※この作品はR-18です。

BALDR GENESIS~Revive of Future World~双葉√   作:デスイーター

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大槍ー Lance of palladionー

 

「八木澤隊長、これから奴に一撃を叩き込みます……っ! 援護よろしくお願いします……っ!」

『了解(ヤー)、気を付けてな』

 

 八木澤は短く応答すると、部隊に檄を飛ばす。

 

『お前等、此処が踏ん張りどころだ……っ! 何がなんでも、あの触腕(アーム)を釘付けにしろ……っ!』

『『『了解(ヤー)!』』』

 

 指令を受けた隊員達が、四方八方に散っていく。

 

 彼等は足を止めずに駆け回り、【リヴァイアサン・エコー】の攪乱に動く。

 

 そんな彼等を狙って、龍頭から砲撃が放たれる。

 

『く……っ!』

『この……っ!』

 

 砲撃に巻き込まれたシュミクラムが焼き尽くされるが、幸か不幸か先程より隊員の数が減った為、被弾した隊員の数はそう多くはない。

 

 彼等は己が任務を果たすべく、疾駆しながらも果敢に攻撃を仕掛ける。

 

『足を止めるな……っ! 固まっていたら一網打尽にされるぞ……っ!』

『発射直後のアームを狙え……っ! 上手く行けばアームにダメージを与えられる……っ!』

 

 隊員達は互いに声を掛け合い、【リヴァイアサン・エコー】に応戦する。

 

 その姿に、微塵も恐れは感じられない。

 

 【リヴァイアサン・エコー】の威容を前に、恐怖を感じていないワケはないだろう。

 

 だが、彼等はその恐怖を抑え込んでこうして戦っている。

 

 全ては、己が職務の為に。

 

 都市を乱す怪物を打倒せんが為、己の命を賭して戦う。

 

 それが、【ミョルニル】。

 

 それが、【都市自警軍】。

 

 このスズシロを守る為剣を取った、二つの治安維持組織の者達の姿である。

 

 俺は、彼等の想いを背負って戦っている。

 

 この一撃を、失敗するワケにはいかない。

 

 その為にも、的確なタイミングを見極める必要がある。

 

 触腕の砲撃を掻い潜り、【リヴァイアサン・エコー】の【核】に到達する一撃を叩き込む。

 

 それが、俺に与えられた命題(ミッション)だ。

 

 見る。

 

 見極める。

 

 最高の一撃を叩き込む、最良の機会(タイミング)を……!

 

『来るぞ、避けろ……っ!』

『くっ、全機散開……っ!』

 

 逃げ回る隊員達に、業を煮やしたのだろう。

 

 再び【リヴァイアサン・エコー】のカメラアイにエネルギーが集まり、9つの龍頭からも膨大なエネルギーが一ヵ所に注がれていく。

 

≪……っ! 来た……っ! 砲撃の発射後の硬直を狙って、仕掛けるぞ……っ!≫

≪≪了解(ヤー)!≫≫

 

 俺は再び発射されようとする極大砲撃を前に、絶好の機会と判断し命令を送った。

 

 あの極大砲撃は威力こそとんでもないが、発射後に大きな隙がある。

 

 その隙を、狙わない手はない。

 

 問題は、その砲(・)撃(・)範(・)囲(・)。

 

 一度見たからこそ、分かる。

 

 あの極大砲撃を回避する為には、大きく距離を空ける必要がある。

 

 距離を空けるのは【レール】を用意する関係上必須ではあるが、あまりにも距離を空け過ぎると加速を得る最中に狙い撃たれてしまう危険がある。

 

 故に、適度な距離を維持しつつ砲撃を回避しなければならない。

 

 俺達は【リヴァイアサン・エコー】の背後に回り、砲撃に備える。

 

「な……っ!?」

 

 …………だが、その瞬間【リヴァイアサン・エコー】がぐるんっ、と巨体を回転させ俺達の方にカメラアイを向けた。

 

 そのカメラアイの奥底で、橘玲佳が嘲笑を浮かべているような気がした。

 

「く、最初から狙いはこっちか……っ!」

 

 そう、橘玲佳は最初から自分達に狙いを定めていた。

 

 自分にとって何が一番の脅威になるかを、あの女は良く分かっている。

 

 だからこその、奇襲。

 

 背後を取って安心していた俺達へ照準を向け、臨界点を迎えたエネルギーが放出される。

 

────g5\6666666666666666666666666666666666666666666666666666666666666666666666666666666666666……Z!!────

 

 ────砲撃が、放たれる。

 

 視界全てを覆い尽くす漆黒の光が、俺達を呑み込むべく解放される。

 

『させ、るかあああああああああああああああああ……っ!』

「……っ!? 政志……っ!?」

 

 そこに、思いも依らぬ助けが入る。

 

 幾重にも連なった【鎖】が、【リヴァイアサン・エコー】の触腕に絡みつく。

 

 その【鎖】を放ったのは、誰あろう────俺の親友の、政志だった。

 

 政志の機体から伸びる鎖、彼の【固有兵装】である【不壊縛鎖(グレイプニル)】が【リヴァイアサン・エコー】を捕らえる。

 

 敵(・)の(・)膂(・)力(・)に(・)従(・)っ(・)て(・)強(・)度(・)を(・)増(・)す(・)という特徴を持った鎖が、【リヴァイアサン・エコー】を雁字搦めに縛り付ける。

 

 だが、まだ足りない。

 

 ただ縛り付けるだけでは、奴の砲撃は止められない。

 

 だ(・)か(・)ら(・)、彼の役目は此処まで。

 

 後は、彼(・)の仕事だ。

 

『ふん……っ!』

 

 政志の隣に降り立った八木澤の機体、【アーサソール】が【不壊縛鎖】を掴む。

 

 そして、八木澤の機体の腰に装着された帯のような武装が強い輝きを放つ。

 

 ────【剛力神帯(メギンギョルズ)】。

 

 八木澤の機体、【アーサソール】の【固有兵装】。

 

 その効果は、敵(・)の(・)膂(・)力(・)を(・)己(・)の(・)膂(・)力(・)に(・)上(・)乗(・)せ(・)す(・)る(・)事。

 

 力(・)づ(・)く(・)の戦いの、その窮極。

 

 その力を稼働させた八木澤が、【不壊縛鎖】を力の限り引っ張り上げそのまま跳躍した。

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお……っ!!』

 

────3333333333333333333333333333333333333……Z!?────

 

 八木澤は力づくで鎖に捕らわれた【リヴァイアサン・エコー】の向きを強引に上向きに変え、極大の砲撃は誰もいない上空に向かって放たれた。

 

 轟音と共に大規模砲撃が上空に柱の如く伸び、極大砲撃の被害は完全な0に抑えられた。

 

 政志の機転と、八木澤の底力。

 

 その二つが合わさった、渾身の一手だった。

 

「今だ、有栖……っ! 【レール】を敷く、乗ってくれ……っ!」

『了解(ヤー)!!』

 

 そして、今こそが最大の好機。

 

 これを逃せば、【次】はない。

 

 故に、俺は指示を下し【固有兵装】を稼働させる。

 

 全ては、有栖という【槍】を打ち放つ為に。

 

 俺は掌を向け、告げる。

 

「【凍土領域(コキュートス)】起動、氷結カタパルト、順次展開……っ!」

 

 有栖の前に、氷で出来た【レール】が、彼女を射出為の【カタパルト】が出現する。

 

 【レール】を目視した有栖はぐっ、と身体を沈み込ませ、彼女に背後に形成した氷塊を蹴り、加速。

 

 氷の【レール】に、有栖の機体(ヴォーパル・ラビット)が飛び乗った。

 

「はあああああああああああああああああ……っ!」

 

 有栖の加速に応じて、氷の【レール】を継ぎ足して行く。

 

 加速を殺さないように、されど充分な助(・)走(・)距(・)離(・)が稼げるように。

 

 徐々にスピードを上げていく有栖の機体を送り出す為、俺はゲンハから借り受けた反射神経をフルに用いて【レール】の連続形成を行っていく。

 

「く……っ!」

 

 コンマ一秒のズレすら許されぬ、ハイスピードの精密作業。

 

 俺は全神経を集中させ、有栖の為のレールを組み上げていく。

 

『…………っ!』

 

 【レール】を駆ける有栖は、気付く。

 

 上向きになった【リヴァイアサン・エコー】が、徐々に下を向こうとしている事に。

 

『野郎……っ!』

 

 それを許すまいと、八木澤は再び『不壊縛鎖』を携えて跳躍する。

 

 だが、【リヴァイアサン・エコー】は、それに対応した。

 

 鎖が巻き付いていた全ての触腕を、一斉に破棄。

 

 本体から切り離された触腕だけが鎖の先に残り、八木澤の目論見は失敗に終わる。

 

『くそっ、今からじゃ間に合わない……っ!』

 

 政志は出現させていた【不壊縛鎖】を解除して鎖を出し直すが、もう遅い。

 

 【リヴァイアサン・エコー】の巨体を巻き取るには、どうしたって時間が足りない。

 

 先程は、触腕を狙う事で拘束する事が出来ていたが、【リヴァイアサン・エコー】のサイズは大き過ぎる。

 

 どう考えても、巻き取るより先に【リヴァイアサン・エコー】の攻撃が来てしまう。

 

 攻撃は、失敗。

 

 誰もが、その言葉を口に出しかけた。

 

「有栖……っ! そのまま、突っ切れ……っ!」

『了解(ヤー)……っ!』

 

 ────だが、俺は諦めてはいなかった。

 

 二つ返事で作戦続行を了承した有栖に感謝しながら、俺は氷の【レール】を組み上げ続ける。

 

 当初予定していたコースは、破棄。

 

 脳内で【レール】組み上げの再シュミレートを完了させ、【リヴァイアサン・エコー】を睨みつける。

 

 ────d<555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555555……!!────

 

 有栖の方にカメラアイを向けた【リヴァイアサン・エコー】が、砲撃を放つ。

 

 全てを焼き尽くす黒い極光が、轟音と共に有栖に迫る。

 

 このままでは、有栖の機体もまた焼かれて終わる。

 

 そう、このままであれば。

 

「これで、どうだ……っ!」

 

 氷の【レール】が、組み上がる。

 

 地面ではなく、空に向けて。

 

 螺旋を描くように生成された【レール】に乗り、有栖は【リヴァイアサン・エコー】の砲撃を掻い潜った。

 

────uZ、6k;5555555555……Z!?────

 

 【リヴァイアサン・エコー】は砲身を上向きにして有栖を追撃するが、もう遅い。

 

 有栖は既に天高く跳び上がり、遥か上空へと駆け上がった。

 

『────決めるわ』

 

 そして、【レール】が切り替わる。

 

 【上】ではなく、【下】に。

 

 【リヴァイアサン・エコー(ひょうてき)】に向けて、殺戮の兎が駆け降りる。

 

『はああああああああああああ……っ!』

 

 有栖らしからぬ気合いを声に乗せ、トップスピードで有栖が【レール】を駆け降りる。

 

 ソニックブームが一点に収束し、破壊力ではなく貫通力に変換される。

 

 数多のソニックブームを纏った絶殺の槍が、怪物に向け放たれる。

 

『負荷フィールド消去プログラム、展開……っ!』

 

 そして、怪物を守る【盾】が消える。

 

 双葉の起動したプログラムが、カメラアイ周辺の負荷フィールドを消し去った。

 

 これで、怪物は丸裸。

 

 攻防一体の触腕を自ら切り捨て、防御の要さえも消し去られた怪物に、最早攻撃を防ぐ手段はない。

 

『消え、ろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお……っ!!』

 

────a、ahd)6666666666666666666666666666666666666……Z!?────

 

 ────そして、着弾。

 

 【ヴォーパル・ラビット】は城壁壊しの大槍(パラディオン)と化し、【リヴァイアサン・エコー】の唯一の弱点(カメラアイ)を貫いた。





 これにて怪物は倒される。

 これで終わりかどうかは、さて。

 明日は更新出来ません。明後日更新します。

 あ、これが完結し次第ワートリ二次長編書くのでよろしく。
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