ミニ御身の続きを望まれたので続きました!まさかの!
「あー冷や汗かいた……」
ちっちゃなアインズはぶちぶち文句を言いながらちっちゃなフラミーを連れて歩いていた。
「だって悟くんがいけないんだもん」
「……だもんじゃないです。えっち呼ばわりは禁止です。次言ったら本当に怒りますからね」
しばらく歩くと、エ・ランテルに来た目的のひとつであるパン屋の前に着いた。以前冒険者としてモモンとプラムが偶に立ち寄っていた店だ。昔は王国都市エ・ランテルにあったが、ズーラーノーン事件とザイトルクワエ事件のせいで釜を失ったパン屋の夫婦はここで店を再開した。
「ほら、着きましたよ。文香さんの好きだったパン屋さん」
フラミーはぷくぷく頬を膨らませていて、妙に子供じみて見えてアインズは少し笑った。
「はは。いつまでむくれてるんですか。仕方ないな。待ってて下さい」
アインズはとてとてパン屋に向かうと、見知った夫婦がこちらに向かって微笑んだ。
「いらっしゃい。見ない子だね」
「どうも奥さん。えーっと、コッペパンとソーセージドッグと……」
ちらりとフラミーを確認してから目一杯背伸びをしてパン屋の老婦人に小声で頼んだ。
「タルトタタンもお願いします」
老婦人は、奥さんなんて呼んでくる妙に大人びた黒髪黒目の少年と、むくれている
「任せてちょうだい。おばちゃんが一番大きいの選んであげるから」
老婦人がパンとタルトを包んでる横でアインズは店主と会計を済ませた。
「偉いなぁ坊主。妹さんかい?」
「いえ。妹ではないです。でもちょっとヘソ曲げちゃって」
「ははは。そうかいそうかい。何だか坊主たち見てると漆黒のモモンとフラミー様を思い出すよ」
アインズはギクリと肩を震わせると慌てて老婦人からパンを受け取った。
「は、はは。ご店主そんな、やめて下さいよ。フラミー様にも悪いですって。それじゃ、ご店主また来ます!」
走り去る少年の背中をパン屋の夫婦は呆然と眺めた。
「……今の挨拶は……それにあのセリフ……」
炊き出しの時にモモンが言ったそっくりそのままの言葉を吐いた妙に大人びた黒髪の美しい少年は、美しい
「……神様ってのは偉大なもんだねぇ」
「ほんとだなぁ」
老婦人はエ・ランテルを救った女神の力に改めて感服した。
フラミーは受け取ったパンを半分にモッソリと割るとアインズに渡した。
「へへ、ありがとうございます。はい。悟くんも食べてください」
「え?いいんですよ。文香さん食べたがってた奴じゃないですか」
「ううん。一緒に食べたいんです!」
二人はもそもそと素朴なコッペパンを食べながらヴァポレットに向かって歩いた。
「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」
アインズとフラミーは服の裾をピンピン引っ張られ、幼い声に振り向いた。
「ん?どうした?」
「あらら?どこの子でしょう」
「歩きながら食べたらお姉様に怒られちゃうよ!」「ちゃんと座って食べて!」
可愛らしい双子の少女はアインズとフラミーの手を取るとコンドミニアムに向かって駆け出した。
「わっ!ど、どこに行くんですか?」
「私たちのおうち!」「おうちのお庭!」
二人は開けられたままの美しい鉄製の大きな門を潜り、大人のサイズの時よりもかなり広く見える花園に足を踏み入れた。
「はい。ここで食べて!」「ちゃんと座ってね!」
双子はニコニコと嬉しそうに小さな噴水の縁を進めた。
「はは。ありがとう。随分気がきくじゃないか」
植えられたばかりでまだ小さかった木々は一年経ってすっかり元気に大きく育っていた。アインズはまるでガリバー旅行記だなとほかほかした。
「わぁ。素敵。ふふ。ありがとね」
フラミーはポフポフと双子の頭を撫でると双子に自分のパンを分けようとパンを割り差し出すと、双子は少し顔を見合わせてもじもじし始めた。
「ん?どしたの?」
「あ、あのね。知らない人からは何も貰っちゃダメって」「姉様とロバーがいつも言ってるの」
確かにそれはそうだとフラミーはアインズと目を見合わせた。
「そっか。そうだね。お姉さんの言いつけ守って偉いね。貴方達お名前は?」
「私はウレイリカ!」「私はクーデリカ!」
「可愛い名前!私は文香っていうんだよ!」
「フミカ、私たちと一緒で“か”が着くね!」「お揃い!」
四人は楽しげに笑い声をあげると、ガシャンッと何かを落とす音が聞こえ、そちらを見た。
「「お姉さま!」」
双子が姉に向かって駆け出し、ぶつかる勢いで抱きついたが、姉は呆然とアインズとフラミーを見ていた。
「あ……あぁ……」
「……あぁ、勝手に入ってすみませんでした。僕たちはこれで。さ、文香さんいきましょう」
「はは。仕方ないですね。怒られる前に行きま──」
「アルシェ!せっかく買ったばっかりだってぇのに!割れちゃったじゃないのよ!」
「イ、イミーナ!!クーデ!!ウレイ!!早く!!早く膝をついて!!」
その絶叫にフラミーはびくりと肩を揺らすとアインズの胸にすがった。何事かとアインズも小さなフラミーを抱きしめて頭を撫でていると──
「神王陛下!!光神陛下!!申し訳ありません!!妹達のご無礼をお許し下さい!!」
二人はエ"ッッッと声を上げるとお互いをまじまじと見あった。
「アルシェあんた何言ってんの?」
「イミーナ!!早く!!このお二人には陛下方と同じ魔力の奔流が見える!!」
アインズとフラミーは転移してきてからずっと神様神様と言われ大して身分を隠すこともなかったので、今まで片手で数えるくらいしか探知阻害の指輪をした事がなかった。小さなアインズはツアレの所で遊んでいたであろう守護者がコンドミニアムから駆け出して来たのをみると叫んだ。
「セバス!!!」
「あ、アインズ様、フラミー様!?護衛も連れずにこのような所で一体──」
「今は私達をその名で呼ぶな!この娘達の口止めをしろ!!それからこっちの娘の能力について聞け!!」
「か、かしこまりました、我が君!」
アインズは途端に膝を降り始めた
「フラミーさん、今日はもう帰りましょう」
「は、はひ」
ちっちゃなふたりは手を繋いで
その後、エ・ランテルでは神がたまに童子の姿で現れるとか、その側には同じく童子の姿に変えられたモモンが護衛についているとか、不思議な噂が流れたらしい。