※この作品はR-18です。

ファイアーエムブレム ヒロインズ ~英雄たちの受難~   作:瀬部唯人

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★ハロウィンワユの受難

 意識が覚醒したワユは自由の利かない己の四肢を見てすぐに状況を理解した。

 光源の少ない薄暗い一室。その部屋の中央に置かれた石造りの台座の上で、ワユは両の手足を大きく広げる大の字になるよう横たわらされていた。

 手首と足首にはそれぞれ金属製の枷がしっかりと取り付けられており、ワユの身体を台座に固定している。女の細腕で引きちぎれるような代物であるはずもなく、当然のように身体を動かすことができない。

 

 意識を失う直前の記憶は鮮明に残っている。

 ワユをはじめ、他三名の編成で組まれた部隊はアスクの地に突如現れた巨大な塔を調査すべく塔の内部へと侵入し、その中を突き進んでいた。

 行きつく先々でいくつもの罠が彼女たちに襲いかかり、辛くもそれらを切り抜けてきてはいたが、途中ついに対処しきれない事態に陥ることとなる。

 薄暗い回廊を進んでいた時であった。カチリ、と誰かの足元からやけに耳に残る音が聞こえたと同時、何の変哲もないと思っていた床から突如視界を覆うほどのガスが噴き出してきたのだ。

 ハロウィン仕様により箒に乗って空を飛べるワユは、天井ギリギリまで高度を伸ばすことでどうにか難を逃れることができたが、他の仲間たちはどうしようもなかった。

 ガスの噴出が収まり、少しずつ晴れてきた視界のその先に見えたのは、意識を失い力なくその場に横たわる仲間たちの姿。

 すぐにでも駆け寄りたい衝動を抑え込むのは大変な労力を要した。

 この部隊の中に癒しの力を扱うことができるのはワユを置いて他にいない。ここで自分まで倒れてしまえば、それこそ彼女たちを助けるどころではなくなってしまうことをワユ自身が一番よく分かっていた。

 煙が流れその気配の消失を確認すると、ワユは即座に仲間の下へ飛び降りた。すぐさま彼女たちの容体を診ていく。

 結果、大事に至っていないことにワユは思わず脱力し安堵の息を漏らした。

 皆、意識を失ってこそいるが顔色は悪くない。どうやら煙がもたらした効力は強力な催眠作用だけだったらしい。毒性のものでなかったのは不幸中の幸いといえよう。

 

 しかしワユが安心できたのもほんの束の間のことであった。

 

 何の前触れもなく、突如周囲に紫電の光を灯した魔方陣の紋様が浮かび上がる。驚く間もなく、そこから今度はミイラのような魔物が次々に出現してきたのだ。

 彼女たち一行を取り囲むように現れた多数の敵に対し、こちら側でまともに動けるのはワユただ一人。それどころか倒れて動けない仲間が三人もいる。

 彼女たちを庇いながらも必死に奮闘するワユであったが、あまりにも劣勢な状況に徐々に追い詰められていき、最後にはとうとう力尽きてしまうのだった。

 

 

 

 そして現在。敗れたワユはこうして捕らわれの身となったのだろう。

 他の仲間たちのことも気がかりではあるが、今はせめてこの拘束だけでもどうにかしたい。

 

「~~~~~!」

 

 おそらく無駄だろうということを頭では理解していたが、感情がそれをよしとはしない。現状が我慢ならず、枷を引き千切らんとありったけの力を込めていく。

 もとより自由奔放の気質のあるワユは束縛されることを好まない。物理的ともなれば尚更だ。

 

「だぁぁぁ! やっぱりダメだぁぁぁ!」

 

 案の定、拘束が緩むことはなかった。

 自力での脱出はやはり不可能だろう。盛大なため息とともに力なく四肢を投げ出した。こうなった以上、最早いつ来るかもわからない本隊からの救援に望みを託すほかない。

 

「……?」

 

 ふと、すぐ近くに視線を感じた。

 一体いつからそこにいたのか。首を動かして気配の先を追うと、暗がりの中に佇む歪な人影が見えた。少しずつ目が慣れ、その輪郭がはっきりしてくる。

 背格好は特務機関にも属する幼竜の少女たちに限りなく近くかなり小さい。上から下まで黒一色に染めたローブ姿に、頭部には大きな赤いリボンが巻かれたローブと同色のとんがり帽子。そして最も特徴的なのは首から頭までがカボチャであることであろう。

 やたらと精巧なジャックランタンがそこにいた。

 自分に対するあてつけなのだろうか。こちらへ近づいてくる小人をぼんやりと眺めながらワユは内心で訝しんだ。

 

「ええと、どちら様かな? とりあえず、もし良ければこれを外してもらえない? 動けなくて困ってるんだ」

 

 一先ずは友好的なコンタクトから入ってみる

 こんな場所と状況で出会った以上、敵である可能性の方がはるかに高い。しかし相手の正体がわからないうちからそう決めつけるのは早計だ。交渉如何によっては力を貸してくれる可能性もゼロではない。

 元に特務機関に属する仲間の中には、敵であった相手を交渉や説得によって仲間に引き入れて共に戦ったという英雄たちもいる。意外にも乙女思考のあるワユは、運命の巡り会わせを思わせるその話を耳にしてちょっと憧れを抱いたものだった。

 ちなみに彼女のド琴線に触れたのは、サカの剣士ルトガーとエトルリアの令嬢クラリーネの邂逅ストーリーなのだが、完全に余談なので割愛する。

 

「…………」

 

 ワユのすぐ傍までやってきたジャックランタンからの返答はない。代わりにローブの内側からプラカード状の板を取り出してきたかと思うと、おもむろにそこに描かれている文字をこちらへ向けてきた。

 

「『トリック・オア・トリート』……?」

 

 思わず声に出して読む。

 それが意味する内容は当然理解できる。何しろ特務機関のハロウィン勢の中でも、隙あらばその言葉でしばし召喚士を困らせる筆頭の一人にワユ自身が含まれているのだから。

 これはつまり、ジャックランタンの少女(帽子のリボンから判断した)はワユにお菓子を要求しているということなのだろうか。

 

「えぇと、ごめんね? 今お菓子の持ち合わせがないんだ」

 

 と、素直に告げたところで突如異変が起きた。

 ワユが横たわる台座のいたる所でこぶし大ほどの穴が開いていく。驚く間もなくそこから細長い触手のような腕がいくつも伸び出してくると、まるで獲物を逃さんとする捕食者のようにワユを取り囲んだ。

 

「へっ!? な、なに!?」

 

 異様な空間の中心にいきなり放り込まれてワユの表情が大きく引きつった。

 どこか無機的な触手腕の先端部はいずれも人の手を模っており、それぞれがこちらにその動きを見せつけるように五指を蠢かせている。その様に言いようのない生理的な嫌悪感が煽り立てられるが、四肢を固定された今のワユには抗う術がない。不安を覚えるのは当然のことであった。

 

「や、やだ! なにこれ、来ないで―――ひゃぅぅ!?」

 

 首を振りながらじたばたともがいていたワユであったが、不意にその口から甲高い素っ頓狂な声が漏れる。

 いくつかの触手腕がワユの脇腹を撫でまわしてきたのだ。それを皮切りに他の腕も次々とワユに群がってくる。

 

「んひゃぁああっ!? やんっ! ど、どこを触って、んくっ、くすぐったいぃぃ! ちょっ、これ君の仕業なの!?」

 

 身体中を這いまわる手の動きに身悶えながらも、この行為を仕向ける元凶にワユは当たりをつけた。というよりこんな状況では犯人など一人しか考えられない。

 ジャックランタンに向ける視線が一気に険のあるものに色を変えるが、その視線を受ける当の相手はプラカードをわきに置いて静かにワユを見下ろすだけであった。

 

「あっだめ、あはっ、あはははははははははは! やっ、やだあっ! やめてよぉぁぁあははははははははっ!」

 

 それまで適当に動き回っていただけの触手が、その責め手を全ての指先を使っての本格的にくすぐりに切り替えてきた。堪らずワユは身をよじる。

 

「ひゃぁああっははははああっはははは! んっぐ、あたしっ、くすぐりはっ弱いぃぃひひひひひひひっ!」

 

 首筋を、耳を、胸を、脇を、腹を、背中を、腰を、尻を、足の付け根を、腿を、膝裏を、脛を、足裏を。全身という全身を隅々まで。

 掻くように、なぞるように、撫でるように、揉むように、突くように、摘まむように。様々な指の動きがワユの肌をひたすら刺激する。

 

「きゃはあっはははははは! だああっああっははははははは! ひゃめてえっへへへへへへ! むりっ、もうむりいぃぃぃひひっひゃひいひひひ!」

 

 容赦のない責めとあまりの手数の多さに、乱された呼吸が整えられない。人語までまともに声に出来なくなり、時間が経つほどにワユの表情から余裕がなくなっていく。

 身体は全身からしっとりと汗がにじみ出し、僅かな照明に照らされた肌はすっかり上気し切っている。

 目じりからは涙が流れ落ち、絶え間なく悲鳴同然の笑い声が上がる口からは涎が垂れだすが、最早それを気にするだけの余裕さえなかった。

 

「ああぁっ――……ッ! んぐっ、はあっはあっ……」

 

 苛烈を極めたくすぐり責めの動きが止まる。

 ようやく与えられた休息に少しずつワユの呼吸が安定したものへ戻っていく。わずか五分ほどの拷問時間、たったそれだけでワユの体からは体力だけでなく気力までもごっそりと奪われ、早くも疲労困憊の状態となる。

 

「はあっ、はあっ……。あっ……」

 

 ぐったりと横たわるワユだったが、不意にこちらを見下ろすジャックランタンの存在を思い出しふと我に返った。同時に今の己がどんな状態であるのかにも思い至り、今更のように一気に羞恥心が高まっていく。

 肩にまで届く青い髪は、散々首を振り回していたことで乱れに乱れ、汗が張り付いてまとまりを失っている。

 元々露出の多めな衣服の乱れも酷く、着衣が大いに肌蹴て肌の露出域が広がり、丈の短いスカートは捲れ上がって下着まで見え隠れしていた。

 上気した頬に乱れた吐息。誰の目から見ても扇情的な姿だった。

 そんなワユの姿にも特に反応を示さず、やはり無言で見下ろすだけのジャックランタンであったが、しばらくすると再びその手のプラカードが持ち上げられた。

 

『トリック・オア・トリート』

 

 向けられた文字は先程と同じもの。

 それを受けたワユの顔がまともに引きつった。

 

「……っ。だ、だから今お菓子は持ってないんだってばっ」

 

 やや口調を荒げてその要求を突っぱねる。どれだけ求められたとしても、ないものはないのだ。しかし、理不尽にもそれは通らないらしい。

 動きを止めていた触手腕が再びワユに手を伸ばしてくる。思わず身を強張らせるワユであったが、手が向かう先は肌ではなく彼女に衣服であった。

 

「―――へっ? ひ、きゃあああああああああああああっ!?」

 

 触手腕の手がワユの服をつかむと、左右それぞれに思いっきり引っ張って布を引き裂いた。恥ずかしさに耐えられずワユの口から甲高い悲鳴が上がる。

 衣服はボロきれとなって台座の上に散らばり、ワユの身体には上下の下着のみが残った。

 体形的にはまだまだ発育途上にあるワユにしては少々背伸びしたという印象の、所々にフリルがあしらわれた黒のショーツとブラジャー。見せる予定などないものとはいえ、ハロウィン衣装に合わせてのお洒落のつもりで身に着けていたものだった。

 スカートが捲れて下着が覗くのと、ひん剥かれて肌を晒すのとでは羞恥の度合いが違う。鏡を見なくとも己の顔が真っ赤に染まっていることが自覚できた。

 

「~~~~~ッ! バカ! エッチ! 変態! カボチャお化け!」

 

 恥じらいを誤魔化すように、思いつく限りの罵倒を目の前のカボチャ小娘に浴びせていく。不興を買う可能性もあったが、それでも言わずにはいられなかった。

 その勢いも、ジャックランタンが三度『トリック・オア・トリート』のプラカードを掲げたことによって一気に失速することとなる。

 ワユの生殺与奪を決める立場にいるのは一貫して相手が担っているのだ。そしてジャックランタンの要求に応えることができない以上、ワユに待ち受けるのは相手に弄ばれる運命しかない。

 

「……っ」

 

 返答すればまた碌な目に遭わされないのは明らかだろう。

 それが分かっているからこそ、ワユは答えに窮し返答ができないでいた。

 

「…………」

 

 ジャックランタンはしばらくの間、ワユからの答えを待ち続けていたが、やがて時間切れだと言わんばかりに軽く肩を落とし、ローブの内側に手を伸ばした。

 新たにそこから出てきたのは透明度のある淡桃色の液体の入った小瓶。

 ジャックランタンは慣れた手つきで封を開いていく。その液体を一体どうするつもりなのかと注視していると、スッとこちらに近づかれ、そのまま流れるような動作でワユの口にそれを押し付けてきた。

 

「んぐっ!? ん゛ん゛ぅ~~~~~!!」

 

 さらさらとした甘みが口内に広がり、苦悶を伴いながら喉の奥に流し込まれていく。

 得体の知れないものを拒もうともがき続けているが、ワユの顎を抑える小さな手はその見た目に反して驚くほど強く、振りほどけない。抵抗もままならず、最後の一滴を飲みきるまでワユはされるがままとなった。

 

「~~~~~ぷはっ! けほっ、けほっ! な、なにを――――っ!?」

 

 ジャックランタンからようやく解放されたワユが咳き込みながら抗議の声を上げようとしたところで異変が起きた。

 下腹部から猛烈な疼きが沸き上がってくる。それに伴ってそこから込み上げてくる熱が身体に広がっていき、ワユの額から玉のような汗がにじみ出してきた。

 

「うあぁ……、あぁん……か、身体、熱い……なに、これぇ……」

 

 ワユが飲まされたのは即効性のある強力な媚薬ジュースだった。

 今まで味わったことのない衝動に苛まれワユはただただ戸惑うばかりである。

 襲い来る甘く切ない何とももどかしい感覚。内股をもじもじと揺すり動かし、歯を食いしばってどうにか意識をつなぎとめる。気を抜けば一気に意識が快楽に流されてしまいそうだった。

 

 そんなワユをさらに追い込もうと新たな装置が起動していく。

 ワユの両脚の間に今度は縦穴が開き、その奥からシリコンのような程よい弾力のある丸鋸がせり上がってきた。

 丸鋸には刃がついていない。その代わりに、丸みを帯びた突起がいくつも並んだ少々変わった形状のものであった。

 それもそのはず。これは殺傷を目的としたものではなく、苦痛の代わりに性的な快感を対象に与え続けるものなのだから。

 

「んんっ、こ、今度はなにを……」

 

 首ぐらいしか満足に動かせないワユは、自分の股の間で怪しげな装置が準備されていく様子をただ見ているだけしかできない。

 先のくすぐりと飲まされた薬によって薄っすらと恥ずかしいシミの広がったショーツ越しに、股間にぴったりと密着するように丸鋸があてがわれる。すべての準備が完了すると、丸鋸はその場でゆっくりと回転を始めた。

 

「なんっ、ふぁぁっ……、ふぅっ! んんぅっ!」

 

 ワユには知る由もなかったが、台座の内側には丸鋸の突起部に潤滑油(ローション)が流布される仕組みになっており、受刑者の股間を滑らかに刺激し快楽を与え続けるようになっていた。

 

「あっ、あぁんっ! んはあぁぁぁぁっ!」

 

 次第に丸鋸の回転速度が上がっていき、それに比例してワユの反応も大きなものになっていく。肌に色づいた赤みはさらに色を増し、吐き出す呼気は徐々に荒々しいものへとなっていった。

 丸鋸に塗られる潤滑油にも媚薬成分が含まれており、身体の内側と外側を同時に甘美な毒に侵されワユは激しく身悶えた。

 そこへさらなる追い打ちが迫る。動きを止めていた触手腕が再び動き出し、ワユに向けて腕を伸ばしてきたのだ。

 

「そ、んな……っ! やだ、やめてよ……これ以上されたら、あたし壊れちゃうよぉ……!」

 

 それを見たワユの表情が絶望に染まる。

 いやいやとまるで聞き分けのない子供のように何度も首を振り、目に涙を滲ませて恥も外聞もなく懇願した。

 しかしその願いは聞き入れられない。

 無情にも、蠢く指はワユの身体を再びくすぐり始めた。

 

「~~~~~ぁぁぁぁああああははははははははははぁっ!!」

 

 台座の上でワユは激しくのた打ち回った。

 服の上からくすぐられるのと、直接皮膚をくすぐられるのとでは、与えられる刺激が段違いだ。おまけに、媚薬によってワユの感度は大幅に引き上げられ、肌が焼け付くほどに敏感な状態へと仕立て上げられていた。

 

「いひいいいぃっ、ああっ、ふああああんっ! いや、いやだぁっははははっんん! あんっ、あひいぃっひひひひひっんひひひひひ!」

 

 股間を責める刺激によって、ワユの口から漏れる悲鳴には笑い声の他に官能的な響きのあるものが混じる。

 丸鋸の突起は下着の上から正確にクリトリスを捉え、絶え間なく回転する刺激はワユに激しい快感を与え続けていた。

 

「ん゛ん゛ん゛ぅ゛っ゛!!!」

 

 すでに何度も絶頂を迎えていたが、とうとう吹き出す勢いで潮吹きをしてしまう。

 愛液とローションで湿りきっていたワユのショーツは、潮吹きと漏れ出した小便までが混じってぐしょぐしょに濡れ、最早下着として全く機能していなかった。

 身体を痙攣させるワユにそれでも悪魔の装置は責めの手を緩めようとはしない。

 

「いやぁっ! イッた、もうイッた! これ以上もうイキたくない! もうやだあぁぁぁっ!!」

 

 その後も、丸鋸のクリ責めと触手腕によるくすぐり責めは続き、何度も何度も強制的な絶頂を迎えさせられる拷問が続いた。

 汗や潮吹きで水分を失うワユが干乾びないよう、時々設けられる休憩時間にはその度に媚薬ジュースが与えられ、水分と栄養の補給の時間までもが調教の時間と化す。

 羞恥と苦痛と快楽が入り乱れる地獄のような時間だった。

 

「(た……た、い……しょう……。た、すけ……てぇっ……)」

 

 やがて何十回と絶頂を果たした頃、ワユの意識はとうとう快楽の底へと沈み真っ暗に塗りつぶされていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 塔の攻略に失敗したワユは、特務機関の拠点に帰還した。

 

 どうやって帰って来られたのか、ワユ自身はまったく覚えていない。気がつくと医務室のベッドの上だった。

 説明を受けても正直よくわからなかったが、要約すると召喚士エクラの召喚術によりここまで呼び戻してもらったということで間違いないらしい。

 

 ―――あの地獄から、心に願った相手が助け出してくれた。

 

 その事実は、トラウマになって塞ぎ込んでもおかしくないほど摩耗していたワユの心を救い上げるには十分な効果をもたらした。

 我ながら単純だとは思うも、柄にもなく胸が高鳴り、内から暖かいものが込み上げてくる。それがどうにも気恥ずかしくて、しばらくワユは布団に埋めた顔を上げることができなかった。

 一緒に塔に向かった他の仲間たちも同様に帰還できたらしい。誰もが酷い目に遭っていたようだが、それでも無事に帰って来られたことを皆でとにかく喜び合った。

 

 塔に関しては、相変わらず健在であるそうだ。今も新たな部隊が調査に向かっているという話だったが、今はゆっくり休めと労わられた。

 実際怪我を負ったわけでもないものの、辱めの拷問を受けたことで蓄積した疲労度はかなりのものであり、ワユはその申し出をありがたく受け入れることとした。

 程なく彼女たちは回復に向かい、すっかりと元気になったワユもまた変わらぬ日常に戻っていった…………かに思えていたのだが。

 

「はっ、はっ、はあっ……大将、大将ぅ……」

 

 彼女の身体の疼きが治まることはなかった。

 毎晩のように自慰に耽り自分を慰めていたが、昂ぶりは治まるどころか日増しに強くなっていき、ある夜とうとうエクラの部屋に押し掛け、彼に襲いかかる事態となった。

 

 全くの余談であるが、彼女と同じ部隊であった他の三人は全員が恋人や伴侶を持ち、三者とも帰還したその日のうちに各々のパートナーと燃え上がるほどに激しく愛し合ったらしい。それはもう男を搾りつくさんとするほどに。

 それを考えると、数日持ったワユはある意味、相当耐えた方だと言えるだろう。その結果、ちょっとブレーキが壊れて歯止めが効かなくなってしまったわけだが……。

 

「気持ちいぃ……。気持ちいいよぉ―――!」

 

 以来、彼女は度々エクラを求めるようになり、ほぼ毎晩彼の部屋を訪れるようになった。

 それどころか、最近では人目を避けることさえできれば、朝であろうが昼であろうが場所も選ばずに彼との情事に耽ることがあり、平時であっても二人の下半身は水気を帯びている時間の方が多くなってきている始末である。

 

「ああっ! あぁん! もっと! もっと気持ち良くしてぇ―――!!」

 

 今宵もまたエクラの腰の上に跨ったワユの嬌声が響く。

 お互いの身体が絶頂を迎え、震える膣内に精液が吐き出された。

 

「ふああぁぁぁ……っ! 良い、すごく気持ちいいよ大将ぉ! もっと、もっとぉ! 大将も一緒に気持ちよくなって! あたしと一緒に気持ち良くなってぇっ!!」

 

 余韻に浸るのも束の間。ワユはすぐに次のラウンドを求め、再び腰を振り動かしていく。

 結局、この日も限界を迎えるまで交わりは続き、二人が疲れ切って泥のように眠りに落ちたのは、東の空がうっすらと明らんできた頃であった。

 

 きっかけこそ、塔の調教によってエッチな女の子に堕とされたとことに始まり、想い人と関係に至った経緯も欲求不満が爆発したことによる逆レイプというロマンスの欠片もないものとなったが、エクラの隣で眠るワユの横側はとても幸せに満ちた表情であったという。

 

 

 

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