もし千葉くんがエロゲの主人公だったら 作:miyakokat
〈?視点〉
「すまん!黒板消したから先に帰ってもいいか?」
「うん。あとはごみ出しだけだから、いいよ?」
「恩に着る!」
南の島での暗殺計画を明日に控えた放課後、バタバタと教室を飛び出していくのは同じ日直の前原くん。その背中を見送ったわたしは、ごみ袋を持って外の集積場にいく。
職員室も電気が消えていて誰もいない。
明日の今ごろはみんなで南の島にいるんだよね…。そう考えると自然と顔が綻んでしまう。
教室に戻ったわたしは、狭間さんの机に遠慮がちに腰を下ろした。右側が村松くんで、左側が千葉くんの席。
たわむれに、千葉くんの机の足に自分の室内シューズの先をくっつけてみる。
南の島で千葉くんと仲良くできる時間があったらいいな。二人で海で泳いだりしたら、さぞかし楽しいに違いない。
千葉くんはいつもわたしの前では照れたような表情をする。それだけ見ると、少しは好意があるのかな?と期待してしまうけど、彼は誰に対しても優しくて、繊細な心遣いをする人だ。
いま彼と一番仲がいいのは速水さんだけど、見てるとまだ二人は、付き合うまでの関係には至ってない気がする。
矢田さんは千葉くんへの好意がダダ漏れしているし、隙あらば狙っている子は他にもいる。悔しいけどライバルはたくさんいるのだ。
チャンスはある。せっかくの旅行だし、千葉くんとの関係を深めるきっかけにしないと…。
そういえばイリーナ先生の言ってた彼って、やっぱり千葉くんのことなのかな。あの話を聴いてから千葉くんと向かい合うだけで、身体の奥が熱くなってくる…。
わたしは立ち上がると、千葉くんの机の角に黒タイツに包まれた太ももをグッと押し付けた。
いいなあビッチ先生は…。わたしもあんなキャラだったら、千葉くんに抱いてもらえるのかな…。
「ん…、ん…」
わたしは制服のスカートの上から、恥ずかしい部分を千葉くんの机の角に当て、ゆっくりと擦りつけてみた。
「はあ…、はあ…」
千葉くん、アソコがすごくおっきいって噂はほんとなのかな…。見てみたい…触ってみたい…。わたしのテクニックで気持ちいいって言わせてみたい…。
「はあ…はあ…千葉くん…」
もし交際することになったら、たくさんエッチなことをするんだから…。
「あん…、あん…、千葉くん…好き…」
キスして…抱き合って…、彼の手がわたしの胸に伸びる…。
「あん…!はあ…!はあ…!」
制服のベストの上から自分で胸を揉んでみる。ああ…気持ちいい。矢田さんと比べられたら困るけど、千葉くん気に入ってくれるかな…。
もう我慢できない…。わたしは机の角から離れると、スカートの中に手を入れて、黒タイツを膝上までずり下ろした。
薄緑色のショーツの上から、大事な部分に指先を這わせると、頭の芯から足先まで電流のような快感が駆け抜ける。ああ…この指が千葉くんだったらいいのに…。
「あん…!あん…!だめえ…!」
ああ…気持ちよすぎて指が止まらない…!千葉くん、他の女なんか見ないで、わたしを…わたしだけを見て…!
「ああん…!気持ちいい…!はあ…!はあ…!い、イキそう…!」
わたしはショーツのなかに手を入れて、指先でクリトリスをグチュグチュといじってみる。ああ…千葉くんとエッチしたい…!千葉くんのおっきなアソコでわたしを気持ちよくしてほしい…!
「んんんッ…!!はああんッ…!!」
腟(なか)からあふれ出る愛液が、ヌルリと指にまとわりついてくる。焦らすように自分で入り口辺りをズプズプと出し挿れすると、ビリビリした快感で頭の中が真っ白になった。
「ああん…!ち、千葉くん…大好きいいいッ!!」
イリーナ先生から聞いたように、千葉くんにバックから突かれる自分をイメージしてみる。その途端、爆発するような絶頂がこみ上げた。
「あああああッッ…!!!」
ビクンッビクンッビクンッ…!!
わたしは背中を仰け反るようにして快感に耐える。
「はあ…!はあ…!はあ…、はあ…」
ああ…はしたない。
またやってしまった…。
こんなことしても虚しいだけなのに…。
今度こそ、今度こそ、千葉くんと仲良くなりたい…。こんな思いはもうしたくないから…。
☆☆☆☆☆
〈千葉龍之介視点〉
ザザ…。ザザ…。
肝だめしの翌朝。
まだ夜が明けきらない海岸に、俺はひとり砂浜に腰を下ろし、貝殻を拾っては波に向かって投げていた。
結果として、普久間島での殺せんせー暗殺計画は失敗に終わり、俺は原田さんとの約束を果たすことができなかった。
情けない。その一言に尽きる。
いくら後悔しても、失敗だったことに変わりはない。
告白するチャンスを自分で潰してしまった今、俺はこれから速水とどう向き合えばいいのか…。
「千葉…?」
背後から速水の声が聞こえたような気がした。
重症だな…。速水のことを考え過ぎて、ついに幻聴まで聞こえるようになったようだ。
「こんな朝早くなにしてんの?」
ほっといてくれ速水。俺はお前に告白する資格のない人間なんだ…。
「ちょっと千葉、無視しないでよ!」
「うわッ!…え?は、速水!?」
突然肩を叩かれて、俺はビクッと反応してしまった。
「は、速水…。なんでこんなところに?」
「それは私の質問でしょ?」
「あ、ああ…そうだったな」
速水が俺の横に腰を下ろした。白いTシャツにショートパンツ、足にはサンダルを履いている。
「風が気持ちいいね」
「…お、おう」
「…」
「…」
「私ね…、千葉と射撃でコンビ組むことができて、本当に良かったなって思う」
「…本当にそう思うか?」
「…え?」
「結局俺は殺せんせーを暗殺することができなかった」
「そうね…。みんなであんなに頑張ったのに失敗したんだから、卒業までに暗殺するなんて本当にできるんだろうかって、思っちゃった」
海を見たまま微笑んでいる速水のサンダルから、きれいに整ったピンク色の爪がのぞいている。
「速水…」
「…なんで泣いてるの?」
「…ホテルの劇場での戦いで、最後に速水のサポートがなければ俺は死んでたと思うし、その前にもしあのときガストロさんの撃った弾が速水に当たってたとしたら…俺は絶望して、今ごろ生きてなかった…」
「千葉…」
「すまん…速水。こんな不甲斐ない俺がパートナーで…」
「…」
「…千葉は間違ってる」
俺は速水の意外な言葉に思わず顔を上げた。
「もし千葉が死んでたら私だって…。でも、あのとき私は千葉のことを信じてたし、もちろん今も私の背中を預けられるのは千葉だけだと信じてる…」
「は、速水…」
「どうして起きてもないことで悩むの…?そんなことで悩んでて、私が喜ぶと思う?」
「…」
「私はうれしい…千葉が生きててくれて…。こんなにも千葉が私のことを心配してくれて…」
気づくと速水の目元に涙がいっぱい溜まっていた。
「私は千葉のことが好き…。優しくて、いつも誰かの心配ばかりして…」
「え…?」
い、いま、なんて言った…!?
「そのくせ本当は臆病で、不器用で、肝心なときは特に舌足らずで…」
「…でも、そんな千葉のことが…。わたし…わたし…」
「待ってくれ速水」
「…?」
俺は涙を拭いている速水の両肩にそっと手を置く。
「そ、そっから先は、俺に、俺自身に言わせてほしい」
速水が「うん」と強く頷いた。
なんてかわいいんだ…速水がこんな顔をするなんて初めて見た。神様…お願いだから、この笑顔を俺に守らせてください…!
「は、速水…」
ついに告白のときが来た。
胸のドキドキが騒がしくて、頭がボーッとして、身体がフラフラしてくる。
舌足らずを挽回するために、俺はこれまでの速水との時間をどう思って過ごしてきたか、時折嗚咽で止まりながらも、それでもきちんと話すことができた。これは一度原田さんに話せたおかげかもしれない。
「お、俺、速水のことが…。くっ…ううっ…」
が、がんばれ俺…!な、泣くな。
「好きだ…!す、好きなんだ…!…お、俺と付き合ってくだ…さい…!」
速水の肩をつかんだまま、うつむいてしまった。
「顔を上げて…千葉」
「だめだ…みっともない顔してるから…」
「みっともなくていいよ…そんな千葉が好き」
「速水…」
「なかなか素直になれないこんなわたしだけど…よろしくね」
「え…、い、いいのか…?」
「うーん、どうしようかな…」
「え、ちょっと…」
「冗談よ。…ふふ、そんな顔をしない…」
速水が俺の背中に両手を回して抱きしめてくれた。
「うれしい…ほんとにしあわせ」
俺は初めて速水の二つ括りの髪に触れた。
「いつか千葉とこんな日が来たらいいなって、ずっと思ってたの…」
「お、俺も…だ…。…うっ…く…」
嗚咽の止まらない俺の背中を速水の手が撫でてくれた。
「キスしていい…?」
「い、いいのか…?」
「もちろんよ…」
間近に見る速水の透き通る瞳は、まるで清流のような淡いエメラルド色をしていた。速水はそっと瞼を閉じると、いまだ震えの止まらない俺の首に手を回した。
「んん…」
俺たちはこれまでの時間を取り戻すかのように、長い時間をかけてキスをした。なんだか現実感がまるでなくて、夢の中にいるみたいだ…。
「好き…好き…。千葉…」
速水の白いTシャツに薄い空色の下着が透けていて、少し開いた首もとから胸の谷間が、み、見えている。そういえば速水のビキニ姿、最高だったな…。
夢中になってハグするうちに、形のいい速水の胸がふにゅっと俺に当たっていることに気がついた…。や、ヤバい…、お、俺の一部が速水に…。
「…ち、千葉…当たってる…」
「あ…、す、すまん…つ、つい」
「千葉もやっぱり男の子なんだね…」
「うぐぐ…」
「ふふふ…いいよ。それよりそろそろ夜が明けるから、ホテルに戻ろ?」
「ああ、そうだな」
「なあ、速水」
「ん?」
「今度の休み、どっかいかないか」
「了解」
「詳しいことはまた連絡する」
「うん」
「なんだか、いつものやり取りに戻っちまったな」
「ふふ…こっちのほうが私たちに合ってる」
「それもそうだな」
「じゃあ、またあとで」
「ああ…」
★★★★★
〈?視点〉
「ち、千葉くんに…速水さん…?」
早めに目が覚めたわたしは、ホテルを出て海岸を歩いていた。
夜明け前の薄暗い砂浜に浮かぶ男女のシルエット。目を疑うようなその光景に、思わず足元がグラリと揺らぐ。
わたしは二人に気づかれないようにその場に腰を下ろすと、手近な砂をつかんで、強く強く握りしめた。
ホテルに戻ると、トイレから出てきた茅野さんとばったり出くわした。
「えっどうしたの?○○さん…恐い顔して」
「ううん?何でもないよ。ちょっと散歩で疲れただけだから…」
「そっか…ごめんね、変なこと言って」
「ふふふ、大丈夫…」
わたしは海岸の見えるロビーのソファーに座って、これからのことをしばらく考えてみた。
やっぱりわたしは千葉くんのことをあきらめたくない。
いつか必ず、彼を振り向かせてやるんだから…。