「カップル転移で平和に世界征服だと思うじゃろ?別々転移で気が狂わんばかりのモモンガ様とか浪漫があると思う…!」
あぁ〜かわいい〜
どんだけif書くんですか〜
(こ、これでもし……もしもあの人がいなかったら……)
モモンガの指先は震えていた。
一体何事だとNPC達が騒めいているが、そんなことには構っていられない。
「っちぃ!!ええい!ままよ!!」
『あの──』
声が聞こえた瞬間モモンガは叫んだ。
「フラミーさん!!」
『モモンガさぁん!ふぇ、あの、あぁよかったぁ!』
「今、今どこですか!?すぐに行きますから!!」
『わかんないです、わかんないですけど、すっごく綺麗で……緑がいっぱいあって……。でも、真っ暗で、怖いですよぉ!モモンガさぁん!!』
向こうでフラミーの泣く声にモモンガの背筋が凍っていく。
「ま、まっくら……すぐに行きますから!!兎に角このままでいて下さい!!」
『はひ、はひぃ……』
モモンガが玉座を立ち上がり、駆け出そうとすると同時に冷静な声が響いた。
「フラミー様の救助部隊の編成を行って。私は今すぐモモンガ様の護衛としてセバスと共に出るわ」
モモンガはそんなことが出来るのかと、美しき悪魔へ振り向いた。
指輪を持たない二人と手を繋ぎ地上部へ出るとモモンガの眼前には目に沁む緑と野や山が広がっていた。
「な、なんてことだ……」
『ももんがさん……?』
「い、いえ、今いるところ、真っ暗なんですよね……?」
『はひ……お空にたくさん星が……多分、星が……』
モモンガは骨の手をギリリと握りしめた。
「……すぐに……すぐに行きます……!」
眼前に広がる真昼の世界は、とてもフラミーのいる場所と近いとは思えなかった。
モモンガはこれは闇雲に探し回ってもダメだと確信した。
「……お前達、フラミーさんのいる場所はおそらく遠い……。地球の裏側だ……」
アルベドとセバスが真剣な顔をして頷く。
『だ、誰と話してるんですか?モモンガさんは誰かといるんですか?それに、地球の裏側って……』
「……こっちはNPCがいます。それに、ナザリックがあるんです。──フラミーさん、冷静に聞いてください。俺のいるところは昼間なんです……」
『そ、そんな……』
「……それでも……すぐに行きますから……危なくないように、何か身を守る魔法を使ってください」
『うぅ、わかりました……。私も昼間の場所探しに行きます……』
「えぇ!?危ないですから!!隠れてて下さい!!」
『でも……でも早く会いたい……』
「わ、わかりました……。何か、護衛になる様なの出してください……」
『<
その呪文にモモンガは強い安心感を覚えた。
「……来たな」
竜は顔を上げた。
「どうしたんじゃ、ツアー」
「世界を汚す力が再び動き出したようだ。世界の悲鳴が聞こえたよ」
「……百年の揺り返しか」
重々しく頷いた
「リグリット、僕は少し旅に出る。君には悪いけど、ぎるど武器に関する情報を集めてはくれないか」
「解った。ではお主が向かう方と違う方向へ出よう」
二人は旅立った。
フラミーは六人の魔将に跪かれながら、ぐすぐすと鼻を鳴らしていた。
「うっうぅ……皆さん、私はフラミーって言います……。一緒にナザリック地下大墳墓を……探してください……」
「かしこまりした」
七人の悪魔の旅は始まった。ひたすら夜明けへ向かって飛び続けると、街が見えてきた。
「あそこで、少しお話聞いてみましょう……」
フラミーが街へトン、と降りると人々は呆然とフラミーを見つめた。
「あ、あの、ここって……」
「天使……」
「え?ここって、どこなんですか?」
「天使様だ!!」
途端に人々がワッと集まり、フラミーは自分の召喚した一人の悪魔の胸に縋った。
「ッ下等生物共!!フラミー様に許可なく近付くな!!それより貴様らここはどこだ!!」
燃え上がるような怒りに人々は腰を抜かし、その地の名を口にした。
「……お聞き覚えは……?」
「ないです……。ここは本当に……どこなの……」
フラミー達は再び飛び上がり、人々は呆然とその背を見送った。
その後、
悪魔達は召喚時間を過ぎると帰還してしまう為、フラミーはいつしか一人で空を飛ぶようになった。
一人の空は心細かった。
『──そうでしたか……。こっちは一番近いところはカルネ村って言うらしいです。昨日フラミーさんが言ってた地名をその助けた戦士長に聞いたんですけど、知らないそうでした……。評議国とか聖王国とか、西方三大国とかがこの大陸のはしっこみたいです……』
モモンガの情報収集能力は凄まじかった。フラミーは村を見つける度にその三つの国を口にした。
今日もフラミーは新しい村を見つけた。
「すみませーん!評議国とか、聖王国とか、西方三大国とかってご存知ないですか?」
人々はフラミーを見るなり天使天使と鬱陶しい。
「一番詳しい者は病に倒れておりまして──」
「じゃあ治しますから連れて行って下さい」
フラミーは適当に村の困り事を解決し、情報を代わりに提供してもらいながら旅をした。フラミーの歩いた所には天使の伝説が残され、のちに世界征服を行う際に多大なる貢献をするがそれはまだ先のお話。
フラミーはついに地図を手に入れた。
ここに隣の大陸があると聞くと、言われた場所に向かう事に決め、再び空を往く。
ほうき星のように飛び続けていると、ふと、自分を追って疾走する者を見咎めた。
「……足速い人がいる……」
フラミーは速度を落とし、ゆっくりと地に降りた。
「……ようやく止まってくれたね。君、評議国を探しているそうだけれど、何故評議国を探しているんだい」
唐突に喋り出した白金の全身鎧の男はフラミーを睨むようだった。
「あの……その近くに私の家があるんです……」
「……評議国の近くに君みたいな種族の者がいるとは聞いたことがないね」
「──え?もしかしてあなた、評議国の人なんですか?」
フラミーは瞳を輝かせた。
「……そうだよ。所で、君はぷれいやーかな?」
「え!すごい!そうです!もしかして貴方もプレイヤーですか?私、ずっとひとりぼっちで怖かったの!」
鎧の両手を取ると鎧はそれを軽く振り払った。
「僕はプレイヤーじゃない。君は随分と邪悪な存在みたいだけど──」
これまで天使と言われ続けて来たが、ついに悪魔だと解ってくれる人が出来たとフラミーは破顔した。
「──君は、世界に協力する者かな」
「……え?」
「君は世界に協力する者なのか教えてくれるかな」
「あ、あの……世界に協力って何ですか?」
「この世界を壊したり、あり方に干渉したりしないという意味だよ」
フラミーは数度首を縦に振った。
「私、このキラキラで綺麗な世界を壊したりしませんよ」
鎧の人は目を細めたようだった。
「それは良かった。でも、君がいつかその気持ちを忘れたら、僕は君を殺すだろう」
生まれて初めて聞く言葉に数度目を瞬く。
「ころ……す……?」
「そうだよ。さて、それじゃあ君を評議国へ案内しよう。僕の名はツァインドルクス・ヴァイシオン」
「あ、私はフラミーです」
「そうかい。フラミー、じゃあ、行こう」
二人の旅は始まった。
「……ツァインドルクス・ヴァイシオンさんですって……?」
モモンガ──いや、アインズは定時連絡を受けた。
『一緒に評議国に帰ってくれるそうなんです!だからモモンガさんも、じゃなかった。アインズさんも──えっ!?な、なんですか?ちょ、ツアーさん!離して下さい!』
「フラミーさん!?」
切れていた。
「フラミーさん!!──っくそが、おい!評議国に行くぞ!!」
「アインズ様、評議国と言えば竜王の国とあの下等生物が言っていた所では!?」
「だとしたらなんだ!!行くしかないだろう!!」
アルベドの制止を振り払うようにアインズは歩き出した。
「事と場合によっては──竜王だろうと何だろうとこの世から消し去ってやる!!」
+
「フラミー、あいんずのももんがと言えば……アインズ・ウール・ゴウンのモモンガか……?」
自分の両手を掴むツアーの言葉にぽかんと口を開ける。
「あ、あの……そうですけど……」
「……そうだったのか……君達は善良な者のようだ。良かったよ。スルシャーナを君は知っているかい?」
「し、知りません……」
そうか……とツアーは残念そうにした。
「まぁ、良い。神が信徒を知っているはずもないか……」
「神……?」
「こっちの話だよ。さぁ、通信を邪魔して悪かったね。続きを連絡してくれ」
フラミーは訝しむように再び
アインズは大層怒っているようだった。
「でもツアーさん、貴方のこと知ってるみたいですよ。アインズ・ウール・ゴウンのモモンガって」
『な、なんですって……今すぐそいつから離れて下さい!!危険だ!!』
「でも、貴方のこと善良な者だって」
『……は?アインズ・ウール・ゴウンのモモンガを善良な者だって言ってるんですか……?』
「言ってますよぉ」
『変な奴だな……何にしても気をつけてください……。俺たちは五日後には評議国に着けそうです』
「私は──ツアーさん、私達どのくらいで評議国に着きますか?」
フラミーの隣で話をふんふん聞いていたツアーは指を折っていく。
「そうだね、このスピードなら再来週には着くと思うよ」
頷くとアインズにそれを伝える。
『再来週……わかりました……。評議国で待ってますね』
「はい!すぐに行きますから!」
フラミーは幸せそうに微笑んだ。
「じゃあ、また連絡しますね!」
切ろうとすると、アインズの落ち込むような声が届く。
『あの、フラミーさん……』
「どうしました?」
『側にいられなくて……すみませんでした……』
向こうにいる人に自分の顔が見えれば良いのにと思いながら──
「心は側にいましたよ。待ってて下さい。きっと帰りますから」
カラッとした笑顔を見せたあと、そっと手を下ろしたフラミーはぎゅっと目元を拭いた。
二人は四六時中歩き続けた。
「フラミー、君は疲れないのかい」
「あ、ツアーさん疲れましたよね。すみません……私自分のことばっかりで……」
フラミーは疲労無効、飲食不要、睡眠不要の指輪を着けていたが、そう言えばこの人は大丈夫なのかと反省した。
「いや、僕は別に──」
「ダメですよ、次街があったらご飯食べましょうね!」
随分と無垢な様子にツアーは竜の顔を綻ばせた。
今回の揺り返しは随分と良い。
今後また死ぬまで共に世界を守ってくれそうだ。
ツアーはフラミーに手を引かれ、見え始めた街へ向かった。
+
「すみません……」
ローブで翼を隠しているフラミーは街の噴水でがっくり肩を落としていた。
ユグドラシル硬貨が使えなかったために、何も買えなかったのだ。
「いいよ。実は僕は物は食べないからね」
「そうなんですか……?」
「だけど……そろそろ眠りたい……」
ツアーの竜の身の疲労は限界だった。
どこでもいいから鎧を放置して眠りたい。
「あの……野宿でもいいですか……?」
「あぁ、構わない。とにかく寝よう……」
二人はふらふらと街を後にすると、木の根に腰を下ろし、二人夕暮れを眺めた。
「すまないけど、僕はもう寝るよ。君は好きにしてくれていい」
「私も久し振りに寝ようとおもいます」
「そうかい」
ツアーは鎧から意識を切り離すと眠りに落ちた。
これまで、家を目指すことで頭がいっぱいだったが、世界はどうやら綺麗なようだ。
フラミーはリアルで聞いた流行りの歌を口ずさみながら腕を組んで眠るツアーの側で花を摘んだ。
「おい、姉ちゃん」
「はひ?」
くるりと振り返る先には、十名程度の屈強な男たちがいた。
「
「
「聞いたことねぇな。っひっひっひ」
「それより、俺達と良いことしてあそばねぇか?」
「おら、立てよ」
フラミーは手にしていた花をギュッと握ると、側で眠っているツアーを揺すった。
唯の一度もこの世界で戦闘をしたことなどない。
フラミーの顔は青くなっていた。
「つ、つあーさん……」
「あぁ?兄ちゃん随分良い鎧着てるが……はは!こいつ狸寝入りしてやがるぜ!!」
「つあーさんは怖くって起きちゃくれねぇようだなぁ?」
フラミーは意味などないと解っているが
「も、モモンガさん!!」──伸びてくる手に、文明社会では感じたことのなかった強い恐怖を感じる。「あっ!や、やめて下さい!ツアーさん!ツアーさんってば!!」
腕を掴まれるとフラミーの背筋は凍った。
『フッフラミーさん!?ツアーさんに何されて──」
「た、たすけて!ツアーさん起きてぇ!」
『何!?何が起こってるんです!?』
「モモンガさんったす、助けて……怖い人逹が……きゃあ!!」
こめかみに触れていた手を引き剥がされ立たされると、折り返しの
「は、離してよ!!」
男達は筋骨隆々としていたが、意外に手を払えたことに一瞬安堵するが──「ッチ!!耳落としてやれ!!」
痛みを与えた事で一層怒りが増したようだった。
「っひ!」
男達が刃物を取り出した瞬間腰が抜けた。
「や、やだ……、やだやだ……!」
後ずさり、ツアーにトンと背が付くとフラミーは起きてくれないツアーの腕に縋り付いて小さくなり、叫んだ。
「メ──<
ゴォッと激しい熱が頭上に現れる。
「──フラミー!?」
「ッツアーさん!!」
「な──っくそ!!」
第十位階の魔法に呼ばれた星がその場に接近してくると、男達は空を見上げ、「何が」そう呟いて蒸発して消えた。
フラミーはツアーに覆い抱き竦められ、自分で呼び出した激熱に焼かれた。
ドッと地に星が落ち、近くにあった街は、美しかった野は消失した。
「な、なんなんだ……」
ツアーとフラミーが顔を上げると辺りは黒々と広がる死の世界になっていた。
「っ……つあーさーぁん!!」
泣いて己に縋る小さなぷれいやーにツアーは困惑した。
「フラミー、これは君がやったんじゃ……」
「怖かったよぉ、なんで起きてくれないんですかぁ!ばかぁ!」
「……す、すまなかったね……。それよりこの魔法は……」
わんわん泣くフラミーはとても話のできる様子ではなさそうだった。
しかし、熱せられた大地に露わになっている脚がジリジリと焼かれている様子にこのままではいけないと理解する。
抱き上げ、死の大地からツアーはフラミーを連れてトボトボと歩き出した。
(……これは……生かしておいても良いんだろうか……)
フラミーの目から落ちる涙は煤けた地に落ちるたびにジュッと蒸発して消えた。
頂いたメッセージ丸ごと使ったりしました〜
↓頂きしメッセージ
❤︎…きゃ…やっ!!いやっも、ももんがさんっ…
◇フッフラミーさん!?!?なっ何が…
❤︎た、たすけて、ツアーさん起きてぇ!
◇何!?何が起こってるんです!
❤︎あっモモンガさんったす、助けて…怖い人逹が…きゃあ!!
◇フラミーさん!!!
◇ッックソォ!!!!!
なんなんだ私は!!700も魔法を修得してこの役立たずぶりは!
………なんて…無力なんだ…っ
(震える声。肉体があったら涙をこぼしていただろう…)
(そして同じく無力感に押し潰されそうなナザリック面々/勿論めっちゃ泣いてる)