もし千葉くんがエロゲの主人公だったら 作:miyakokat
岡島「修学旅行のときの『気になる女子ランキング』な、あれからずいぶん経ったことだし、そろそろ新しいランク付けをしてみようぜ」
前原「そうだな、今なら順位も変わってるかもな」
竹林「気になるだけだと評価基準が単純すぎる。いろんな角度で見る必要があるんじゃないかな(クイッ)」
木村「なるほど、一理ある」
前原「顔、性格、スタイル、そんなとこか?」
岡島「じゃ、いくぞ。まず顔だ」
開票
岡島「神崎が貫禄のトップか、やっぱ強ええな」
杉野「うれしいけど、内心複雑…」
前原「それでもさすがに今回は票が割れたな」
岡島「じゃ、次は性格だ」
開票
岡島「ほう、倉橋がトップか」
木村「順当なとこだな」
前原「異論はない」
岡島「じゃあ最後、プロポーション」
杉野「待て、プロポーションじゃなくてスタイルだろ?」
吉田「どう違うんだ」
杉野「プロポーションだと、ボンキュッボンが評価される。スタイルはバランス。大きな違いだよ」
村松「めんどくせえ奴だな」
岡島「どっちでもいい。とにかくカラダで採点だ」
開票
岡島「やっぱ矢田か」
殺せんせー「なんせあのおっぱいですからね」
寺坂「最低だな、教師のくせに生徒をそんな目で見てるのか」
吉田「たしかに最低としか言い様がない」
殺せんせー「にゅや!?」
イトナ「バランスでいけば片岡もいい」
岡島「背の高さと胸とお尻のバランスが最高だよな」
磯貝「(ピクッ)」
前原「…お、おい、磯貝の顔がひきつってるぞ…」
イトナ「性格はオヤジだが、中村もいい」
岡島「そう!たまんねーわ、あの胸と脚」
菅谷「(ガタッ)」
千葉「落ち着け菅谷、カッターを下ろせ」
イトナ「それと速水」
岡島「おうよ、あの屈んで銃を構えたときの腰からお尻にかけてのラインが最(スチャッ)」
千葉「さらばだ岡島、来世でまた会おう」
三村「ま、まあ落ち着いて、三人とも…」
前原「…な、なんか急に殺伐としてきたな」
木村「スタイルのことをとやかく言うのはタブーだというのがよく分かった」
殺せんせー「それより皆さん、わたしの描いた漫画はいかがですか?エロの真髄をとことん描き尽くした力作500ページ!初回特典袋とじ付き!」
竹林「どれどれ」
殺せんせー「今ならお買い得、なななんと300円!」
吉田「なんだこりゃ」
村松「安っすい絵だな」
前原「だめだ、使えねえわ(ポイ)」
殺せんせー「にゅや!?」
寺坂「だいたい教師のくせにエロ漫画描いて生徒に売り付けるとか最悪じゃねーか」
村松「そうだそうだ」
吉田「見たことねーな、こんな変態教師」
杉野「せんせー、いくら月末で金欠だからって、していいことと悪いことあるよね」
殺せんせー「ひいいいいいいいいッッッ!!」
はー…。
岡島のせいで午後からずっと速水の背中ばかり見て過ごしてしまった。テスト期間が済んだから、俺も少し気がユルんでるのかもしれない。
だいたいなー岡島、腰とかお尻だけが速水の魅力じゃあないんだぞ!(バン)。
普段から美人だけど、笑えばすんごくかわいいし、ツンツンしてるように見えて根はとっても優しいし、それにおっ○いだってCカップあれば充……
「茅野どうしたの?急に怖い顔して…」
「ううん渚、なんでもないの。ただちょっと斜め後ろから不快な思念がしただけだから…」
ゲホンゲホン!…し、失礼。
キーンコーン、カーンコーン
「練習行こ、千葉」
「おう」
「千葉くん、速水さん」
ライフルを抱えて廊下に出たところで、殺せんせーに呼び止められた。
「なんですかせんせー」
「ヌルフフフフフ。相変わらずお熱い仲ですねえ。これからパリまで行きますけど、ご一緒にいかがですか?マロニエの木の下を若い二人で手をつないで、ムフフフフ…(ニヤニヤ)」
「サイテー。」
「だな」
パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!
殺せんせーは俺たちの銃撃を涼しい顔でかわしつつ、ビュンッと飛び立って出て行った。
…くそ。
ヒュー。
窓から入ってくる外の風が少し肌寒い。
先週ぐらいから朝晩の気温が下がってきて、クラスはいま夏服と冬服が混在している。もちろん真面目な速水は冬服だ。薄着もいいけど、キリッとしたブレザー姿もよく似合う。
俺はそんな彼女をチラチラと気にしながら、二人で射撃場に向かった。
「ねえ、この前はありがとう」
「ん、なにがだ?」
「おかげさまでテストの数学、良くなってて親も喜んでくれたの」
「そりゃよかったな。俺も速水のおかげで国語よかったし、感謝してるぜ」
『学業と暗殺を優先する』
彼女と付き合うにあたり、俺が自分に課したルールだ。
先日のテスト期間中も一緒に勉強した日以外は、なるべく速水の邪魔をしないように心掛けた。
苦手科目に不安のある俺自身、自宅でしっかりと机に向かえたのでそれはそれでよかったが、一緒にいる時間が少なくてとても淋しかった。
そのあいだずいぶん彼女にはオカズになってもらっ…あ、こ、これはナイショだけど(汗)
とにかくテストも無事済んだことだし、リアルでイチャイチャベタベタしたい。それが本音だ。
「あとで何か食べない?お礼もしたいし」
「お、いいな。せっかくだし原田さんの店に行かないか」
「え!いいの?」
「速水を紹介したいし」
「なんだか恥ずかしいけど…でも楽しみ」
「だろ?」
一通り練習してから、俺たちは山道を下りた。
殺せんせーの妄想じゃないけど、二人きりになると無性に手が繋ぎたくてウズウズしてくる。
「どうかしたの?」
「い、いや、その…」
「あ、そうだ、ちょっと待ってて。薬用リップ買ってくる」
リップか…女の子らしいな。
コンビニに入って品定めをしている彼女を、ぼんやりとガラス越しに見ていると、突然俺の背後から悲鳴のような声が上がった。
「きゃああああっ!ち、千葉くんよ!」
「うそ!かっこいいいいっ!!」
「やーんうれしい!マジで気絶しそう!!」
な、なんだなんだ!?
なにが起こった!?
〈速水凛香視点〉
買い物を済ませて外に出ようとすると、本校舎の女子生徒、いわゆる「千葉くんファンクラブ(略称CFC)」のメンバーが千葉を取り囲んでいた。
ま、まずい…。
私と千葉の交際がバレたら、どんな目に遭わされるかわかったもんじゃない(震え)
私はチラリと目配せすると、スマホを取り出して千葉にメッセージを送り、少し先の公園に向かった。
〈千葉龍之介視点〉
ふわー…。
なんとか握手だけで許してもらえた。
角を曲がったところで、素早く身を隠して尾行を確認する。…よーし、大丈夫のようだ。こういうときに普段の暗殺訓練が役に立つ。
『いいなあ千葉ばっかりモテモテでよー』
よく羨ましがられるけど、俺からしたら本校舎の女子にいくらモテても、少しもうれしくないんだよな。
お、ベンチに座る速水を発見。
「すまん、待たせて」
「大丈夫?誰も着いてきてない?」
「ああ、心配ない」
せっかくの放課後デート、邪魔されてたまるかってんだ。
「ねえ…千葉」
「どうした?」
俺もベンチに腰かける。
「時々千葉を見てると不安になって…」
「どうして?」
「だって…」
あーそうか…。
「俺はお前しか好きじゃないし、これからも絶対それは変わらないから安心してくれ」
「ほんと?」
「当ったり前じゃねーか」
俺はポンポンと速水の頭を撫でる。
あ…目元が濡れてる。ヤバい…。
「なんだよ、そんなことで泣くなって…」
「だって…だって…」
うおおおおおおおおっっっ!?!?!?
その悲しそうな顔がまた萌えるうううっっ!!!かわいいなあああ!!ちくしょう!!
俺は彼女の涙を指でなぞると、唇の先に軽く触れるキスをした。
「ん…」
「これで安心したか?」
「うん…」
速水が顔を赤くして俺を見つめている。くううう~かわいいなあ…。こんな顔は、絶対に俺にしか見せない顔だと思う。
「ひゃっ…」
俺は彼女の両脚を俺の膝の上に乗せると、しっかりと抱き締めてからもう一度キスした。
「んん…ち、千葉、だれかに見られる…」
「大丈夫(たぶん)」
俺はスカートの上から速水の太ももを撫でた。
「あ…ちょっと、だ、だめだってば…」
「すまん、俺もうガマンできん」
「きゃあああああああああッッッ!!!」
くそ!なんだよいいとこなのに!
また本校舎の女子か!?いや違う。
今度の悲鳴は、公園のトイレから聞こえてきた。
「いや!やめて!離してえええっ!」
俺は速水と目を合わせて互いに頷くと、悲鳴の聞こえたトイレに向かった。
「…え!?あれもしかして!?」
「矢田さんだ!」
「あ!凛香に千葉くん!はやく助けてえ!!」
駆け寄ると、矢田さんはヌルヌルとした黄色い触手に全身を絡みとられて身動きが取れなくなっていた。
「どうしたの!?」
「トイレから出てきたら突然…あんッ!?そ、そこはダメえええええっ!!」
矢田さんの足首に絡みついていた触手が、太ももへと巻きついていく…。
ブフッ…!いかんいかん、見てるだけで鼻血が出そうだ…。
「ちょっと千葉!はやく助けないと!」
「お、おう…!」
触手はトイレの建物の反対側から伸びているようで、ここからは本体らしき姿が見えない。
くそっ!なんとか引き剥がそうとしても、ヌルヌルしていて簡単に取れそうにない…あ!そうだ!
パン!パン!パン!パン!
俺は制服の内ポケットから、速水は太もものホルスターから小型のハンドガンを取り出して、次々と触手を吹き飛ばしていく。
触手は驚いたようにあわてて矢田さんから離れると、シュバッとトイレの反対側に逃げていった。すぐ追いかけたけど、すでにその姿はなかった。
「大丈夫?矢田…」
「う、うん…」
矢田さんの制服が触手の粘液でベトベトになっている…(うぐぐ…エロい)。
「…い、今のあれ、やっぱり殺せんせーだよね?」
速水の問いかけに俺も矢田さんも黙っている。疑いたくはないが、なんせあの黄色い触手だ。
「とにかく明日、直接問い質してみよう」
* * * * * * * *
「ヌルフフフ!みなさんおはようございます!」
「ちょっとせんせー!どういうこと!?」
「せんせーの仕業だよね!?いいかげんにしてよ!!」
「サイテー!このスケベ教師!」
「にゅやあああああああっっっ!?!?!?」
朝のホームルーム開始早々、殺せんせーは片岡、矢田さん、岡野さんに取り囲まれた。
「おい、なんだなんだ」
「どうした岡野、なんかあったのか?」
殺せんせーの胸ぐらをつかんでいる岡野さんが、前原を振り返った。
「どうもこうも、昨日の夕方、わたし殺せんせーにセクハラされて大変だったんだから!」
え、岡野さんも?それに片岡まで!?
なにやってんだ…せんせー。
「ついにやっちまったか…」
「妄想だけならまだしも、ほんとに実行するとはな…」
「理事長に知られたら懲戒免職間違いなしだね」
「ひいいいいいいいっっ!!!みみみみなさん落ち着いて!ななな何かの間違いですってえええええ!!!」
自分が一番取り乱しているじゃねーか。
「おい!今の話は本当なのか!」
烏間先生まで怒って教室に入ってきた。
「ちちち違います違いますってっ!!ね、ねえ千葉くん!速水さん!き、昨日わたしがパリに行くのを見たでしょおおおおおおおお!?!?」
「飛び立つところまではたしかに見たけど、パリに行ったかどうかまでは…」
「それに見ちゃったしね、矢田を襲ってるとこ」
「みろ変態教師、もう言い訳はできないぞ」
「にゅやああああああああっっ!?」
「まあまあみんな、殺せんせーはこの前も下着ドロボーを疑われたけど、犯人じゃなかったし…ねえ磯貝くん?」
渚がその場をなんとか納めようとしたけど、無駄だった。
「磯貝くん?」
「渚、この変態教師の免職をみんなで要求しよう」
「い、磯貝くん!?」
だめだ…磯貝のヤツ、片岡のことで冷静さを完全に失っている。
まあ、でもこの場合仕方ないわな。なんせあの黄色い触手だ。残念だけどせんせーを疑わざるを得ない。
「ねえ、だれか実際に殺せんせーの顔でも見たの?」
興奮するクラスメートをよそに、自分の席で椅子を揺らしていたカルマがそうつぶやいた。
…ん?
た、たしかに言われてみれば見てないな。
「矢田さんも俺も速水も、顔までは見てない」
「片岡と岡野は?」
「…み、見てない」
「…たしかに見てはないけど…」
「じゃ、まだせんせーと決まったわけではないよね?」
「で、でも、黄色い触手だよ!?」
「またシロの仕業って可能性、あるかもよ?」
「…え?」
「…あ!」
「…そうかも」
…ガラッ!
「ハハハハハハハハハハハ」
突然教室の前の扉が開いて、白装束のシロが現れた。
「…し、シロ!?」
「おいおい自分から登場かよ…」
シロは教室を見回すとカルマを見た。
「そこの赤い髪の君、なかなか勘が鋭…」
ガラガラッ…!ドバババババッッ!!!
シロが最後まで言い切る前に、教室の後ろの扉も乱暴に開いて、黄色い触手が束になって飛び込んできた。
「キャアアアアアアアッッ!!!」
うわあああ!?速水が触手に捕まったあああッッッ!!!
「お久しぶりね、E組のみなさん…」
「へ…?う、浮羽…?」
「うそ…浮羽さん?」
「なんなんだよお前、その触手は…」
そこに立っていたのは、かつてのクラスメートだった。
ツインテールの髪はボサボサ、目は恐ろしいほどつり上がり、背中から無数の黄色い触手が生えている。
「ねえ…千葉くん」
「なんだ浮羽、速水を離せ!」
ピロリン。
こんなときになぜか俺のスマホにメッセージがきた。
「この子を助けたかったら、いま送った地図の場所に一人で来てちょうだい。もし裏切ったら、コイツの命はないからそのつもりでね?」
「なにい…!?」
「お、おい、浮羽くん、用意した作戦と違うんだが…」
「じゃ、千葉くん待ってるからね?はやく来ないと殺しちゃうから、そのつもりでね!!」
シュバババババッッ…!!!
浮羽はシロを無視して、速水を抱えて教室を飛び出して行った。
「くっそおおおおおおおおおおおおッッ!!!」
バキッ!!
俺は怒りのあまり自分の机に拳を叩き落とすと、大急ぎで教室を飛び出した。
「あーあー、困った子だな、あの浮羽さんという子は。まったく…」
「おいシロ!」
「なにかね?寺坂くん」
「なにかね?じゃねえだろ!てめえにはたくさん訊きたいことがあるんだよ!」
寺坂がシロの胸ぐらに掴みかかった。すると突然シロの袖口から白い球体が床に滑り落ち、ボワッと猛烈な煙が教室中に立ち込めた。
「ゴホンゴホンッ!」
「ゲホッ…ゲホッ!」
「ちッ!ちきしょう!!」
《次回に続く》