BALDR GENESIS~Revive of Future World~双葉√ 作:デスイーター
「はっ、はっ、はっ……っ!」
走る。ただ走る。
生身の砕かれた足は電子体にも反映されてしまったが、強引に修復プログラムを奔らせて歩行可能にしてある。
当然、相応の痛みが俺の身を苛むが、そんな事を気にしていられる状況ではない。
双葉が、攫われた。
よりにもよって、あのジャビットに。
考え得る限り、最悪の状況だった。
あいつのこれまでの凶行を見る限り、ふとした気紛れで双葉を害する可能性は決して低くない。
…………脳裏に、あいつに犯され尽くし挙句の果てに殺された女性探索者の姿が過る。
無残な姿となった双葉のイメージが脳裏にチラつき、慌ててそれを否定する。
今はただ、一刻も早く指定された場所に辿り着く。
それしか、考えられなかった。
無論、奴が馬鹿正直に約束を守るなどとは考えていない。
だが、だからといって此処で逃げてしまえば、どうなるかは自明の理だ。
奴の事だから、双葉を輪姦する映像を撮った上で双葉の死体と共に送り付けて来るくらいの事は平気でやるだろう。
事実、過去に奴は似たような事を何度も行っている。
ジャビット=アンサーペは、正真正銘の鬼畜外道だ。
奴に時間を与えてしまえば、それだけ双葉の生存は絶望的になる。
…………けれど、俺が奴を倒せるかと言われれば、首を横に振らざる負えない。
俺と奴の実力差は、努力でどうこうなる次元ではない。
純粋に、奴の攻撃に反応すら出来ないのだから。
だから、俺は覚悟を決めた。
いざとなれば、
「きひひっ、早かったじゃねぇか。そんなにあの女が大事か? あぁ?」
再び訪れた【無名都市】の【廃棄場】は、あの時と違い夜闇が覆っている。
微かな月明かりに照らされた瓦礫の上で、ジャビットは膝を立てて座り込んでいた。
「くく、良い心がけだぜぇ。何せ、あと5分来るのが遅けりゃ双葉ちゃんの輪姦パーティーを始めようかと思ってた所だからなあ」
ジャビットは嘲笑を浮かべながら立ち上がり、そのまま俺の前に着地した。
周囲に、奴の仲間の姿は見えない。
どうやら、此処には奴一人だけで来ているらしい。
「…………双葉は何処だ?」
「くひひ、焦るなよぉ。まだ無事だぜぇ? もっとも、此処とは別の場所で預からせて貰っているがなぁ。戦場に女がいちゃ、気が散って戦えねぇだろう?」
ジャビットはそう告げるなり、シュミクラム……【シュラウド・ラビット】に移行する。
俺も同じくシュミクラム、【ヴァナルガンド】に移行し、至近距離でジャビットと対峙した。
『話は簡単さぁ。テメェが僕を倒せれば、女を返してやる。けど、テメェが諦めたら今度こそ輪姦パーティーの始まりだ。言っとくが、拒否権はねぇからなぁ。テメェが拒否った瞬間、輪姦パーティーが始まるだけだからよぉ』
「く……約束は、守って貰うぞ……」
理不尽な要求に怒りが込み上げて来るが、奴の言う通り今の俺に拒否権はない。
拳を握り締め、奴と相対する他なかった。
『くくく、ってもテメェのような雑魚が俺に攻撃を当てられるワケねぇよなぁ。だから精々、根を上げるまで挑み続けるんだな。その分、双葉ちゃんの輪姦パーティーの開始時刻がずれ込んで行くんだからよぉ』
さぁて、とジャビットは表情画面に有りっ丈の悪意を込めた顔を映し、嗤う。
『────取り敢えず、一発喰らっとけ』
「が……っ!?」
そして、ジャビットは僅かに身体を沈み込ませて低空跳躍し、そのまま俺の機体を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた俺の機体は瓦礫の山にぶつかり、その勢いで瓦礫の隙間に埋め込まれる。
『ハッハァ……ッ!』
「がぁ……っ!?」
ジャビットはそのまま俺の機体の肩口に右足のフットブレードを突き刺し、左足で胴体部を蹴り抜いた。
奴の蹴撃で機体胴体部がへこみ、俺は痛みによる嘔吐感に襲われる。
だがやられっぱなしではいられないと、ジャビット目掛けてラディカルスピナーを射出する。
『当たるかよぉ……っ!』
だが、至近距離での反撃もジャビットには通じない。
迫る回転刃を即座に察知したジャビットはその場から跳躍し、瓦礫の山の上に着地した。
そしてそのまま、再度跳躍して俺目掛けて突っ込んで来る。
「……っ! 【固有兵装】起動、凍て付け……っ!」
その攻撃に合わせて、俺は【固有兵装】を起動させ、冷気の膜を展開。
飛来するジャビットに対し、触れるだけで凍り付く霊基の壁で応戦した。
『────無駄だぁ……っ!』
「ぐぁ……っ!」
…………だが、ジャビットは白い布────『生ける経帷子』を展開。
『生ける経帷子』を巻き込む形で突っ込んだジャビットは、冷気の壁をその能力によって機能停止させながら俺の機体に着弾した。
布越しであった為幾らか威力は軽減されているが、それでもどてっぱらを踏み抜かれる激痛は如何ともし難い。
俺は思わず悶絶し、ジャビットは口角を吊り上げた。
『くくく、まだジャブ程度だぜぇ? この程度で根を上げるたぁ、ちと根性ねぇんじゃねぇのか?』
ジャビットの挑発に、俺は有りっ丈の敵意を込めた視線で返答する。
「黙れ……っ! 俺は、まだやれる……っ!」
『くく、そーかいそーかい…………じゃあ、も一発喰らっときなぁ……っ!』
「がぁぁ……っ!」
ドゴン、と鈍い音がして俺の機体が中空に蹴り上げられる。
空中に浮きあがった俺の機体の真上にジャビットが跳躍し、そのまま踵落としを実行。
俺の機体はジャビットに打ち落とされ、再び瓦礫の山に落下した。
『くく、くくくく、そのザマで僕に歯向かうとか、無様だねぇ、情けないねぇ。雑魚は雑魚らしく、みっともなく命乞いをするべきなんだよぉ。ま、命乞いなんて聞き入れた覚えは一度たりともないけどなぁ』
それに、とジャビットはその眼に明確な悪意を乗せて、告げる。
『────
「……っ!?」
…………その言葉に、底知れない悪感を覚えた。
常に飄々としているジャビットだが、今の言葉だけは
奴は面白半分ではなく、明確に
それがどれ程理不尽なものであろうと、ジャビットは確かに俺に対し怒り、武力に訴えている。
それだけは、紛れもない事実だった。
(……けど、少なくとも俺がやられている間は双葉は無事だ。なんとか、その間に状況を打開しないと……)
だが、それは裏を返せば
奴にすぐさま俺を殺す気がない以上、少なくとも自分が耐えている間は双葉は無事だ。
もしかすると、異変に気付いて『ミョルニル』が駆け付けてくれるかもしれない。
彼らが気付かずとも、ノインさんが連絡してくれるかもしれない。
そんな一縷の希望だけが、今の俺に残された手段だった。
『────今、お前がやられてる間は大丈夫だ、とか思っただろ?』
「……っ!? なに、を……」
────だが、ジャビットはそんな俺の心の隙を見逃さなかった。
鋭い目つきで俺を見据えるジャビットの唇が、笑みの形に彩られる。
『テメェがやられている間は、あの女は無事だ。だから自分は耐え続けて助けを待てばいい……大方、そんな事を考えていたんだろうが……』
けどよ、とジャビットは告げる。
『────テメェ、なんで筋金入りの悪党の僕が律義に約束を守ると思ってんだ?』
「……え……?」
────嫌な予感が、した。
ジャビットが言おうとしている事は、あまりにも不吉で。
でも、奴の口は止まらなくて。
『ヒャーハハハハハハハハハハハハハハハハハ! とっくの昔に、双葉ちゃんの輪姦パーティーは開催済みだよバァカ……ッ! 今頃は俺の部下のザーメンに塗れてあへってる真っ最中だろうぜぇ……っ! まさかまさか、僕がテメェとの約束なんぞを本気で守るとでも思っていたのかぁ?』
「おま、え……」
思考が、漂白される。
今までの努力が無駄だったと、嘲笑われる。
俺は呆然とジャビットを見詰め、奴は口元を歪めて盛大に腕を広げた。
『今映像を繋げてやるよぉ! さあ、感動の再会だ…っ! もっとも、あの牝はもうテメェのモンじゃなくなってるけどなぁ……っ!』
ジャビットと俺の間に、スクリーンが展開される。
俺は恐る恐る、ジャビットは暗い期待を込めた目でスクリーンを見据え……。
『…………は…………?』
────映し出された光景に、絶句した。
──数十分前、某所──
「ん……」
双葉は鈍い痛みで覚醒し、身体が動かせない事を理解する。
見れば自分は手首と足首を縄で縛られた状態で床に転がっており、周囲には下卑た視線の男達が自分に向かって欲情に満ちた視線を向けていた。
「お、双葉ちゃんおはよー」
「なんだよなんだよ、もう目ぇ覚めたのかぁ? 俺、睡姦も好きなんだけどなー」
「えー、反応あった方がいいじゃんかよ。ま、どっちにしろ犯るワケだけど」
男達はニヤニヤと笑いながら欲望を隠そうともせず自分に近付いてきており、生理的な嫌悪感で背筋に悪感が奔った。
「…………来るな。私の身体は、アンタ等にくれてやる程安くない」
「おーおー、意地張っちゃってまあ。けどさあ、オタク少し自分の立場考えた方がいいぜ、っと……っ!」
「きゃあ……っ!?」
男が無造作に双葉の服を掴み、そのまま力任せに引き裂いた。
胸元の生地を盛大に引き千切られ、黒い下着に包まれた双葉の巨乳が男達の眼に晒される。
その光景に、男達の興奮は更にエスカレートしていく。
「ヒュー、服の上からでも分かってたがこりゃすげえデカパイじゃねぇか。あの人の捕まえて来た獲物の中でも極上じゃねぇかよオイ」
「あ、俺パイズリしてぇ。あの胸なら幾らでもできそー」
「あ、ずりぃぞテメェ。俺だってやりてぇよそりゃ」
男達の無遠慮な視線に晒されるが、腕を縛られている為破れた胸元を隠す事すら出来ない。
双葉に出来るのは、精一杯の虚勢を張って男達を睨みつける事だけだ。
(嫌……あんな奴等に汚されるなんて、絶対に嫌……ッ! 助けて、怜二……ッ!)
祈り虚しく、男達は下半身を露出させ双葉に迫って来る。
おぞましい男性器をこよみよがしに晒す男達が、双葉に一歩、また一歩と近付いて来る。
男達の手が、我先にと双葉に向かって伸ばされて……。
「────随分、楽しそうね。屑共」
────その空気を裂く、冷たい声が、響いた。
エロゲーでは割とありがちな展開。実際のゲームだったら凌辱badの分岐があるような所です。
実際、レイン√も月菜√もそういう展開あるからねえ。
明日は更新出来ませんが、明後日は更新します。