※この作品はR-18です。

BALDR GENESIS~Revive of Future World~双葉√   作:デスイーター

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遭遇ーEncounterー

『ぐ、がぁぁぁぁぁ……っ! 俺の、俺の腕がぁぁぁぁぁ……っ!』

 

 視界の先で、損傷によりその姿が露わとなったフェネジールの機体が膝を突き、痛みで苦しむフェネジールの声が聞こえて来る。

 

 シュミクラムは、電子体を換装したものだ。

 

 当然機体へのダメージはダイレクトに本人に伝播するし、痛覚も当然繋がっている。

 

 故に、創作で出て来るロボットと違い、腕を斬られれば痛みを感じ、部位欠損ともなればその激痛は察して知るべしである。

 

 加えて、奴の【固有兵装】の能力を考慮すれば、被弾する機会など殆どなかったに違いあるまい。

 

 【固有兵装】でその姿を隠し、背後から奇襲する。

 

 それが奴の、フェネジールの戦闘スタイルの筈だ。

 

 そして、最初に意味もなく姿を晒し、その後わざわざ自分の能力を声高に解説したところから、自信過剰でプライドが高い性格である事が伺える。

 

 フェネジールは、自分の事を隊(・)長(・)と呼称した。

 

 性格を鑑みれば、恐らく危険な役割は部下に任せ、自分はなるだけリスクを負わないよう立ち回っていたに違いあるまい。

 

 その結果が、これだ。

 

 長く探索者をやっていれば被弾する機会など幾らでもあるし、俺も初期は危険性の少ない【花園】で痛い目に遭いながらも経験を糧にしていった。

 

 そうした経緯を経ているからこそ、俺は序列二桁にまで上り詰める事が出来た。

 

 しかし、フェネジールはそうではない。

 

 何が起こるか分からない戦場でリスクを回避するのはある意味当然だが、それにも限(・)度(・)がある。

 

 こいつは自分の【固有兵装】の能力と隊長という立場に胡坐をかき、戦場に身を置くものとして当然備えなければならない覚(・)悟(・)というものが足りていない。

 

 だから、部位欠損のダメージを負ったとはいえ、此処までの醜態を見せているのだ。

 

 有り体に言って、根性が足りていない。

 

 何故、戦場にいながら金持ちのお坊ちゃんのような性格をしていられるのか、皆目見当もつかなかった。

 

 単純に、奴の【固有兵装】の能力が優秀だったからか。

 

 或いは、奴(・)が(・)被(・)弾(・)す(・)る(・)機(・)会(・)を(・)奪(・)う(・)く(・)ら(・)い(・)、(・)優(・)秀(・)な(・)味(・)方(・)が(・)い(・)た(・)の(・)か(・)。

 

『ぐ、くぅぅぅ、この、この下等生物がぁぁぁぁ……っ! よくも、よくも俺様の腕をぉぉぉぉ……っ!』

 

 一通り悶え終わり、俺に意識を向ける余裕が出来たのだろう。

 

 表情画面越しに凄まじい形相でこちらを睨みつけて来るが、既に奴の両腕は斬り落とした。

 

 散々奴が撃ち放って来た鏃はフェネジールの機体の腕に装備されていたボウガンのような武装から発射されていた為、奴の攻撃力は著しく減衰している。

 

 あの状態であれば、反撃の余地もなさそうだ。

 

 妙な動きを見せれば、俺の【固有兵装】で凍り付かせてしまえば良い。

 

 俺は、そんな風に────油(・)断(・)、していた。

 

『クソがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!』

「な……っ!?」

 

 ────故に、その一手を見逃した。

 

 フェネジールは四方八方にチャフスモークをバラ撒き、視界が煙で塞がれた。

 

 一瞬にして俺は、フェネジールの姿を見失う事となる。

 

「チィ……ッ!」

 

 俺はあてずっぽうで、奴のいた方向を中心に無差別にミサイルランチャーを発射した。

 

 無数のミサイルが着弾し、爆風が戦場を覆い尽くす。

 

「…………逃がしたか……っ!」

 

 …………だが、爆煙が晴れた後、そこにはフェネジールの姿は影も形も見当たらなかった。

 

 残骸も見当たらない以上、この場からの逃走を許したと判断せざる負えない。

 

『…………駄目ね、電子体反応も消えてる。多分だけど、また【固有兵装】を使っているみたい。戻って来る気配もないし、追うのは難しいわ』

「…………そうか」

 

 双葉がこう言う以上、追跡は不可能だと思った方がいいだろう。

 

 奴の【固有兵装】は逃げに徹した場合、この上なく相性がいい。

 

 姿だけではなく、電子体反応すら消せるのだ。

 

 普通のレーダーを用いては、追い切れる筈もない。

 

 てっきり感情に任せて特攻して来るかと思っていた為、まさか此処まで鮮やかな逃(・)げ(・)の(・)一(・)手(・)を打たれるとは予想していなかった。

 

 この逃(・)げ(・)足(・)の(・)速(・)さ(・)もまた、奴があんな性格をしていながら此処まで生き残っていた理由なのだろう。

 

「悪い、逃げるってのは流石に予想してなかった。プライド高そうだったからな、あいつ」

『プライドそのものが、張りぼてだったんでしょ。結局、私も怜二もあいつのビ(・)ビ(・)リ(・)具(・)合(・)を過小評価してたって事よ。無理もないわ』

 

 双葉の言う通り、これは明らかな俺達のミスだ。

 

 ああいうプライドの高いタイプは、敵に予想外の痛打を受けるとムキになって特攻して来る事が多い。

 

 序列下位の探索者は、特にその傾向が強かった。

 

 てっきりあいつも同じ類かと思っていたが、考えてみればあいつは公的機関から追われる立場の【盗掘者】である。

 

 戦況が劣勢になれば逃げるのが当然であるし、逃(・)げ(・)方(・)も相当気を遣っている筈だ。

 

 あいつは戦(・)闘(・)員(・)としては未熟でも、曲がりなりにも隊(・)長(・)という役職に付いていた。

 

 ならば、そういった引(・)き(・)際(・)の判断力は相応に培っていた筈である。

 

 今回俺は、奴の戦(・)闘(・)力(・)だけを見てその性(・)質(・)を看破し切れなかった。

 

 そこは矢張り、反省しなければならないだろう。

 

『怜二、どうする? 多分あいつはもう離脱(ログアウト)してるだろうから、再度の襲撃はないと見ていいわよね。探索、続ける?』

「…………そうだな」

 

 盗掘者は俺達が使用している転送門は使えない筈である為、通常の手段で離脱する事は出来ない。

 

 だが、転送門を潜らなければ来れない筈の【遺跡】に侵入出来ている以上、【遺跡】に出入りする独自のルートがあると考えられている。

 

 両腕を失ったあの状態を鑑みれば、既に離脱していると考えた方が自然だ。

 

 つまり、探索を続けるに当たって特に障害はない────筈、である。

 

「よし、探索を続行しよう。特に大きなダメージを負ったワケでもないしな」

『ええ、けど無理はしないようにね。危険だと判断したらこっちで強制離脱をかけるから、そのつもりでいなさい』

「了解(ヤー)」

 

 俺は双葉にそう返答し、その場を後にした。

 

 …………後から思えば、もう少し考えるべきだった。

 

 ──あいつの食(・)事(・)が終わるまでの暇潰しに出て見れば、貴様のようなカモが転がり込んで来るとは──

 

 ────フェネジールの、この発言の持つ意(・)味(・)というものを。

 

 

♦

 

 

「…………やっぱり、そう簡単に【技術遺産】は見つからないか」

 

 時折エネミーを撃退しながら探索を続けた俺だったが、特に収穫と言えるものはなかった。

 

 【花園】より難易度は遥かに上ではあっても、他の【遺跡】と比べればこの【海底都市】のギミックはまだ易(・)し(・)い(・)方だ。

 

 きちんとナビゲートに従っていれば、早々詰(・)み(・)に陥る事はない。

 

 特に、双葉の支援で罠を回避出来る俺にとっては、多少面倒な敵が増えただけの【遺跡】に過ぎない。

 

 罠やエネミーのパターンも知り尽くしているし、イレギュラーさえなければ窮地に陥る事はまずないと言っていい。

 

 【花園】が初(・)心(・)者(・)用(・)【(・)遺(・)跡(・)】(・)だとすれば、此処は中(・)級(・)車(・)用(・)【(・)遺(・)跡(・)】(・)の立ち位置であると言える。

 

 既に上級者の領域に足を踏み入れた俺にとっては、【通常階層】の攻略はそう難しい事ではないのだ。

 

 とはいえ、そういった事情がある為、この【海底都市】の【技術遺産】も目立つものは粗方取り尽されている筈だ。

 

 時々ランダムに【技術遺産】が出現(ポップ)する事があるが、そんなラッキーには早々お目に懸かれるものではない。

 

 なにせ、何処にいつ【技術遺産】が出現するかは完全にランダムなのだ。

 

 こればかりは双葉でも調べようがない為、完全に運(・)の領域に関わって来る。

 

 駄目で元々、と思った方がいいだろう。

 

『…………待って、怜二。その先に、未登録の電子体反応があるわ』

「……何?」

 

 双葉の送って来たデータを見てみれば、確かにこの先にギルド未登録の電子体反応がある。

 

 ギルド未登録の電子体反応────それは即ち、先程のフェネジールのような盗(・)掘(・)者(・)である事を意味している。

 

「さっきのあいつか?」

『……いえ、違うわ。あいつの電子体反応とは違うし、そもそも数(・)が違う。シュミクラムの反応が2、残る4つは通常の電子体反応ね』

「通常の電子体反応だと? 【遺跡】でか?」

 

 俺は双葉の言葉に、一瞬首を傾げた。

 

 此処は【遺跡】、エネミーが出現する戦(・)場(・)である。

 

 その戦場でシュミクラムではなく通常の電子体になるなど、正気の沙汰ではない。

 

『………………どうやら、未登録の電子体反応の近くにギルドに登録された電子体反応があるわね。これは、多分だけど……』

「…………チッ、そういう事かよ……っ!」

『ちょ、怜二……っ!?』

 

 俺は双葉の言葉の意味を理解し、シュミクラムを疾駆させた。

 

 ギルドに登録された電子体の反応が、ギルド未登録の電子体反応に囲まれている。

 

 これはつまり、探(・)索(・)者(・)が(・)複(・)数(・)の(・)盗(・)掘(・)者(・)に(・)追(・)い(・)詰(・)め(・)ら(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)という事を意味している。

 

 しかも、通常の電子体反応でいるという事は、既にシュミクラムは破壊され、除装させられている可能性が高い。

 

 そんな相手を盗掘者が取り囲むなど、とてもではないが愉快な想像は出来そうになかった。

 

「……っ! あそこか……っ!」

 

 視界の先に、二機のシュミクラムが手持無沙汰に佇んでいた。

 

 その二機の奥は小部屋になっており、複数の人影が見える。

 

 恐らく、あの二機は見(・)張(・)り(・)だろう。

 

 当然、俺を視認した二機のシュミクラムは武器を構えるが────遅い。

 

「邪魔だ」

 

 その挙動から相手の練度は高くないと判断した俺は、ラディカルスピナーを二機に向けて射出。

 

 二機がそれを回避した所を見計らい、スラスターを起動。

 

 一気にして左側の機体に肉薄した俺は、その機体をブレードで両断。

 

 続けざまにもう一機の頭部に炸裂弾を撃ち込み、爆破。

 

 一瞬後に二機のシュミクラムは爆散し、脳死(フラットライン)が確認された。

 

 二機の見張りがいなくなり、俺はその奥の小部屋に目を向ける。

 

「…………っ! あれは……っ!」

 

 そして俺は、その先の光景を見てしまった。

 

 

 ────視界の先で、蠢くなにかがあった。

 

 下卑た笑いを浮かべる数名の男達に囲まれる格好で、服をズタズタに斬り裂かれた女性が一人の男にのしかかられていた。

 

 男……いや、少(・)年(・)はフリフリのドレスのような服を身に纏い、身体の線も細く一見すると女性と見紛う美男子だった。

 

 だが、その顔に浮かべた笑みと無抵抗の女性を貫く異形の男性器がその本性を映し出している。

 

「…………ぁ、ぎぃ…………っ!」

 

 少年の前後運動によってゆらゆらと揺れる女性の四肢は力なく投げ出され、目からは殆ど光が失われていた。

 

 長時間の暴行に晒されたのだろう。至る所に白濁した液体が飛び散り、殴られでもしたのか青痣が幾つも出来ていた。

 

 なによりも悲惨なのが、その下半身だった。

 

 男性器によって無残に貫かれた秘所からは精液だけではなく大量の鮮血が溢れ出しており、最早その量は純潔を奪われたとかそういったレベルではない。

 

 まるで、秘所を刃物で斬り裂かれでもしたかのような、そんな尋常ではない出血量だった。

 

「く、ふぅ……っ!」

 

 射精に至ったのか、少年が腰をぶるぶると震わせる。

 

 ひとしきり腰を押し付けて一方的な快感を搾取した少年は、乱暴に逸物を女性の秘所から引き抜いた。

 

「が…………っ!」

 

 同時に、秘所からどくどくと大量の血液が流れ出す。

 

 ぽっかりと開いてしまった秘所はまるで刃物で斬り裂かれたようにズタズタになっており、止めどなく鮮血が流れ出ていた。

 

 その原因は、少年の男性器にあった。

 

 少年の逸物は鋭い鉤爪のような返しがついていて、あれで女性の内部を斬り裂いたのだろう。

 

 あれは女性を犯すのではなく、殺す為の代物だ。

 

「あぁ? なんだぁテメェ」

 

 そこでようやく、俺に気付いたのだろう。

 

 少年は露出した下半身を隠そうともせず、据わった眼でこちらを睨みつけた。

 

「……なにかと思えば、テメェも探索者かよ。その匂いからすりゃ、男か。まあ、楽しめればなんでもいいけどよぉ」

 

 含み笑いを浮かべながら、男は俺の方を凝視している。

 

 その視線はまるで蛇のそれのようで、見られているだけで言い様のない悪感を感じてしまう。

 

「……お前は、なんだ……?」

 

 辛うじて絞り出した俺の言葉に、少年は凄絶な笑みを浮かべ、告げる。

 

「僕が誰かだってぇ? くく、いいぜいいぜ名乗ってやるぜぇ! 僕は、ジャビット=アンサーペ! 盗掘部隊『ヒャズニング』の副隊長をやってる、筋金入りの悪党様だよ。他の奴等には、牝喰い鬼(マンイーター)なんて呼ばれてるがなぁ! よ・ろ・し・くぅ……っ! ヒャーハハハハハハハハハハハッ!」

 

 悪鬼、ジャビットは自らの名乗りを高らかに謳いあげる。

 

 これが、【牝喰い鬼】と呼ばれる凶悪な犯罪者。

 

 【賞金首(バウンティ)】、ジャビット=アンサーペとの最初の邂逅だった。




 今回ちょっとリョナ要素入りましたが、まあこの程度R-18タグつきならジャブみたいなもんだよね。

 サイバーパンクとかのエロゲーならこういうキャラは一人はいるもの。

 キャラクター造詣のイメージは性格:ゲンハ 容姿:ゲス顔男の娘となっております。

 この√ではかなりの重要キャラになるので、どうぞよろしく。
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