「奥様っ! どうか顔をお上げください!」
「うわあ!?」
突然部屋に押し入ってきたメイドさんに歩は仰天した。
咄嗟に布団を下半身に被せる。そんな事をしてもアイリが素っ裸なのだから言い逃れしようがないのだが、流石に初対面の女性相手にフルチンでいられるほど図太くはない。
飛び込んできたメイドさんは銀髪赤目の美少女だった。目元がキツめで性格をよく表している。それも今は泣きそうにくにゃりと曲がり、彼女の心境を反映していたが。
しかも、メイドさんは一人ではない。先に入ってきたメイドさんの後ろからもうひとり、同じ服装の女性が入ってきた。こちらは少し眠たげというか力が抜けたような少女で、いくらか落ち着いているようだった。
二人とも、それこそ人形のようなとんでもない美少女だ。その風貌からアイリの関係者なのだろうという事は容易に想像がつく。
つまり、アイリの身内に浮気現場へ踏み込まれたという事である。やばい、どうしようアイリさん──と人妻を見るが、驚いた事に彼女は動じていなかった。
「あら、入って来ちゃったのセラ。今いい所だったのに」
「え……お、奥様……?」
「どうせなら最後まで見ててくれれば話が早かったんだけど。まあセラはそういう性格だものね……ん」
呆気に取られるセラをよそに、アイリがリズを見る。
内面を窺えない無表情。少し頬が赤らんでいるが、それだけだ。
だというのに、アイリは正確にリズの現状を把握していた。それは歩のものになった事で目覚めた女の嗅覚であり、またかつてリズと同じ目に逢ったからでもあった。
「……そっかそっか。リズは早くもそうなっちゃったかあ。だーりんったらまだ顔を合わせてもない女の子を、ねえ……♥️」
「な、何をおっしゃっているのですか? そんなコトより、どうぞこちらをっ」
セラがクローゼットから白色のガウンを取り出しアイリの肩にかけようとする。
しかし、アイリはそれを手で制した。断られるとは思っていなかったセラが目を白黒させる。
「お、奥様? どうされたのですか? 早くこちらで身体をお隠しに……」
「いいのよ、減るもんじゃあないし。それより、聞きたいコトがあるんじゃないかしら?」
「そっ……それは……」
セラがちらちらと歩を見る。聞きたいかと言えば、とてつもなく聞きたい。少年が何者なのか。少年とアイリの関係を。
しかしセラは切り出せず口をもごもごとさせるばかり。それは恥ずかしくて聞けないという事もあったし、聞いてしまえばその時こそもう後戻り出来ないという事でもあった。
だが、
「──アイリさま。その子は、うわきあいて、ですか?」
「なっ……り、リーゼリット!?」
「あら、大胆ねリズ」
それをあっさり破ったのは彼女の妹だった。まごついている姉を押し退けるように単刀直入に質問する。
アイリはさらりと、
「浮気、っていうとおかしいかも。率直に言うとね、私が一番愛してるのは彼のコトだから」
「え……あ、愛して……?」
「うん、彼を──だーりんをね。見てたでしょう、だーりんと私のエッチ。言っておくけど、今日が初めてとかじゃないわよ? もう私の身体でだーりんが触れてない所なんてないし、心もぜ~んぶだーりんのモノなの♥️」
「だ、だーりんというのは」
「決まってるでしょう? この子よっ」
セラにそう言って歩に抱きつく。ふんわりと柔らかい豊乳が二の腕に押し付けられた。
「アイリさん、今はまずいんじゃ……」
「ほら、だーりんはもっと堂々としてて? 何も悪くないんだもの。あ、それよりごめんね、セラとリズが盗み見してるって教えなくって。説明するより見せた方が手っ取り早いかなーって、あえて黙ってたの。ふふ、ドキドキしたなあ、他人に見られながらだーりんとエッチするの♥️」
「お、奥様ぁ…………」
自分を放ってイチャイチャし出すアイリにセラは半泣きである。浮気を止めるどころか見せ付けている節のある主人にたじたじだ。
「アイリさま。聞いてもいい?」
「あら、なあにリズ。なんでも聞いて頂戴」
再び役に立たなくなってしまったセラの代わりにリズが進み出た。呆、とした視線をアイリに向け、
「まず。旦那さまのコトは、忘れたの?」
「うん? 勿論忘れてなんかないわよ。あの人は私の愛する家族だわ。
……でも、それが異性の愛情かっていうと、ねえ。そりゃあ無くなったワケじゃないけど……だーりんと比べたら百分の一か、千分の一か……ううん、一万分の一? もっとかしら? まあそんなところね。だーりんっていう、運命の人を見つけちゃったんだもの。あの人を一生添い遂げる相手だと思ってた頃もあるけど、それは勘違いだったみたい」
「なるほど」
聞きようによってはひっくり返ってもよさそうな告白だ。現に隣のセラは泡を吹きそうである。
しかしリズはこくこくと頷くだけ。それはむしろ、推測していた内容を確認するかのようだ。
「じゃあ、イリヤのコトも、私たちのコトも。忘れたり、どうでもよくなったわけじゃない。ただ、その子が、ずっと大切になっちゃった、ってコト?」
「ええ、そうよ」
「さっきまでのを、見せたのも……ううん。このお店も、私たちを日本に呼んだのも。彼の、ため」
「そうよ、その通り。よく分かったわね」
「ん。やっぱり、思ったとおり」
「あ、あのう?? ついて行けないんですけどー!?」
二人だけで謎の理解をしている主人と妹にセラが叫んだ。
実際、常識的にはおかしいのはアイリとリズの方でありセラはむしろまともなのだが、非常識な相手に囲まれてしまうのが彼女の運の無さである。
「セラ、分からない? かんたんなコト」
「ぜ、全然簡単じゃありませんっ」
「ううん。すごくかんたん」
リズは困惑する姉を見て、
「その子は。すごく、つよいオス。アイリさまよりつよい。アイリさまは、その子に負けちゃった。好きになっちゃった。だから、なにかあげたい。惚れたよわみってやつ」
「は、はあ……?」
「セラでもわかるくらいかんたんに言うと。アイリさまは、もう私たちの主人じゃない。……ううん。せいかくには、いちばんの頂点じゃなくなった。
私たち、っていう群れはのっとられた。それで、いままで私たちがアイリさまのメイドだったみたいに、アイリさまはその子に貢いで、ご奉仕するたちばになった。
あとは、分かるでしょ。貢ぐものは、いろいろあるけど。ゴハンとか。お金とか。たぶんそういうのは、もうあげたあと。
だったら。ほかにオスに捧げられるのは、若いメスだよね」
「──────」
セラは、固まってしまった。あんぐりと口を開けて、リズを見るばかりだ。
ぱちぱちと拍手の音が響く。アイリが手のひらを叩いていた。
「正解っ。凄いわリズ、貴方やっぱり資質があるわ!」
「このくらい、かんたんに分かる。セラじゃあるまいし。えっへん」
「っっ……この、得意気な顔してるんじゃありませんっ! 貴女ね、それが本当なら私たち、その子に……っ!?」
怒鳴りながら反射的に少年の方を見ると、不安そうな彼と目があった。
どくん、と心臓が跳ねて、セラが慌てて目を逸らす。顔が熱い。堰を切ったように堪えていた感情が溢れ出す。
(な、なんでこんなにドキドキして……!? ええい、この子は奥様を陥れた悪魔なのよ……!!)
どうにか胸の高鳴りを抑えようとする。
歩とアイリのセックス、更にアイリの土下座は、セラにも大きな影響を与えていた。その理性を狂わせかねないほどに。
敬愛していたアイリが完全に叩きのめされるのを目の当たりにしたのだ。もう、この少年が並外れて優れたオスだという事は疑いようもない。
ホムンクルスとしての性質も無関係ではない。彼女たちは、根本的に人に傅く存在である。その傅く相手であるアイリが崩れたと知ったならば次の主人を求めるのは必然。そして今、セラたちを従えるほどの人間は、歩しか有り得ないのだった。
「ふふっ。二人とも、自分がここに呼ばれた意味、分かってくれたみたいね♥️
……それじゃあ、さっそくだけど」
「あっ」
二人の様子を見たアイリが笑いながら歩の腰にかかった布団をめくる。
そこにあったのは、勿論歩のチンポ。それも、歩の精液とアイリの愛液でべっとり汚れたチンポだ。射精した直後である、今は萎えているが、その気になればすぐに復活する事をアイリはよく知っていた。
「ひっ……!!」
「……ん……」
セラが息を呑み、リズが喉を鳴らす。
二人の視線がチンポへ吸い寄せられる。彼女たちの主を叩き潰し、堕として見せた傑物へと。
「命令よ……って、私はもう貴女たちの主人とは言い難いけどね。
ほら。どちらかだーりんのおちんちんを綺麗にしてみて? 大丈夫、私が保証するわ。だーりんの女になれるって、これ以上なく幸運で幸せなコトよ♥️ これはその第一歩。ほらほら、勇気を出してみない?」
「っ、ぅ…………!!」
どきんどきんどきん──と、セラの心臓が痛いほどに跳ねる。
イヤなはず。触れたくもないはずなのに、何故か目が離せない。粘液まみれの肉棒。汚れまくった生殖器。
口内に唾液が溜まって、溢れてしまいそう。この唾液が乗った舌をあれに張り付けたいと、自然に思ってしまう。主人を欲するホムンクルスとして、またエッチに興味津々な初心なメスとして。その両方が、あのチンポを求めてやまない。
それでも。セラは、どうにか本能の囁きを堪えようとする。
(だめっ、だめだめだめ……! 毒牙にかかってはいけません……! イリヤ様だって、『彼』だって、私たちの帰りを待っていますっ。もちろんあんな人好きじゃないです、好きじゃないですけどっ! でも、想いは私もリーゼリットも同じ。だったら、私たちはちゃんと戻らないと……!!)
異国の地で待つ可愛いお嬢様、そして姉妹揃って淡い想いを抱く少年。彼らの事を思い出し、煩悩を振り払う。これは一時の気の迷い、アイリの行為にあてられただけ。そう念じて元の自分にしがみつく。
いや、しがみつこうとする。
──もちろんセラもとっくに手遅れ、あとは歩にどう美味しく戴かれるかという段階であり。
彼女の妹は、一足先に少年に跪く事を決めてしまっていたのだが。
「……分かった。私とセラ、どっちかが、やらないといけないんだよね」
「え……リーゼリット?」
今までの積み重ねにすがり、衝動を抑えようとする姉。
それを尻目に、妹があっさりと歩み出た。セラは信じられないようなモノを見る目だが、既にリズは確信していた。
アイリを負かした男の子。彼こそ、自分が仕えるに相応しいオスではないか、と。
「セラは、決心がつかないみたい。
……しょうがない。うん、しょうがないから──私が、やる」
他に適任はいないのだから、と呟く。
しかしその真っ赤に染まった顔を見れば、彼女の本心は透けて見えるようなものだった。
エロまで行きませんでしたが、切りがいいので。
次もほぼ書けているので早めに投稿したい。
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