやすみなさいませ」
一度彼女を抱きしめると、キュータは一階へ降りた。
リビングの戸をたたき、そうっと顔を覗かせる。
「おじさーん、ママさーん。すみません、遅くなりましたが帰りまーす」
「──あ、キュータ君。レオネ、見送りもしないで」
「いえ、僕が断りました。じゃあ、すみませんでした」
「こちらこそわざわざ届け物なんて。ありがとうございました。なんならもう少しゆっくりされて行かれては……?」
「いや……大丈夫です。護衛もいないですし……本当にごめんなさい。それじゃあ」
レオネパパとレオネママが首を傾げる中、キュータは一人大神殿へ向かいすたこらさっさとナザリックへ帰った。腕輪を一時的に持ってくれて、一緒に転移してくれる人がいないとキュータは相変わらず大神殿を経由しなくてはナザリックには帰れない。
そして、自分の部屋に戻る前に第六階層の一郎太の部屋に立ち寄った。
「ど、どしたのナイ様」
「いちたぁー!第九階層に帰る前に少しここにいさせてぇ!」
「もしかしてレオネ抱けた?」
「抱くわけないだろうが!!」
「ナイ様さぁ……早く抱いちゃえよぉ」
「無責任なこと言うな!僕は僕の聖女を──汚してる、今日めちゃくちゃ汚してるよ!!ああぁぁぁ……!!僕はバカだ……!!」
勝手に人の部屋で悶絶するナインズに一郎太は腹を抱えて笑った。
「はははっ、ナイ様バカになってんじゃん!ははは!全くレオネに何教え込んでんだか!」
「あああぁぁ……。おじさんもママさんも僕を信用してるのに……僕ってやつはぁ……」
「いや、レオネパパとレオネママは早く抱いてくれって思ってるでしょ。抱かれたらレオネの気も変わるだろって」
「そんな親がいるか!」
「……めちゃくちゃいると思うけど」
ナインズは勝手に来て勝手に悶絶して勝手に憤慨した。
「はは、ナイ様、良かったね」
完璧じゃない、人間らしい彼の姿は実に面白い。
「よくない!僕は一回根性叩き直してもらわないとダメかも」
「じゃあコキュートス様にぶん殴ってもらう?」
「それは死ぬほど痛い。──あ、冬休み、また訓練なのかなぁ……。訓練だとレオネに会えないな……」
「それこそ<
「……彼女がナザリックに来ると思うか?」
「陛下方に呼んで貰えば来るんじゃない?息子の彼女の顔が見たいとか言って。陛下方のお召しならねぇ」
ナインズは目をパチクリさせて一郎太を見た。
「君は天才か?」
二人はグーにした手をごつんとぶつけた。
一郎太、天才か?
やったじゃん!!ナザリック踏ませられるじゃん!!
もうタイトルの頭が悪い