いつも通りの朝。けれども、いつもとは異なる朝でもあるのは分かるだろう。
見張りとか見張りじゃないとか、用事があるとか無いとか関係無くて……今だけはきっと、目が覚めている人は皆で同じ事をしてると分かるの。だってほら……当たり前だけど当たり前じゃない、特別な朝日が昇る。
それをただ、無言のままに見詰めてしまうの。だって、これが今年最初の太陽だから。
場所も時も世界さえ違っても、きっと私達は同じように、太陽を見詰めている。肌が刺されるような痛みに悲鳴をあげていても……飽きる事も無く、波の音を聞きながら見詰めている不思議。
初日出……今、今年が正式に始まった。その瞬間、誰にともなく呟いたのは、ありきたりな言葉。
「あけましておめでとう。今年も1年、平和でありますように」
「ナミ」
名を呼ばれて振り向けば、愛しい人が傍に居た。いつから居たんだろう。
1人で眺めてるつもりだったのに。でも、傍に居てくれる事が嬉しくて、寒かった……と、その身体に抱きつけば優しく抱き締めて身体が冷えてる事を心配してくれたから、私はそれにありがとうと笑う。
新しい年もまた、大切な人が傍で生きていてくれる。その事実が、切なくなる程に胸を打つ。
震える身体は、寒さからだと分かってる。でも、それの理由が身体が寒いからなのか、それとも、心が寒いからなのかが自分でも分からないの。
私の震えが落ち着くまで、抱き締めてくれる優し過ぎる人の温もりに守られて、私は小さく笑みを作る。そんな私を見て眉を寄せてから、部屋へと連れ戻されてしまうけど私に抵抗する必要性は無いだろう。
部屋に戻るのと同時に、今日は各自ゆっくり過ごして、明日からお正月らしいイベントを楽しもうとの話になっていたのを思い出せば、笑みが浮かんだのも当然。そんな私の様子に首を傾げるから、ナイショと唇を動かしたけどそのお仕置は私を喜ばせるだけの優しい抱擁。
「もう、寒くないか」
「うん、ありがとう」
貴方がいるなら寒くはない。私は心からそう思って笑う。
そんな私を、けれども彼は離してはくれない。少し痛いくらいの抱擁が、私を傷付ける意志を伴ってない事は嫌という程に知ってるから、その痛みさえ私には愛しいの。
旧年にあった悲しい出来事は、そっくり本年にも引き継がれてる。下手をすれば、昨年よりも悪化してるかも知れない。
それでも今、私達は生きてる。この先も大切な人との明日を生き続ける為に、今何ができるのか……それをそれぞれが考えるべきなのかも知れないわね。
皆様、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
本年が皆様にとりまして、良い年となりますように。私は大切な人が幸せであれば、それだけで幸福だと言いきれるので、皆様の幸福が私の幸福でございます。
皆様が安全に楽しい1年を過ごせるよう、お祈りしております。感染病が終息する事が難しければ、収束で良いのでしてくれる事を祈っています。