もし千葉くんがエロゲの主人公だったら 作:miyakokat
矢田「えー、ゴホン。それではただいまより、千葉くんとエッチ…じゃなかったイチャイチャしたいE組女子の会を始めます!」
倉橋「ヒュー!ヒュー!」
矢田「まず始めに会長、あいさつをお願いします」
イリーナ「えー、ただいまご紹介の…っておい!この会の代表は桃花じゃないの!?」
矢田「えー?言いだしっぺ、先生だし」
イリーナ「ま、まあそんなことはどうでもいいわ。それよりみんな、この会は秘密結社だから凛香には絶対に内緒よ」
ガラッ…!!
不破「話は聞かせてもらった。人類は滅亡する!」
茅野「それマ〇ジンだよ…」
不破「ちなみに速水さんも聞いてました」
みんな「「「な…なんだってーッ!!」」」
速水「ちょっと矢田に倉橋!ビッチ先生はまだしも、片岡と岡野!あんたら好きな人いるんでしょ!?」
片岡「い、磯貝くんにはぜひとも内緒で…」
岡野「ち、千葉くんは前原とタイプが違うからセーフだし…」
速水「…茅野に神崎、それに律まで!」
神崎「うふふ…速水さん、千葉くんは女子みんなのものだよ?(ニッコリ)」
律「千葉さんとは毎晩お話ししてま~す!」
速水「……なっ!?」
矢田「まあまあ凛香、まずは君が落ち着け」
速水「落ち着いてられるわけないでしょ!」
イリーナ「(ちっ、バレたんなら仕方ない)凛香、この会の目的をあんたにも説明するわ」
速水「…!?」
イリーナ「千葉との仲、どうやら元に戻りそうなんでしょ?」
速水「そ、それは……まだわかりませんけど……」
片岡「大丈夫。このメンバーで応援するから」
速水「そ、そうなの…?」
倉橋「そ、の、か、わ、り、千葉ちゃんをみんなでシェアさせてね!」
速水「はあああ…!?」
神崎「心配しなくても、時々レンタルさせて欲しいだけだから…」
速水「…か、神崎、千葉はモノじゃないんだけど」
矢田「ねー、ケチケチしないで」
速水「矢田、あんたは黙ってて」
矢田「むー!だいたいさあ、凛香ってわたしのこと下の名前で呼んでくれないし、なんか冷たくない!?」
速水「あーあー、すいませんね!」
不破「わかった!これは要するにあれだね、最初千葉くんのハーレム物にしようとしてた作者が、もう一度なんとかそっちに持っていこうと四苦八苦してるってわけだ!(ビシッ)」
茅野「メタいよ不破さん…」
イリーナ「とにかく凛香、正妻ポジションはまだしも、千葉の完全独占はこの小説的に禁止だから、そのつもりでよろしく頼むわよ」
速水「ぐ、ぐぬぬ……」
〈速水凛香視点〉
「千葉……?」
「すまんな速水、急に呼び出して…」
夜の公園。
街灯に照らされたベンチの横で、千葉はなぜかハンドガンを持って立っていた。
暗がりに目を凝らすと、辺りの遊具の上に空き缶が一つずつ置いてある。
「…練習?」
「ああ、速水に頼みがある」
パンッ!
千葉は一番手近な空き缶を撃ち抜いた。
「来週、サバゲーあるよな」
「うん…」
千葉がハンドガンを私に手渡した。
思えば浮羽に負けてからというもの、私は銃の練習からすっかり遠ざかっていた。
「今回は出席番号の偶数と奇数でチームを分けるって、烏間先生が言ってただろ?」
「……それで?」
「俺は15番、速水も19番。浮羽は28番だから敵チームだ」
「…要するに、この私に銃で浮羽に勝て、というわけね?」
「そうだ、ご名答」
「……。」
「嫌か…?」
「そうじゃないけど…」
もし私がまた浮羽に負けたら、千葉はどうするつもりなのだろうか…。
「今夜から毎晩俺が練習に付き合う。それでもダメか…?」
思わぬ提案に私は顔を上げた。
緊張で千葉の腕が少し震えている。
殺せんせーに諭された千葉は、あれからどうすべきか必死に考えたに違いない。そして、これが千葉なりの結論なのだろう。
「…わかった。賭けに乗る」
「すまない…」
「それより…」
「なんだ…?」
「…まあ、いいわ」
もう少しロマンチックな頼み方をしてほしいと、そう思ったけど、千葉が言葉足らずなのは今に始まったことじゃない。
私はハンドガンを構えて、一番遠くの空き缶に狙いを定めた。
パンッ…!カラカラカランッ…!
弾かれた空き缶が地面に転がって、派手な音をたてた。
「…相変わらずきれいなフォームをしてるな」
「誰かさんにも、そういうこと言ってるの?」
「…妬いてるのか?」
「当たり前じゃない」
「すまなかった…」
「もういいって。あんまり気にしてない」
みるみる千葉が落ち込むのがわかる。私だって千葉とこんなやり取りがしたい訳じゃない。
お互い口下手だから、言葉のやり取りだけでは良い方向に向かうとは思えない。…もしかしたら千葉もそう思って、この提案をしたのかもしれない。
私もそろそろ前を向こう。
久しぶりに千葉と二人で射撃練習が出来る喜びで、私の胸は高鳴っている。
二度と、二度と他人に千葉の横は渡さないんだから…!
** ** ** **
〈千葉龍之介視点〉
サバゲー当日。
俺たちE組全員を乗せた防衛省の覆面バスは、とあるビルの地下入口へと滑り込んだ。
蛍光灯が明滅する薄暗い駐車場にみんなで降り立つと、さっそく烏間先生の説明が始まった。
「この建物は対テロリスト用訓練のための秘密施設だ。地下は駐車場のみ、地上3階建ての建物になっている」
「今から君たちは二つのチームに分かれて戦ってもらう。被弾や受傷の有無は、各所に配置した監視カメラの映像を、律が分析して判定する」
「各人の装備はナイフと銃のみ。相手チームの旗を奪うか、全滅させれば勝利とする。何か質問は?」
「「「「「ありません!」」」」」
「では20分後に開始する!散開!」
「「「「「はいっ!」」」」」
「いくぞ、速水」
「うん」
「ち、ちょっと龍くん、待ってよ!」
「浮羽、お前は相手チームだろ?」
俺は浮羽を無視して速水と階段を駆け上がった。
【奇数チーム(赤)】 ◎指揮官 ○副指揮官
◎赤羽業、○中村莉桜、岡島大河、奥田愛美、茅野カエデ、木村正義、潮田渚、杉野友人、不破優月、三村航輝、矢田桃花、速水凛香、千葉龍之介
【偶数チーム(青)】 ◎指揮官 ○副指揮官
◎磯貝悠馬、○片岡メグ、岡野ひなた、神崎有希子、倉橋陽菜乃、菅谷創介、竹林孝太郎、寺坂竜馬、狭間綺羅々、原寿美鈴、前原陽斗、村松拓哉、吉田大成、浮羽真緒(イトナ加入前)
一見、カルマや渚のいる俺のチームのほうが戦力がありそうに思えるが、相手は人数が一人多い上に、射撃やナイフの上位ランカーがそろっている。これは接戦になりそうだ。
「さあ、ちゃっちゃと配置につくよ!」
「相手を全員殲滅しようね~♪」
中村とカルマの悪ガキコンビにハッパをかけられて、メンバーはそれぞれの持ち場へと向かう。
「3階は俺と速水だけか、大役だな」
「うん…。ここを破られたらカルマまで後がないからね」
もう一人の強力な戦力である渚は、木村、杉野とともに、相手の旗を狙う切り込み隊長を務めることになった。
3階にたどり着くと、廊下に沿って無人の店舗が並んでいた。
「すごい…。ここコンビニ?」
「ああ、本物みたいだな」
この建物、対テロリスト用の訓練施設だと言ってたけど、オフィスやお店をかなりリアルに再現してある。
「なあ、速水」
「ん…」
「おそらく浮羽は、ここまでやってくるだろう」
「うん…」
「俺はお前の腕を信じてる」
「ありがと…いっぱい練習したもんね」
俺は歩きながら、監視カメラの死角になる廊下のくぼみを見つけると、先を歩く速水の腕をグッと引き寄せた。
「ん…?なに…?」
明るい二つ括りの髪の間からのぞくそのうなじから、柑橘系に似た速水の甘い香りが匂い立つ。
『皆さん、あと5分です』
律の声がインカムから聞こえてきた。
俺はドキドキしながら速水を抱き寄せて、背後からキスをした。
「ん…んんっ……」
速水は驚いて一瞬身を硬くしたけど、俺と目線を合わせてすぐに身体の力を抜いた。
「んん…んむ……(クチュ…)」
別れたあの日から本当に久しぶりとなるキス。
口下手な俺では、どんなに言葉を費やしても、速水を裏切ったことを償うことは出来ない。
だから速水が、不器用なこの俺をこうして拒まずにいてくれるだけで、うれしくて自然と涙が溢れてくる。
気がつくと、どちらともなく舌同士が触れ始め、ゆっくりと絡み始めた。
「はあ…ん…、んむ……(チュプ…)」
速水とのキスで舌を挿れ合うのは、これが初めてだった。
互いに相手のことを大切に思いすぎたせいで、逆に相手を踏み込ませないように、どこかでバリアを作ってきた気がする。
それがいま、こうして互いに一歩踏み出そうとしているのは、関係を変えたいという同じ気持ちの現れなのかもしれない。
速水のかわいい舌を、裏側から先端まで掬うように優しく舐めあげると、ピクンと速水の背中が跳ねた。
「んふっ…!あ…んっ…!ふむうっ…!」
意外にも速水は、反撃とばかりに積極的にビッチ先生に習ったキステクで、俺を屈服させようとしてきた。
「ん、んむっ…!はあ…(クチュ…ヌチュ…)」
速水の挑発に乗るように、俺の右手が速水の体操服の胸に伸びる。下着に包まれたその柔らかな感触を、俺は手のひら全体を使って味わった。
「ふあ…あ…、あんん…!」
たまらず速水が唇を離す。
速水の胸に触れるのはこれで二度目になる。前回は体育倉庫でのあの不幸な日のこと。初めてだったのに、あんな形でさんざん憧れてきた速水の身体に触れることになるなんて、悔やんでも悔やみ切れない。
「ち、千葉……」
速水が上目遣いで俺を見つめている。
ヤバい…。
このまま一線を越えてしまいたい。
速水を抱き潰したい。
俺は切実にそう思った。
速水にもそれが伝わったのか、緊張で少し震えながら、目を瞑り、もう一度キスをしてきた。
俺の左手が、速水のショートパンツから延びた黒タイツの太ももへと降りていく。
指の腹でスベスベとしたその感触を味わうと、指先が速水の内股を捉えた…。
『あと、1分です』
突然の冷静な律の声で、ハッと我に帰った俺と速水は、互いに名残惜しそうにゆっくりと身体を離した。
「はあ…、はあ…、はあ……」
俺と速水はいま、本当にわずかな出来事だけど、確実に一線を越えた、と思う。
いつかこんな日が来て欲しいとは思っていたけど、それが実際に来るなんて信じられなかった。
速水も同じことを思ったのか、真っ赤な顔をしているけど、どことなくうれしそうに見えた。
「そろそろいこうか、速水」
「うん…!」