どうやって飛ばそう?
異世界かるてー☆が楽ちんだね☆
試される下水道後くらいのお話
IF 奇妙な話 #1
その日、アインズは玉座の間で一人、ギルドメンバー達の旗を眺めていた。
(……誰もいない……。でも……俺は皆の子供達を守るんだ……)
そして、玉座に腰を下ろした瞬間、ぽちり☆と鳴った。
「え?」
アインズは慌てて腰を上げると、そこには赤い謎のスイッチがあった。
「なんだこりゃ?」
拾い上げ様子を見たがおもちゃのようだった。
「まぁいいか」
アインズはふぅとため息を吐くと、謎の赤いスイッチをとりあえず
玉座を立ち、階段を降りていくとカツーンカツーンと杖が響く。
四十一枚の旗は後ろから数枚目にフラミーの物がある。
ただ一人、最後までNPCを製作しなかった彼女。
「……懐かしいな……悩んでたもんな、NPCの作り方……」
あの人の子はいない。きっと最終日、来ると思ったのに。
アインズは昔ウルベルトにフラミーが連れて来られた日の事を思い出しながら、
扉は自動で開いていき、アインズはその向こうに、幻を見た。
「およ?アインズさん、いつ帰って来たんです?」
きょとんとした顔をして、自分を見上げる藤色の天使──いや、悪魔の王。
「フ、フラミーさん!!なんで!?いや!!ついに!!ついにやっとこの時が──」
アインズはドカンと感情を爆発させると、それは消え、すぐに冷静になった。
フラミーが今きた所なら、アインズを"アインズさん"と呼ぶわけがない。
モモンガさんとフラミーは呼ぶはずなのだ。
しかもその背には翼が四枚、足首に謎の翼。いつものお団子頭も何故かほどかれていて、お粗末な出来だった。
──これは偽物だ。
アインズの中には途端に激しい怒りが渦巻いた。
しかし、それも鎮静される。
ふつふつと煮えたぎるような怒りがその身を焼いた。
「──クゥ、クズがぁああぁああああ!!この俺がぁ!!俺と仲間達がぁ!!共にぃぃぃいいい!!共にぃぃい作り上げた俺たちの!!俺たちのナザリックに土足で入り込みぃいい!!」
アインズは怒りを抑えきれずに何度も言葉を詰まらせた。
まるで深呼吸するかのように肩を激しく動かし続ける。
「さらにわぁあああ!友の!!俺の!!もっ、最も大切な仲間の姿を騙ろうとするぅううう!!糞がぁああぁあ!!許せるものかぁあああ!!」
アインズが激しい口調で叫ぶ。
フラミーの顔をよく真似た者の驚愕の瞳に怒りは膨らむ一方だ。
そんな中、
そして、やはり怒りは抑制された。
「──などと激昂したが、私達はここまで来たものを正々堂々、魔王として処分すると決めたのだ。さぁ、名乗れ。貴様の名はなんだ」
「あ、あの……大丈夫?疲れたの?」
フラミーの姿をした者は心配そうにアインズの顔を覗き込んだ。
「……名乗らんならここまでだ。死ぬが良い」
「アインズさん、落ち着いて。大丈夫だから。おいで?どうしたの?」
アインズはスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを握りしめる力を込めた。
「その姿なら傷付けられないと思ってるのか。まぁ良い。その姿を模した理由と方法も吐かせてくれるわ!!<
空中に三振りの黒き剣が舞い踊る。それらは意思を持つかのように即座に目の前の標的に向かった。
NPC達の叫び声が聞こえる。
「アインズさん!?<
途端に魔力由来のそれは解除された。
「なにぃ!?この私の剣を!!」
その魔法は術者の能力によって解除の成否が決まる。
それは互いの力は拮抗している事を意味した。
相手は一筋縄ではいかない。
「落ち着いて!!大丈夫だから!!怖くないよ!!」
「──フラミーさんをっ!!真似るなぁあぁあああ!!」
絶叫と共に詠唱する。
「<
三度同時に巻き起こった空間切断は体の前で手をクロスさせたフラミーから血を吹き上がらせた。
「っあぁ!!落ち着いて!アインズさん!!」
「その名は無効だあ!!<
「っくぁ!!」
アインズは殺してはいけないと分かってはいるが、魔法を繰り返し放った。
「<
そして体に魔法陣を纏うと血を撒き散らした者はアインズへ杖を向けた。
「っ壊させない!皆の住む──ナインズが育つ場所を!<
それは味方の魔法耐性を急上昇させる代わりに、魔法行使能力を壊滅的にする使い所を迷う第十位階の魔法。
フレンドリィファイアが無効化されている今なら敵味方関係なく使えるということか。
しかし、相手は
「これで延命したと思うな!!」
アインズはこの世界の者達が超位魔法を知らない事をいいことに砂時計を取り出し──「ごめんね!!<
白く輝く清浄な青い柱がアインズにズンっと落ちる。
第七位階のその魔法は悪に属性が傾いているとダメージを食らうはずだが、かけられた魔法の効果もあり、アインズは大したダメージを食らわなかった。──が、超位魔法の魔法陣は砕かれた。
「は!痛みか!!褒めてやるぞ!!」
白い柱が消えると同時に目の前には手を伸ばす者。
アインズはモモンとしてコキュートスの授業を続けて来たその身で避けようとしたが、手を伸ばす者がぴたりと体に付くのを避け切れなかった。
「あなた達!!ナインズを育てなさい!!正当なる支配者に!!あれは確かに私達の世継ぎです!!」
「フラミー様!?」
「<
二人の姿はかき消えた。
ティトゥスと
「う、嘘だ……アインズ様が……フラミー様を……そんな……!そんな!!守護者を呼べ!!」
「は、はい!ティトゥス様!──ルプー!ナーベラル!エントマ!今すぐ
ユリの号令に一斉に妹達が
「アインズ様のお怒りをとにかく収めないと……!」
「でも、フラミー様はアインズ様はどちらにお連れに……」
シズの疑問に答えられる者などいなかった。
激しい混乱と恐怖に、どのNPC達もフラミーの血溜まりの前でさめざめと泣いた。
「貴方達!!フラミー様とアインズ様が戦われたですって!?」
「フラミー様は今どちらに!!」
「父上!?フラミー様!?」
一番に現れたのは第六階層の水上ヴィラで知恵者会議を開いていた知恵者三名だった。
三人は夥しい量のフラミーの血を前に息を飲んだ。
「う、嘘です!!父上はそんな事!!」
「い、一体……一体何が……!!」
「アインズ様……フラミー様……!」
そう言っていると、転ぶ勢いで
「アインズ様は!?」「フラミー様ハ御無事カ!!」
まさかあの至高の支配者同士が争うなんて考えもしない。
守護者が付いていなかった事を悔やんでも悔やみ切れなかった。
すると、そこにはもう一つ
「あ、皆いるじゃん!アインズ様とフラミー様が喧嘩って何の冗談?」
「あ、あの、どう言う事なんですか?」
気楽な雰囲気の双子が入ってくると──
「私がフラミーさんと喧嘩なんかするわけがないだろうに。お前達大丈夫か?」
続いて、やはり気楽な雰囲気の支配者。
守護者達からは何なんだと言う疑いの空気が
あの戦闘を目撃していた者達は目を見合わせた。
そして一つの結論に至る。
「ま、まさか……フラミー様を……!!」始末したと言うのか。
「アインズ様!!フラミー様をどうされたのですか!!」
全員が血相を変え叫ぶように詰め寄った。
「ど、どうって、今日はあの人は
「アインズ様!!フラミー様をお返しください!!」
「ま、待て待て。フラミーさんを呼んでやる。少し待て」
アインズはこめかみに触れ、応答を待った。
しかし、
「──何なんだ?お前達、私はフラミーさんに関わる冗談は好かんぞ」
骸の瞳にギリリと睨まれたNPC達は一瞬竦んだが、すぐに己を取り戻した。
「フラミー様をお返しください!!早くお手当てをしなければ!!」
ユリは強い調子でそう言い、赤紫色の血溜まりを指差した。フラミーと特に仲の良かったやまいこに創造されたユリはフラミーを強く慕っていた。ぶくぶく茶釜に創造されたマーレや、餡ころもっちもちに創造されたペストーニャと同じように。
ユリはフラミーがお団子頭だった時にはよくその髪を結っていたのだ。
「な、フラミーさんはどこだ!?この血は!?」
双子以外はアインズを信じられないものを見るような目で見た。
「アインズ様がされたのでしょう!!」
「そんな筈があるか!!あの人は私の全てだぞ!!」
「しかし現に御身がフラミー様を傷つけ──フラミー様はナインズ様が……正当なる支配者だと言い残し──!!」
言葉は震え、ユリは泣いていた。
「あ、あの!お、おかしいです!!ぼ、僕、ずっと、ずっと巻き戻し研究所でアインズ様が研究されてるのを見てました!!」
「ま、まーれさま……」
「あ、そうだよ!だって、あたしが地下牧場の工事して、マーレは掘削に疲れてアインズ様のベッドで休憩させて頂いてたんだから!」
「じ、じゃあ……じゃああのアインズ様の姿をしていたのは……?確かに至高の御身の気配を……。まさかアインズ様の……偽物……?」
アインズは骨の手を口に当て首を左右に振った。
「そ、そんな……じゃあ、この血は──フラミーさん──」鎮静されると、途端にクリアになった頭でアインズは叫んだ。
「フラミーさんを捜せ!!」
「<
フラミーはアインズと共に沈黙都市に来た。そして、アインズの気持ちが冷静になるまでナザリックに帰れないように転移を阻害した。
「っ貴様!!離せ!!離れろ!!」
「離れないよ、約束したじゃない」
「なにぃ!?どこまでも忌々しい!!<
全魔法の中でも最上位の効果範囲がある、使用した本人も効果範囲の中に入る魔法だ。
しかし、<
小さな爆発は二人だけを巻き込み消えた。
「っはぁ……っうぁ……ぅ……」
フラミーからは大量の血が失われ、朦朧とした意識のまま、夢のようだったこれまでを振り返った。
「あぁ……あなた……ずっと好きだった……。ずっと……ずっと……。あなたがないんずを……かぞくを……わたしに……はじめて……」
「ええい!わけのわからん事を!!離さんか!!」
「はぁ……ないんず……ごめん……。おかあさん、わたしのさみしさを……あなたにおしつけちゃう……。つあーさん……ごめん……やっぱりわたしじゃ……だめだった……」
アインズが知らない名前は語られて行き「──みんな……みんなの、かわりに……ももんがさん……を……こどくから……。うるべるとさん……ぺろろんちーのさん……みんな……──」
それを聞いた瞬間アインズの脳の裏に黒く冷たいものが走った。
「フ、フラミーさん!?ぽ、ポーション!!ポーション!!!」
アインズは半ば狂乱しながら持っているユグドラシルポーションを取り出し、フラミーにかけた。
たった一本ではそのダメージを全て治す事など叶うはずもなく、何本も何本も取り出してはかけた。
その飛沫が自分を焼き、ダメージを与えても構わずに続けた。
「あぁ!!なんで!!なんでぇ!!フラミーさん!!俺は!!どうして何だぁ!!その姿は!!どうして俺の新しい名前を!!」
何度も鎮静されながら、流れない涙を流しそうになりながらその作業は続けられた。
持ち歩いている分のポーションを使い切ると、フラミーを抱き上げ、転移阻害範囲から出ようと必死に走った。
「──っはぁ!はぁ……はぅ……」
「フラミーさん!?」
「あぁ……さとるさん……ごめんね……」
「何でその名前を!?フラミーさん!!」
「さいごに……文香って呼んで……もう、殺すって言うなら……」
「しません!!二度としませんから!!フラミーさん!!」
「こわいよ……さとるさん……しぬの……こわい……。ああ……でも……あなたのお母さんに……向こうであなたは元気だって言える……」
「っそんな!!あなたのお母さんに顔負けできない!!」
「おかあさん……わたしの……あぁ……おぼえてる……?あの日の……ふたりでどらごん狩りした日の……わたしのおねがい……」
「覚えてる!覚えてます!!ちゃんと、母さんに言伝てを頼みました!!あなたのお母さんに、フラミーさんは元気だって……転職もうまくいったって!!あれから毎年必ずフラミーさんの報告だってして来ました!!」
「はぁ……ありがとう……。うれしい……。あの日……あまのまさん……よろこんでたね……。わたし、あの竜の骨粉……記念にもらったんだ……。今ももってるよ……」
「フラミーさん!フラミーさん!!」
アインズは二人しか知らない思い出を語るフラミーを前に、ごちゃ混ぜになった感情が湧き上がり、ただひたすらに沈静を繰り返した。
ようやく転移阻害の効果範囲を出たかと転移を試みようとするが、<
いや、厳密にはどこへ飛ぶかわからない、ひたすらにあやふやな魔法になっている事をアインズは感じた。
「フラミーさん!お願いします、自分に
「はぁ……ふぅ……。許して……ないんずとこの世界を……」
聞こえているのか聞こえていないのかフラミーは再びそう言った。
「あぁ……俺は……俺は……!!っなんて事をぉおお!!」
鎮静され、知らない瓦礫の街でフラミーを抱いて蹲るように崩れた。
「っうぅっ……うぁ……おれは……おれはぁ……」
すると、近くにアンデッドの反応が現れたのをアインズは感じた。
フラミーを危険に晒してはいけない。アインズはどんどん近付いて来るその反応の方をギッと睨み付けた。
「フラミーさん!!──な……!」
「な……!?」
向こうから来たのは確かに自分だった。
導入のぽちり☆からの温度差が激しい
続く?