※この作品はR-18です。

共通序章置場   作:夢枕 七変化

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エイプリルフールイベント(序章)

 最近微熱が続いてる。多分、疲労から来る熱だろうと分かるけど、薬を飲む程でもないわよね。

 そう判断して立ち上がろうとした時、いつの間にか机の端に置かれていた蜜柑とホットミルクに笑ってしまう。それにより立ち上がるのを辞めて、そっとそれに手を伸ばしてホットミルクを口に含めば、随分渇いていたらしいと自覚する。

 蜜柑にそのまま手を伸ばして食べれば、安定のベルメールさんの蜜柑の味がして急激に眠くなって来た。いつも寝る時傍に居てくれる人が居ない事で、どうせそれ程長くは眠れないと分かっているけど、少しだけなら良いよねと机に潰れるように眠ってしまう。

 誰かに抱き上げられたような気がしたけど、眠過ぎてそれに対応できない。あの蜜柑とホットミルクに薬でも入ってたんじゃないかってくらい、深く眠ってしまって……目覚めたら日が傾いていた。

 

 「うそ!?もう夕方!?」

 「朝焼けだ。……眠れたみたいで安心した」

 

 ベッドから身体を起こして慌てる私の耳に届いた声にまたもや驚き、思わずカレンダーを見てしまう。すると今日が四月一日(エイプリルフール)だと気付いて、今の言葉が本当なのか嘘なのかと判断に困ってしまった。

 でも、嘘ついても意味ないし、確かに良く見ればこれは朝日である。どれだけ寝てたのかと思うのと同時に、エイプリルフールは本来午前中に嘘をついて、その日のうちにそれが嘘だったと告げるものであるから何か嘘ついてみようかなと考え付く。

 たまには変わった事のひとつでもしないと、船の上はどうしても娯楽が少ないからストレスを溜め込みやすいのだ。尋常ではない強さを持つ人だから、ストレスで暴れられては世界にどんな影響が出てもおかしくは無いと言うのも正直少しはある。

 でも、どんな嘘なら傷付けないだろうか?

 考えながらも無言でいるのはどうかと思って、笑顔を向ける。まずは仕切り直しに挨拶でもしよう。

 

 「おはよ」

 「……ああ、おはよう」

 

 優しく笑う大切な人に、私は挨拶をしつつどんな嘘を言ってみようかと考えるけど即座には浮かばない。怪我したとか言うと無駄に心配かけるか、犯人に何かやり返そうとするだろう事は想像にかたくないので却下。

 犯人探しはなくても、病気も同じ事よね。……実家に帰らせて頂きますって言ったら……と考えて、その瞬間に背筋に冷たいものが走った。

 第六感が告げる。それだけは、何があっても言ってはいけないと。

 ……なら、どうしようかな。そう考えて、ハッと思い浮かぶ。

 最近微熱続いてたし、ここで妊娠したかもとか言ったらどうだろう。怪我でも病気でもないし、誰の迷惑にもならないわよね。

 ……でもなぁ、もう少し考えてみよう。まだ今日は始まったばかりだもの。

 

 「そう言えば、朝ごはんって……」

 「食わないって選択肢は無いからな」

 

 呆れを隠さないその声と眼差し。その直後に、四日ぶりの食事になると告げられては、笑って誤魔化す他の選択肢を私は持ち合わせては居なかった。

 驚く貴方を見てみたい気もするけど、傷付けたりはしたくないの。でも、折角のイベントだもの、少しくらいのイタズラなら許されるでしょ?

 内心でそっと語り掛けて、笑う。そんな私に食事はするようにと、笑っても逃がさないと言うこの人は本当に優しいと思う。

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