もし千葉くんがエロゲの主人公だったら 作:miyakokat
レオタード姿でエッチなことをしてもらいたかっただけの軽~い内容なのに、気がついたらいつもより字数多い(!) ぜひお楽しみください。
ガラガラッ…!ドドドッ!
「でけえ屋敷だ!絶対にお宝があるぞ!捜せお前ら!」
「おい、若い女がいたら真っ先に俺に知らせろよ」
「なんだよそれ、俺が先に見つけるんだぞ!?俺のもんじゃねえか!」
「心配すんなって、どうせみんなで
「それもそうか、ゲッヘッヘ!」
ギイイイ…
「おい、だれかいるぞ!」
「きゃあああッ…!!」
「ちっ、なんだガキか」
「た、助けて…」
「へへへ、悪く思うなよ?お前がもう少し大きかったら、死ぬのがちょっと先に延びたのにな」
「い、いや…」
「やめなさい!」
「…んあ?なんだてめえ」
「これは警告よ、命が惜しかったらさっさとここから出ていきなさい」
「はぁ?なに言ってんだ」
「おいこの女、なかなかいい身体してるじゃねえか」
「それにずいぶんとかわいい顔してんなあ」
男たちの視線が、濃紺のレオタードを着たその女の身体に釘付けになる。足先から顔までなめるように視姦されて、女はカッとなった。
「…そんなに急いで死にたいの?あんたたち」
「ねえちゃんよぉ、そんな恐い顔してないで、いっそのこと俺たち盗賊団の女にならねえかぁ?」
「へへっ、ボスが独り占めするかもしれねえぞ」
「ふん、それもそうだな。だったら今すぐここで…」
女は男が伸ばしてきたその手をつかみ、素早く捻りあげた。
「ぐわッ!痛えええッ!」
「て、てめえ!!」
一斉に剣を抜く三人の男たち。だが女は怯まない。
その手に握られた金属棒のボタンを押すと、ヴゥン…という小さな音とともに青い光の剣が飛び出した。
「なっ…!?」
「…お、お前、まさか『伝説の剣士』か!?」
「言ったでしょ、命が惜しかったら出てけって」
「…ちっ!殺れ!みんなでかかれば勝てる!」
「「おう!」」
ズバッ…!バシュッ!ザクッ!
「ぎゃああああああッッ!」
「ひぎいいいいッ…!」
「げふッ…!」
ヴゥゥン…!
あっという間に盗賊三人を斬り捨てた女戦士の名はリンカ。相棒のリュウノスケとともに、この屋敷のあるじに雇われた用心棒だ。
だがリュウノスケはというと、三週間ほど前に国王の依頼で外国客の警護のために都に駆り出されたまま、いまだに戻ってこない。
剣の達人であるリュウノスケのこと、心配はないとは思うがそれにしても帰りが遅い。留守を守るリンカの疲労は緊張続きでピークに達しつつあった。
「リンカおねえちゃんありがとう!」
「大丈夫?スミレちゃん、ケガとかしてない?」
「うん!」
ふふ、かわいい。あるじの孫娘であるこの子はまだ7歳、この笑顔がリンカの一番の癒しだ。
「今度はわたしがおねえちゃんを助けてあげる番だからね!」
「そうね、そのときはよろしくね」
ふたりでハイタッチをしていると、白髪に口ひげをした屋敷のあるじが頭を下げた。
「助かったよ、いつもすまないな」
「いえ、みんなが無事でなによりです」
「そうじゃな。それよりリンカ、お前に朗報だ」
「なんでしょう?」
「リュウノスケが戻ってきたらしいぞ」
「え…!?」
「ここの片付けは他の者に頼むから、村外れまで迎えに出てやってくれんかな」
「はい…!」
リュウノスケがやっと帰ってきた。
うれしくて急いで村外れにある水車小屋に駆けつけると、立派な鞍をつけた馬の横に彼が立っているのが見えた。
「おーい!」
呼ばれた彼は「おや?」と不思議そうな顔をして彼女を見た。
「おかえり、リュウノスケ!」
「…え?き、君は…?」
リュウノスケはなぜかリンカを見ても、まるで初めて出会ったかのような怪訝な顔をした。
「ぼくの名前を知ってるのか?…ど、どうしてだ?」
「え?ちょ、ちょっと…」
あまりに予想外の反応にリンカが呆気にとられて驚いていると、王国騎士団の制服を着た若い女が近づいてきた。
「どうかしたのか?リュウノスケ」
「レナ、この子俺の名前を知ってるんだ」
「え…なんだって?」
レナと呼ばれた女はリュウノスケの真横に並び、値踏みするようにリンカをじっと見つめた。
「お前、この村の住人か」
「は、はい」
いかにも気の強そうな雰囲気に押され、リンカは戸惑った。
「今夜ふたりで泊まる宿屋を探している。この村のどこにあるのか教えてほしい」
「え…!?」
そ、それはどういうこと…?
「リ、リュウノスケは元々ここの住人ですけど…」
「え、そうなのか?」
「いや…わからない、覚えてない」
「そ、そんな…」
「それよりはやく宿屋を教えろ」
「こ、この村に宿屋はないんです…」
「…ちっ、これだから田舎は。宿屋じゃなくても泊まる場所くらい他にもあるだろ?」
「は、はあ…」
仕方なくリンカは、リュウノスケだけでなくレナと名乗るこの強気な女騎士も屋敷に連れて戻ることにした。
「…これはどういうことなんじゃ?リンカ」
老主人にヒソヒソ問われ、彼女はここに来るまでの会話でわかったことを話した。
どうやら王都でリュウノスケの身に何かあったらしく、以前の記憶が全くなくなってしまったようなのだ。
「それは不思議なこともあるもんだの、まあ今晩だけはリュウノスケも客人でいいとして、これからどうするつもりなんじゃ、あの二人は?」
「レナさんが言うには、騎士団長の命令で各地を巡検している途中なんだそうです」
「なんと、ではここに寄ったのも偶然という訳か」
「そのよう、です…」
「それは困ったな。わしは何も聞いとらんし、リュウノスケほど頼りになる用心棒はそれこそ国中探しても他におらんというのに…」
「はい…」
それはリンカも同感だ。
「しかし、わしが説得しようにも今の彼には何を言っても無駄なような気がするな」
ゴホン…、老主人はわざとらしく咳をした。
「そこでだリンカ、お前の気持ちはどうなんじゃ?」
「え…?」
「リュウノスケは大事な相棒なんじゃろ?」
「は、はい…」
「このままではあのレナという女騎士とどこかへ行ってしまうが、それでいいのかってわしは訊いとるんじゃ」
「そ、それは…」
それだけは絶対にいやだ…。
「もちろん彼の記憶が戻らんことにはどうしようもない問題ではあるがな」
「…そう、ですね」
「なんとか彼が君のことを思い出してくれると一番いいんだが…」
「……」
それからリンカは彼女なりに機会を伺ったし、リュウノスケも話しかけてくれたのだが、いかんせんレナがそばにいるせいで会話が続かない。
しかも客間のある母屋の横の建物は、いま修理中でひとつしか部屋が空いてないため、リュウノスケはレナと同じ部屋に泊まることになってしまった…
夕食を終えた彼が部屋へと戻るその背中を、リンカは指を咥えてただただ見送るしかなかった。
…もしレナがリュウノスケを誘惑したらどうなるか。記憶を失った彼のことだ、その先のことはわからない。考えただけでリンカは締めつけられるように胸が苦しくなった。
──真夜中。
ホー、ホー
どこからかフクロウの寂しい鳴き声が聞こえてくる。
いつもなら敷地の見回りを終えるとすぐに自室に戻るのだが、今夜のリンカはリュウノスケのことが気になって中庭に向かった。
夜空に大きな赤い月が浮かんでいる。母屋の横の建物の二階に小さな灯りが点っているのが見えた。
…あの部屋に彼がいる。
もし以前のリュウノスケであれば、今ごろ私は彼のベッドで激しく抱かれていたはずだった。
王都に向かう最後の夜、リュウノスケは私に「戻ったら俺と結婚してほしい」と告げ、若くて精悍な肉体を振り乱し、避妊具も付けずに何度も私のなかに射精した。
思い出しただけで身体の奥がじっとりと濡れ、頭がぼーっとしてくる。そんな熱い夜だった。
「(ん…、ん…)」
リンカはレオタード越しに自分の乳房を手のひらで覆い、彼の手つきを思い出しながら揉んでみる。
ん、んあ…す、すごく気持ちいい…。
すぐに硬くなった先端を指先でつまむと、たまらず声に出して喘いでしまった。
「んんっ…、は、はあ…♥️」
リュウノスケはいつも前戯に時間をかけ、私の身体をたっぷりと愛撫してくれる。そうしてさんざん焦らしておいてから、おもむろに弱いところを攻め始めるのだ。
性の知識に乏しい私でも、彼がベテランの娼婦ですら夢中にさせるであろう天性の
もしレナが一度でも彼に抱かれたら、二度と彼から離れたくなくなるだろう。
「…あ、んッ♥️」
彼のそそりたつ局部を想像しながらレオタードのVゾーンに指を這わせると、自分でも呆れるほど甘い声が漏れた。
薄い生地の上から小さな突起を弄り、窪みにギュッと指を沈み込ませると、トロトロの愛液がジュッと染み出してくる。
「ん…♥️んんッ…♥️」
あ、ああ…リュウノスケ、す、好き、大好き…!!
グチュグチュとレオタードのVゾーンが濡れていやらしい音をたてる。それは彼の性器が自分の腟を貪るように出入りするときの淫猥な音とよく似ていた。
夢中で喘ぐ彼の顔、前後に激しく動く腰、しっかりと硬さを保った逞しい肉棒。
も、もう我慢できない…
私は壁にもたれて立ったままレオタードの股布をずらし、濡れそぼる性器を夜風に晒した。
花弁を直に指で触れると、ゾクゾクするような快感がダイレクトに脳にこみ上げてくる。ああ…気持ちいい…。
チュブッ、ヌチュッ、グチュッ…
「ふぅ、ん…♥️んあ…、は、あッ…♥️」
想像のなかで、私を突きあげる彼の腰に両脚を絡めて動きをシンクロさせると、とたんに表情に余裕がなくなり、大きく喘ぎながら彼は一気に射精へと突き進む。
ジュプッ!グチュッ!チュブッ!ジュポッ…!
『うあ、あ…リ、リンカ、い、イクッ!お、俺、イクッ…!』
ドピュッ…!ドクドクッ!ビュブビュブッ…!
彼の白濁した子種が私の子宮のなかにたっぷりと注ぎ込まれる。全身が電撃のような鋭い快感に包まれて、足先から背中までビクビクッと痙攣した。
「はあ…、はあ…♥️」
ピクッ、ピクッ、ビクン、ビクン…
快感の波が鎮まるのを待ってから、ずらした股布を元に戻し、露出した性器をしまう。
はあ、はあ…
この汚したレオタード、誰にも気付かれないうちに洗わないと…
「おーい、だれかそこにいるのか?」
「(ビクッ)ひゃあッ…!?!?」
声の主はなんと当のリュウノスケ本人。
「…わ、私よ」
「あ、リンカか、びっくりさせてごめん」
「ううん、大丈夫…」
彼は近づいてきて傍らのベンチに腰かけた。
彼のいた位置からだと建物で死角になるから、さっきの行為は見られてないはずだ。
「なあリンカ、聞きたいことがあるんだけど」
「…な、なあに?」
「君は俺の住んでた村はここだと言ったよな?」
「うん」
「ぼくが何をして暮らしてたのか、それを詳しく教えてほしいんだ」
…やっぱり、本当におぼえてないのか。
内心ショックを感じながらも私は、彼が混乱しないようにゆっくりと丁寧に説明してあげた。
「そうか、ぼくはこの屋敷の用心棒だったのか…」
「うん…おぼえてない?」
「だめだ、思い出せない」
「……」
「じゃあ、君とぼくは同僚ってわけだ」
「うん、リュウノスケと私は同じ師匠から習った生徒同士なの。ここの仕事もその先生に紹介してもらったのよ?」
「師匠の名前は?」
「カラスマ先生、思い出せない?」
「…うーん、わかるようなわからないような」
「焦らないでいいから、ゆっくり考えてみて?」
「うーむ…」
しばらく考え込む彼。
「ねえ、そういえばどうしてリュウノスケは記憶を失ってしまったの?原因を教えて?」
「ああそれな。よくおぼえてないんだけど、医者が言うには戦っている最中に階段から落ちて頭を打ったらしいんだ、カッコ悪いよな」
「そ、そうなんだ、それは危なかったね」
たぶんそれは戦闘中に警護相手をかばって起きた事故だったんじゃないだろうか。リンカはそう思った。
「記憶以外はなんともないから、大丈夫だけどね」
「それならいいけど。とにかく元気で戻ってきてくれて本当によかった…」
リュウノスケがニッコリ笑った。
「ありがとう。で、退院して街をうろうろしてたら警護役でいっしょだったレナが声をかけてきて一緒に旅をすることになったんだけど、その理由がまた至極単純なんだ」
「同行を頼まれたの?」
「ちがう。レナが騎士団の任務で国中のあちこちを巡検するって言うから、何か思い出すきっかけにならないかなって思って勝手についてきただけ」
「レ、レナとはどんな関係なの?」
私はドキドキしながら訊ねた。
「そんなに話はしないな、剣の技術についてちょっと話すぐらい」
「つ、付き合ってはないの…?」
「まさか、そんな間柄じゃないよ」
「そ、そう…?」
「うん。こんなこと言ったら失礼だけど、彼女と深い仲になるっていまいちピンとこないんだよな。それになんだか気持ちが咎めるんだ、不思議なことに」
「ふーん…?」
気持ちが咎めるってどういう意味…?
「ところでさ、俺も質問していいか?会ったときからずっと気になってたんだけど、俺とリンカの関係って元々どうだったんだ?仲はよかったのか?」
「え…、あ…」
「あれ、まずいこと訊いちゃったかな」
「ま、まずくはないけど…」
「じゃあ教えてくれよ。こんなことを言うのは恥ずかしいんだけど、俺の彼女だったらいいなって、会ったときからずっと思ってた」
「…ちょ、ちょっと待ってよ、それって…」
「そのまんまだよ。まだ会ったばかりだけど俺、本気で君のことがその…好きなんだ」
う、うそ…
「だから知りたい、君と俺がどんな関係だったのかを」
「ほんとに知りたいのね…?」
「ほんとにほんと。嘘なんかついてない」
たしかにそう話す彼の表情は真剣で、私を騙そうとか下心の類いのようには見えなかった。
しばらく黙った私は、思い悩んだ末に小さなため息をついて、彼の唇に軽く触れるキスをした。
チュッ…
「…え、リ、リンカ、これって」
「まだ思い出せない?」
リュウノスケは急にハッとしたような顔をした。
「も、もしかして、君は俺の恋人なのか…!?」
「そう…」
「うあっ…!な、なんだかいろんなことがはっきりしてきた!あ…、あああっっ!?」
突然彼は頭を抱えて呻き始めた。
「な、なにか思い出したの!?」
「そうだ!君はリンカ、俺の
「よかった、うれしい…思い出したのね!」
感激してふたりでしばらく見つめ合い、おもむろに抱き合おうとしたその時だった。
「リュウノスケ、そこにいるのか!?」
「…あ、レナ」
「ったく、こんな遅くに何をして、あっ…!」
レナは私に気づいて、露骨に嫌な顔をした。
「リュウノスケ!何をしている、明日も早いんだぞ!」
「おう。じゃあまたなリンカ、おやすみ」
「…うん、おやすみ」
レナにキッとにらまれても、私は無視してリュウノスケに手を振った。
自室に戻り、バタンと後ろ手で扉を閉める。窓の外には変わらず赤い月が照っていた。
…よかった、これで彼を取り戻せた。
おかげで今夜は久しぶりにぐっすり眠れそうだ。
逆にますます眠れなくなったのはリュウノスケのほうだった。リンカに再会できた喜びをひとりベッドのなかで静かに爆発させる。
リンカはいつもやさしくて、話すと心が落ち着いてくる。世界広しと言えど、俺の恋人はやっぱり彼女だけなんだ。
それに…
二つ括りの髪から覗くきれいなうなじ、レオタードを押し上げる形のいい胸とお尻。くびれた腰の色っぽさは言うまでもない。
白く肉感的な太ももに、少女のあかしである膝裏のH字のしるし。そしてブーツに収まる柔らかなふくらはぎ…
もしかなうものなら、今すぐにでも彼女を抱きしめて、あの濃紺のレオタードに白濁をたっぷりとぶちまけたい…
…ご、ゴホン。
エッチなことを考える前に、まずはリンカと無事再会できたことを感謝しなければ。神様ほんとにありがとう!
***
ドスッ、ズブッ、シュパッ…!
「ハア、ハア…」
朝もやのなか、レナは藁で作った人形を敵に見立てて剣の練習をしていた。
───早朝。
『すまんレナ、俺はこの村に残ることにした』
『…ど、どういうことだリュウノスケ!?』
『記憶が戻ったんだ、俺はリンカと結婚する。だからここからは一人で行ってくれないか』
『そ、そん、な…』
…くっ、こんなとこに立ち寄ったのがそもそも間違いだった。せっかくこの旅でリュウノスケと仲良くなれると思っていたのに、誤算もいいところじゃないか。
レナは、リュウノスケやリンカと同じく『伝説の剣士』のひとりである。それはカラスマの弟子以外には王都の騎士団長アサノの直弟子だけが名乗ることを許される名誉ある称号だ。
そして『伝説の剣士』として認められると、師匠から光の剣が与えられる。この世でもっとも切れ味が鋭いと言われる剣をである。
ひとつ間違えれば大怪我を負うことになるそんな危ない剣を扱えるというのは、それだけ達人だという証でもあるのだ。
リンカという女の腕前はよくわからないが、騎士団長の覚えめでたいこのわたしが心配するほどのものではなかろう、レナはそう思った。
シュパッ…!
人形の首を斬り落とし、地面にボトリと転がったその頭部をグッと踏みしめる。
リュウノスケがあの女と結婚するなんて絶対に許せない。そんなことになるくらいなら、いっそこの手で…
そのときだった。
ダダダダダッ…!!
屋敷の外からたくさんの馬の蹄の音が聞こえてきた。
「ヒャッハー!仲間の仇だ!この屋敷の人間を片っ端から斬り殺せ!」
「「「「「おう!!」」」」」
おやおや、これは昨日襲ってきたという盗賊の仲間か。適当に数えて約30人、面構えからしてかなり好戦的な連中だ。
「レナ!俺はあるじ夫婦を守るから、お前はリンカと協力して残りのみんなを頼む!」
「わかった!」
これはチャンスだ。リュウノスケは今手が離せない。味方のふりをしてリンカに近づき、油断したところを背後からひと突きしてやる…!
ふふ、さっそく見つけたぞ。屋敷の裏口で盗賊たちと戦っている。
「リンカ!わたしも加勢するぞ」
「…あ、ありがと!相手は投げ縄を持ってるから油断しないで!」
ふん、馬鹿馬鹿しい。こんなザコ連中、さっさと片づけてやるわ。
通常、馬上の者は地面の敵より何倍も有利と聞く。だがそれは凡人の場合であって、このわたしは別だ。
「うぉりゃあッ!死ねえッ…!」
ズバババッッ…!!
「ぐッふぇああああッッ…!?!?」
さっそく襲いかかってきた盗賊の1人を光の剣で豪快に馬ごと斬り捨てる。みじめな連中だ、たったこれだけで動揺が走るとはな。まあ、このわたしに恐れをなしたとしても仕方はないが。
「…あっ!危ない!」
は…?なにを言ってるリンカ。
クルクルクルッ…ギリギリッ!
あああッ…し、しまった!!
気付くと剣を持つわたしの右腕に盗賊のひとりが投げた投げ縄が絡みついた。…ま、まずい!!
引っ張られてドサッと地面に転がったわたしの顔前に、盗賊たちの剣が突きつけられる。
「へへへ、面倒をかけやがって生意気な、…ぐわあああッッ!?」
「ぎゃあああっっ…!!」
油断していた男たちが次々と背後からリンカに袈裟斬りにされて倒れていく。ば、バカな…あいつも敵に囲まれていたはずなのに、もう倒したのか!?
「大丈夫?レナ」
くそッッ!こんなやつに心配されるとは屈辱の極み!
だが…冷静になれ、これはチャンスだ。助け起こそうと伸ばしてきたリンカの手を握り、わざと素直に感謝したふりをした。
「す、すまない…」
うん、とうなづいたリンカは、すぐにわたしと背中合わせになって敵と戦った。
しばらく続いた戦闘もあらかた片付いたころ、リンカはなぜか慌てたように建物のなかを探し始めた。
「どうした、あるじ夫婦なら母屋だぞ?」
「孫娘のスミレちゃんの姿が見えないの、どこに隠れているのかはやく探さないと…」
「そうかわかった。わたしも探そう」
「ありがとう!」
建物のなかを必死で探し回るリンカ。そのうしろをさりげなくわたしもついていく。
ふふふ…背中ががら空きだ、これなら殺れる…!
ゆっくりと距離を詰めて静かに光の剣のスイッチを押し、飛び出した刃を静かにリンカの背中に向ける。
いまだッッ…!!
「あぶないっ!リンカおねえちゃんッ…!」
シュバッッ…!!
レナが振り下ろした剣はギリギリのところで空を切った。リンカはすばやく身を屈めて体勢を整えると、すぐに剣を構えた。助かった、スミレのおかげだ。
「くそッ!悪運のいい女め、だがこれでどうだ!」
「きゃあああっ!?おねえちゃん!」
「す、スミレちゃん!な、なにするのレナ…!その手を離しなさい!」
「ふふふ…こいつの命を助けたければ、お前の剣をわたしに寄越せ!」
「レ、レナ…どうしてこんなことを」
「どうして?お前が憎いからに決まっている。貴様とリュウノスケの結婚だなんて、このわたしは認めない!」
「…そ、そんな理由で」
「おねえちゃん!わたしはいいからこいつを倒して!」
「だまれ!このくそガキが!」
バシッと頬を叩かれるスミレ。
「わかった!もうやめて…!」
リンカは仕方なく剣をレナに放り投げた。
「ククク…それじゃあまず、手をついてわたしに命乞いをしろ。額を床にこすりつけてだ」
「なっ…」
「どうした、この娘が死んでもいいのか?」
レナは剣の先をスミレに向ける。
「や、やめて…」
「だったらさっさと床に這いつくばりな」
「くっ…」
リンカは仕方なく腰をおろし、両手を床につけて頭を下げると、レナにグッと背中を踏みつけられた。
「アーハッハッハ!悔しいか、わたしをコケにした罰だ、せいぜい味わうがいい!」
これであとはリンカの首をはねるだけ。なあに盗賊の仕業だと言えばリュウノスケもあきらめるしかない。
わたしはウソ泣きのひとつでもして、弔いのためだとかなんとか言って、また彼を旅に誘えばいい。
「顔を上げろリンカ」
ゆっくりと彼女が頭を起こした瞬間、待ち構えた剣が振り下ろされた。
「待てレナッ!!やめろおおおおおッッ…!!」
ズバッ…!
「きゃああっ…!」
思わず目を逸らすスミレ。だが斬られたのはリンカではなかった。
「リ、リュウノスケ…!?リュウノスケッ!!しっかりしてッ!!」
「…な、なに?…な、なぜ、だ」
呆然とするレナを尻目に、リンカは瀕死の彼に抱きすがる。
「い、いやあッッ…!!目を開けてリュウノスケ!!リュウノスケえええッッ…!!!」
……
…
***
「リュウノスケッッ…!!!」
ガバッ…!!ガツーンッ!!
「ぐわッ!!痛ってえええええッ!」
「きゃあッ!!痛ったあああいいいッ…!」
ヒリヒリ…
「いててて…び、びっくりするじゃねーか速水!」
「…あ、あれ、…こ、ここはもしかして千葉の家…?」
「もう、なんなんだまったく。あんまりうなされてるから心配して声をかけたら急に起きやがって」
「ご、ごめん…」
「どんな夢を見てたんだ、映画の続きか?」
「え、あ、いや…」
そうだ、千葉が録画した某有名SF映画をふたりで観ているうちに、私いつの間にか寝てしまったんだ。
「お前な、毎日チアの練習でクタクタだってずっと言ってただろ?さすがに疲れが溜まってるんだわ」
ああ、言われてみたらそうかも。おまけに体育で今クラシックバレエを習ってるから、レオタードがスポーツバックのなかに入ってるし…
「なあ速水、リュウノスケ!リュウノスケ!って大きな声で言ってたけど、ひどい目にでも遭ってたのか?俺は」
「え、あー…、まあ、そうね…」
「夢の中の俺はどうだった?カッコよかったか?」
「うん、とってもやさしくて頼りになる感じだったな、実物と違って浮気とかしないし」
「ちょっ…!おい、聞き捨てならんな!」
「だってそうじゃない、ちょっとかわいい子を見るとすぐ鼻の下を伸ばすくせに」
「ま、待て、誤解だ!俺がいつ鼻の下を伸ばした!?」
「はーあ…夢のなかのリュウノスケはあんなにカッコよかったのになあ…」
「なんだそれ!?いいから俺の話を聞けって!」
「もういい、あっち向いてて!」
ガーン…!