ファイアーエムブレム ヒロインズ ~英雄たちの受難~ 作:瀬部唯人
クチュクチュ。グチュグチュ。
薄暗い宿の一室に、いやに耳に残る淫猥な水音が反響する。
嫌でも聞こえてくるはしたない音の出所が己の秘所からであるという事を自覚して、ラーチェルは激しい羞恥に苛まれた。
彼女のすぐ後ろには感情の読めない静かな瞳をしたリオンが佇み、背後から抱きつくようにラーチェルに絡み付いている。その両の腕が向かう先はどちらも女の秘部に当たる股間へと伸び、官能的な刺激を与えるよう絶え間なく動き続けていた。
「んっ……ふぅっ!」
彼女は相も変わらず室内の中央で磔状に拘束された状態にあり、まともに身動きを取ることも出来ずにいる。そのため自分ではこの状況を打破する術がなかった。
「ひっ、あひっ……! んあぁんっ!」
リオンの指先が蠢く度にラーチェルは激しく身悶えた。
左手の指の腹で陰核を擦るようになぞり上げられ、右手の指先が膣口を捉え内側へと浅く挿入してそのまま膣内をほじくり回される。その度に目の前でチカチカと星が瞬き、暴力的ともいえるゾクゾクとした快感が脳髄を駆け廻った。
リオンの愛撫責めが始まってから既に数十分にもわたる時間が経過しているが、彼は決して指を動かすことを止めようとはしない。こちらを強引に昇天させようと、只々その手を巧みに動かし続ける。そしてその意図のままにラーチェルは延々と悶えさせられ続けていた。
「いくっ、また……イって、んくぅ……っ!!」
そうしてリオンに性器を弄りまわされ、もう何度目となるかもわからない絶頂を迎えさせられラーチェルは大きく体を仰け反らせた。
ブシュッ! と己の意思とは無関係に潮が噴き出す。
今や彼女の足元は潮吹きや失禁による折り重なった粗相によって水浸しとなってしまっていた。
「はぁっ、はぁっ―――……ッ!?」
肩で息をしていたラーチェルの目が驚愕に見開かれる。
絶頂を迎えた直後だというのに、ほとんど間を置かず再びリオンが指を動かし始めたのだ。
「ま、待って! お願いっ、お願いですから少し休ませ……っ、んやあぁぁぁぁっ!」
堪らずにラーチェルから静止の声が上がるが、その声もすぐに嬌声へと置き換わった。
「あんっ! ああっ! ダメ、やめてっ! リオン、お願いやめっ―――ふあぁんっ!!」
ビクビクと痙攣を繰り返しながらラーチェルの身体が跳ね上がる。
立て続けに繰り返し何度も絶頂を迎えさせられ続けたことによって、いよいよ身体の制御ができなくなってきていた。
全身から汗が噴き出し、膝がカクカクと震えはじめる。拘束によって無理やり身体を固定されていなければ、すぐにでも倒れてしまいそうであった。
(ぅ、ああ……き、気持ちいぃですわ……。愛撫だけでこんな……、頭がふわふわして蕩けてしまいそう……でも……)
ラーチェルが感じているそれは間違いなく性的な昂ぶりにおける快感だ。
言葉にすれば彼女の脳裏での呟き通り気持ちいいという他ない。それは確かだろう。しかし――
(つ、辛いですわ……っ。ずっと弄られ続けて……気が、変になってしまいそう……。こ、これ以上されてしまったら、わたくし本当におかしくなってしまいますわ……!)
快感も過ぎれば毒でしかない。
強引にしてほしいと望んだのは他ならぬラーチェルからであったが、リオンの責めは想像していたよりも遥かに激しく容赦のないものであった。
ラーチェルの目じりに薄っすらと涙が滲む。
終わりは見えずいつまでも続く官能の波に溺れ、沈んだ底から戻れなくなってしまうという恐れ。プレイの一環だという事も忘れ、込み上げてくる恐怖にラーチェルは震えあがった。
「うぅ……リ、リオン! お願いですから本当にお待ちになってぇ!」
ラーチェルの懇願があまりに必死だったことを感じ取ったのか、流石にリオンは動きを止めた。
ようやくこちらの言葉に耳を傾けてもらえたことにほっと息を付く。が、辛うじて首を向けたラーチェルに返ってきたのは、半眼となったリオンのじっとりとした視線であった。
「そんなにきつかった? まだ指だけで玩具の一つさえ使っていないんだけど」
テーブルに並べられたいくつかの道具にラーチェルは喉をひきつらせた。
一際目を引くのは先端が男の性器を模したシリコン材質の棒に、複数のカプセル状の小さな球体。いずれも官能的な刺激をもたらす振動機能を内蔵した ―――この世界では電気の代わりに魔力を動力とする――― バイブレーター、ローターといったアダルトな性具であった。
その他にもアイマスクや追加の拘束枷などの小道具、ローション液が入った容器なども見える。
いずれも自分で使ったことなど皆無なものばかりであったが、ラーチェルもそれらがどんな役割を果たすのか知識ぐらいは持ち合わせていた。
「流石、特務機関で現在最も話題となっている施設なだけはあるね。いろんな道具が取り揃えられているよ。……取引先にまさかアンナ隊長も密かに噛んでいた事は流石に予想外だったけど」
「そ、そんな道具をまさかわたくしに!?」
「そうだね。せっかくだし使える物は全部試そうと思う」
「なっ!? い、イヤですわ! そんなおかしな道具を使われるだなんて……。特に
「……ハードな内容を望んだのは他ならぬラーチェルだったと思うけど?」
青ざめるラーチェルにどこか蔑むような視線が突き刺さる。
普段の穏やかなリオンには決してない冷たい眼差し。どこまでが本心なのか判別がつかず、その視線に思わず息を詰まらせた。
「はじめに忠告もしたはずだよね? その上で君は受け入れると言ったんだよ」
「それは……っ。その通りですわね……返す言葉もありませんわ。―――ですが、これだけはどうかお願いです! わたくしは自分の膣内にリオン以外のモノを挿れることなど、とても受け入れられませんの……!」
それは偽りのないラーチェルの本心であった。
愛した男のモノであればいい。
正直に言えば、リオンと幾度となく肌を交わした現在であっても、グロテスクなその見た目のイチモツには中々慣れず、未だに直視することには僅かばかりの抵抗がある。
しかしそれも惚れた男の一部に違いないのだ。まさか文句を言えよう筈もない。何よりも彼の男の象徴たるそれこそが、今日までラーチェルを悦ばせてきた存在に他ならないのだから。
リオンのものだからこそ受け入れられるのである。
しかし、それ以外の異物は全く受け入れる気にはなれなかった。
それをより強く意識したのは、淫魔の蠢く件の塔での出来事があってからであった。
調査に挑みそして敗れたラーチェルもまた、そこでひどい辱めを受けてきたのである。
自分が受けたその内容を彼女は決して口にしようとはしないが、その中には不浄な存在によって己の性器を弄りまわされるという心の底からおぞましく感じた時間もあった。
不幸中の幸いというべきか。不可思議なことにも、子種を膣内に注ぎ込まれ純潔を穢されるような事態には陥っておらず、強烈な官能を叩き込まれるだけに事はとどまっている。
しかし、それでも彼女がその身に受けたものは紛れもない凌辱に他ならなかった。
あの時の記憶、抱いた恐怖や不快感といった負の感情は、おそらくこれから先も生涯忘れることができないだろう。
その記憶を少しでも塗り替えたいという思いもあって、今回リオンには乱暴に抱かれたいと願い出たわけであるが、その大前提には彼のモノ以外は受け入れたくないという強い思いがあった。
「うぅ……、リオン~……どうか、どうかぁ……」
「わかったよ」
とうとう嗚咽まで漏らし始めたラーチェルに、結局リオンは折れることとなった。
険しさで固めた表情を元に戻し、これ見よがしに肩を竦めてみせる。
「まったく……。僕だって君が本気で嫌がることはしたくないんだから、そういう大事なことは始める前に言っておいてほしかったな」
すっかりと普段の調子に戻ってしまったが、こうなっては致し方なかろう。
彼の性格上、本気で嫌がる恋人を追い詰めるような畜生になどなれるはずもないのだから。このままでは気が咎めるどころか、良心の呵責に苛まれそうでさえあった。
「ぐすん……ありがとう、リオン……」
「…………」
そう思っていたはずなのだが、ほんの一時とはいえ萎えかけていた昂ぶりが、滅多に見ることのないしおらしくなるラーチェルの姿を前にしてあっという間に再度熱を灯し始めた。
……というよりも、今日においては事が始まって以来まだ一度も
無言で拘束枷を操り、ラーチェルの姿勢を浮遊磔の形から地に足をつけさせる。次いで両腕を顔の前で合わせるように固定すると上半身を正面に向けて突き出させ、情欲を誘うように尻を高く持ち上げさせていく。
わかりやすくいってしまうと、所謂キャスターさんによって縛られたセイバーさんに割と酷似した状態であった。
「あ、あの……リオン……?」
てっきり戒めを外してもらえるとでも思っていたのか、予想外のことに流石のラーチェルも若干戸惑った声を上げる。
その様子にリオンは自然と笑みを深めていった。もっとも体勢が体勢という事もあり、彼女の真後ろに立とうものならば、こちらへはほとんど首も向けることもできないため、ラーチェルからはリオンの表情など伺いようがなかったが。
「さて、ラーチェル。休憩も十分にできただろう? そろそろ続きをやっていこうか」
声を掛けながら未だ履いたままであったズボンをさりげなく下ろす。
散々ラーチェルの痴態を堪能し尽くしていた興奮によって、外気に晒されたイチモツは既にガチガチにそそり立っており、先端をわずかに湿らせたいつでも挿入できる状態にあった。
「え――、んぁっん!?」
「これだけ濡れていたらもう十分そうだね」
今更確認するまでもないことであるが、改めてラーチェルの秘所へ手を伸ばすと、そこは十分過ぎるほどに水気を帯びており、触れると粘性のある液体がリオンの指に絡みついて来た。
どうやら彼女の方も、とっくに男を受け入れる用意が整っているようである。
「僕以外のモノは受け入れたくない、か……。そんな風に思ってもらえていたなんてとても光栄だね。すごくうれしいよ」
「んぅぅ……も、もしかしてこのまま始めるのですの……?」
「うん。同意した通り道具の類は一切使わない。ただ、さっきからもう昂ぶりが抑えられなくてね……いつもより少しばかり乱暴な扱いをしてしまうと思う。――と言っても元々は君が望んだことでもあるし、それは構わないよね?」
ラーチェルの腰を押さえ、己の先端を彼女の濡れた花園の入り口へそっとあてがう。
その時になってようやくこちらが既に挿入直前の態勢にあったということに気づいたのだろう。たちまちラーチェルは焦りを顕わにした。
「お、お待ちになって……! まだ心の準備が……っ!」
「ダメ。もう待たない。じゃあ行くよ」
リオンが短く囁いた次の瞬間。
ラーチェルの女の蜜壷を、男の肉槍が奥まで一息に貫いた。
「ふきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!?」
一瞬にして絶頂まで突き上げられ、堪らずラーチェルの口から甲高い嬌声が上がる。
視界が真っ白に染まり、一瞬意識が遠退きかけた。
眩暈を覚えるような強烈な快楽。しかしそれは、心のどこかでずっと待ち望んでいたものでもあり、制止する態度とは対照に身体は歓喜に打ち震えることとなった。
とはいえ長時間に渡りひたすら快感を与えられ続け、限界まで火照りきった身体ではそれに耐えられる筈もないこともまた事実であった。
抗いようのない快楽は想像を絶するものとなり、結果ラーチェルは官能を味わう余裕もなく、只々激しく身悶える他なかった。
「―――……ぐっ!」
一方で、挿れた側のリオンにとっても予期せぬ事態が待ち受けていた。
陰茎を根元まですんなりと挿入したまでは問題なかったのだが、いざ腰を動かそうとしたところで蜜肉の締め付けが唐突に強まったのである。
官能をより感じやすくさせるための前戯はよほど効果的だったのだろう。どうやら挿入しただけで、ラーチェルは軽くイってしまったらしい。それに伴って膣内が急激に凝縮し、まるで捕えて放さないと言わんばかりにリオンの竿へと絡みついて来たのだ。
予想外であったのは、その吸い付き具合の異様な強さであった。こちらの精を搾り尽くさんという勢いで性器が締め付けられ、凄まじい快感が嵐のように押し寄せてくる。
挿れたい欲求を長らく抑えながらずっと愛撫に専念していたため、実のところ挿入前からリオンは限りなくピークの間近にある状態であった。そこに唐突な搾精の脈動が来たとあればどういうことが起こりうるか。
「うぐぅっ!」
短い呻きが漏れる。そして気づけばリオンは堪えきれずに精を放っていた。
挿入してから、わずか五秒にも満たない時間のことであった。
「…………」
「…………」
互いにひとしきり絶頂に身体を打ち震わせ終えると、両者の間に何とも言えない沈黙が下りた。
とても……、とても気まずい沈黙であった。
「リオン」
いつまでもそうしているわけにもいかず、一先ずは断りもなしに
声色から判断するにどうやら怒っている様子ではなさそうだ。どちらかと言うと寧ろこちらを気遣うような色合いが強く、その心情が読めずにリオンは眉を顰めた。
「その……今日は、随分と
そして飛び出した言葉にリオンは凍りついた。
きっと当人に悪気はないのだろう。それくらいはわかる。……が、だからと言って「はい。そうですね」と受け入れられるかどうかは全く別の話であった。
事は男の沽券に関わる問題である。
こういう時、果たして如何なる反応を返すのが最適解となるのか。怒ることだろうか、それとも笑って誤魔化すことであろうか―――否! どちらも否である!
温厚なリオンとて
男の尊厳、あるいは威厳が損なわれたというのなら、それを取り戻すことに全霊を尽くすべきなのだ。少なくとも、リオンの憧れの象徴たる親友のエフラムがこの立場にあるとすれば、ここで引くことなど決して選ばないだろう。
ならばこそ、選ぶべき行動は
一度大きく息を吐き出すと、リオンは己の下半身に改めて力を籠めなおした。
「んひぃっ!?」
ラーチェルの口から思わず裏返った悲鳴が漏れる。
膣内を貫いたまま沈黙を続けていた男根が再び熱を放ち始めたことを感じ取り、ラーチェルは反射的に身を強張らせた。
射精してからまだほとんど間もないというのに彼の半身はたちまち息を吹き返し、それどころかそのまま腰を前後に動かし始めるものだから、ラーチェルは大いに戸惑うこととなった。
「や……ふあっ、はぅぅぅんっ!? ん、くぅっ……リ、オン激し、んひぃんっ!」
拒絶を口にしながら、身体はそれとは全く逆の反応を示す。
リオンの位置からでは確認のしようがないが、彼女の表情は快感によってだらしなく緩み、身を焦がす官能の悦びに薄っすらと笑みすら浮かんでいた。
「ああっ! イクっ! 奥、強く突かれると……イクぅっ!」
「すごい吸い付きだな……っ! いいよ、ラーチェル。君が乱れる分だけ僕も気持ちよくなれる。だからもっと、思う存分に乱れて……っ」
ラーチェルの腰をしっかりと抱き寄せながら腰の動きを徐々に早めていく。
つい先程、彼女が無慈悲に放った「早い」という言葉に思う所は非常に多いのだが、どうやら今日ばかりは否定できそうにもなかった。
一度目の射精から然程時間も置いていないはずなのだが、早くも二度目の射精感が込み上げてきている。なんという節操のなさなのだろうか。
裏を返せばラーチェルの膣内がそれだけ卑猥な味わいにあるという事なのだが、それを抜きにしても己が下半身の欲望への忠実ぶりには、呆れを通り越して自虐的な苦笑さえ漏れ出してくる。
「―――っ! んあっ、んあぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
ともあれ、今更止まるつもりなど毛頭ない。腰を強く打ち据えるとラーチェルの身体が一際大きく跳ね上がった。
今日一日だけで一体何度絶頂を迎えたのか。今や彼女の身体はリオンが腰を前後に動かすだけで断続的な絶頂を繰り返すようにまでなっていた。
「あひっ、あひぃっ! イクっ、またイク! ぅああっ! 止まらない、気持ちいいのが止まりませんわぁ……っ!」
常軌を逸した痙攣を起こしながら、ついには失禁が漏れだした。びちゃびちゃと、あっという間に床が水浸しになっていく。それでも構わずリオンはラーチェルを突き続けた。
「ぅあああぁぁぁあああっ!!」
漏らしながらも絶頂を続ける恥ずかしさに堪らずラーチェルは絶叫した。
どうしようもない羞恥や情けなさを感じながら、それでも身体は気持ちいいと感じてしまう。なによりも、リオンに見られているという事が彼女の官能の昂ぶりをより強いものへとした。
「大したものだ。まだ恥じらう余裕があるなんて」
その様子にリオンは思わず呟きを漏らす。
自分の女を失禁までさせて泣かせているという割には、場違いなほど呑気な口調だった。と言っても、実のところリオンにも然程余裕があるわけでもない。
「っ、ラーチェル。僕もそろそろ我慢の限界だ。もしかしたら聞こえていないかもしれないけど、今度はちゃんと伝えるよ。―――もうすぐ
ある程度は自制していたが流石にリオンも限界に来ていた。
最低限のマナーとして伝えるべきことは一応伝えたのだが、喘ぎ続けるラーチェルの様子からどうにも届いてなさそうに見える。
「仕方ないな……」
一瞬、いっその事このまま膣内にぶちまけてしまうのも悪くないかもしれないなと邪念が湧き上がるがすぐさま打ち払う。流石に二度はないと自重する。
短く思案すると、リオンは軽く指を振るってラーチェルの拘束枷を操作した。
前面に突き出した上半身をこちらの手が届くよう、程よい高さまで持ち上げていく。やがて思い描いた位置でラーチェルを再び固定すると、彼女の顎にそっと手を伸ばし、リオンの方へとその顔を向けさせる。
最早記す事はすまいが、そこにあったのは酷い顔という他ないものであった。
「ほら、ラーチェル。僕を見て」
「ぅ、ぁ……リ、オン……?」
顔を近づけて呼びかける。すると虚ろになりかかっていた瞳に、ぼんやりと意識の光が戻ってきたようだ。こちらにしっかりと焦点が定まったことを確認すると、リオンはそのまま彼女の唇へと躊躇なく吸い付いた。
「んむぅっ!?」
ラーチェルの瞳が見開かれる。
直後、リオンは彼女の奥を思い切り突き上げた。
「んむううううううぅぅぅぅぅぅんんんっ!!」
男根が大きく脈打ち、膣内に白濁が放たれる。
ラーチェルは声にならない絶叫を上げながらイキ果てた。何度も何度も、不規則な痙攣を続け、互いにたっぷりと絶頂の余韻に身をゆだね続けた。
静寂の中、しばらくはお互いの息づかいの音だけが木霊する。
「す、凄かった……ですわ……」
「最初に出てくる言葉が、まさか行為の感想だとは思わなかったよ」
やがて、ポツリと漏らしたラーチェルの呟きにリオンは苦笑せずにはいられなかった。
額に張り付いた彼女の髪を愛おし気に払う。と、不意にラーチェルがわずかに身を起こしてこちらに顔を向けてきた。
「ね、ねえリオン? 少しだけ……、少しだけ休憩をしたら、その……この後もう一度……」
「君は本当に逞しい
彼女の言わんとすることを察し、リオンはますます苦笑を深めた。
あれだけの事をした後だというのに、まさかもう次のラウンドを求められるとは。
「うん。喜んでお相手させていただくよ。だから、今は少しだけお休み」
それを聞くと、ラーチェルは口元を薄っすらとほころばせ、そのままかくりと首を落とした。どうやら眠ったらしい。
というよりも、幾度もの絶頂に疲れ果てて意識を失ったようなものだろうか。
「おやすみ、ラーチェル。どうかいい夢を」
長らくラーチェルを縛り付けていた拘束を外して、リオンは彼女の身体を抱え上げる。そのままベッドまで運び、そっとラーチェルを横たえると、その額に口づけを一つ落とした。
結局、その日は二人とも疲れ切ってそのまま朝まで眠りにつくことになってしまうのだが、彼らが翌日の夜にも改めて同じ部屋にやってくるのはまた別の話である。