主人公
五十嵐智基・・・大学生
グリフィン幹部
ヘリアン
カリーナ
ペルシカ
ベレゾヴィッチ・クルーガー
戦術人形
M4A1
M16A1
AR15
M4SOPMOD
RO635
UMP9
UMP45
HK416
G11
FNC
FAL
ベレッタM9
M60
SV98
スプリングフィールドM1903
KP31スオミ
M14
G36
AM-RFB
9A-91
AEK-999
ステアーTMP
ZVIファルコン
2055年 7月26日 1030時 東京 神保町
青年は、戦史や軍事関係の専門書がぎっしりと詰まった紙袋を手に下げて、日曜日の古本屋街を歩いていた。彼が通う大学のレポートの資料である。
都内の私立大学に入学して、もうすぐ3ヶ月になる。彼は歴史学を専攻しており、将来的には、第一次世界大戦以降の近現代における戦史の研究者になることを目指していた。
また、彼は、趣味としてサバイバルゲームを行っており、学科のクラスの友人らとサークルを立ち上げ、週末は、愛用の89式小銃の電動ガンとVP-9のガスブロガンを使い、6mmBB弾での命の危険を伴わない撃ち合いを楽しんでいた。
青年の名は、五十嵐智基。ひょろひょろとした身体つきに、黒い髪を短く刈り上げ、眼鏡をかけている。
大学は夏休みになったばかりで、ようやく週3回程度は、エアガン用のシューティングレンジへ通うことができそうだ。それと、アルバイトも見つけなければ。
しかし、やたらと暑い。五十嵐は、京都にある実家に帰ることも一度は考えたが、やめておいた。一人でのんびり過ごすのも悪くは無い。
流石に暑さでへばってきた。仕方がない。どこか涼しいところに待避しよう。冷房の効いた本屋か、いや、コーヒーチェーンの店に寄って、冷えたカフェオレでも飲むか。そうしよう。だが、それらしき店がなかなか見つからない。
雑踏の中、ようやく喫茶店を見つけた。看板には、コーヒー250円と書かれている。この程度の値段ならば手頃だ。店の外観は、洒落た純喫茶のようで、かなりレトロな感じだ。店の名前は『カフェ・ド・モンシェール』と書かれていたが、第2外国語はドイツ語を選択したため、五十嵐には読めなかった。
喫茶店に入ると、初老の男性がカウンターの前に立っていた。他に客はいない。五十嵐は、カウンターの席に座り、アイスコーヒーを注文した。
「ミルクとガムシロップは?」
「お願いします」
五十嵐は、店内のサイドボードの上のテレビを見上げた。最近、物騒な事件が世間を騒がせていた。日本国内の防衛産業関連企業の人間、それも幹部が、突如として行方不明になったり、殺されるという事件が相次いでいるのだ。
犯人は不明。だが、恐らくは、中国や北朝鮮の工作員、或いは、テロリスト、過激化した反戦思想を持つ個人や団体だろうか、と五十嵐は考えていた。この事件では、殺人事件の被害者は、例外なく銃で撃たれていたらしい。テレビや新聞には、載っていないが、とあるネットニュースには、こんな事が書かれていた。
"徳坂工業重役殺害事件 使用されたのは新型小銃か"
ニュースサイトの記事によれば、徳坂工業のある女性重役の殺害に使用された銃弾は、世界で使われている、どの銃器の口径にも当てはまらなかったらしい。残された弾頭の直径は、6.43mm、現場の地面に落ちていた空薬莢の長さは、31mmだったそうだ。
6.43mm×31だって。そんな形式の弾薬、初耳だ。いや、存在自体あり得ないサイズだ。近いサイズは、三八式実砲の6.5mm×51かアメリカ軍が研究していたが、結局のところ没になった6.8mm×43SPC弾だ。
念のため、スマホでググってみたが、そんな形式の弾薬は存在しなかった。
おかしくないか。きっと、警察の鑑識が、三八式実砲かSPCと見間違えたのだ。
「やれやれ、物騒だね。殺人事件だって?しかも、鉄砲で殺されただなんて」
喫茶店のマスターが、アイスコーヒーを五十嵐に差し出して言った。
「連続らしいですよ。狙われたのは、自衛隊の装備品を造っている会社の関係者ばかりみたいです」
「だとしたら、中国か、北朝鮮か。早く見つけてとっちめないと、大変なことになるぞ」
「しかも、ニュースによれば、新型の銃が使われたみたいです」
「なんでそんな事がわかるんだい?」喫茶店のマスターが不思議そうな顔をして言った。五十嵐は、なるべく、素人にも分かりやすく解説しようした。
「ええっと、銃によって、使われる銃弾の形式というのは、だいたい決まっているんです。銃による殺人事件が起きたら、警察は、被害者の体内に残された銃弾と、被害者の傷痕を調べるんです。それと、あれば、現場に落ちている薬莢を。そういうのを銃弾のデータと照合して、どんな銃が事件に使われたのか、だいたいの当たりを着けていくんです」
「ほう」
「それをやれば、使われたのがピストルなのか、猟銃なのかくらいまではわかります。多分ですが、この事件で使われた銃弾の破片なり、現場に落ちていた空薬莢なりが、警察のデータベースに無い種類のものだったと思います」
「ほう。で、使われたのは新型の銃かい?」
「の、ようですね。どこの国の銃なのかまではわかっていませんが」
「そりゃ大変だな。早いところ、犯人を捕まえないとな」
「全くです」五十嵐はコーヒーを飲み干した。
「ごちそうさまでした」
「250円だよ」
五十嵐は、500円玉を財布から取りだし、100円玉2つと50円玉を1つを受け取った。
「お兄さんも気を付けてな。あんな物騒な事件が起きたんじゃ、おちおち外も出歩けない」
「全くですよ」
五十嵐は、冷房の効いた喫茶店から、再び蒸し暑い通りに出た。さて、次の目的の本屋に行こう。五十嵐は、スマホを取りだし、軍事関係の専門書が豊富だと雑誌に書いてあった書店を検索して、歩き始めた。この後、自分がとんでもない事態に巻き込まれるとは知らずに。
2055年 7月26日 1113時 東京 神保町
五十嵐は、神保町の表通りを歩き続けた。市内の至るところで警察官の姿を見かけた。
警官は、通りに置いてあるゴミ箱などを、不審物が置かれたりしていないかどうかを丹念に調べていた。爆発物や化学剤、生物兵器を仕掛けるには絶好の場所だ。
やがて、1台の厳つい大型バンが、車道の真ん中で停車した。似たような車が、他にもう1台、停車する。道を塞がれた他の車が、苛立たしげにクラクションを鳴らす。しかし、バンは全く動かない。
先ほど、ゴミ箱を調べていた2人の警官がそれに気づいた。彼らは、バンに歩みより、運転手に車を動かすよう、指示をしようとした。すると、バンの後部ドアが開き、おかしなサングラスをかけた女が出てくると同時に、女は手に持ったサブマシンガンで2人の警官を撃った。