航海の途中、サイクロン三連撃を躱して何とか事なきを得たのも束の間、物資の確認したら食糧不足とインク切れを確認してしまう。これは危険だと言う事で近くの島に緊急避難として向かう事にした。
まさかそれが、こんな悲劇を産むと誰が思うのだろう。……いいや、きっと誰も思わない。
いくら〝有り得ない事がない〟と言われるこの海でも、コレはない。私は、断固としてそれを言い張りたいと思う。
「にゃー……(ここにいるよー……)」
私を探す大切な人の声が聞こえて、必死になって応えた筈なのに、私から出されたのは愛らしい鳴き声。そもそもの発端は、買出しにと1人で降りた私にあると言われたらそれまでなんだけどさ……。
船を泊めたら、港に見えた沢山の猫に惹かれて降りてしまったのだ。引き止める声を振り払って飛び出した代償としては、それでも大き過ぎたと思うの。
買物して、船に届けてもらう様に手配して、さて帰ろうと思った時声を掛けてきたのはどこかで見た事があるような気がする丸い生物。カマっぽい喋り方で、私ね、双子なのよ~……片割れを探してるのっ!と言っていたソレは、きっと猫耳生えたら可愛いわよ~なんて言いながら、嫌がる私に能力を使ってきたのだ。
「大丈夫よ~。貴女が誰なのかを誰かに言い当てられた時、元に戻るからぁ!!……もし、当てて貰えなくても三日で戻れるわ。どちらにしても、耳と尻尾は戻ってから二日生えてるけどね」
「ふにぁ!?(何それ!?)」
「本当に可愛いわねェ。でも残念!私、片割れ探さないといけないから、またね。子猫ちゃん!うふっ」
そう言って立ち去るそれに私は必至になって声をかけたけど、四足での動きに慣れてない私は無様にもすっ転んで逃げられてしまった。その上で、下手に視界の変わった状態で動き回ったので、完全に迷子である。
その状態で猫の縄張り争いにより追い回されたり、雄猫が何故か凄い勢いで追いかけて来たりするから、逃げ回る事となり……結果、酒場っぽいところにあった樽の影に隠れているのだ。……気付いて、くれるかな?
「どこだ?……近くにいるのはわかるんだが……」
「にゃー……(ここだよー……)」
「猫……?似てるな。……おいで」
そう言って私に手を伸ばすから、私は泣きそうになりながら駆け寄りその手に擦り寄る。怖かったのだ。
この姿では、クリマタクトも短剣も使えないし、そもそもあるのかもわかんないし、居場所も何も分からないから。甘えていたら抱き上げられて、それからマジマジと見詰められて……。
「あれ?ナミ?」
「にゃ!(うん!)」
その瞬間、身体が光って……人の形に戻った。なんか、邪魔なものは生えてるけどね。
耳に触れて、尻尾に触れて、どうやら感覚はあるらしい事を知る。後でちゃんと、鏡で確認しないと駄目よね。
「わかってくれてありがとう。気付いて名前呼んで貰わないと戻れなかったみたいなのよ」
「……そうか」
「この耳とかも暫くあるみたいだから、その間この島に停泊して貰える?安全の為に」
「……わかった」
「ありがとう!」
この島に残って貰えるなら、測量もできるわよね。変なのは生えてるけど、ヒトガタの私は縮んだりもしてない。
多少邪魔なものはあっても、やっと戻れたいつもの姿。さて、この後どうしようかな。
折角陸にいて、やる事は終わってる自由時間なのだから、楽しみたい。そう思ってその手を握って笑いかける。
そこで、そう言えば今日は猫の日だったわねと思い出して、小さく笑った。そんな私の頭を撫でてくれる温もりが、本当に優しくて……何となく眼を伏せてしまっていた。
皆様楽しい猫の日をお楽しみください。にゃんにゃんにゃん!!