※この作品はR-18です。

BALDR GENESIS~Revive of Future World~双葉√   作:デスイーター

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Chapter2/第二遺跡ーChange of Everydayー
情念ーDependent Loverー


 ────俺は、得体の知れない衝動に侵されていた。

 

 渇き、最初に感じたのはそれだった。

 

 どうしようもなく、渇く。

 

 欲するものが目の前にあるのに、手を伸ばせない。

 

 そんなもどかしい想いが、強烈な欲望に直結していた。

 

 …………欲しい。

 

 苦戦すらせずに手にする、徹底した勝利が。

 

 相手を嬲り痛め付ける、加虐の快楽が。

 

 つまらない常識など、必要ない。

 

 どんな手段を使っても良いから、その快感を手にしたかった。

 

 ……違う/本当にそうか? 

 

 俺は、そんなもの求めていない/正直になれよ

 

 常識は、捨てちゃいけない/誤魔化すなよ

 

 うるさい、黙れ/いーや、黙らないね

 

 お前は、誰(・)だ?/さあ、誰だろうなぁ?

 

 俺の自問自答は、いつの間にか俺以外の誰(・)か(・)との会話になっていた。

 

 それが誰なのかは、分からない。

 

 けれど、それは自分以外の誰かではなく────自分の内から生じた声にも、聞こえた。

 

声(・)の主は俺の肩に腕を伸ばし、耳元で囁くように告げる。

 

 ────素直になれよ、兄弟。こ(・)っ(・)ち(・)は、楽しいぜえ────

 

 ────気付けば、俺は自分の機体の中でその光景を見ていた。

 

 あれ程の難敵だったイニクィタティスを、あっさりと撃破していた。

 

 二機のイニクィタティスを破壊した時の快感は、忘れ難い。

 

 一度は死の寸前まで追い込まれた相手を、容易く蹴散らす快感。

 

 それは、今まで味遭ったどんな勝利よりも────格別な、味がした。

 

 全能感にも似た昂揚感に支配され、思考が熱に浮かされていく。

 

 そんな時に、女(・)の声が聞こえた。

 

 視線を向ければ、極上の身体をした女が俺に必死に呼びかけている。

 

 そして、ほどなく俺の前に美しい……兎のような戦闘用電子体(シュミクラム)が姿を見せた。

 

 女だ、犯せ/……何か、大切な事を忘れている気がする。

 

 敵だ、殺せ/いや、あれは本当に敵なのか?

 

 暴れるのに、理由なんかいるかよっ!/待て、お前は……っ!

 

 俺の機体(からだ)は俺の意志を置き去りにして、兎型のシュミクラムと戦闘を開始する。

 

 空中を縦横無尽に駆け回る機体に、俺の機体は異常な反射神経を用いて対応していた。

 

 いつもの俺であれば、瞬殺されて然るべき相手だ。

 

 ……だからこそ、異常に気付いた。

 

 俺の身体を今動かしているのは、俺の意識ではない。

 

 戦場の熱に浮かされた俺が暴走している、ワケではない。

 

 俺(・)以(・)外(・)の(・)誰(・)か(・)が、勝手に俺の身体を動かしている。

 

 それは、とてもではないが看過できる事ではなかった。

 

 おい、勝手に人の身体を使うんじゃねぇ!/うっせぇ! 引っ込んでろっ!

 

 俺の身体は、俺のもんだっ!/違うね、今は俺様のモンだっ!

 

 止まり/黙り、やがれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!

 

 俺は、俺の身体の自由を取り戻そうと機体(おれ)の中で足掻く。

 

 そして、その隙を逃す程────兎型の搭乗者は、甘くはなかった。

 

 がっ、こいつは……っ! ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……っ!

 

 兎型シュミクラムによって叩き込まれた何かのプログラムが機体に流入し、俺を苛んでいた声(・)は悔し気な叫びをあげながら鎮静化していく。

 

 自分の身体を取り戻した安堵の所為か、俺の意識もそのまま落ちていく。

 

 ────忘れんなよ。一度取り込んだ以上、俺様はもうテメェの中にいるって事をよ────

 

 ────その刹那、吐き捨てるように告げられたそんな言葉を耳にしながら。

 

 

♦

 

 

「……う……」

 

 目を覚まし、意識が覚醒していく。

 

 微睡みから覚め、初めに目にしたのは────見慣れた、自室の天井だった。

 

「……俺の、部屋……? 俺は、たしか……」

 

 【未踏領域】にいたのではなかったか、と呟こうとした刹那、自分の手が誰かに握られている事に気付く。

 

 目を向ければ、そこには不安気な表情でこちらを覗き込む双葉が俺の手をぎゅっと掴んでいた。

 

 双葉は俺が目を開けた事を確認すると、強い力で倒れ込むように抱き着いて来た。

 

「怜二……っ! 良かった、目が覚めたんだね……っ!」

「あ、ああ……双葉、俺は……」

 

 俺は双葉の柔らかな身体を受け止めながら、現状を確認する為の問いを口にする。

 

 それで俺が何を求めているか分かったのだろう。

 

 双葉は俺に抱き着いたまま、おずおずと口を開く。

 

「その……怜二は、何処まで覚えてるの……?」

「何処までって、俺は【統率個体】と戦って、その最中に……」

 

 胴体を貫かれて、と口にしようとしたが、違う。

 

 そ(・)れ(・)だ(・)け(・)で(・)は(・)な(・)い(・)。

 

 俺はイニクィタティスに胴体部を貫かれ、ウイルスを流し込まれた後、原因不明の復活を遂げた。

 

 しかし、イニクィタティスの特性は想像以上に厄介な代物であり、限りなく詰(・)み(・)に近い状態だった。

 

 故に様々な方策を検討していたのだが、その刹那……声が、聞こえたのだ。

 

 ウイルスから復帰した時に姿を見せた、謎の少女の声が。

 

 俺はその声が聞こえた後、機械音声による妙なアナウンスが脳内に流れ、そのまま意識を失ったのだ。

 

 その事を話すと、双葉は難しい顔をしたままぽつぽつと双葉が知る限りの状況を説明してくれた。

 

 曰く、俺はウイルスから逃れた後、【統率個体】との対峙の最中にいきなり苦しみだし、沈黙した後シュミクラムの形状が変わって行ったのだという。

 

 その時のデータを見せて貰ったが、異形の悪魔のような風体と化した自機を見て愕然とする他なかった。

 

 俺はそのまま【統率個体】との戦闘に突入し、結果として勝利したのだという。

 

 だが、俺の変貌は元に戻らず危機感を募らせていた時に、朧げな記憶の中にいた兎型のシュミクラム……ヴォーパル・ラビットの搭乗者、六条有栖が現れたのだという。

 

 有栖はあの序列19位、【首狩り兎】であり、暴走状態にあった俺を止めようと申し出てくれたらしい。

 

 双葉は色々考えた末にその提案に乗り、双葉の依頼を受けた有栖は俺を瞬く間に制圧し、双葉の用意したプログラムを打ち込み、俺を止めてくれたとのことだった。

 

 そして両腕を破損し尚且つ意識のない俺を有栖に通常階層まで運んで貰い、双葉が俺を強制離脱(アポート)させて今に至るのだという。

 

「……そうか。その有栖って子には、感謝しないといけないな」

「別にいいわよ。あっちだって打算があって助けてくれたんだろうし、気にする事はないわ」

 

 俺の呟きを聞いた双葉は目に見えて機嫌が悪くなり、その有栖という少女に明確な隔意がある事が見て取れた。

 

 敵味方の判断基準が極端な双葉ではあるが、今回は流石に注意しないといけないだろう。

 

「お前なあ、打算があろうとなかろうと助けてくれたのは事実なんだから少しくらい感謝したって……」

「……私より、あの女を取るの? 怜二」

 

 いいじゃないか、と言おうとしたのだが、双葉はそれを許さなかった。

 

 何処か虚ろな瞳で俺を睨みつける双葉に、俺は何も言えなくなってしまった。

 

 ………この表情には、覚えがある。

 

 俺が諸事情で双葉と離れて行動していた時、まるで発作のように俺への依存を露わにした時の顔だ。

 

 双葉は俺の背中にきつく爪を立て、ずい、と顔を至近距離まで近付けて来る。

 

「ねえ、なんで他の女を気にするの? 私だけじゃダメなの? ねえ、怜二。教えてよ。お願いだから否定してよ。ねえ怜二、なんで私といるのに他の女の話をするの? ねえ怜二、なんで私の言う事を聞いてくれないの? 私だけの怜二でいてくれないの? ねえ、ねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえ────私はもう、要らないの?」

「……双葉……」

 

 双葉の発(・)作(・)を眼にして、俺は胸が締め付けられるような思いに駆られた。

 

 ……双葉は何かの切っ掛けで情緒不安定になると、こうして感情を爆発させる。

 

 俺という依存対象が、自分から離れていくのではないか。

 

 そういった被害妄想が、双葉の感情のタガを外させた状態が────これだ。

 

 この状態の双葉は、何を言おうが聞く耳を持つ事はない。

 

 ただ、双葉にとって都合の良い言葉を聞かせて、傍にいる事だけが、唯一の解決方法だった。

 

「大丈夫だって。俺は、何処にも行かないから────心配かけて、ごめんな」

 

 けれど、それは今回の件が双葉の心を深く傷付けた事を意味する。

 

 ギルドで会ったホークスの忠告も、双葉の懇願も蔑ろにして【未踏領域】に挑んだ結果が────これだ。

 

 自分は、甘かった。

 

 序列二桁になった事で、浮かれて────自分の身だけではなく、双葉の心情を軽く見てしまった。

 

 弁解のしようもない。

 

 明確な、俺の落ち度だった。

 

 だから、どうにか双葉に落ち着いて貰おうと……言葉を、かけた。

 

 いつもなら、この後暫く一緒にいれば双葉は納得してくれる。

 

 今回もそれしかないと、俺は────楽(・)観(・)、していた。

 

「────駄目。怜二は、私だけの怜二じゃないと、駄目なの」

「双葉……? んむ……っ!?」

「ん……」

 

 ────双葉はそのまま顔を近付け、俺と唇を重ねた。

 

 双葉は俺の口内に舌を突き入れ、俺の舌を絡め取る。

 

 突然の事で硬直した俺の口内を双葉はたっぷりと味遭い、他人の舌が口の中を這い回る快感が俺の脳髄を痺れさせる。

 

「んん……っ!?」

 

 そして、双葉から口移しで何か、錠(・)剤(・)の(・)よ(・)う(・)な(・)も(・)の(・)が俺の口内に押し込まれた。

 

 俺はなんとか吐き戻そうとするが、双葉は自分の唾液を送り込み、そのまま俺の口内を制圧し、唾液を錠剤ごと飲み込ませた。

 

「……ふぅ……」

「ぷは……っ! 双葉、今、一体何を飲ませ……ぐ……っ!?」

 

 双葉に突然の暴挙の理由を尋ねようとして、止まる。

 

 ……身体が、熱い。

 

 俺の身体が言い様のない熱を帯びて、思考が霞がかってくる。

 

 視線は唾液で濡れた双葉の唇やタンクトップから覗く深い胸の谷間に吸い寄せられ、我知らずごくりと唾を呑んでしまう。

 

 目の前の女を抱きたいという衝動が、どうしようもなく沸き立っていた。

 

「ふ、双葉……これ、まさか……っ!?」

「……ええ、媚(・)薬(・)よ。正確には、性欲を強制的に上昇させる効果を持つナノマシンだけど。性欲を発散しなきゃ、酷い事になるわね」

 

 双葉は平然と、ただ事実のみを告げるようにそう言った。

 

 瞳からはハイライトが消え、代わりに明確な情欲が宿っている。

 

 そんな双葉の濡れた瞳で射竦められ、俺は身動き一つ取れなくなってしまう。

 

「怜二は、私がいなきゃ駄目なの。私が傍で見てなきゃ、怜二は勝手にどっか行っちゃうの。だから、私を抱かせて私だけのものにするの。そうすれば怜二は勝手にどっか行っちゃう事もないし、他の女に目移りする事もないでしょう? 前(・)は手だけで終わっちゃったけど、今度は本(・)番(・)もちゃんとさせてあげる」

 

 だから、と双葉は俺の手を掴んで自分の乳房に押し付けながら告げる。

 

「────怜二、私だけのものになって。私の身体を滅茶苦茶にして、私の味をしっかり覚えて。なんだってさせてあげるから、私を抱いてよ。怜二」

 

 ────俺の理性が残っていたのは、そこまでだった。

 

 柔らかな乳房の感触を俺の手に味遭わせながら告げられた双葉の誘惑の言葉は、媚薬に浮かされた俺の理性を完膚なきまでに破壊した。

 

 俺は双葉の誘いに乗り、その手を引いてベッドに引き込んだ。




 はい、というわけで次回濡れ場です。

 これが今回もR-18タグを採用した理由。

 双葉ちゃん、割とエロゲーヒロイン的な性格してるので、随所で濡れ場を捻じ込もうとします。
 
 なので、R-18タグつけとかないと色々やり難くなるんですねこれ。

 まあ、この作品のコンセプト自体「自作エロゲー」だからなあ。

 明日は諸事情で更新出来ませんが、明後日はきちんと更新します。

 毎日更新は基本、このまま継続しますのでね。定期的に更新出来ない日はあるけども。
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