スチール製の簡素な味気ないマグカップに入れたインスタントコーヒーを一口啜り、不意の熱さに慌ててマグカップから口を離し、ザーザーとバケツをひっくりかえしたような降雨量の空を睨みつける。
「・・・止む気配はなし。湿度によってバレルの歪みと、お前のストックの膨らみ具合を確認しておけ。長距離狙撃は不確定要素一つで全てが狂う」
「言われなくても分かってるわよ。先輩風でも吹かせてるわけ?」
常からワインレッドの長髪を靡かせ、吊り目がちの鋭い目つきで私を睨みつける小生意気なお嬢さんの言葉に、口の端を歪ませながら返事を返す。
「先輩も何も、お前さんよりは経験はあるよ。狙撃も、不確定要素込みの難解な任務もな」
「ふん、見てなさい。あんたよりよっぽど上手に終わらせてやるわ」
「どうぞご自由にお嬢さん。出来るのなら、だがね・・・」
鼻息荒く、狭いテント内で顔がくっつく程の距離での会話に、皮肉で返しシートに腰かけたままコーヒーを啜る。ううむ・・・軽い味わいに、雑な風味、苦みだけがただただ舌に残る。まずいが、体を温めるにはこれくらいしかない。カプチーノ風にしたインスタントコーヒーは彼女に手渡した。飲めないわけではないはずだ。
こちらを睨み付けながらもカプチーノを飲む手は止まっていない。コーヒーで湿った彼女の瑞々しい唇が今は見事にへの字に固定されているのはいただけないがね。淑女の自覚があるならもう少し、他者への態度を柔らかくするべきだ。私に言えた義理ではないが。
降り続ける雨を眺めながら水路のように勾配をつけて低地へ流れてくように工夫した溝が正常に機能しているのを確認し、ベストの懐から葉巻を取り出し、口へと運ぶ。
「そういえばたばこや葉巻は嫌いだったな」
彼女の嗜好を思い出し、あえなく断念。怒ると五月蠅いし、何なら泣き出すのだ。溜まったものではない。私の身を案じているといえば聞こえはいいが、実際は煙草の匂いが嫌いなだけだ。まったく・・・困ったお嬢さんだ。なぜ私の今回の狙撃のパートナーなのだ・・・。
溢れ出る不満を内心で黙殺し、短く嘆息だけ吐き出しお嬢さんをちらりと見る。カプチーノとチョコレート味の携行食を頬張りつつ、緩められた頬と眦に常もその表情なら、此方も嫌味や皮肉を漏らさないで喜んで色々と教授してやるものをと、考えてはたと思考を止める。
私も彼女のことは言えぬな。素直になるべきかと、内心苦笑を漏らし、座り込んで夢中で携行食とカプチーノを頬張る彼女の鮮やかな髪に手を乗せ、頭を撫でる。
「なによ」
「しばらく動けない。見ての通りだがね。急ぐ必要もない任務だしな・・・ゆっくり食べればいい。足りないなら温かいスープと、早いが軽い夕食にしよう。今日はこのまま休止する」
「どういう風の吹き回しよ?」
「この強雨なら目標の足も止まる。距離は離されない」
「根拠は何よ」
「勘」
「なにそれ、意味わかんない」
柔らかな手触りの良い彼女の髪を撫でつつ、ぎこちなくだが私も笑みを浮かべる。
「・・・無理に笑わなくても良いわよ。あんたいつも仏頂面じゃない」
「・・・表情が固定されて変わらない。寒さで強張ったのかもな」
呆れた風にため息をついた彼女が、ぎゅっと正面から私をを包み込んでくれる。温かくて、安心する。温もりなんてわかりづらい人間だけども、彼女の此方を案じる心が私自身に伝わるかのような温かさだ。
「何度も言ってるけどあいつの影を追う必要はないわよ。あなたはあなたでしょ?あいつの真似をする必要性は何もないわ」
「癖なんだ・・・演じるの。自分自身に自信がないものでね」
彼女の体からふわりと香る石鹸の香りにさらに安心感を覚えながら、彼女を抱きしめ返す。何時もの恰好ではなくて、上からポンチョを羽織ってる私達は、それでもお互いの温もりを十分に感じていた。
「オリジナルと比較するつもりはないわ。あなたはあなたじゃない。生まれがどうあれ、ね。私たちだって人間のように母がいるけど、生まれ方は人自身の手で、欲望のために生まれて好きなように扱われる。まるで奴隷よ?」
「・・・私が彼から切り離されて自立し、こうして生きていること自体おかしい話なのだがね。私は、どうして生きているのだろうね」
お互いの耳元で囁くように話し合いつつ、ぎゅっと彼女の体を強く抱きしめる。
一つのカラダに二つの人格、疑似的だったそれはいつしか本当に分裂し、互いの存在をかけて殺し合い・・・そして『私』はオリジナルに敗北し、消えるだけの運命だった。
それを良しとしない者達に命を繋がれた。この憎たらしい世界から退場させて貰えなかった。
壊れた哀れな男から別たれた殺人に生きがいを感じ、その死に様を芸術作品としか思えないイカれた殺人鬼に手を差し伸べたのだ。
「この肉の体にも未だに慣れぬ。鉄の塊だった前のカラダの方がまだマシであった。明確に、意識が別たれたのがあのタイミングだったのもあるがね」
「でもあんな全身が旧戦術人形な見た目は嫌よ私はっ。だって、あ、あんたの温もりが分からないじゃないっ」
頬を赤らめて精一杯の素直さで私に伝えたのだろう彼女の、何というのかな、確かツンデレっというのだったか?そんな彼女の態度に、私は、首を傾げて疑問を伝える。
「なぜ私をそこまで好くのだ?私は、見ての通り、殺しにしか悦楽を見出せぬ。悲鳴に喜色を、飛び散る血液に興奮を、光を失う瞳に充足感を得る破綻者だぞ?世間一般でいう悪の代表格であろう。君の様な潔癖症な者が嫌悪する人種だと理解しているがね」
「忘れたの?私は、殺しの為に生まれてきたのよ」
囁くように告げられ、視界いっぱいに彼女の赤らんだ顔が迫り、私の唇に彼女の唇が触れる。
甘い。先に食べたチョコレートの味がするのを含めずとも、女体とは斯くも何とも言えぬ柔らかさと甘さを持っているのかと、自身の男性のカラダとの比較を脳裏に浮かばせながら・・・彼女のカラダを逃がさぬように捕まえ私からもキスを返す。彼女はキスをしながら、服を脱ぎだし私は、内心戸惑った。
性交というものを、オリジナルの記憶から引き継いでいるが、私自身のこのカラダでは初めての状況に、心拍数が上昇していくのを感じる。死の危険に対する警告の様なそれとは違う感覚に、眉間に皺が寄っていくのを感じる。何とも言えぬもどかしい様な、焦燥感のような変な感情が入り交じり、私の中を駆け巡る。
私は、きっと彼女を好ましく思っているのだろう。人間でいう番の様な関係になりたいと思っているのだろうか。そんな考えがふと浮かんでは、本能からなのか、彼女の露になった黒い下着に包まれた胸部を上から見下ろす形になり、自分の衝動に任せて私も服を脱ぎだした。
「相変わらず大きいわね」
「面目ない?いや、何と言えばいいのか。適切な言葉が見当たらない」
「良いわよそんな事気にしないで・・・じゃあ、行くわよ?」
「任せる」
互いに隠すものなく露になった裸体を晒しながら、まじまじとそそり立った私のモノを見つめて呟いた彼女に反射的に返答を返し、纏まらぬ考えのまま口を開いたことと私の様な者に好意を向け、あまつさえこのような行為を行わせる事に対して謝罪するが、気にした風でもなく適当に流した彼女は、すぐ様私のモノをその唇を大きく開き、包み込む。
「っ!」
「いひゃい?」
口内のぬるりとした湿り気と舌が裏筋を舐め上げ、包む感覚。そして啜る様にモノをしゃぶり、下品な音を立ててじゅぽじゅぽと頭を上下に動かして私自身を愛撫してくる。普段から潔癖症な彼女が、私にそのような行為をする何とも言えぬ背徳感と征服感にぶるりと背中から迸る甘美なしびれに腰を浮かせる。そんな私の反応にもごもごと口に一物を含ませたまま喋る彼女に大丈夫だと伝えて、続きを促す。
その言葉の後に激しく口を上下させ、搾る様に肉棒を刺激する彼女の動きに合わせて彼女の鍛えた肉体の上に、見事に育った乳房もダイナミックに揺れる。普段とのギャップとの差に尚更、劣情をそそのかされ、空いた両手で彼女の乳房を下から持ち上げる。
ぴくんと反応しながらも一層搾る様に唇と口内をきつく締め、しごく彼女へ反撃とばかりにこちらも乳を揉み、張りがありながらも柔らかい彼女の乳房の感覚を手のひらや指先で感じる。手のひらの中央で硬くなりだした彼女の乳首をコリコリと人差し指と、親指を使いながら摘まんだり、指先と乳首を擦り合わせたりとs激して彼女の反応を伺う。
ぴくぴくと愛撫に対して、体を短く震わせながら突き出した尻を左右に振っている。その様子に私は彼女を抱え上げ、彼女の尻を私の顔面へと向けさせる。ボリュームのあるまろやかな曲線を描いた尻と愛液で濡れた陰部に舌を這わせる。彼女の抗議を無視しつつ。
「ちょっと、急に動くんじゃ・・・んひゃ!?」
びくりと今まで以上にない激しい反応を示す彼女に両手を彼女の尻に置き、彼女が身を捩って逃げない様に固定しつつ揉んで、更に舌先で彼女の膣内へと舌を侵入させる。
じわじわと膣内から溢れる愛液と唾液が交じり合い、舌と唇を動かす度にぴちゃぴちゃと卑猥な音が雨音に交じって暗くなったテント内に響く。
彼女も負けじと私の肉棒をしごき始め、ここからはどちらが先に達するかと言う展開になってしまった。何としても先にイカせる。
お互いにびくびくと体を痙攣させながら、相手の陰部を責める様は、冷静に考えると滑稽に見えるが、そんなことは今現在どうでも良かった。只、お互いに満足したい。それだけだ。
肉棒の先から迸る、ジリジリとした何とも言えぬ感覚に限界が近いのを悟る。それに合わせて舌を這わせた彼女の膣もまた、締め付けが一層強くなりだし彼女も限界が近いことを察知する。甘い彼女の愛液を啜る様に下品に音を立てて一層責め立ててやる。
お互いに口で愛撫しあい、限界を迎えたのはほぼ、同時だった。
舌が、ぎゅうと絞められ、私は彼女の口内へと精を放った。どくどくと彼女の小さな口に収まらぬほどの精液が口の端から漏れ出し、私の顔面も膣から噴出する愛液でびしょぬれになってしまった。これでは、外に出るのと大差ないなと、内心苦笑しながら肩で息をしながら、口の端を垂れる精液をグイっと手の甲で拭ってこっちを恨めし気に見つめてくる彼女は口を開く。
「私がやるからじっとしてなさいよ!馬鹿っ!もう知らない!」
機嫌を損ねてしまった彼女を宥めるべくしばらく裸のまま私は彼女の機嫌取りをするのであった。
まだまだすらんぷですねさーせん。
多分もう少ししたら、普通に更新出来るほど回復するはず。すまぬ