もし千葉くんがエロゲの主人公だったら 作:miyakokat
プロローグ 千葉家の時間
キーンコーン、カーンコーン…。
「おーい、千葉~、そろそろ起きたら?ビッチ先生来るよ~」
ふわー…眠い、眠い。昼休憩の終わりを告げるチャイムと、後ろの席の赤羽カルマの声で目を覚ました俺こと千葉龍之介は、ゆっくりと机から頭を起こした。
昨夜遅くまで、伝説のパンクバンド「ラーメンズ」を聴きまくったせいで、今日の俺はすっかり寝不足だった。
「すまんな、カルマ」
ふー…。寝汗と梅雨の湿気で肌にシャツがくっついてベトベトする。あれ?なんだか今日はやけに視界が明るいな…。
「…お、おい、千葉…、お、お前の顔…!」
前の席の岡島大河が俺を真剣にのぞき込んでいる。え?なんでこんなに岡島の顔がはっきり見えるんだ?
う、あ!…し、しまっ、しまったあああぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!
急いで俺は前髪を頭の上で結んでいるゴムバンドを引き抜くと、必死でいつものヘアスタイルに戻した。
こぉぉのやろうぉぉおおお!!!こんなぁぁことをするのはぁぁぁ、こいつ(カルマ)以外にいるわけがないいいぃぃぃいいい!!!
俺は怒りに震えてカルマを睨みつけたが、そのカルマと中村莉桜に写真を撮られただけでなく、クラス全員+ビッチ先生にもバッチリ素顔を見られてしまった…。
ギギギ…。も、もうおしまいだ…。
ガクリと肩を落とす俺に、女子のだれかがため息まじりにつぶやいた。
「…ち、千葉くんって、素顔はあんな感じなんだ…」
「…すごい…マジでかっこいい…」
「ふああ…ほんとイケメンだよー…」
は?
かっこいい?
イケメン?
目つきが怖い、の間違いだろ?
「…ちょ、ちょっと!じゅ、授業を始めるわよ!」
クラス中に広がる生暖かい空気をなんとか遮ろうと、ビッチ先生の声が響いた。
ふと斜め前の速水凛香と一瞬目が合った。
…なんだか困惑したような顔をしている。
はーあ…。なんで最近の俺は、こんなついてないことばかり起きるんだろう…。
「I need to be alone for a while. Please leave me alone.(しばらく一人になりたい。一人にしておいて下さい)」
先ほどの混乱の影響か、流暢だけどどこかぎこちないビッチ先生の英会話を聴きながら、俺は先週の出来事を思い出していた。
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チチチ…。
窓の外からかすかに聴こえる小鳥の囀ずり。
目を開けると自室の白い天井。
枕元のスマホを見るとまだ朝の8時だ。せっかくの日曜日、のんびりして過ごすとしよう。
ふと下半身に熱を感じた俺は、ベッドの上で早速モゾモゾと年頃の男子が行う行為を始めた。
スマホのロックを解除して、岡島がグループに投稿したクラスメートの写真をスクロールする。
俺のクラスE組の女子は、容姿レベルがほんとに高い。そのなかでもお目当ての写真をじっと見つめた俺は、布団をどかして下着をおろした。
…悲劇は、俺的最高潮に盛り上がったときに起きた。
突然部屋の扉がガチャッと開いて、高校三年になる姉が飛び込んで…きたのだ。
「おーい龍之介!入るよ~!って、あっ…!」
「あ…」
「あー…」
「…」
長い人生、生きていればいろいろあるだろう。しかしなぜ俺はこの事態を、この悪夢を想定しなかったのか。
だが、いくら後悔しても、もう時間は戻りはしない。
アソコを握りしめたまま固まった俺を、何とも言えない顔でしばらく見つめていた姉は、後ろ手でパタリと静かに扉を閉めた。
「…ひゃー…って、デカ!…あ、あんたいつの間にそんなにおち○ちん大きくなったの…?」
知ったことか…。俺と姉が一緒にお風呂に入っていたのは、俺がまだ小学生のときのことだ。
俺の姉は高校で生徒会の副会長を務めている。昔から姉は真面目でいい子だと近所から評判がいいが、すぐ下の妹によると、最近バスケ部の主将と派手に付き合っているらしい。
姉が基本的に真面目な人間なのは否定しないが、「いい子」かどうかは長年おもちゃにされてきた弟の俺としてはいささか反論したいところだ…。
「おーっと、龍之介くんは何を見ながらオ○ニーしてたのかな~?」
姉はベッドに近づくと、俺のスマホをサッと取り上げた。
「ちょ、ちょっと、やめろって!」
「え…、もしかしてこの娘って、クラスメート?」
うぐぐ…。オカズまで見られた…し、死にたい…。
「へーえ…、龍之介の好きなタイプって、こういう子なんだー、ふーん…」
一瞬だけ険しい顔をした姉は、ふいに何か思い付いたように部屋を出て、またすぐに戻ってきた。
「ねえ龍之介、あんたまだ童貞なんだよね?」
「…そ、それがなんだよ」
「初めてのときに好きな女の子の前で、恥をかくのは嫌でしょ?」
「は…?」
「このわたしがあんたの童貞をもらってあげる」
姉の手に握られていたのはコンドームだった。
「ちょ、ちょっと、な、なにするんだ、やめろっ!」
姉はガバッと俺に跨がり、ゆっくりと顔を近づけてきた。
「うふふ。わたしのこと、写真の子だと思っていいのよ…?」
「お、おい!いいかげんにしろよ!」
「そんなこと言って、あそこビンビンのくせに。(小声で)ねえ…千葉くん、エッチしよ…?」
「う、うわ!や、やめろおおおおおぉぉぉぉおおお!!!!!」
\(^^)/
ドビュッ…!ドプドプッ!ビクンビクンッ!ブビュブビュッ…!!
…や、やられちまった…(´;ω;`)
お、俺の初めての相手が姉だと…?
ぐぬおおおお…!ショック、ショック、ショック!!!
「やだ龍之介、泣いてんの…?」
「…て、てめえのしたことだろおおぉぉおおお!!」
「うふふ、あ、そうだ!」
「お、おいやめろ!やめろって!!」
姉はスマホの写真を長押しすると、素早く千葉家のグループに転送した。
『これ龍之介の好きな子だって❤️』
『はあ!?マジ!?(-_-#)』
『えー!かわいいね!お似合いかも(*^^*)』
『へ!?性格悪そうじゃん(*`Д´)ケッ』
「ななななにやってんだあああぁぁぁああああ!!!」
あわてて階下のリビングにかけ降りると案の定、家族中が俺の顔を見た。フン!と機嫌が悪いのがすぐ下の妹で、ニコニコしているのが一番下の妹だ。
ソファーで新聞を読んでいた父親が顔を上げた。
「龍之介、ちょっと来い」
「お、おう…」
「いいか、父親としてこれだけは言っておくぞ」
「な、なんだよ…」
「好きな子とエッチしてもいいが、避妊だけは必ずしろ」
「…は?…はあ?」
「それと」
父親は眼鏡を外して目頭を押さえた。
「据え膳は食わぬは男の恥、出されたものはきちんといただく。それが死んだじいさんの遺言だ。お前も千葉家の男ならそれをちゃんと守れ。以上だ!」
…な、なんなんだ、このバカ親父は…!
ちょっとまて、なんで母親もそこを注意しない!?
いくらなんでもおかしすぎるだろお!この家族はよおおおお!!!
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「じゃあ次、メグ読んでくれる?」
「はい。And I was taunted by your technique.(そして私はあなたのテクニックに翻弄されました)」
はーあ…。なんで俺は人並みの普通の青春を送ることができないんだ…。
俺が速水を異性として意識するようになったのは、例の前原とC組の土屋果穂の一件からだった。
「マッハ20の目標に比べりゃチョロいね」
俺に似て無駄なアピールを好まない速水は、普段クラスであまり目立たない。その彼女が、自分の任務を文字通り凛として実行した。それが、とにかくカッコいいと思った。
烏間先生の勧めで、放課後射撃練習をするようになってから、女子一位の速水と二人きりになることが増えた。
防衛省の仕事が忙しすぎる烏間先生はあまり指導に来てくれず、仕方なく速水は俺の射撃のやり方を見てアドバイスを求めてくるようになった。おかげで俺と速水は普通に話せる仲になったが、ただそれだけの関係にすぎない。
「じゃあ次、チバ」
これから速水との仲がどうなっていくのかはわからない。今はこのクラスで他に仲のよい男子はないみたいだが、速水は美人だから本校舎に彼氏とかいても不思議はない。うぐ…、もしほんとにそうだったとしたらどうしよう…。
「こら、チバ!あんたの番でしょ!」
「うわ!は、はい!」
しまった…ボーッとしてた。やべ…、どこ読んだらいいのかわかんねえ…。
「なにやってんの、あんた」
ビッチ先生が俺に近づいてきた。
「Stand up Chiba!」
ヤバい…嫌な予感がする。
「わたしの授業を聴いてないなんて、あんた勇気あるわねえー。ふふふ、罰として公開ディープキスの刑よ!」
むぐ…!
「んむ…、んむう…」
ピチュッ…、クチュッ…。ビッチ先生の舌が俺の口の中に侵入してきた。
ヒュー!ヒュー!男子が囃し立てるなか、女子はヒソヒソ話を始めた。
「サイテーだよ、ビッチ先生」
「…ほんとずるいよね」
「教師の立場を悪用してる…」
「ああ…イケメンとキスなんてうらやましい…」
だれだ変なこと言ってるのは…。これって、俺的には気持ちよくないし、いい迷惑なんだぞ。
ちらりと目の端に、ひとりだけ教科書を見ている速水の姿が見えた。心なしか背中が怒っている気がするのは、俺の気のせいか。
…ええい!いつまでやってるんだ、仕方ない反撃するか。やけくそになった俺はビッチ先生に自分から舌を絡めにいき、乱暴に口の中を暴れ回った。
「…うむうッ!(え!…な、なに?)」
驚いたビッチ先生に俺は追い討ちをかけるように上顎や歯ぐきを舌先で撫でると、眼前に迫る女教師の鼻腔から、甘い息が漏れた。
「あむう…(はああ…気持ちいい…)」
1hit!2hit!3hit…!
「ふむう!ん…!んん…!(ヤバいわ!こ、このわたしが負けちゃう!)」
8hit!9hit!10hit…!
「んんー!!(も、もう、や、やめて…!)」
ぷはッ!
ツツーッと唾液の糸が教師の白いスーツに垂れた。
ふー…さすがにこれ以上はまずいよな。俺は申し訳なくてポリポリ頭を掻いていると、ビッチ先生は呆然と俺を見た。
「先生?」
ハッとしたビッチ先生は急に気を取り直した。
「…あんた!つ、次はもっとお仕置きしてやるから覚悟しなさいよ!」
ななな、なんだって、ううう…困ったな…。
俺の反撃が思わぬ方向に行ってしまった。ビッチ先生は少しふらつきながら教壇に戻っていく。
そして放課後、速水は射撃練習に来なかった…。