短編集として、後程短編の人のは纏めますが、先にシリーズに組み込まれてる人の掲載する関係で此方に掲載。
会った事もないモルガンズと言う相手から〝宝玉〟宛にと届けられたのは1冊の本と、1つの封筒だった。封筒の方を開いてみると、それには喧嘩を売られているのではないのかと思わされるような内容が書かれている。
それにより、手が微かに震える。いやぁ……私、会った記憶無いんだけどなぁ?
『拝啓宝玉殿、書き出しは正式では無いがそこは気にせんで貰いたい。さて、この度お初に連絡を取らせて頂いているのですが、作品を拝見させて頂きまして……端的に1言。色気が足りない。そこで、この本を差し上げよう。作品に色気が増すように祈っています』
色気が無くて、悪かったわねっ!!
そう思い思わず封筒を床に叩き付けたけれど、本に罪は無い。エロ本かしらと手を伸ばして、微かに首を傾げる。
本には題名も何も書かれてはいなかったから。とりあえずと思ってその本を開くと、中から煙が出て来て爆発物!?と焦ったけど、臭いに火薬のそれが混ざっていない。
何の悪戯かと不愉快に思いながら本の状態を確認しようと手を伸ばせば、そこから変な物が飛び出して来た。カマバッカ王国に住んでいそうな見た目の、多分男だろう丸い物体は重力を無視して室内を平然と飛び回る。
「何……?」
「あら、あんたこの本が何か知らないで開けたの?」
「知らない、けど……」
この球体、喋れたんだ。そんな事を考えていたら、ニンマリと笑われてしまい嫌な汗が流れるのを感じた。
人間、嫌な予感程よく当たる。逃げ出したら、解決したりしないかな。
「悪魔の実を物質に食べさせる方法を実験してた途中でね、アタシ……その失敗例なのよォ。まァ、そこの話は長くなるから省くけどォ、アンタこの部屋からもう出られないわよ」
「……は?」
「普通なら誰かと2人でいる時にこの本開いて、アタシの気分で部屋を出る条件を決めるんだけどねェ……1人だから……そうね、最初にこの部屋に入って来た人に可愛がって貰ったら出られるようにしてあげるわァ」
「なに、言って……」
「んー?わかんない?アンタはこの部屋に最初に入って来た人に抱いてもらう迄出られないって言ったのよォ。女なら、それ用の道具貸してあげるから、安心していいわよォ」
冗談じゃないわと思って慌ててドアに駆け寄ってみたけど、本当に開かない。即座に短剣を抜こうとしたら、球体に止められた。
「流石にそれは痛いわ。その短剣抜いたら、条件酷くするわよ?今は〝中イキ〟だけどォ……条件はアタシの気分次第なのよォ?」
「……ねぇ、キスしたらとかにして貰えたり、しない?」
「出来るけど嫌よ。アンタ結構私好みの見た目だから、妖艶な姿見せて楽しませてねェ。……凄く、虐めたくなるのよね、アンタみたいな子」
そう言って姿を消した球体の代わりに、その場に残されているのは1冊の本のみ。その本をもう1度開くと中には細かいこの部屋のルールが書かれていて、私はその本を絶望の中で落とすと震える体を強く抱き締めた。
助けて欲しいと、想い人の姿を思い浮かべるけど、同時に入って来ないでと叶う筈も無い事を願う。それと同時に、いつかこの本を送って寄越したモルガンズとか言うのに会ったら、覚悟して貰おうと心から思ったのだった。
いくら泣いても助けは来ない。けど、泣く他に何が出来るというのだろうか。